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【新規上場企業分析】Branding EngineerのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

企業概要

基本情報

まずはの基本情報を紹介します。 上場日は2020年7月1日、市場はマザーズ、時価総額は149.9億円(初値)です。

会社名 株式会社 Branding Engineer(ブランディングエンジニア)
設立日 2013 年 10 月 2 日
上場日 2020 年 7 月 7 日
市場 マザーズ
証券コード 7352
業種 サービス業
決算期 8月
ホームページアドレス https://b-engineer.co.jp/
発行済株式総数 4,873,400 株(2020 年 6 月 4 日現在)
上場時発行済株式総数 5,133,400 株
※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 260,000 株
初値 2,920円
時価総額 149.9億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
資本金 119,702,000円(公開日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 仰星監査法人
主幹事証券会社 SBI証券
引受幹事証券会社 大和証券
みずほ証券
あかつき証券
エイチ・エス証券
エース証券
岡三証券
極東証券
東洋証券
楽天証券
マネックス証券
水戸証券

沿革

Branding Engineerは2013年10月に、ITエンジニア領域に特化したHRテクノロジー、システムコンサルティング企業として設立されました。 現在は、IT人材向けのメディアやエンジニア育成事業などを運営し、企業が抱えるエンジニア関連の課題をサポートする軸で事業を行っています。

2013年10月 ITエンジニア領域に特化したHRテクノロジー、システムコンサルティング企業として東京都渋谷区 恵比寿西に株式会社Branding Engineerを設立し、受託開発事業(現在のFCS事業)を開始
2014年9月 総額20,007千円の第三者割当増資を実施
2015年1月 Midworks事業部を創設しSES事業を開始
2015年8月 有料職業紹介事業の許可を取得 (許可番号:13-ユ-307261)
2015年9月 労働者派遣事業の許可を取得 (許可番号:派13-306090)
2015年10月  ITエンジニア特化型ダイレクトリクルーティングサービス「TechStars」を開始
2016年3月  ITエンジニアの独立支援サービス「Midworks」を開始
2016年7月  総額101,990千円の第三者割当増資を実施
2016年9月  東京都渋谷区円山町に本社を移転
2016年10月 メディア事業として、IT人材のためのキャリアスタイルマガジン「Mayonez」サイトの運営を開始
2017年5月  ビジネスパーソンのためのキャリアスタイルマガジン「Tap-biz」サイトの運営を開始
2017年10月 AI/ブロックチェーン/IoTなどの最新技術を学べるプログラミングスクール「tech boost」を開始
2018年8月 プライバシーマーク取得 (認定番号:第17003374号)
2019年8月 メディア運営を行う企業に対して記事を作成代行するサービス「SAKAKU」を開始
2019年11月 「tech boost」にキャリアカウンセリング(転職保証付)サービスを付帯した受講コース「tech boost pro」を開始

事業内容

Branding Engineerは「Break The Common Sense」を経営ビジョンに掲げ、「テクノロジー×HR (Human Resources)」をテーマに、 ITエンジニアに特化した事業を行っています。
事業の軸は、ITエンジニアにキャリア開発の機会と安心して就業できる機会を提供し、そのITエンジニアのリソースを企業に提供することで、国内におけるITエンジニアの人材不足を解決するソリューションを提供することです。
事業部門は以下4つに区分されており、主要事業のビジネスモデルは図の通りです。

  1. Midworks事業
  2. メディア事業
  3. FCS事業
  4. その他

    Branding Engineerのビジネスモデル

① Midworks事業

Branding EngineerのMidworks事業では、ITエンジニアに特化した独立支援サービスです。
また、サービスの特徴として、フリーランスとして独立することを希望しているエンジニアが安心して働けるような仕組みを設けています。

①-1 サービス概要

Midworks事業で展開されるサービスは、フリーランスエンジニア、自社の社員として雇用するエンジニア、外部協力企業のエンジニアと企業をマッチングさせるサービスです。
Midworks事業では、顧客企業先にITエンジニアを常駐させる事業(SES事業)と、顧客企業先とエンジニアが派遣契約を締結する人材派遣事業を行っています。
SES事業や人材派遣事業で出向したエンジニアが取り扱う案件は、 主にSIer系業務システム開発やWeb系アプリ開発案件です。
Midworks事業により、エンジニアを人的リソースとして提供した顧客企業からは契約に基づく収入が入り、Branding Engineerの収益及びエンジニアへの報酬として分配されます。

