目次
関通の概要
関通の基本情報
はじめに株式会社関通の基本情報を紹介します。 上場日は2020年3月19日、市場はマザーズ、想定時価総額は13.5億円、上場時の時価総額は29.7億円でした。
会社名 | 株式会社関通 |
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設立日 | 1986年4月28日 |
上場日 | 2020年3月19日(承認日:2020年2月13日) |
市場 | マザーズ |
証券コード | 9326 |
業種 | 倉庫・運輸関連業 |
決算期 | 2月 |
ホームページアドレス | https://www.kantsu.com/ |
発行済株株式総数 | 2,275,000 株(2020年2月13日現在) |
上場時発行済株式総数 | 2,875,000 株 ※公募分を含む。 ※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。 |
公募株数 | 600,000 株 |
想定価格 | 470円 |
想定時価総額 | 13.5億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算) |
初値 | 1,032円 |
上場時時価総額 | 29.7億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算) |
時価総額 | 91.0億円(2020年8月31日時点) |
資本金 | 110,750 千円(2020年2月13日現在) |
1単元の株式数 | 100株 |
監査人 | 太陽有限責任監査法人 |
主幹事証券会社 | みずほ証券 |
引受幹事証券会社 | SBI証券 SMBC日興証券 エース証券 マネックス証券 岡三証券 極東証券 岩井コスモ証券 むさし証券 |
関通の沿革
株式会社関通は、1983年に大阪市で輸送サービスを提供する会社としてスタートしました。 創業期から、物流に関する事業を展開し、2009年からは、株式会社関通の商号で事業を運営しています。 また、関通は2020年3月に東証マザーズへ上場しました。
1983年7月 | 運送業軽貨物の輸送サービスの提供を目的として、軽サービスを大阪市東成区で創業 |
1986年4月 | 軽サービスを、有限会社軽サービスに改組(資本金1百万円) |
1991年6月 | 大阪市東成区東今里に本社移転し、本社物流センター開設 |
1992年1月 | 物流加工サービスの拡大により、物流事業部を設置し、配送センター代行サービスに本格参入 |
1994年10月 | 大阪府東大阪市荒本北へ本社を移転 |
1996年3月 | 物流加工サービスを主なサービスとする目的として、株式会社へ組織変更し、関西商業流通株式会社に商号変更 |
2000年2月 | 物流加工サービスの品質向上を目指し、ISO9001を認証取得 |
2001年9月 | 本社及び本社物流センター移転(大阪府東大阪市、現本社所在地) |
2002年5月 | 第1物流センター(現 本社物流センター北館)を開設(大阪府東大阪市) |
2004年4月 | 倉庫業の運営を目的に、有限会社関通倉庫設立(大阪府東大阪市、現 第二物流センター) |
2007年1月 | 首都圏進出のため、関東通商流通株式会社設立(茨城県つくば市) |
2007年4月 | ISO14001認証取得 プライバシーマーク取得(登録番号:第20001372(07)号) |
2007年7月 | 一般貨物自動車運送事業を開始 |
2008年3月 | 事業効率化のため、有限会社関通倉庫を当社に吸収合併 第2物流センター・第3物流センターを開設(大阪府東大阪市) |
2009年7月 | 関西商業流通株式会社から、株式会社関通に商号変更 |
2010年2月 | 事業効率化のため、関東通商流通株式会社を吸収合併 |
2010年5月 | 第4物流センターを開設(大阪府東大阪市) |
2010年7月 | 物品販売事業参入のため、達磨通商株式会社設立(資本金3,000千円、大阪市東成区) |
2010年12月 | サービス拡充のため、受注管理業務代行サービスの提供を開始 |
2011年4月 | EC物流センターを開設(大阪府東大阪市) |
2012年2月 | 通販物流センターを開設(大阪府東大阪市) |
