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【新規上場企業分析】 ジモティーのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

ジモティーの概要

ジモティーの基本情報

はじめに株式会社ジモティーの基本情報を紹介します。上場日は2020年2月7日、市場はマザーズ、想定時価総額は54.2億円、上場時の時価総額は129.8億円でした。

会社名 株式会社ジモティー
設立日 2011年2月16日
上場日 2020年2月7日(承認日:2019年12月26日)
市場 マザーズ
証券コード 7082
業種 サービス業
決算期 6月
ホームページアドレス https://jmty.co.jp/
発行済株式総数 5,641,365 株(2019 年 12 月 26 日現在)
上場時発行済株式総数 5,641,365 株 
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 50,000 株
想定価格 960円
想定時価総額 54.2億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 2,300円
上場時時価総額 129.8億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 170.7億(2020年9月4日現在)
資本金 222,569 千円(2019 年 12 月 26 日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 有限責任 あずさ監査法人
主幹事証券会社 大和証券
引受幹事証券会社

みずほ証券
SBI証券
藍澤證券
岩井コスモ証券
松井証券
いちよし証券

ジモティーの沿革

株式会社ジモティは、2011年に東京都において設立された、ウェブ上の掲示板のような仕組みでモノやサービスなどを取引するwebプラットフォーム「ジモティ」を運営する企業です。
複数回の資金調達などを経て、ジモティは2020年2月に東証マザーズへ上場しました。

2011年2月 東京都渋谷区において株式会社ジモティー設立。
2011年4月 本社を東京都渋谷区内で移転。
2011年11月 「ジモティー」PCブラウザ向けのサービス提供開始。
2012年9月 「ジモティー」のAndroid用アプリの提供開始。
2012年12月 「ジモティー」のiOS用アプリの提供開始。
2013年5月 本社を東京都渋谷区内で移転。
2014年4月 株式会社オプト(現 株式会社オプトホールディング)を引受先として第三者割当増資を実施 し、資本金を276,550千円に増資。
2014年7月 本社を東京都渋谷区 同区内での移転。
2015年2月 株式会社オプト(現 株式会社オプトホールディング)他を引受先として第三者割当増資を実 施し、資本金を582,550千円に増資。
2015年10月 資本金を82,550千円に減資。
2016年6月 本社を東京都品川区に移転。
2016年12月 資本金を32,569千円に減資。
2019年4月 株式会社NTTドコモを引受先として第三者割当増資を実施し、資本金を222,569千円に増資。
2020年2月 東証マザーズへ上場。

ジモティーの事業内容

ジモティは、「地域の今を可視化して、人と人の未来をつなぐという経営理念を掲げ、地元情報のプラットフォーム「ジモティー」を運営する企業です。
「ジモティー」は、地域に存在する情報を隅々までいきわたらせ、地域の人やお店同士が助け合って生活できる仕組みを構築するためのwebプラットフォームとなります。

以下は、ジモティーが運営するwebプラットフォームの事業系統を表した図です。

ジモティの事業系統図

① サービス概要

「ジモティー」のwebプラットフォームは、クラシファイドサイトと呼ばれる形態で運営されています。
クラシファイドサイトとは、地域や目的によって分類された募集広告を、一覧形式で掲載する広告媒体の一つであり、掲示板のような機能を持つシステムです。
また、クラシファイドサイトは、一般的に掲載料が無料で、個人・法人を問わずユーザーとして誰でも手軽に広告掲載ができる点が特徴となります。
不用品の引き受け・仕事募集・イベント情報など、様々なモノやサービス、情報がサイト上で取引されています。

ジモティーのサービス利用に関する1例を紹介します。
例えば、自宅で不要な家具が発生した場合、「処分に困った」「まだ使えるからもったいない」などのニーズがユーザーに発生します。
こうした場合、ジモティーのサイト上に家具の写真と地域名を「投稿」すると、その写真が広告としてウェブ上にアップされ、引き取り手の募集が可能となります。
このように、誰かの不要なモノが誰かの役に立つためのプラットフォームとして、ジモティーは機能しています。

さらに、ジモティーには「投稿」の機能だけでなく、「投稿」を行ったユーザーに対する問合せ機能やチャット機能なども搭載されているため、ユーザーは、ユーザー同士のコミュニケーションをスムーズに行うことができます。

ジモティ 画像 具体例

② 収益モデル

ジモティーの収益は、「広告」と「マーケティング支援」の2軸をベースに運用されています。
それぞれの収益モデルについての説明は以下の通りです。

「広告」による収益

ジモティーの収益源の一つ目は、「広告」による収益です。
ジモティーは、自社が運営するwebプラットフォーム上の広告枠を、広告主に対して提供することで、その対価として報酬を獲得しています。
広告主は、ジモティー上で自社の広告がクリックされた回数や、表示された回数に応じた額をジモティーに対して支払う形になります。

