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【新規上場企業分析】フィードフォースのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

目次

フィードフォースの概要

フィードフォースの基本情報

はじめに株式会社フィードフォースの基本情報を紹介します。 上場日は2019年7月5日、市場はマザーズ、想定時価総額は57.6、上場時の時価総額は154.4でした。

会社名 株式会社フィードフォース
設立日 2006年3月23日
上場日 2019年7月5日(承認日:2019年5月31日)
市場 マザーズ
証券コード 7068
業種 サービス業
決算期 5月
ホームページアドレス https://www.feedforce.jp/
発行済株式総数 4,943,400 株(2019 年 5 月 31 日現在)
上場時発行済株式総数 5,593,400 株
※公募分を含む
公募株数 650,000 株
想定価格 1,030円
想定時価総額 57.6億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 2,760円
上場時時価総額 154.4億円 (※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 335.3億円 (2020年10月20日現在)
資本金 100,000 千円(2019 年 5 月 31 日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 有限責任監査法人トーマツ
主幹事証券会社 大和証券
引受幹事証券会社 SBI証券
野村證券
エース証券
丸三証券
マネックス証券
東海東京証券
エイチ・エス証券
みずほ証券

フィードフォースの沿革

株式会社フィードフォースは、2006年に東京都において設立しました。
創業初期から広告関連の業務を展開し、2019年7月に東証マザーズに上場しました。

2006年3月 会社設立(東京都千代田区麹町)
RSS統合管理ツール 「RSS Suite」リリース
2008年7月 SEO集客ソリューション 「Contents Feeder」リリース
2012年4月 「ソーシャルPLUS」リリース
2012年10月 「DF PLUS」リリース
2014年11月 「Feedmatic」をリリース
2016年8月 「ソーシャルPLUS」LINE連携スタート
2016年12月 「dfplus.io」リリース
2018年3月 「EC Booster」リリース
2019年7月 東証マザーズ上場
2019年11月 株式会社unknown関連会社化
2020年1月 アナグラム株式会社グループジョイン

 

フィードフォースの事業内容

フィードフォースは「「働く」を豊かにする。」をミッションとして掲げ、企業の広告運用をサポートすることを目的としたのビジネスを中核に事業を展開する企業です。

事業セグメントとしては、企業向けにインターネット上での広告運用の提案や改善を行う「プロフェッショナルサービス事業」企業が自社で効果的な広告運用を行うためのツールを提供する「SaaS事業」の2つのセグメントで運営が行われています。

プロフェッショナルサービス事業では、広告主のデータを的確に広告へ反映させることや、広告主がより効果的な広告運用をできるようにすることを目的としたサービスが提供する事業です。

一方、SaaS事業は顧客企業にシステムを提供することで、顧客企業が自社で広告の運用改善や運用管理ができるようにすることを目的としたサービスとなります。

以下は、フィードフォースの事業系統とビジネスモデルを表した図です。

フィードフォースのビジネスモデル

 

① プロフェッショナルサービス事業     

プロフェッショナルサービス事業は、顧客企業の効率的かつ的確な広告運用をサポートするデータマーケティングを運営する事業です。
プロフェッショナルサービス事業の特徴は、広告主が保有する最新の商品データなどをニュースメディアや比較サイト、検索エンジンなどへ送信する「データフィード」という仕組みを採用している点です。
この仕組みを採用することで、広告主はメディアや検索エンジンへ、自社の在庫状況などがよりリアルタイムに近い形で反映された広告運用が可能となります。

プロフェッショナルサービス事業は、3つのサービス区分によって運営されており、各サービスの詳細は以下の通りです。

  • ANAGRAMS
    ANAGRAMSは、2020年1月にフィードフォースがグループ会社化したアナグラムが手掛けるネット広告の運用代行サービスです。
    検索エンジン上での検索ワードと連動する「リスティング広告」とSNSを媒体とする「SNS広告」の運用を専門に行っています。
  • feedmatic
    feedmaticは、企業のダイナミック広告によるマーケティングをサポートする事業です。
    ダイナミック広告とは、機械学習によってユーザーのインターネット上の閲覧状況に応じて広告が自動生成されるタイプの広告です。
    このことから、ダイナミック広告はユーザーの興味・関心を反映した広告を効果的に配信することが可能であるため、EC、不動産、旅行業界などと相性がよいとされています。

 

  • DE PLUS
    DE PLUSは、データフィード広告の管理を企業に代わって代行するサービスです。
    プロフェッショナルサービス事業で運用されるデータフィード広告は、企業の商品データを定期的に受信し、そのデータに基づいた広告を配信することができます。
    一方で、このようなデータが反映された広告を効果的にユーザーへ届けるためには、広告を適切なメディアや検索エンジンに配信する必要があります。
    DE PLUSは、このようなデータフィード広告を、検索エンジンやSNSなど適切な媒体へ振り分ける機能を担うサービスとして設計されています。

② SaaS事業

SaaS事業は、企業が広告運用を自社で行うために必要なシステムをSaaS型で提供する事業セグメントです。

SaaSとは、Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)の略称であり、利用者がソフトウェアを直接インストールして利用するのではなく、 インターネット上のクラウド経由で利用するサービスを示します。
また、SaaS型のシステムは、月や年などの期間をベースとした定額課金によって一定の収益を計上するストック型と呼ばれる仕組みによって運営されるため、安定的な収益を獲得する上で有効な手法とされています。