2012年10月 | 第4物流センターを移転のため閉鎖し、移転先として主管センターを開設(大阪府東大阪市) |
2013年12月 | 自社物流センター運営移管サービス開始 |
2014年3月 | 一般貨物自動車運送事業から撤退 |
2014年4月 | 本社にてISMS(ISO27001)認証取得(認証番号:ISA IS 0156) |
2014年12月 | 第二通販物流センターを開設(大阪府東大阪市) |
2015年8月 | 第三通販物流センターを開設(大阪府東大阪市) |
2016年5月 | TAT配送センターを開設(大阪府東大阪市) |
2016年7月 | EC物流センターを移転増床(大阪府東大阪市) |
2017年1月 | 事業効率化のため、達磨通商株式会社を吸収合併 |
2017年5月 | 第三通販物流センターを閉鎖し、移転先として門真通販物流センターを開設(大阪府門真市) |
2017年9月 | 第三通販物流センターを閉鎖し、移転先として門真通販物流センターを開設(大阪府門真市) |
2017年10月 | 関西主管センターを開設(兵庫県尼崎市) |
2018年9月 | 通販物流センターを増床移転(大阪府門真市) |
2018年10月 | 関東主管センターを開設(埼玉県和光市) |
2019年2月 | 楽天株式会社と資本・業務提携 |
2019年3月 | Rakuten Fulfillment Center Amagasakiを開設(兵庫県尼崎市) |
2020年3月 | 東証マザーズへ上場 |
関通の事業内容
関通は、「日本一の配送センター」を目指し、主にEC事業を運営する企業向けに、商品の入出庫業務、在庫管理業務、配送センター業務を代行する物流サービス事業を行う企業です。 また、自社で物流サービス業務を行う過程で開発したシステムを、他の物流企業へ提供するシステム開発企業としての業務も同様に運営しています。 さらに、ミャンマーで外国人実習生を教育したノウハウをもとに、現地で行った教育カリキュラムを提供するビジネスも展開しています。 このように「物流サービス」から生まれた技術やノウハウを「システム」や「ヒト」にまで幅広く展開している点が関通で運営されるビジネスの特徴です。 関通の事業セグメントは、EC企業の業務代行とシステム提供を行う物流サービス事業と、教育カリキュラムなどの「ヒト」へ向けたサービスである「その他事業」に2分されます。
- 物流サービス事業
- その他事業
① 物流サービス事業
物流サービス事業は、EC企業を対象とした倉庫業務・物流業務の代行サービスと、それらの業務から生まれたシステムを提供する事業セグメントです。 「物流サービス事業」の業務は、以下のように5つのサービスに区分されています。
- EC・通販物流支援サービス
EC・通販物流支援サービスは、EC企業を対象とした販売商品の入庫、在庫管理 、出庫などの配送センター業務を代行するサービスです。 関通は、2000年頃のインターネット通販の黎明期から培ってきたノウハウを応用し、自社開発した倉庫管理システム「クラウドトーマス」を使用した物流業務を行っています。 また、現場における個別作業では、自社開発されたチェックリストシステム「アニー」を活用することで、作業ごとに手順をチェックリスト形式で管理し、マニュアル化することで作業の効率化や作業ミスの予防につなげています。 このように自社開発された「クラウドトーマス」、「アニー」などは業務システムとして他社への提供も行われています。 - 受注管理業務代行サービス
受注管理業務代行サービスは、EC・通販物流支援サービスの中でも、オペレーションの初期段階であり、物流業務に入る前段階である受発注業務を代行するサービスです。 受発注業務とは、具体的には、顧客からの注文内容を確認、電子メール対応、入金確認、出荷指示データ作成などが該当します。 このように、受発注段階からの業務を代行することで、関通の顧客企業はEC運営における顧客対応をほぼ全てアウトソースできるため、商品の生産や研究開発、広告やPRなどに経営資源を集中させることができます。 - ソフトウエア販売・利用サービス