①-2 サービスの特徴

  Midworks事業では、フリーランスとして働くことを希望しているエンジニアのために、経済的支援を行っています。収入の不安定さやスキルの維持、経費負担などの不安要素から独立に踏み切れないITエンジニアを支援するためです。具体的には、所得補償保険料やスキル維持のための費用、会計ソフトの費用等の一部を負担しITエンジニアの不安要素をできる限り最小化できるように努めています。
そして、ITエンジニアのリソースと開発力不足に悩む企業の求人ニーズとをすり合わせ、ITエンジニア及びクライアントの双方に対して、有益なマッチングを実現することで、クライアントの開発リソース不足の解決に貢献しています。

②メディア事業

Branding Engineerのメディア事業では、「ITエンジニアがキャリアに迷わない」をテーマに、多様なジャンルの複数の情報発信メディアを運営しています。
中心となるメディアは、ITエンジニア向け「Mayonez」と、ビジネスパーソン向けの「Tap-biz」です。
それぞれの情報発信メディアには、広告が取り付けられており、そこからの、広告収入を得ております。
さらに、複数の情報発信メディアを運営しているノウハウを活かし、情報発信メディアの運営受託やコンサルティングサービスである、「SAKAKU」サービスを提供しております。

②-1 メディア事業で運営されている主なサービス

  • Mayones
  • ITエンジニアのサポートを目的とするメディアです。
    エンジニアを目指す学生から、ハイレベルエンジニアまで、お役立ち情報が多数掲載されています。様々な情報が掲載されていますが、エンジニアの就職に関する情報がメインとなります。

  • Tap-biz
  • ビジネスシーンで役立つ情報の発信を目的とするメディアです。
    就職や転職に関する情報はもちろん、一般的なビジネスマナーや基本的な資料の作り方などビジネスマンとしての基礎的な情報が多く掲載されています。

  • 「SAKAKU」サービス
  • メディア事業では、複数の情報発信メディアを運営しているノウハウを活かし、情報発信コンサルティングサービスである、「SAKAKU」サービスを顧客企業へ提供しています。「SAKAKU」サービスでは、情報発信メディアを運営する企業に対して、情報メディアの運営受託や記事の作成代行、SEOコンサルティングなど、情報発信メディアの運営にかかわるサービスを提供しています。

②-2  メディア事業の特徴

メディア事業においては、「Mayonez」や「Tap-biz」のようなメディアを介した広告収入を獲得する一方、メディア運営のノウハウを生かし、「SAKAKU」サービスを顧客企業へ提供しています。
また、Branding Engineerでは、CMSサービスというWebサイトの記事を構成するテキストや画像、デザイン・レイアウト情報等を一元的に保存して管理するシステムを所有しています。
このシステムによって、ライターへの記事の依頼から公開、請求管理までを一括して行うことができます。さらに、メディア事業の運営は、メディアを訪れたITエンジニアや他の職種からITエンジニアへの転職に興味を持っているユーザーを、 自社の他サービスに誘導することで、他サービスの収益獲得機会の創出にも繋がります。

③FCS事業

Branding EngineerのFCS事業は、主に、自社にエンジニア部門がなく自社開発を行うことができない企業に対して、企業のニーズに合わせ、Webサービス・スマートフォンアプリ・システム開発やコンサルティングを行う事業です。
前述した、Midworks事業では、顧客企業へ人材をリソースとして出向させる形をとっていましたが、FSC事業では、開発やコンサルティングを請負う形で提供しています。

③-1 サービス概要

  • 受託開発事業
  • 受託開発事業は、主に、自社にエンジニア部門がなく自社開発を行うことができない企業に対して提供するサービスです。方針として1ヵ月〜4ヵ月の短期間で納品が可能な受託開発を受注することを基本方針としています。受注する案件の特徴としては、WEBサービスやアプリでのサービス展開をするためのシステム開発を多く受注しております。
  • コンサルティング事業
  • コンサルティング事業は、開発案件は業務委託で進めつつも、将来的には自社内にエンジニアチームを持ち、保守や開発を行いたいという意向を持ったクライアントを対象としています。
    Branding Engineerは、プロジェクト開始時から携わり、エンジニア部門の立ち上げのサポートや顧客企業のエンジニア部門の自社組織構築の完了までをサポートします。
    コンサルティングの際は、自社のITエンジニアのリソースも活用し、採用候補エンジニアの紹介や、 面接サポートなどを通じてITエンジニアの採用支援を行っています。

