目次
JMDCの概要
JMDCの基本情報
はじめに株式会社JMDCの基本情報を紹介します。
上場日は2019年12月16日、市場はマザーズ、想定時価総額は722.1億円、上場時の時価総額は1018.0億円でした。
会社名 | 株式会社JMDC(ジェーエムディーシー) |
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設立日 | 2013年5月7日(実質上:2002年1月31日) |
上場日 | 2019年12月16日(承認日:2019年11月13日) |
市場 | マザーズ |
証券コード | 4483 |
業種 | 情報・通信業 |
決算期 | 3月 |
ホームページアドレス | https://www.jmdc.co.jp/ |
発行済株式総数 | 23,975,042 株(2019 年 11 月 13 日現在) |
上場時発行済株式総数 | 25,975,042 株 ※公募分を含む。 |
公募株数 | 2,000,000 株 |
想定価格 | 2,780円 |
想定時価総額 | 722.1億円(※上場時発行済株式総数×想定価格で計算) |
初値 | 3,910円 |
上場時時価総額 | 1018.0億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算) |
時価総額 | 2179.3億(2020年9月15日現在) |
資本金 | 668,972 千円(2020 年 1 月 30 日現在) |
1単元の株式数 | 100 株 |
監査人 | PwCあらた有限責任監査法人 |
主幹事証券会社 | 野村證券 |
引受幹事証券会社 | みずほ証券 SMBC日興証券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 SBI証券 マネックス証券 |
JMDCの沿革
JMDCは、2002年に設立された株式会社日本医療データセンターを前身とする企業です。
その後、JMDCは2013年9月に日本医療データセンターの業務を引き継ぐ形で事業を景勝しました。
以下の表では、前半では、2002年に設立された日本医療データセンターが吸収されるまでの沿革を記載し、後半では、事業を引き継いだJMDCの沿革について記載しています。
日本医療データセンターの吸収までの沿革 | |
2002年1月 | 株式会社日本医療データセンター〔資本金2億41百万円〕を東京都中野区に設立 |
2002年4月 | 東京都千代田区に本社事業所を移転 |
2006年4月 | 製薬会社向けインターネットアンケート調査事業を、株式会社インテージ(現 株式会社インテージホールディングス)に営業譲渡 |
2007年7月 | 資本金を3億90百万円に増資 |
2008年2月 | オリンパス株式会社が、同社の発行済株式71.8%を取得し、子会社化オリンパス株式会社が、同社の全株式を取得 |
2010年6月 | オリンパス株式会社が同社の全株式を取得 資本金を5億47百万円に増資、その後資本金を1億円に減資 |
2010年7月 | オリンパスビジネスクリエイツ株式会社がオリンパス株式会社から同社の全株式を取得 |
2013年5月 | 東京都港区に本社事業所を移転 株式会社ビジネスマネジメントが、オリンパスビジネスクリエイツ株式会社から同社の株式を取得し、子会社化 |
2013年6月 | 株式会社ビジネスマネジメントが、合同会社Launchpad six(現 株式会社JMDC)(資本金1 百万円)を東京都港区に設立 合同会社Launchpad six(現 株式会社JMDC)が資本金を1億円に増資、その後、株式会社Launchpad sixに組織変更 株式会社Launchpad six(現 株式会社JMDC)が、株式会社ビジネスマネジメントから同社の株式を取得 |
2013年9月 | 株式会社Launchpad six(現 株式会社JMDC)が、同社を吸収合併 |
JMDCの沿革 | |
2013年9月 | 商号を株式会社Launchpad sixから株式会社日本医療データセンター(現 株式会社JMDC)に変更 |
2015年6月 | NKリレーションズ株式会社からヘルスデータ・プラットフォーム株式会社の全株式を取得し、子会社化 |
2016年6月 | NKリレーションズ株式会社が、NKリレーションズ合同会社に組織変更 |
2018年4月 | 株式交換により株式会社ドクターネットを子会社化 NKリレーションズ合同会社が、株式会社ビジネスマネジメントを吸収合併 |
2018年5月 | 資本金を2億62百万円に増資 NKリレーションズ合同会社から株式会社Launchpad13の全株式を取得し、ユニケグループを子会社化 |
2018年7月 | 資本金を6億46百万円に増資 商号を株式会社日本医療データセンターから株式会社JMDCに変更 |
2018年9月 | ノーリツ鋼機株式会社が、NKリレーションズ合同会社を吸収合併 |
2018年11月 | ヘルスデータ・プラットフォーム株式会社を吸収合併 |
2018年12月 | 株式会社クリンタルの全株式を取得し、子会社化 |
