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【新規上場企業分析】 バルミューダのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

バルミューダの概要

バルミューダの基本情報

はじめに、バルミューダ株式会社の基本情報を紹介します。 上場予定日は2020年12月16日、市場はマザーズ、想定時価総額は137.7です。

会社名 バルミューダ株式会社
設立日 2003年3月20日
上場日 2020年12月16日(承認日:2020年11月11日)
市場 マザーズ
証券コード 6612
業種 電気機器
決算期 12月
ホームページアドレス https://www.balmuda.com/jp/
発行済株式総数 6,500,000 株(2020 年 11 月 11 日現在)
上場時発行済株式総数 7,735,000 株
※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 1,235,000 株
想定価格 1,780円
想定時価総額 137.7億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 53,000 千円(2020 年 11 月 11 日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 太陽有限責任監査法人
主幹事証券会社 みずほ証券
引受幹事証券会社 SBI証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
丸三証券
エース証券
極東証券
岩井コスモ証券

バルミューダの沿革

バルミューダは、2003年に有限会社バルミューダデザインとして、東京都において設立されました。
創業期から多様な種類の製品の開発・販売を行い、現在では国内のみならず北米など海外へも販売網を広げています。

2003年3月 有限会社バルミューダデザインとして、東京都武蔵野市に設立
2003年5月 ノートパソコン用冷却台「X-Base」を発売
2004年12月 パワーLEDの技術を用いたデスクライト「Highwire」を発売
2006年4月 東京都小平市に本店移転
2008年5月 金型を用いた量産製品第一弾となるデスクライト「Airline」を発売
2010年4月 DCブラシレスモーターを搭載した扇風機「GreenFan」を発売
2011年3月 株式会社へ組織変更し、バルミューダ株式会社に改組
2011年11月 サーキュレーター「GreenFan Cirq」を発売
2012年7月 アジアへの製品販売を開始
2012年10月 Wファン構造による空気清浄機「JetClean」を発売
2013年2月 ドイツに連結子会社「BALMUDA Europe GmbH」を設立し、欧州への製品販売を開始
2013年9月 空気清浄機「AirEngine」を発売
2013年10月 アルミラジエーター方式による暖房機「SmartHeater」を発売
タンクレス構造を実現した加湿器「Rain」を発売
2015年4月 東京都武蔵野市に本店移転
2015年6月 スチームテクロノジーによるトースター「BALMUDA The Toaster」を発売
2016年10月 注ぎ心地を追求した電気ケトル「BALMUDA The Pot」を発売
2017年1月 蒸気の力で炊き上げる炊飯器「BALMUDA The Gohan」を発売
2017年12月 特徴的な操作音のオーブンレンジ「BALMUDA The Range」を発売
2018年10月 太陽光LEDを採用したデスクライト「BALMUDA The Light」を発売
2019年3月 航空機のジェットエンジン技術を応用した空気清浄機「BALMUDA The Pure」を発売
2019年7月 活性炭脱臭フィルター搭載のサーキュレーター「GreenFan C2」を発売
2019年10月 太陽光LEDを採用したランタン「BALMUDA The Lantern」を発売
2020年4月 北米への製品販売を開始
2020年6月 360°全方位に音が広がるワイヤレススピーカー「BALMUDA The Speaker」を発売
2020年10月 独自のホバーテクノロジーによるクリーナー「BALMUDA The Cleaner」を発表

バルミューダの事業内容

バルミューダは、「卓越した創意工夫と最良の科学技術によって、どこにもなかった素晴らしい方法を創出し、 人々の役に立つ」という企業理念を掲げ、家電事業を展開するファブレス (自社工場を保有せず、外部の製造工場に製品の生産を委託する)カンパニーです。

ファブレスカンパニーの特徴は、自社で製造工場を保有せず、製品の企画、デザイン、設計、開発、販売を軸に事業を展開する企業であるという点です。
このように、製造を外部委託することで、経営・セールスマーケティング・開発などの製品のコアとなる領域への集中が可能となり、企業としての経営効率を高めることができます。

バルミューダが展開する家電事業は、「空調関連」「キッチン関連」「その他」の3つのカテゴリーに分割されており、主要なカテゴリーと事業系統を表した図は、以下の通りです。

  1. 空調関連
  2. キッチン関連
  3. その他

 

バルミューダの事業系統

 

① 空調関連  

空調関連分野では、「扇風機(GreenFanシリーズ)」が中核となる製品として展開されおり、このシリーズは累計で50万台以上を販売する代表的な製品です。
扇風機の羽の構造やモーター、バッテリーにこれまでになかった技術を採用することで改良を加え、自然界の風と同じような心地よさと製品の軽量化を実現しています。

2010年の発売当時、数千円程度の扇風機が一般的であった市場に、3万円台と高価格な製品として投入されましたが、これまでの扇風機では実現できなかった、自然界の風と同じようなクオリティ、特徴的なデザイン(グッドデザイン賞受賞)などが高く評価され、「DC扇風機(又は高級扇風機)」というジャンルを新たに築いた製品として人気を集めました。

