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商標は、日本語と英語どちらで出願するべきか?出願方法、二段併記、称呼から考えてみた

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商標を出願する際に、日本語と英語のどちらが良いのでしょうか?今回は商標は日本語と英語のどちらを選択すれば良いかを、出願方法や二段併記商標、称呼などからみていきたいと思います。

商標出願の方法は?

商標願書における商標の記載

商標願書には、登録を受けようとする商標や指定商品を区分ごとに記載しなければいけません。区分とは商標登録のカテゴリーのことを言います。全45種類からなり、1種から34種までが商品に関する区分、35種から45種までがサービスに関する区分として原則的に定められています。商標登録の出願時には区分と指定商品・役務をセットで願書に記載します。

この願書に記載する商標は、日本語で書いても英語で書いてもよいため、英語で書くべきかカタカナで書くべきかという判断を迷う場合があるのです。

海外に出願する際の方法は?

日本で商標登録されているからといって、海外でその権利は保障されていません。海外で商標権の保護を求める場合、基本的には国ごとに申請しなければいけないのです。

海外に商標を出願する際の方法はいくつかあります。まずは各国に直接出願するという方法です。これは例えば、アメリカだったらアメリカの手続きを英語で、ドイツだったらドイツの手続きをドイツ語で、というように各国の言語で各国の手続きで出願する方法です。これは、基本的に現地の代理人を通すので、現地の法改正などの情報を得やすかったり、1、2カ国ほどなら、費用も安く済みます。逆に多くの国で出願するなら、それぞれの国に代理人が必要なので高額になる場合が多く、各国のやり方に則るので手続きが面倒だったり、商標を各国ごとに管理しないといけなかったりとデメリットもあります。

次に、日本の特許庁を窓口として、国際登録出願をするという方法が挙げられます。これは、マドリッドプロトコルと言って、商標の国際的な制度を定めた国際条約で世界98カ国が加盟しています。この方法だと、各国ごとの代理人を通さなくて良いので費用が安く済みます。また、手続きは英語かつ一度の手続きで済むので、手続きが簡単に済み、審査が迅速であったり、権利の管理が簡単であったりとさまざまなメリットがあります。デメリットとしては、日本の商標登録が消えてしまった場合には、外国での権利も消えてしまったり、外国で使用する商標は日本で使用するものと同じでないといけなかったりする制約条件などが挙げられます。

最後に、これはEU限定ですが欧州連合商標制度という、審査をクリアすればEU加盟国全域で商標の保護を受けられる制度もあります。これは欧州連合知的財産庁もしくは欧州各国の特許庁への単一の出願でEU加盟国すべてに出願されたことになるのです。単一の出願で済むので、費用を削減できるほか手続きと管理が簡単で、さらに不使用を理由とした商標登録取り消しの回避が簡単などのメリットを挙げることができます。しかし、一カ国だけにでも反対されたら、各国個別に申請しないといけなくなったり、EU加盟国のうち数カ国を指名して出願することができなかったりするなどのデメリットもあります。

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商標をどう決めるべきか?

商標は、外観、呼称、観念の3つの要素によって構成されいます。このうち、呼称が商標を英語、カタカナのいずれで出願するかに最も影響を与えます。それでは、呼称についてより詳しく見ていきましょう。

商標の称呼とはなにか?

称呼とは商標の読み方のことです。審査などにおいて他の商標と類似していないかの判断基準に用いられます。称呼は出願者が決めるわけではなく、特許庁が付与します。商標調査のときに検索にも用いられるので、検索できるように割り振られたキーワードのようなものと考えると良いでしょう。また、1つの商標に複数の称呼が付与されているケースもあります。

称呼の類似とはなにか?

称呼の類似とは、読み方が似ていることを意味します。先に登録されている商標と商標が類似してはいけませんし、商標侵害においても、称呼の類似は大きな判断基準となります。

今回は、特許庁がどのように判断するかを基本に見ていきたいと思います。

大きな判断要素として、異なる部分が商標の語頭にあるか、もしくは中間や語尾にあるかが挙げられます。異なる部分が語頭にあると非類似であると判断されやすくなります。

反対に、異なる部分が称呼の中間や語尾にあると類似と判断されやすいと言えます。例えばメロンとマロンは印象が大きく異なると言えるでしょう。しかし、メルカリン、メルタリンやシーシーエム、シーシーエヌなどは印象が似ており、類似と判断される可能性が高いと言えます。

また称呼の類似の判断では文字数も重要な要素になります。文字数が少ないよりも、多いと共通する部分の割合が大きくなってしまうため、類似と判断されやすいようです。

より細かく見ると、異なる部分が促音や弱音だと、類似の判断はされやすくなります。例えば、レーマンとレマン、コロネートとコロネットなどが挙げられるでしょう。

日本語と英語における称呼の違い

日本語で出願しても英語で出願しても、称呼の考え方は基本的に同じと言ってよいでしょう。
MOBILEをモビーレと読む場合など、通常の読み方と違う場合でも、例えば山河をヤマカワではなくサンガと読む場合と同じような考え方で大丈夫と言えます。

類似判断も、例えばfirefoxとFIREFOX、fire-foxなど、キツネと狐のように称呼や印象が同じなので、類似と言えるように、その考え方は同じと言えるでしょう。

二段併記商標とは

二段併記商標とは、漢字とカタカナ、アルファベットとカタカナ、漢字とひらがなを二段に書いて商標登録をすることを言います。

二段併記商標のメリット・デメリット

メリットとしては、例えば漢字とひらがなの二段併記で商標登録をする場合、別個に商標登録するより費用が安く済みます。特許庁へ支払う費用は約半分であり、特許事務所に依頼しているなら、その費用も抑えられます。

デメリットは別個に登録していたなら商標侵害になったであろう他社の商標が、商標侵害として認められなくなる可能性があるということです。

また、上段の語と下段の語の意味合いが違う場合、そのどちらかの語のみをを使用することは二段併記された商標を使用していることにはならないと判断されてしまうのです

以上のように、二段併記商標は費用の面でみると良いかもしれませんが、デメリットが大きいのであまりおすすめできない方法と言えるでしょう。重要な商標は費用がかかっても、1件1件別個に申請することをおすすめします。

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日本語と英語、どちらで出願するべきなのか?

日本語と英語、どちらで出願するのが良いのでしょうか。おすすめなのは、実際に使用している方、一番よく使う方を登録することです。

特にアルファベットと日本語読みが同じものはどちらかを登録しておけば良いと言えます。しかし、MOBILEをモビーレと読む場合など、アルファベットと日本語読みが一致しない場合は両方の商標登録をおすすめします。どちらか片方を登録した場合、もう片方を他社に使用されても商標侵害を問えない可能性が高いからです。

また一つ注意点として、将来海外で商標登録をする予定があるのならアルファベットの商標がおすすめです。なぜなら、まず日本語だと外国では理解されないので、損をする可能性があるからです。そして、日本語の商標が、侵害された際、外国ではなかなか侵害を認めないので裁判で勝つことが難しくなってしまうのです。

日本語と英語どちらで出願すれば良いかは、その人次第のところがあります。商標登録ではは登録する際の区分など、複雑な知識が要求される場面が多々あるので、日本語と英語どちらで出願するかも含めて専門家に相談することをおすすめします。

ABOUT ME
知財編集部
知財に関する専門家です。 わかりやすい記事の監修を心がけています。

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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