ソフトウエア販売・利用サービスは、関通で開発したソフトウェアシステムを他社へ販売する業務です。 倉庫管理システム「クラウドトーマス」、チェックリストシステム「アニー」はこのサービスを通して他社へ販売されています。 「クラウドトーマス」は、倉庫内にある商品の動きを全てバーコードとそれを読み取るスキャナによって一元的に把握し、管理できるシステムであり、販売商品の正確な在庫管理、誤出荷の防止、倉庫内業務の標準化や効率化を実現することが可能になります。 また、チェックリストシステム「アニー」は、チェックリストに作業の手順を登録することで、作業の抜け漏れを防止したり、業務を見える化する役割を担います。 - 物流コンサルティングサービス
物流コンサルティングサービスは、EC・通販物流支援サービスで培われたノウハウを活用し、物流現場改善における生産性の向上させるためのコンサルティングサービスを提供する業務です。 顧客企業の物流現場を実際に観察し、業務フローや什器の利用などに関するアドバイスを行ったり、システムの導入を提案することで、業務効率化や生産性向上のためのコンサルティングをサービスとして提供しています。 - 楽天スーパーロジスティクスサービス
楽天スーパーロジスティックスサービスは、楽天株式会社と資本・業務提携を締結し、2019年3月に「Rakuten Fulfillment Center Amagasaki」 (兵庫県尼崎市)を開設してスタートしたサービスです。 「楽天スーパーロジスティクス」とは、楽天が楽天市場の出店者に向け提供する物流サービスですが、この業務提携により、「Rakuten Fulfillment Center Amagasaki」 で提供される出店者の物流業務を代行するサービスは、関通が楽天から委託されることになりました。
以下は、関通が展開する「物流サービス事業」の事業系統図です。
② その他の事業
その他の事業は、主に物流業務に関わる「ヒト」へフォーカスした事業セグメントです。 この事業セグメントは、「外国人技能実習生教育サービス」と「その他教育サービス」の2軸で展開されています。
- 外国人技能実習生教育サービス
外国人技能実習生教育サービスは、関通がミャンマーから外国人技能実習生を受入れた際に、現地で行った教育カリキュラムを、他社へサービスとして提供する事業です。 このサービスは、外国人労働者を実習生として受け入れることを検討している企業を対象としており、就業上必要となる技能訓練や文化などに関する教育を行い、日本で就業する際に即戦力として採用できることを目的としています。 - その他教育サービス
その他の教育サービスでは、放課後デイサービスなどの教室運営が行われています。 このサービスでは、障がいを持つ子ども向けの教室運営が行われており、子どもの成長と自立をサポートする事業として運営がなされています。
有価証券報告書情報
経営指標(過去2期分)
第7期の業績は以下の通りです。
- 売上高:73.2億円(前年比+12.9%)
- 経常利益:2.6億円(前年比+145.8%)
- 当期純利益:1.7億円(前年比+117.0%)
期 | 第32期 | 第33期 | 第34期 |
決算年月 | 2018年2月 | 2019年2月 | 2020年2月 |
売上高(千円) | 5,254,794 | 6,468,296 | 7,301,709 |
経常利益(千円) | 139,563 | 103,944 | 255,515 |
当期純利益(千円) | 55,980 | 78,583 | 170,505 |
純資産額(千円) | 202,334 | 466,788 | 626,096 |
総資産額(千円) | 3,744,532 | 53,010,372 | 6,420,788 |
自己資本比率 | 5.40% | 8.79% | 9.75% |
営業キャッシュフロー(千円) | 278,024 | 150,031 | 398,196 |
投資キャッシュフロー(千円) | △99,290 | △1,338,633 | △401,650 |
財務キャッシュフロー(千円) | △194,398 | 1,198,364 | 653,333 |
現金・現金同等物の期末残高(千円) | 1,527,679 | 1,538,305 | 2,188,148 |
従業員数 | 199人 | 299人 | 224人 |
経営指標(過去5期分)
5期の業績を見ると、売上は2倍近く増加しています。 利益に関しても、経常利益、純利益ともに売上より鋭い上昇率で急速に成長しています。 また、関通は2019年10月30日付で普通株式1株につき50株の株式分割を行いました。 その影響で、第34期における発行済株式総数は大幅に増加しています。