フィードフォースでは、以下3つのサービスがSaaS事業として運営されています。

  • EC Booster
    EC Boosterは、EC企業向けに商品の広告効果を高めることを目的としたサービスです。このシステムを利用することでEC企業は自社のECシステムをGoogleへ繋ぎ込み、自動的にGoogle上でショッピング広告を運用できます。
    このサービスは、Googleの莫大なユーザー規模を背景に、企業がEC運営を少人数でも効率的に運用できることを目的に開発されました。
    EC Boosterを導入することで、EC企業は、自社の商品への関心度合いが高いGoogleユーザーを効果的にECサイトまで誘導することが可能となります。

  • df plus.io
    df plus.ioは、企業が自社でデータフィード広告のパフォーマンスを高めることを目的に開発された統合管理ツールです。
    このツールを利用することで、エンジニアや外注企業が行うような高度なデータフィード広告の運用管理を、担当者が専門的な知識なしで運用することが可能となります。

  • social plus
    social plusは、検索エンジンやSNSなどの「アカウント」を活用したソーシャルログイン機能を利用して効果的な広告配信を可能とすることを目的としたサービスです。
    このシステムを運用することで、企業は、自社のアカウントをフォローしたユーザーに対して定期的に広告やクーポンなどが配信することが可能となります。
    また、送付された広告やクーポンは、ユーザーの購買行動を促進する効果を持つため、social plusの利用者である企業は、広告費用を削減したり売上アップを図ることができます。

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去2期分)

2020年5月期の連結指標の数値は以下の通りです。
なお、フィードフォースは第15期より連結財務諸表を作成しています。

  • 売上高:15.3億円
  • 経常利益:3.7億円
  • 当期純利益:1.6億円
第14期 第15期
決算年月 2019年5月 2020年5月
売上高(千円) 1,526,284
経常利益(千円) 371,370
当期純利益(千円) 163,301
純資産額(千円) 1,829,927
総資産額(千円) 5,219,076
自己資本比率 18.3%
営業キャッシュフロー(千円) 424,105
投資キャッシュフロー(千円) △232,443
財務キャッシュフロー(千円) 1,811,827
現金・現金同等物の期末残高(千円) 2,183,794
従業員数 122人

 

単体の経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上高は、第11期と比較して約2.8倍に増加しており、右肩上がりに推移しています。
また、利益に関しては、第13期までは赤字で計上されていましたが、それ以降は黒字となり、第15期は過去最高益となりました。
なお、フィードフォースは、2016年4月30日付で普通株式1株につき10株の株式分割を実施しました。

第11期 第12期 第13期 第14期 第15期
決算年月 2016年5月 2017年5月 2018年5月 2019年5月 2020年5月 
売上高(千円) 332,543 486,291 562,148 700,133 933,412
経常利益(千円) △72,205 △31,168 △28,244 34,889 117,852
当期純利益(千円) △42,692 △32,027 △28,868 43,367 98,567
資本金(千円) 33,000 100,000 100,000 100,000 448,358
発行済株式総数 21,800 24,717 24,717 4,943,400 5,632,600
純資産額(千円) △18,745 83,036 54,168 97,535 892,819
総資産額(千円) 228,869 422,464 345,660 470,615 3,250,669
自己資本比率 △8.2% 19.7% 15.7% 20.7% 27.5%
従業員数 57人 64人 64人 73人 81人

セグメント別業績

第15期のセグメント別経営成績は表の通りです。
売上構成比は以下の通りで、約7割の売上はプロフェッショナルサービス事業による売上です。
第14期は、アナグラムの子会社化なども影響し、全体としての売上は大きく伸長しました。

  • キャッシュレスサービス事業:68.8%
  • メッセージングサービス事業:31.2%
指標 全体 プロフェッショナル
サービス事業
SaaS事業
売上高(千円) 1,526,284 1,050,028 476,256
売上高前年同期比 218.0% 262.6% 158.6%
営業利益(千円) 415,737 373,214 42,523
営業利益前年同期比 917.2% 333.5%

前述した通り、フィードフォースは、2020年1月にインターネット広告分野におけるサービス領域と顧客拡大を目的にアナグラムを連結子会社化しました。
前述した通り、アナグラムはリスティング広告をコアバリューとしており、フィードフォースのコアバリューであるデータフィード広告と技術やノウハウを共有することでより幅広いサービスを顧客へ提供することができます。
また、アナグラムの子会社化により、フィードフォースの売上や利益の数値は2020年5月期3Q目を境に大幅な増加を見せています。
以下が、アナグラムの連結子会社化に関する記事の詳細です。

2020年1月のアナグラム連結子会社化に関する記事

 

アナグラムの連結子会社化

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
合同会社理力 2,000,000 37.68% 180日間
塚田 耕司 1,923,600 36.24% 180日間
トランス・コスモス株式会社 527,400 9.94% 90日間
株式会社マイナビ 217,600 4.10% 90日間
寺嶋 徹 120,000 2.26% 180日間
喜多 宏介 83,800 1.58% 180日間
秋山 勝 80,000 1.51% 180日間
宮城 満英 61,600 1.16% 180日間
西山 真吾 41,999 0.77% 180日間
大西 健太 40,000 0.75% 継続保有

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は1,150円、吸収金額(調達額)は8.1億円とされています。 また初値は、2,760となりました。

仮条件 1,030円 ~ 1,150円
公募・売出価格 1,150円
想定価格 1,030円
初値 2,760円 (公募価格比+140.0%)
公募株数 650,000 株
売出株数 30,100 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 101,900 株
吸収金額(調達額) 8.1億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

 


この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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