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【新規上場企業分析】 JTOWER(ジェイタワー)のIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

概要

基本情報

はじめに株式会社JTOWERの基本情報を紹介します。上場日は2019年12月18日、市場はマザーズ、想定時価総額は300.0、上場時の時価総額は507.1でした。

会社名 株式会社JTOWER(ジェイタワー)
設立日 2012年6月15日
上場日 2019年12月18日(承認日:2019年11月13日)
市場 マザーズ
証券コード 4485
業種 情報・通信業
決算期 3月
ホームページアドレス https://www.jtower.co.jp/
発行済株式総数 16,367,472 株(2019 年 11 月 13 日現在)
上場時発行済株式総数 19,354,472 株
※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある
公募株数 2,987,000 株
想定価格 1,550円
想定時価総額 300.0億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 2,620円
上場時時価総額 507.1億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 1027.5億円 (2020年9月11日現在)
資本金 1,399,711 千円(2019年11月13日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 有限責任 あずさ監査法人
主幹事証券会社 SMBC日興証券
引受幹事証券会社


大和証券
みずほ証券
野村證券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
SBI証券
楽天証券
マネックス証券
岩井コスモ証券

 

JTOWERの沿革

株式会社JTOWERは、2012年に東京都で創業しました。
国内外において携帯電話のインフラ整備を行うためのIBS事業を展開しています。
また、JTOWERは、2019年12月に東証マザーズへ上場しました。

2012年6月 東京都渋谷区において、株式会社JTOWERを設立
2014年9月 国内IBS事業において商用サービスを開始
2016年10月 本社を東京都港区に移転
2017年6月 大阪府大阪市に大阪オフィスを新設
2017年7月 SITE LOCATORサービスの商用サービスを開始
東南アジアにおける事業展開拡大のために、ベトナム最大のIBS事業会社Southern Star Telecommunication Equipment Joint Stock Companyの株式を取得(連結子会社)
2018年6月 東京都港区に東京第2オフィスを新設
2018年7月 シンガポール中間法人であるVIBS PTE. LTD.の普通株式を追加取得することで、Southern Star Telecommunication Equipment Joint Stock Companyの99.9%議決権を取得(連結子会社)
2018年10月 屋外の通信インフラシェアリングを行うタワー事業への参入を表明
クラウドWi-Fiソリューションを展開する株式会社ナビックの株式を取得(連結子会社) 
2019年3月 GNI Myanmar Co., Ltd.への出資を行い、持分法適用関連会社化
2019年7月 日本電信電話株式会社と資本・業務提携を実施
東京都港区の本社を増床し、東京第2オフィスを本社へ移転
シンガポール中間法人であるVIBS PTE. LTD.の優先株式及び普通株式を追加取得することで、Southern Star Telecommunication Equipment Joint Stock Companyの100%持分を取得(連結子会社)
2019年12月 東京証券取引所マザーズに株式を上場

事業内容

JTOWERは、SHARING THE VALUE すべてのステークホルダーに価値をもたらす社会的意義のある事業を創造するをビジョンに定め、ビルやショッピングモールにおける携帯インフラの一本化を中核事業として運営する企業です。
また、携帯インフラの構築に関連したクラウドwi-fiの提供なども事業として運営しています。

以下は、JTOWERで運営されている主要なサービスと事業系統を表した図です。

  1. 国内・海外IBS事業
  2. ソリューション事業
JTOWERの事業系統

① 国内・海外IBS事業

IBS事業とは、ビルやショッピングモールにおいて、携帯インフラの一本化を行う設備を設置する事業です。
従来、商業施設やオフィスビルなどの建物内のアンテナや配線などを設置し、携帯電波環境整備(不感知対策)は、各携帯電話会社が個別に設置していたため、コストやエネルギー面での不具合が生じていました。
JTOWERでは、こうした現状を背景に、共用設備を用いて、アンテナや配線などの設備をひとまとめにする事業を行っており、屋内の携帯インフラ環境の改善を目的としています。

