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【新規上場企業分析】アクシスのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

アクシスの概要

アクシスの基本情報

はじめに、株式会社アクシスの基本情報を紹介します。 上場予定日は2020年9月30日、市場はマザーズ、想定時価総額は20.9億円です。

会社名 株式会社アクシス
設立日 1991年6月12日
上場日 2020年9月30日(承認日:2020年8月27日)
市場 マザーズ
証券コード 4012
業種 情報・通信業
決算期 12月
ホームページアドレス https://www.axis-net.co.jp/
発行済株式総数 2,000,000 株(2020年8月27日現在)
上場時発行済株式総数 2,050,000 株
※公募分(新株式発行)を含む。
公募株数 100,000 株
想定価格 1,020円
想定時価総額 20.9億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 50,000 千円(2020年8月27日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 EY 新日本有限責任監査法人
主幹事証券会社 SMBC日興証券
引受幹事証券会社


SBI証券
エース証券
岡三証券
極東証券
楽天証券

アクシスの沿革

株式会社アクシスは、1991年に東京都で創業した企業です。
これまで金融機関向けのソフトウェア開発を中軸に事業を運営してきました。

1991年6月 東京都品川区大井にコンピュータシステムに関する開発・販売・調査・研究・コンサルテーション・運営管理を目的として株式会社アクシス(資本金2,500千円)を設立
1992年8月 資本金を7,500千円に増資
1994年8月 資本金を10,000千円に増資
1997年9月 本社を東京都品川区東五反田に移転
1997年10月 一般労働者派遣事業許可を取得
1998年4月 本社を東京都港区芝浦に移転
2002年6月 資本金を50,000千円に増資
2005年3月 本社を東京都港区芝に移転
2006年1月 沖縄県宜野湾市に沖縄支店を新設
株式会社アイティーソリューションの株式を取得し子会社化
2007年12月 プライバシーマークの認証を取得
2010年3月 情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC27001」の認証を本社(営業本部、ビジネスサービス本部)で取得
2012年6月 AXIS ITSolution Singapore PTE. LTD.(現非連結子会社)をシンガポールに設立
2014年11月 株式会社テクノスクエアと資本業務提携
2015年6月 宮城県仙台市青葉区に仙台支店を新設
2016年6月 本社を東京都港区西新橋に移転
2016年11月 情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC27001」の認証を株式会社テクノスクエア(現福岡支店)で取得
2017年3月 福岡県福岡市博多区に福岡支店を新設
2017年4月 株式会社テクノスクエアを吸収合併
有料職業紹介事業許可を取得
2017年7月 株式会社アイティーソリューションからシステムインテグレーション事業を譲受け、同社を解散
2017年12月 大阪府大阪市西区に大阪事業所を新設
2018年10月 株式会社オークネットから吸収分割により承継したクラウドサービス事業を開始
2020年3月 沖縄県那覇市に那覇事業所を新設

アクシスの事業内容

アクシスは、「HR(ヒューマンリソース)事業を通じて新しい価値を創造し、すべての人が活き活きと働く社会創りをめざします。」を経営理念に掲げ、顧客の情報システムの構築を請け負うITサービスであるシステムインテグレーション事業を運営しています。

アクシスの開発・提供するシステムは、特に金融分野に強みを持つことが特徴です。
開発したシステムは、金融機関をはじめとした企業や官公庁に向けて提供されています。

以下は、アクシスの主要な事業セグメントと事業系統を表した図です。

  1. システムインテグレーション事業
  2. クラウド事業
アクシスの事業系統図

① システムインテグレーション事業 

システムインテグレーション事業は、会社全体の売上の大半を占めるアクシスの主要な事業セグメントです。
このセグメントでは、以下、2種類のサービスを主に提供しています。

  • 業務アプリケーション開発サービス
    業務アプリケーション開発サービスは、金融機関向けのソフトウェアの開発と保守(メンテナンスやカスタマイズ)中心に運営されるサービスです。
    アクシスは、これまで金融機関を対象とした外貨資金取引、債権管理、勘定データ移行、年金システム開発・構築などを請け負ってきました。
    また、これまで金融機関向けのソフトウェア開発で培ったノウハウなどをベースに、現在は官公庁分野や、電力分野、航空関連分野などの官公庁やの公共性の高い事業を行う企業向けにサービスを提供しています。