期 | 第30期 | 第31期 | 第32期 | 第33期 | 第34期 |
決算年月 | 2015年2月 | 2016年2月 | 2018年2月 | 2019年2月 | 2020年2月 |
売上高(千円) | 3,739,486 | 4,263,414 | 5,254,794 | 6,468,296 | 7,301,709 |
経常利益(千円) | 223 | 30,776 | 139,563 | 103,944 | 255,515 |
当期純利益(千円) | 2,009 | △25,344 | 55,980 | 78,583 | 170,505 |
資本金(千円) | 20,000 | 20,000 | 20,000 | 110,750 | 110,750 |
発行済株式総数 | 40,000 | 40,000 | 40,000 | 45,500 | 2,275,000 |
純資産額(千円) | 185,012 | 130,829 | 202,334 | 466,788 | 626,096 |
総資産額(千円) | 2,696,574 | 3,713,493 | 3,744,532 | 53,010,372 | 6,420,788 |
自己資本比率 | 6.86& | 3.52% | 5.40% | 8.79% | 9.75% |
従業員数 | 149人 | 167人 | 199人 | 299人 | 224人 |
セグメント別業績
第34期のセグメント別経営成績は表の通りです。 ほぼ全ての売上が物流サービス事業によって構成されています。 その他事業に関しては、売上は伸長している一方、営業利益は損失を計上しています。 また、全体としては、前年比で大幅な増収増益を達成しています。
指標 | 全体 | 物流サービス事業 | その他事業 |
売上高(百万円) | 7,301 | 7,215 | 86 |
売上高前年同期比 | +12.9% | +12.6% | +36.8% |
営業利益(百万円) | 291 | 325 | △34 |
営業利益前年同期比 | +129.9% | +112.4% | – |
経常利益(百万円) | 255 | – | – |
当期純利益(百万円) | 170 | – | – |
また、事業説明の部分で記載したように2019年、関通と楽天は業務提携を行い、「Rakuten Fulfillment Center Amagasaki」 を開設して楽天の物流支援業務を関通が委託することになりました。 以下は、2019年2月に発表された、楽天との業務委託契約に関する参考記事のURLです。
2019年2月に発表された楽天との業務提携に関する記事
株主構成
上位10位までの株主は、以下の通りです。
株主 | 所有株式数 | 比率 | ロックアップ |
ロジ・エステート株式会社 | 1,250,000 | 50.72% | 180日間 |
達城 久裕 | 500,000 | 20.29% | 180日間 |
楽天株式会社 | 225,000 | 9.13% | 継続保有 |
達城 利卓 | 57,500 | 2.33% | 180日間 |
達城 利元 | 55,000 | 2.23% | 180日間 |
達城 裕佳 | 55,000 | 2.23% | 180日間 |
達城 太貴 | 52,500 | 2.13% | 180日間 |
朝倉 寛士 | 50,000 | 2.03% | 180日間 |
松岡 正剛 | 50,000 | 2.03% | 180日間 |
株式会社紀陽銀行 | 35,000 | 1.42% | 継続保有 |
新規上場(IPO)の募集・売出し情報
公募・売出し・調達額情報
想定価格は470円、吸収金額(調達額)は4.6億円と予想されています。
仮条件 | 470円 ~ 490円 |
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公募・売出価格 | 490円 |
想定価格 | 470円 |
初値 | 1,032円 (公募価格比+110.6%) |
公募株数 | 600,000 株 |
売出株数 | 250,000 株 |
オーバーアロットメントによる売出し株数 | 127,500 株 |
吸収金額(調達額) | 4.6億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算) |