③-2 サービスの特徴

FCS事業では、Midworks事業などで社内にあるリソースを応用することができます。
特に、コンサルティング事業においては、システム開発を請負うだけでなく、部門の立ち上げまで一元化して対応するため、自社内のエンジニアの人材リソースや、後述するTechStars事業 、tech boost事業のリソースが大いに役立つ点が特徴です。
受託開発事業では、開発物の報酬をが収入源となり、コンサルティング事業では、コンサルティングサービスの報酬を収入として獲得することが可能です。

④その他

  • TechStars事業
  • TechStars事業は、ITエンジニアに特化した転職支援サービスです。
    Branding Engineerのエージェントは、人材紹介サービス事業者向けに提供されている有料の人材データベースのほか、サービスサイトである「TechStars」からの集客、Midworks事業やメディア事業などを通じて当社に蓄積された人材データベースを活用して転職者支援を行います。 
  • tech boost事業
  • tech boost事業は、ITエンジニアを目指す人を対象に、プログラミング教育を提供する学習サービスです。
    基本的なWeb開発言語から、最先端の革新技術まで、受講者の経験に応じた幅広い学習機会を提供しています。
    カリキュラムの大半がオンラインでのシステム学習により完結する学習サービスであることに加え、業務委託契約を締結している現役のITエンジニアによるマンツーマンのコーチング制を採用しており、クオリティの高い教育を受けることができます。

連結の経営指標(過去2期分)

6期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:28.2億円(前年比+15.2%)
  • 経常利益:1.4億円(前年比+40.1%)
  • 当期純利益:1.1億円(前年比+54.2%)
第5期 第6期
決算年月 2018年8月 2019年8月
売上高(千円)  2,448,530 2,819,764
経常利益(千円)  101,610 143,242
当期純利益(千円)  71,228 109,822
純資産額(千円) 178,021 287,844
総資産額(千円)  783,247 898,559
自己資本比率 22.3% 31.7%
営業キャッシュフロー(千円)  213,637 84,388
投資キャッシュフロー(千円)  △21,114 △22,482
財務キャッシュフロー(千円) 118,387 △4,385
現金・現金同等物の期末残高(千円)  412,495 470,016
従業員数 111人 129人

単体の経営指標(過去5期分)

5期の業績を見ると、売上高は4年で45倍近くになっています。
利益に関しては、4期で一度赤字になるものの、その後は順調に拡大を続けています。
また、Branding Engineerは2017年8月に株式の一部をクラウドワークスへ譲渡しています。

2017年8月 クラウドワークスへの一部株式譲渡

第2期 第3期 第4期 第5期 第6期
決算年月 2015年8月 2016年8月 2017年8月 2018年8月 2019年8月
売上高(千円) 62,693 386,624  975,266  2,448,530 2,819,764
経常利益(千円) 655 1,316  △29,451 101,610 143,242
当期純利益(千円) 331 372  △19,203 71,228 109,822
資本金(千円) 10,103 61,098 61,098  61,098 61,098
発行済株式総数 111,115 121,835  121,835  121,835 121,835
純資産額(千円) 20,611 122,973 103,769  178,021 287,844
総資産額(千円) 37,758 239,417  391,769 783,247 898,559
自己資本比率 54.6% 51.4% 26.5% 22.3% 31.7%
従業員数 6人 29人 62人 111人 129人

 

株主構成

上位10名の株主構成は以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
河端 保志 2,104,280 37.69% 180日
髙原 克弥 2,099,680 37.60% 180日
イーストベンチャーズ2号投資事 業有限責任組合 252,240 4.52% 90日
株式会社マイナビ 194,920 3.49% 90日
株式会社Orchestra Investment 104,000 1.86% 90日
クルーズ株式会社 97,480 1.75% 90日 
株式会社インターワークス 97,480 1.75% 90日
株式会社ベクトル 84,080 1.51% 90日 
セガサミーホールディングス株式 会社  48,760 0.87% 90日
YAS合同会社  38,800 0.69% 180日

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

初値は2,920、吸収金額(調達額)は2.1と予想されています。

仮条件 450円 ~ 490円
公募・売出価格 490円
公開価格 490円
初値 2,920円
公募株数 260,000 株
売出株数 176,200 株 (OA含む)
吸収金額(調達額) 2.1億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×公開価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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