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【新規上場企業分析】カオナビのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

カオナビの概要

カオナビの基本情報

はじめに、株式会社カオナビの基本情報を紹介します。
上場日は2019年3月15日、市場はマザーズ、想定時価総額は94.1億円、上場時の時価総額は209.9億円でした。

会社名 株式会社カオナビ
設立日 2008年5月27日
上場日 2019年3月15日(承認日:2019年2月12日)
市場 マザーズ
証券コード 4435
業種 情報・通信業
決算期 9月
ホームページアドレス https://corp.kaonavi.jp/
発行済株式総数 4,788,000 株(2019 年 2 月 12 日現在)
上場時発行済株式総数 5,288,000 株
※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 500,000 株
想定価格 1,780円
想定時価総額 94.1億円(※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 3,970円
上場時時価総額 209.9億円 (※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 589.2億円(2020年12月11日現在)
資本金 441,400 千円(2019年2月12日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 有限責任 あずさ監査法人
主幹事証券会社 大和証券
引受幹事証券会社 みずほ証券
東海東京証券
マネックス証券
SBI証券
エース証券

カオナビの沿革

株式会社カオナビは、2008年に東京都において、株式会社ジャパンオペレーションラボとして設立されました。
2012年からは、事業の中核となる『カオナビ』事業を開始し、2019年3月に東証マザーズに上場しています。

2008年5月 東京都港区において、株式会社ジャパンオペレーションラボ設立
2012年4月 クラウド人材マネジメントシステム『カオナビ』事業開始
2012年6月 東京都港区南青山1丁目に本社移転
2013年5月 株式会社カオナビに商号変更
2014年3月 東京都港区南青山2丁目に本社移転
2014年4月 『カオナビ』に人事評価ワークフロー機能を追加
2015年1月 東京都港区南青山2丁目に本社移転
2016年3月 東京都港区赤坂に本社移転
2016年7月 ユーザー支援サービスを開始
2016年9月 オウンドメディア「マネたま」を開設
2017年2月 東京都港区南青山2丁目に本社移転
2017年3月 株式会社リクルートホールディングスによる合同会社RSIファンド1号を通じた資本参加
2017年8月 『カオナビ』のAPI提供を開始
2017年9月 『カオナビ』と適性検査「SPI3」とのサービス連携をリリース
2017年11月 『カオナビ』にテンプレート機能を追加
2017年12月 HRテクノロジーに関する調査・研究・情報発信を行う「カオナビHRテクノロジー総研」を当社内に設立
2018年1月 東京都港区元赤坂に本社移転
2018年4月 『カオナビ』のスマートフォンアプリ(iOS/Android)をリリース
2018年5月 企業や人の共創・交流の場「カオナビのWA」を創設
2018年7月 大阪オフィスを開設
2018年11月 名古屋オフィスを開設
2019年3月 東京証券取引所マザーズに株式を上場
2019年6月 スタートアップ企業への支援「カオナビ NEXT FUND」を開始
さまざまな企業やサービスとの連携・協業を深化させる「コネクテッドパートナープログラム」を開始
2019年10月 離職予兆や組織課題の早期発見をサポートする「パルスサーベイ」をリリース
2020年3月 蓄積された人事データを可視化する「ダッシュボード」をリリース

 

カオナビの事業内容

カオナビは、「シンプルな仕組みで世の中をちょっと前へ。」というミッションを掲げ、企業の人材情報をクラウド上で一元管理するシステムである『カオナビ』の提供を主要な事業として展開する企業です。
『カオナビ』は、社員の顔や名前、経験、評価、スキルなどの人材情報を一元管理して可視化することで、最適な人材配置や抜擢といった人材マネジメントをサポートするシステムであり、事業領域としては、人事評価・人材配置・人材採用・人材育成などの人材管理領域が該当します。

なお、以下は、カオナビの事業系統を表した図です。

カオナビの事業系統

 

サービス概要     

『カオナビ』は、企業の経営陣や管理職が抱える「社員の顔と名前が一致しない」というシンプルな課題を解決するために生まれたサービスであり、「社員のスキルや特性が見えないため最適な人材配置が困難」「社員が急増して顔と名前が一致しない」「人材データを有効活用できない」などの課題解決を目指したシステムとなっています。

システムの特徴は、顔写真が並ぶシンプルなインターフェースによって、社員の誰もが直感的に操作することが可能な点であり、ドラッグ&ドロップなど簡単な操作で、データベースのレイアウトを自由自在にカスタマイズできるため、工数と費用をかけずに顧客自身で簡単にデータベースを構築し人材情報の一元管理を実現可能とします。
さらに、スマートフォンにも対応しており、店舗などPCのない環境でも簡単に操作することが可能です。

また、カオナビでは、外部企業やシステムの連携を積極的に進めており、一例をあげると、リクルート社が提供する「SPI3」を『カオナビ』のプラットフォーム上で受検し、その結果を自動的に『カオナビ』上に反映させる仕組みなどを導入しています。