  • インフラシステム構築サービス
    インフラシステム構築サービスは、主に金融機関を対象としたインフラシステム(ハードウェア)の開発と保守(カスタマイズやメンテナンス)を請け負うサービスです。
    業務アプリケーション開発サービスで提供されるソフトウェアを正常に稼働させるためには、それに対応したネットワークやサーバーなどのハードウェアを設置する必要があります。
    インフラシステム構築サービスでは、このようにソフトウェアを稼働させるための基盤となるハードウェアの開発・提供と保守業務の運用がメインのサービスとなります。

② クラウド事業

クラウドサービス事業では、自動車の位置情報や走行距離等をリアルタイムで把握することが可能となるフリートマネジメントサービス「KITARO」の提供を行う事業セグメントです。

クラウドとは、従来、ハードウェアとしてデータの保存などに使用されるサーバーをインターネット上の「クラウド」というサーバーを利用することによって保存することを可能にしたシステムのことです。現在急速に普及しており、様々な分野で活用されています。

「KITARO」サービスは、デバイスを通して車両の様々な情報をクラウドにアップロードし有効活用するサービスであり、位置情報・走行履歴管理機能により、車の位置情報をリアルタイムで把握することができます。
また、渋滞情報と走行履歴情報から目的地の到着時刻をより正確に予測することが可能です。
このような特徴から「KITARO」サービスを利用することで、エコドライブや安全運転の強化に役立てることができます。

有価証券報告書情報

経営指標(過去2期分)

第29期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:34.1億円(前年比+6.1%)
  • 経常利益:1.8億円(前年比△49.3%)
  • 当期純利益:1.3億円(前年比△46.9%)
第28期 第29期
決算年月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 3,213,726 3,410,572
経常利益(千円) 275,019 184,161
当期純利益(千円) 192,695 131,204
純資産額(千円) 1,339,688 1,470,893
総資産額(千円) 1,924,286 2,042,166
自己資本比率 69.6% 72.0%
営業キャッシュフロー(千円) 133,383 208,864
投資キャッシュフロー(千円) △100,988 △11,014
財務キャッシュフロー(千円) △73,308 △59,451
現金・現金同等物の期末残高(千円) 1,073,443 1,211,684
従業員数 254人 281人

経営指標(過去5期分)

5期の業績を見ると、売上は1.5倍程度の増加を見せています。
利益に関しては、第27期をピークに、その後は右肩下がりの傾向です。しかし、過去5年で赤字のタームはなく経常的に黒字の状態をキープしています。

第25期 第26期 第27期 第28期 第29期
決算年月 2015年12月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 2,192,101 2,681,347 2,883,865 3,213,726 3,410,572
経常利益(千円) 175,653 271,443 366,659 275,019 184,161
当期純利益(千円) 91,686 193,767 225,092 192,695 131,204
資本金(千円) 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000
発行済株式総数 200 200 20,000 20,000 20,000
純資産額(千円) 708,964 902,732 1,146,992 1,339,688 1,470,893
総資産額(千円) 1,102,972 1,329,528 1,779,258 1,924,286 2,042,166
自己資本比率 64.3% 67.9% 64.5% 69.6% 72.0%
従業員数 156人 175人 232人 254人 281人

 

セグメント別業績

第29期のセグメント別の販売実績は、以下の表の通りです。
販売実績の内訳は以下の通りで、システムインテグレーション事業の販売額が全体の9割以上を占めています。
一方で、前年の数値と比較した場合、伸長率はクラウド事業が圧倒的に高く、売上構成としては過少ですが、事業としての成長分野であり、投資的領域であるといえます。

  • システムインテグレーション事業:94.2%
  • クラウド事業:5.8%
指標 全体 システムインテグレーション事業 クラウド事業
売上高(百万円) 3,410,572 3,211,062 199,510
売上高前年同期比 106.1% 101.1% 523.8%

 

株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
小倉博文 1,270,000 59.33% 180日間
日向宏 270,000 12.61% 180日間
山本浩史 260,000 12.15% 継続保有
横田佳和 120,000 5.61% 180日間
小泉彰宏 70,000 3.27% 継続保有
石川浩一 39,800 1.86% 180日間
白川雄一 12,200 0.57% 180日間
水元真之介 5,000 0.23% 継続保有
駒井健太朗 5,000 0.23% 継続保有
小菅直哉 5,000 0.23% 継続保有

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は1,020、吸収金額(調達額)は6.1億円と予想されています。

仮条件 未発表
公募・売出価格 未発表
想定価格 1,020円
初値
公募株数 78,000 株
売出株数 440,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 77,700 株
吸収金額(調達額) 6.1億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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