目次
AI CROSS(エーアイクロス)の概要
AI CROSS(エーアイクロス)の基本情報
はじめにAI CROSS株式会社の基本情報を紹介します。上場日は2019年10月8日、市場はマザーズ、想定時価総額は38.9億円、上場時の時価総額は69.3億円でした。
| 会社名 | AI CROSS(えーあいくろす) 株式会社 |
|---|---|
| 設立日 | 2015年3月10日 |
| 上場日 | 2019年10月8日(承認日:2019年9月3日) |
| 市場 | マザーズ |
| 証券コード | 4476 |
| 業種 | 情報・通信業 |
| 決算期 | 12月 |
| ホームページアドレス | https://aicross.co.jp/ |
| 発行済株式総数 | 3,400,000 株(2019年9月3日現在) |
| 上場時発行済株式総数 | 3,850,000 株 ※公募分を含む。 |
| 公募株数 | 450,000 株 |
| 想定価格 | 1,010円 |
| 想定時価総額 | 38.9億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算) |
| 初値 | 1,800円 |
| 上場時時価総額 | 69.3億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算) |
| 時価総額 | 80.0億(2020年9月30日現在) |
| 資本金 | 177,000 千円(2019年9月3日現在) |
| 1単元の株式数 | 100株 |
| 監査人 | EY 新日本有限責任監査法人 |
| 主幹事証券会社 | SBI証券 |
| 引受幹事証券会社 | SMBC日興証券 みずほ証券 岩井コスモ証券 香川証券 あかつき証券 エイチ・エス証券 東洋証券 |
AI CROSSの沿革
AI CROSS株式会社は、2015年にAOSモバイル株式会社として東京都で創業しました。
企業内外におけるコミュ二ケーションを支援するに事業を中核として運営し、2019年10月に東証マザーズへ上場しました。
| 2015年3月 | 東京都港区において、AOSモバイル㈱を設立 |
| 2015年6月 | AOSテクノロジーズ㈱のSMS双方向配信プラットフォーム「AOSSMS」及びビジネスチャット「InCircle」を吸収分割により承継 |
| 2016年7月 | 「InCircle」にチャットボット機能を追加 |
| 2016年9月 | プライバシーマーク取得(第21001169(01)号 |
| 2017年3月 | 「双方向SMS配信装置及び双方向SMS配信方法」の特許を取得 |
| 2017年7月 | ㈱VOYAGE VENTURES、アコード・ベンチャーズ1号投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資を実施 |
| 2017年8月 | 三菱UFJキャピタル6号投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資を実施 |
| 2017年9月 | OS投資事業組合を引受先とする第三者割当増資を実施 |
| 2017年10月 | ㈱エボラブルアジアを引受先とする第三者割当増資を実施 |
| 2017年12月 | FENOX VENTURE COMPANY XI, L.P.を引受先とする第三者割当増資を実施 |
| 2018年7月 | 既存・新規株主による株式譲受により、AOSテクノロジーズ㈱のグループ会社から独立 AI CROSS㈱に社名を変更 |
| 2018年8月 | ISO/IEC 27001:2013取得(認定番号12870) |
| 2018年10月 | 研究担当部門として、AI X Labを新設 |
| 2019年3月 | AI Analyticsサービス「People Engagement Cloud」をリリース |
| 2019年5月 | SMS双方向配信プラットフォームの名称を「AOSSMS」から「AIX Message SMS」へ変更 法人向けRCS配信代行サービス「AIX Message RCS」の申込受付を開始 |
| 2019年10月 | 東京証券取引所マザーズに株式を上場 |
AI CROSSの事業内容
AI CROSSは 「Smart Work, Smart Life」という企業理念を掲げ、AIなど先進のテクノロジーや第5世代(5G)移動通信システムを活用して、企業の業務効率向上や、働き方改革を支援することを目的とした事業を運営する企業です。
AI CROSSの事業では、顧客企業の生産性向上をサポートするサービスが展開されており、企業向けに、コミュニケーションを通じて効率性や生産性を高めるための「ビジネスコミュニケーションプラットフォーム事業」がサービスの軸として運営されています。
主要なサービスは、「メッセージングサービス」、「ビジネスチャットサービス」、「その他のサービス」の3つです。
また、以下の図は、AI CROSSの主要なサービスと事業系統を表した図です。
① メッセージングサービス
「メッセージングサービス」は、AI CROSSが提供する顧客企業とエンドユーザーの保有するモバイル端末とのコミュニケーションを高めるためのサービスです。
主にB2Cビジネスを営む国内外の事業者に対して、ユーザーのモバイル端末にSMSの配信を行うための配信プラットフォームサービスとして運営されており、Webサービスの本人確認、登録派遣スタッフへの募集案内や面接日の連絡、納税における滞納者への督促など幅広く利用されています。
「メッセージングサービス」は、初期設定などのカスタマイズ料と配信通数に応じた月額の利用料の収益として計上するビジネスモデルで運営されています。
② ビジネスチャットサービス
「ビジネスチャットサービス」は、企業における業務連絡やビジネス上のコミュニケーションを行うための利用を想定したサービスです。
AI CROSSでは、「InCircle」というツールが「ビジネスチャットサービス」として提供されています。
このツールは、シンプルな操作性に加えて、複数の段階にわたって暗号化されている安全性の高いビジネスチャットであることが特徴であり、インターネット上のクラウドを利用したSaaS版と、顧客企業の保有するサーバーにインストールして利用するオンプレミス型で提供されています。
また、「InCircle」は、文書管理アプリや名刺管理アプリなど外部のさまざまな業務ツールと連携しており、これらの機能を活用することによって、日々の業務を効率化することができます。
③ AI Analyticsサービス