この部門では、扇風機の他にも、水を上から注ぎ入れるだけで給水ができるタンクレス構造を実現した「加湿器(Rain)」、航空機で使われるテクノロジーを応用し、大容量の空気を静かに循環させることができる「空気清浄機(BALMUDA The Pure)」、送風と同時に脱臭が可能な「ポータブルサーキュレータ ー(GreenFan C2)」などが展開されています。

 

② キッチン関連

キッチン関連部門は、2015年に、キッチン関連製品第一弾として販売した「スチームトースター(BALMUDA The Toaster)」を主力製品とする部門であり、簡単においしいトーストを作ることができるトースターとして、累計で100万台以上を販売しています。


このスチームトースターは、これまでにない味と食感の実現には、水分がポイントになると考え、独自のスチームテクノロジーと温度制御を実現し、グッドデザイン賞金賞を受賞しました。

また、この部門では、ハンドドリップでのコーヒーの淹れやすさを志向し、手になじむハンドルと湯切れの良いノズルを採用し、注ぎ心地を追求した「電気ケトル(BALMUDA The Pot)」、釜を二重にして、蒸気の力で炊き上げることで、粒立ちや透明感のある味わいを実現する「炊飯器(BALMUDA The Gohan)」、ギターの音色による特徴的な操作音を採用し、シンプルなデザインで使いやすい大きさにまとめた「オーブンレンジ(BALMUDA The Range)」などの製品が展開されています。


③ その他

その他部門では、手術灯のテクノロジーを基にした「太陽光LEDデスクライト(BALMUDA The Light)」が主力製品として発売されています。
この製品は、従来の白色LEDでは失われてしまっていた本来の色を照らし出し、自然界の色に非常に近い太陽光LEDを採用し、また前方の低い位置から斜めに手元を照らすことが可能とするフォワードビームテクノロジーを搭載した製品です。

また、この部門では、キャンドルのように揺らぐ暖色の灯りから、読書灯まで幅広い場面で活用できるバッテリー内蔵の「ポータブルLEDランタン(BALMUDA The Lantern)」、 360°全方位に広がる立体的で抜けるような気持ちよいサウンドと、グルーヴを増幅させる輝きでライブステー ジのような臨場感を作り出す充電式でポータブルな「ワイヤレススピーカー(BALMUDA The Speaker)」が展開されています。
さらに、2020年10月には、クリーナー自体が浮いているかのような驚きの操作感を実現した「ホバー式クリーナー(BALMUDA The Cleaner)」が発表されました。

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去2期分)

第17期の連結の業績は以下の通りです。

  • 売上高:108.5億円(前年比△3.5%)
  • 経常利益:10.5億円(前年比△56.0%)
  • 当期純利益:6.3億円 (前年比+1485.5%)
第16期 第17期
決算年月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 11,191,662 10,849,927
経常利益(千円) 1,634,738 1,047,870
当期純利益(千円) 39,924 632,984
純資産額(千円) 1,099,387 1,732,438
総資産額(千円) 4,756,021 5,070,060
自己資本比率 23.1% 34.2%
営業キャッシュフロー(千円) △354,878 307,361
投資キャッシュフロー(千円) △250,696 △317,370
財務キャッシュフロー(千円) 219,153 83,527
現金・現金同等物の期末残高(千円) 1,176,054 1,248,407
従業員数 96人 99人

 

単体の経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上高は、第13期と比較して約3.7倍に増加しており、概ね右肩上がりで成長していましたが、第17期は第16期と比較して売上は下落しました。

また、利益に関しては、期によって増減が見られますが、第14期以降は、黒字の状態をキープしています。

なお、バルミューダは、2019年12月5日付で普通株式1株につき100株の株式分割実施しました。

第13期 第14期 第15期 第16期 第17期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 2,906,739 5,542,026 8,871,756 11,164,767 10,827,189
経常利益(千円) △66,702 339,661 1,058,230 1,630,457 1,041,170
当期純利益(千円) △67,161 235,440 828,945 35,644 626,525
資本金(千円) 53,000 53,000 53,000 53,000 53,000
発行済株式総数 65,000 65,000 65,000 65,000 6,500,000
純資産額(千円) 3,379 238,819 1,067,765 1,103,409 1,729,934
総資産額(千円) 1,182,905 2,574,087 3,910,152 4,759,025 5,066,148
自己資本比率 0.3% 9.3% 27.3% 23.2% 34.1%
従業員数 46人 62人 71人 96人 99人

 

株主構成

上位10位までの主要な株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
寺尾 玄 6,000,000 85.11% 180日間
Limotech Korea Co., Ltd. 250,000 3.55% 180日間
佐藤 弘次 161,000 2.28%
株式会社ミツバ 125,000 1.77% 180日間
株式会社ベニヤ 125,000 1.77% 180日間
佐藤 雅史 49,500 0.70%
鞍田 直子 27,500 0.39%
池田 英智 20,500 0.29%
南 修二 20,300 0.28%
進藤 剛 19,800 0.27%

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は1,780円、吸収金額(調達額)は29.4と予想されています。

仮条件 未発表
公募・売出価格 未発表
想定価格 1,780 円
初値
公募株数 1,235,000 株
売出株数 200,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 215,200 株
吸収金額(調達額) 29.4 億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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