2019年3月 | 株式会社ドクターネットが、有限会社エムアイ・コミュニケーションズの全株式を取得し、子会社化 |
2019年4月 | 株式会社クリンタルを吸収合併 株式会社ドクターネットが、中国での事業展開を目的として医解网(上海)科技有限公司を設立 |
2019年12月 | 東京証券取引所マザーズ市場に上場 |
2020年2月 | ミーカンパニー株式会社の全株式を取得し、子会社化 |
2020年4月 | エヌエスパートナーズ株式会社の全株式を取得し、子会社化 |
JMDCの事業内容
JMDCは「健康で豊かな人生をすべての人に」を企業理念として、医療にICTを取り込むことによって、医療における地域格差や労働力不足の解決と、持続可能なヘルスケアシステムの実現を目指す企業です。
ICTとは、Information and Communication Technologyの略であり、情報・通信に関する技術の総称を意味します。
JMDCは、「ヘルスビッグデータ」、「遠隔医療」、「調剤薬局支援」の3つの事業セグメントで事業を運営しており、主要なセグメントと事業系統は以下の図の通りです。
- ヘルスビッグデータ事業
- 遠隔医療事業
- 調剤薬局支援事業
① ヘルスビッグデータ
JMDCの運営するヘルスビッグデータ事業は、健診データの分析に基づいたオンラインサービスを提供する事業セグメントです。
医療機関での診療記録や検査結果、健康診断結果、処方薬の情報など健康関わる様々な情報を集約できるPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)サービスやスマートフォンでできる医療相談サービス、「気象データ」と「医療データ」を活用した医療情報を提供するサービスなどが主に提供されています。
- 保険者・生活者向け事業
「保険者・生活者向け事業」は、保険者に対する保健事業の支援と、健康保険組合の加入者(組合員)に対するPHRサービスの提供を行うサービスです。
PHRサービスとは、Personal Health Recordの略であり、生涯型電子カルテとも言われ、複数の医療機関や薬局などに散らばる健康関連の情報を一元的に集約・管理するシステムを意味します。このようなPHRのシステムを利用し、ペーパーベースで管理が行われていたカルテの電子化や、医療データの分析に基づいてユーザーに合わせた個別アドバイスや疾病リスク表示をおこなうサービスが提供されています。
- 医療機関向け事業
「医療機関向け事業」は、データベースを利用して、医療機関や薬局の業務効率化や作業最適化を実現することを目的とした事業です。
主に、医療データを応用した、医療機関の経営やオペレーションの見える化の支援、オペレーション改善、マーケティング・集患、採用支援など経営改善のためのコンサルティングがこの事業では行われています。 - データ利活用事業
データ利活用事業は、医療機関の持つ、多くのデータを所有するJMDCの強みを生かし、医療データを匿名加工化したデータを製薬会社などの第三者機関へ提供するサービスです。
このようなデータから得られた情報を生かし、製薬企業や保険会社は新薬や保険商品の開発に役立てることができます。
② 遠隔医療
遠隔医療事業は、放射線診断専門医の不足を解決し、医療機関の支援や利便性の向上を目的とした事業セグメントです。
遠隔読影マッチングサービス事業(Tele-RAD)と、遠隔読影インフラ事業(Virtual-RAD)の2つのサービスでセグメント運営が行われており、放射線専門診断医が遠隔でCT/MRIなど医用画像の診断などを遠隔で行うことを可能としたサービスとなっています。
このように、放射線専門診断医が遠隔での診断を行う体制を整えることで、人数が不足しているとされる放射線診断専門医が一件でも多くの診断を行うことや、医療機関の放射線診断の効率的な運用をサポートしています。
③ 調剤薬局支援
JMDCの3つ目の事業セグメントは、調剤薬局支援事業です。
この事業セグメントでは、調剤薬局で利用される業務システムや薬歴などを電子化し、調剤薬局の作業効率化や業務最適化を推進しています。
さらに、JMDCも自らも6店舗の調剤薬局を運営しており、オペレーションテストなどを自社所有の調剤薬局で実施することでシステムのアップデートや最適化に役立てています。
有価証券報告書情報
連結の経営指標(過去3期分)
第7期の業績は以下の通りです。
- 売上高:121.2億円(前年比+20.8%)
- 経常利益:21.8億円(前年比+49.5%)
- 当期純利益:15.3億円(前年比+51.3%)
期 | 第5期 | 第6期 | 第7期 |
決算年月 | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 |
売上高(百万円) | 3,022 | 10,064 | 12,158 |
税引前利益(百万円) | 596 | 1,410 | 2,178 |
当期純利益(百万円) | 390 | 1,010 | 1,528 |
親会社の所有者に帰属する持分(百万円) | 1,752 | 6,117 | 13,123 |
総資産額(百万円) | 5,254 | 18,965 | 26,944 |