「マーケティング支援」による収益

ジモティーの2つ目の収益源は「マーケティング支援」による収益です。
この収益は、「機能課金」と「成果報酬」という2軸で運用されています。

「機能課金」とは、ジモティーのサイト上で行われる「投稿」に有償でオプションを付与するサービスです。
このオプションには、主にユーザーが投稿した商品を目立たせることを目的とした機能(ハイライト機能や優先的に表示される機能など)が搭載されており、法人をはじめとした、多くの物品を素早く処分したいなどのニーズを持つユーザー向けに提供されています。

一方、「成果報酬」は、投稿されている商品と類似したカテゴリーの提携先サイトへユーザーが移動することで発生する収益です。
例えば、ジモティーの中古車カテゴリーには、中古車関連の提携サイトの広告が掲載されています。中古車カテゴリーに来たユーザーは、提携サイトの広告に興味を持ち、訪問する可能性が高く、「成果報酬」はこのようなサイト特性を利用した収益モデルとなっています。
ジモティーは、提携サイトを運営する企業との間でそれぞれ成果地点(資料請求をした地点、見積もりを依頼した地点など)を定め、ユーザーのアクション(資料請求や見積もり依頼など)に応じた収益を獲得するためこの収益モデルは「成果報酬」とされています。
また、資料請求<見積もり依頼のように成果地点に応じて難易度が上がるため、成果単価は、通常、難易度が高い成果地点を選択するとその分高くなります。

「機能課金」はユーザーの投稿を目立たせたいというニーズに対する支援を行い、「成果報酬」は提携サイトの広告活動を支援する業務であるため、この2つの収益は「マーケティング支援」と位置付けられています。

有価証券報告書情報

経営指標(過去3期分)

第9期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:12.6億円(前年比+28.4%)
  • 経常利益:7.5億円(前年比+959.9%)
  • 当期純利益:9.6億円(前年比+408.3%)
第7期 第8期 第9期
決算年月 2017年12月 2018年12月 2019年12月 
売上高(千円) 660,296 983,643 1,263,427
経常利益(千円) △380,730 7,061 74,846
当期純利益(千円) △412,287 18,945 96,304
純資産額(千円) 255,312 274,258 748,347
総資産額(千円) 353,729 406,246 952,853
自己資本比率 71.5% 66.9% 78.3%
営業キャッシュフロー(千円) △413,795 11,829 100,779
投資キャッシュフロー(千円) △9,851 △1,947 △13,373
財務キャッシュフロー(千円) △195,449 374,677
現金・現金同等物の期末残高(千円) 174,056 181,768 643,850
従業員数 34人 41人 48人

 

経営指標(過去5期分)

5期の業績を見ると、売上高は4年間で10以上成長していることがわかります。
また、利益に関しては、第7期までは連続して赤字を続けていましたが、第8期以降は黒字に転換し、その後大きく数値を伸ばしました
また、第9期は売上、利益共に5年間で最高の水準となっています。

第5期 第6期 第7期 第8期 第9期
決算年月 2016年2月 2017年2月 2017年12月 2018年12月 2019年12月 
売上高(千円) 122,182 340,238 660,296 983,643 1,263,427
経常利益(千円) △327,189 △686,849 △380,730 7,061 74,846
当期純利益(千円) △327,494 △689,164 △412,287 18,945 96,304
資本金(千円) 82,550 32,569 32,569 32,569 222,569
発行済株式総数 3,879 5,220 5,220 5,220 5,641
純資産額(千円) 451,043 863,049 255,312 274,258 748,347
総資産額(千円) 594,893 966,824 353,729 406,246 952,853
自己資本比率 75.8% 89.3% 71.5% 66.9% 78.3%
従業員数 13人 27人 34人 41人 48人

 

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
株式会社オプトホールディング 1,746,316 30.68% 90日間
株式会社NTTドコモ 923,158 16.22% 90日間
株式会社プロトコーポレーション 609,756 10.71% 90日間
IVP Fund Ⅱ A,L.P. 530,295 9.32% 90日間
加藤 貴博 496,000 8.71% 180日間
EEIクリーンテック投資事業有限責任組合 312,633 5.49% 90日間
IVP Fund Ⅱ B,L.P. 279,262 4.91% 90日間
株式会社LIFULL 243,902 4.29% 90日間
EEIスマートエナジー投資事業有限責任組合 228,659 4.02% 90日間
ジャパンベストレスキューシステム株式会社 122,000 2.14% 90日間

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は1,000円、吸収金額(調達額)は14.6億円とされています。
また初値は、2,300となりました。

仮条件 960円 ~ 1,000円
公募・売出価格 1,000円
想定価格 960円
初値 2,300円(公募価格比+130.0%)
公募株数 50,000 株
売出株数 1,220,700 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 190,600 株
吸収金額(調達額) 14.6億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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