AI CROSSの「AI Analyticsサービス」では、AI Analytics技術を活用し、顧客へさらなる付加価値を提供するための研究が行っています。
この研究では、ビジネスチャット上に蓄積されたメッセージデータやHR関連データの分析を行い、離職率の低下やハイパフォーマーの発掘、効率的なチーム構成支援など業界固有の課題に特化したAI Analyticsの開発・提供の構想が行われています。
また、その第一弾として、2019年3月から大手人材派遣企業に対して離職防止ソリューションサービス「People Engagement Cloud」の提供が開始されました。
このサービスは、顧客企業が所有するビジネスチャットのメッセージデータをAI CROSSのAIエンジンによって分析し、スコアを算出してファイルを提供することで、顧客企業の課題解決につながる提案がなされています。
また、このサービスでは、導入・カスタマイズによる収入やライセンス数に応じた月額利用料が収益として計上されるビジネスモデルでの運用が行われます。
有価証券報告書情報
経営指標(過去3期分)
第5期の業績は以下の通りです。
- 売上高:14.5億円(前年比+29.4%)
- 経常利益:1.7億円(前年比+78.6%)
- 当期純利益:1.2億円(前年比+42.2%)
| 期 | 第3期 | 第4期 | 第5期 |
| 決算年月 | 2017年12月 | 2018年12月 | 2019年12月 |
| 売上高(千円) | 574,063 | 1,120,914 | 1,450,882 |
| 経常利益(千円) | 486 | 95,192 | 170,004 |
| 当期純利益(千円) | 3,132 | 87,338 | 124,204 |
| 純資産額(千円) | 251,353 | 338,692 | 1,007,120 |
| 総資産額(千円) | 577,412 | 547,073 | 1,267,664 |
| 自己資本比率 | 43.5 | 61.9 | 79.4 |
| 営業キャッシュフロー(千円) | △20,482 | 105,51 | 198,717 |
| 投資キャッシュフロー(千円) | △33,722 | △90,424 | △78,903 |
| 財務キャッシュフロー(千円) | 277,789 | △26,134 | 453,544 |
| 現金・現金同等物の期末残高(千円) | 272,819 | 261,775 | 835,133 |
| 従業員数 | 19人 | 27人 | 34人 |
経営指標(過去5期分)
過去5期の業績を見ると、売上は4年間で約9倍の成長しています。
また、利益に関しては第2期まで赤字で計上されていましたが、その後、黒字に転換しました。
また、第5期は売上、利益共に過去最高の数値となっています。
なお、AI CROSSは、2019年7月1日付で普通株式1株につき50株の割合で株式分割を行っております。
| 期 | 第1期 | 第2期 | 第3期 | 第4期 | 第5期 |
| 決算年月 | 2015年12月 | 2016年12月 | 2017年12月 | 2018年12月 | 2019年12月 |
| 売上高(千円) | 164,000 | 392,045 | 574,063 | 1,120,914 | 1,450,882 |
| 経常利益(千円) | △47,045 | △26,095 | 486 | 95,192 | 170,004 |
| 当期純利益(千円) | △47,180 | △26,276 | 3,132 | 87,338 | 124,204 |
| 資本金(千円) | 27,000 | 27,000 | 177,000 | 177,000 | 448,924 |
| 発行済株式総数 | 60,000 | 60,000 | 60,000 | 60,000 | 3,942,900 |
| 純資産額(千円) | △20,180 | △51,778 | 251,353 | 338,692 | 1,007,120 |
| 総資産額(千円) | 102,362 | 147,125 | 577,412 | 547,073 | 1,267,664 |
| 自己資本比率 | △19.7% | △35.2% | 43.5% | 61.9% | 79.4% |
| 従業員数 | 14人 | 13人 | 19人 | 27人 | 34人 |
上場時の株主構成
上位10位までの株主は、以下の通りです。
| 株主 | 所有株式数 | 比率 | ロックアップ |
| 株式会社IBIサーチ | 580,000 | 15.94% | 180日間 |
| 株式会社ベクトル | 340,000 | 9.34% | 90日間 |
| SBI AI&Blockchain投資事業有限責任組合 | 239,000 | 6.57% | 90日間 |
| イノベーション・エンジン産業創出投資事業有限責任組合 | 235,000 | 6.46% | 90日間 |
| 原田 典子 (戸籍上の氏名 岡部 典子) |
206,250 | 5.67% | 180日間 |
| 東京電力フロンティアパートナーズ合同会社 | 150,000 | 4.12% | 90日間 |
| 株式会社AIB | 127,750 | 3.51% | 180日間 |
| OS投資事業組合 | 125,000 | 3.44% | 90日間 |
| 鈴木 さなえ | 118,000 | 3.24% | 180日間 |
| アイビス新成長投資事業組合第5号 | 115,000 | 3.16% | 90日間 |
上場時(IPO)の募集・売出し情報
公募・売出し・調達額情報
公募価格は1,090円、吸収金額(調達額)は7.1億円とされています。 また初値は、1,800円となりました。
| 仮条件 | 990円 ~ 1,090円 |
|---|---|
| 公募・売出価格 | 1,090円 |
| 想定価格 | 1,010円 |
| 初値 | 1,800円 (公募価格比+65.1%) |
| 公募株数 | 50,000 株 |
| 売出株数 | 1,258,000 株 |
| オーバーアロットメントによる売出し株数 | 196,200 株 |
| 吸収金額(調達額) | 7.1億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算) |

赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士
企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。