なお、『カオナビ』の導入企業数は2020年3月時点で1,789社となっており、国内クラウド人材マネジメントシステム市場においてトップシェアとなります。

ビジネスモデル

『カオナビ』は、クラウドサービスとして顧客への提供が行われています。
クラウドサービスとは、インターネットなどのコンピュータネットワークを経由してソフトウェアをサービスとして提供する形態のことで、SaaS
(Software as a Service)と呼ばれるサービスです。

SaaSとは、Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)の略称であり、利用者がソフトウェアを直接インストールして利用するのではなく、 インターネット上のクラウド経由で利用するサービスを意味します。
また、SaaS型のシステムは、月や年などの期間をベースとした定額課金によって一定の収益を計上するストック型と呼ばれる仕組みによって運営されるため、安定的な収益を獲得する上で有効な手法とされており、『カオナビ』も、サービス対価を月額ベースで収益計上しています。

なお、『カオナビ』の月額料金は登録人数に応じた料金体系となっており、人材情報の一元管理を図るデータベースプラン(月額39,800円~)、人事評価業務の効率化を図るパフォーマンスプラン(月額59,700円~)、さらに高度な戦略人事を図るストラテジープラン(月額79,600円~)の中からクライアントが選択する料金体系です。

また、ソフトウェアのライセンス販売などのような売り切り型ではなく、継続したサービス提供を前提としているため、利用期間において顧客の満足度を高めることが契約の更新に繋がり、継続的に収益が積み上がっていくストック型の構造となります。

有価証券報告書情報

経営指標(過去3期分)

第12期の連結指標の数値は以下の通りです。

  • 売上高:2.6億円 (前年比+55.3%)
  • 経常利益:△2.8億円 
  • 当期純利益:△3.6億円
第10期 第11期 第12期
決算年月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
売上高(千円) 952,417 1,690,162 2,624,792
経常利益(千円) △249,725 △92,270 △279,803
当期純利益(千円) △282,968 △96,077 △356,911
純資産額(千円) 293,927 1,347,469 995,356
総資産額(千円) 882,035 2,145,625 2,397,645
自己資本比率 33.3% 62.8% 41.5%
営業キャッシュフロー(千円) △75,626 174,681 △52,701
投資キャッシュフロー(千円) △141,965 △44,862 △429,641
財務キャッシュフロー(千円) 553,976 1,069,360 330,975
現金・現金同等物の期末残高(千円) 586,963 1,786,143 1,634,775
従業員数 81人 111人 154人

 

経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上高は、第9期と比較して約11倍に増加しており、終始右肩上がりに推移しています。
また、利益に関しては、過去5期は赤字の状態が続いており、第12期時点でも黒字化には至っていません

この原因の一つとして考えられるのは、カオナビが展開しているサービスがSaaS型であるという点です。
同様のSaaS型のサービスを展開する代表的な企業として、クラウド会計ソフトの「freee」、名刺管理ツールの「Sansan」が挙げられますが、SaaS型サービスは、セールス・マーケティングに多額のコストを費やす傾向があり、この2社も収益化まで比較的長い期間を要しています。

なお、カオナビは、2018年3月28日付で株式1株につき10株、2018年12月15日付で普通株式1株につき100株、2020年1月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を実施しました。

第8期 第9期 第10期 第11期 第12期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
売上高(千円) 238,963 454,822 952,417 1,690,162 2,624,792
経常利益(千円) △56,433 △213,568 △249,725 △92,270 △279,803
当期純利益(千円) △38,764 △207,318 △282,968 △96,077 △356,911
資本金(千円) 90,400 240,850 440,850 1,015,659 1,018,269
発行済株式総数 3,460 4,168 45,680 5,418,500 10,945,000
純資産額(千円) 83,313 176,895 293,927 1,347,469 995,356
総資産額(千円) 167,935 381,200 882,035 2,145,625 2,397,645
自己資本比率 49.6% 46.4% 33.3% 62.8% 41.5%
従業員数 19人 34人 81人 111人 154人

 

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
柳橋 仁機 2,396,000 42.36% 180日間
合同会社RSIファンド1号 1,230,000 21.74% 180日間
大和ベンチャー1号投資事業有限責任組合 612,000 10.82% 90日間
佐藤 寛之 256,000 4.53% 180日間
株式会社アスパイア 250,000 4.42% 90日間
NVCC7号投資事業有限責任組合 236,000 4.17% 90日間
田丸 拓也 160,000 2.83% 90日間
NVCC8号投資事業有限責任組合 150,000 2.65% 90日間
株式会社新生銀行 50,000 0.88%
島 浩文 30,000 0.53%

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は1,980円、吸収金額(調達額)は17.8とされています。 また初値は、3,970となりました。

仮条件 1,780円 ~ 1,980円
公募・売出価格 1,980円
想定価格 1,780円
初値 3,970円 (公募価格比+100.5%)
公募株数 500,000 株
売出株数 370,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 130,500 株
吸収金額(調達額) 17.8 億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

 

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この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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