親会社所有者帰属持分比率 | 33.3% | 32.3% | 48.7% |
営業キャッシュフロー(百万円) | 978 | 1,756 | 3,146 |
投資キャッシュフロー(百万円) | △348 | △330 | △3,947 |
財務キャッシュフロー(百万円) | △218 | 1,232 | 4,858 |
現金・現金同等物の期末残高(百万円) | 977 | 3,634 | 7,692 |
従業員数 | 145人 | 441人 | 503人 |
※上記指標は国際会計基準(IFRS)により作成されています。
単体の経営指標(過去3期分)
過去5期の業績を見ると、4年間で売上は約2.4倍増加をしています。
また、利益に関しては、売上に連動する形で右肩上がりの成長を見せています。
JMDCは、2018年6月18日付で普通株式1株につき1,000株の割合で株式分割を、2019年10月9日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割実施しており、それに連動して発行済株式総数が変化しています。
期 | 第3期 | 第4期 | 第5期 | 第6期 | 第7期 |
決算年月 | 2016年3月 | 2017年3月 | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 |
売上高(百万円) | 2,005 | 2,215 | 2,813 | 3,599 | 4,755 |
経常利益(百万円) | 450 | 561 | 775 | 753 | 830 |
当期純利益(百万円) | 247 | 160 | 577 | 387 | 534 |
資本金(百万円) | 100 | 100 | 100 | 646 | 3,412 |
発行済株式総数 | 4,360 | 4,360 | 4,360 | 11,552,521 | 25,975,042 |
純資産額(百万円) | 1,068 | 1,229 | 1,806 | 5,308 | 11,384 |
総資産額(百万円) | 3,377 | 3,519 | 4,195 | 9,296 | 18,435 |
自己資本比率 | 31.4% | 34.7% | 42.9% | 57.0% | 61.6% |
従業員数 | 91人 | 103人 | 126人 | 174人 | 224人 |
※上記指標は、日本基準によって作成されています。
セグメント別業績
第7期のセグメント別経営成績は表の通りです。
売上構成比は以下の通りで、ヘルスビックデータ事業と遠隔医療事業が収益のメインとなっています。
- ヘルスビッグデータ事業:47.3%
- 遠隔医療事業:32.0%
- 調剤薬局支援事業:20.7%
指標 | 全体 | ヘルス ビッグデータ事業 |
遠隔医療事業 | 調剤薬局支援事業 |
売上高(千円) | 12,158 | 5,754 | 3,885 | 2,709 |
売上高前年同期比 | +20.8% | +31.9% | +10.5% | +18.0% |
営業利益(千円) | 1,470 | – | – | – |
営業利益前年同期比 | +50.7% | – | – | – |
EBITDA(千円) | 3,245 | – | – | – |
上場時の株主構成
上位10位までの株主は、以下の通りです。
株主 | 所有株式数 | 比率 | ロックアップ |
ノーリツ鋼機株式会社 | 20,595,776 | 77.26% | 90日間 |
松島 陽介 | 1,432,690 | 5.37% | 90日間 |
山元 雄太 | 1,166,288 | 4.38% | 90日間 |
杉田 玲夢 | 515,942 | 1.94% | 90日間 |
株式会社PKSHA Technology | 466,000 | 1.75% | 継続保有 |
木村 真也 | 344,200 | 1.29% | 90日間 |
上沢 仁 | 218,000 | 0.82% | 90日間 |
長谷川 雅子 | 178,200 | 0.67% | 90日間 |
岡山 太郎 | 178,200 | 0.42% | 90日間 |
松本 孝 | 111,000 | 0.34% | – |
上場時(IPO)の募集・売出し情報
公募・売出し・調達額情報
公募価格は2,950円、吸収金額(調達額)は173.0億円とされています。
また初値は、3,910円となりました。
仮条件 | 2,780円 ~ 2,950円 |
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公募・売出価格 | 2,950円 |
想定価格 | 2,780円 |
初値 | 3,910円(公募価格比+32.5%) |
公募株数 | 2,000,000 株 |
売出株数 | 3,100,000 株 |
オーバーアロットメントによる売出し株数 | 765,000 株 |
吸収金額(調達額) | 173.0億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算) |