「国内IBS事業」は、日本国内の施設に携帯インフラ設備を設置する事業であり、累計で273箇所の施設にJTOWERの設備が導入されています。(2020年6月時点)

また、海外の施設への設備導入を行う「海外IBS事業」は、ベトナム、ミャンマーを中心に展開されており、今後事業を拡大する予定のサービスです。

② ソリューション事業

ソリューション事業は、クラウド型のWi-Fiソリューションを不動産業者に対して提供するサービスであり、IBS事業へ更なる付加価値を提供するサービスとして位置付けられる事業です。

従来、不動産会社が行うWi-Fiの導入は、電波環境の安定性が不安、製品が多く機器選定が困難、運用管理するスタッフが不足しているなどの課題を持つサービスでした。
JTOWERは、このような不動産業者によるWi-Fiの導入・管理業務を代行し、不動産業者の業務効率改善やユーザーへの良質なWi-Fiの提供を行うサービスです。
また、このサービスはクラウド型で運用されているため、Wi-Fiの一括管理や柔軟な提供が可能となっています。

「クラウド」とは、従来ハードウェアとしてデータの保存などに使用されるサーバーをインターネット上の「クラウド」というサーバーを利用することによって保存することを可能にしたシステムです。

このクラウドが存在することで、クラウドシステムのユーザーはサーバーがなくてもインターネット環境さえあればいつでも保存しているデータにアクセスすることができます。
また、クラウドを利用することでサーバーやソフトウェアを導入する必要がなくなるため、ユーザーはデータの保存や管理を低コストで運用することができます。

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去3期分)

第8期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:25.6億円(前年比+85.7%)
  • 経常利益:0.06億円
  • 当期純利益:△0.1億円
第6期 第7期 第8期
決算年月 2018年3月 2019年3月 2020年3月 
売上高(千円) 756,601 1,377,990 2,558,500
経常利益(千円) △479,062 △166,826 5,642
当期純利益(千円) △577,953 △214,841 △13,182
純資産額(千円) 2,209,501 2,508,488 6,635,166
総資産額(千円) 4,776,071 7,396,065 14,646,796
自己資本比率 24.1% 21.0% 45.3%
営業キャッシュフロー(千円) 888,733 1,290,217 3,165,959
投資キャッシュフロー(千円) △1,900,246 △2,110,482 △2,699,453
財務キャッシュフロー(千円) 2,603,125 570,599 4,385,594
現金・現金同等物の期末残高(千円) 2,261,234 2,006,588 6,851,458
従業員数 69人 94人 111人

 

単体の経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上は30倍以上と大幅に増加しています。

一方で、利益面に関しては、第7期まで断続的に赤字を計上していましたが、第8期には黒字に転換しました。
また、第8期は第7期と比較して、売上も大幅な伸長を見せています。

また、発行済株式総数の変動等についての注釈は以下の通りです。

  • 2017年3月31日付で株式1株につき100株の株式分割を実施。
  • 2019年8月30日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を実施。
第4期 第5期 第6期 第7期 第8期
決算年月 2016年3月 2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月 
売上高(千円) 59,301 166,075 511,627 868,535 1,915,079
経常利益(千円) △163,354 △259,831 △480,761 △241,460 59,997
当期純利益(千円) △163,644 △269,736 △564,563 △245,240 70,010
資本金(千円) 451,900 499,900 1,049,712 1,399,711 4,272,495
発行済株式総数 35,130 3,713,000 3,944,500 4,901,868 20,505,572
純資産額(千円) 500,170 630,434 1,165,495 1,620,253 7,435,481
総資産額(千円) 620,552 1,419,909 3,588,034 6,151,749 15,113,773
自己資本比率 80.6% 44.4% 32.5% 26.3% 49.2%
従業員数 18人 24人 33人 45人 60人

 

JTOWERは、2018年3月に日本郵政キャピタルから総額11億円の資金調達を行っています。
この資金調達によってJTOWERは、日本郵政グループとの事業面での連携を検討することを発表しています。
なお、この資金調達に関する詳細記事は以下のURLです。

2018年3月の資金調達に関する記事

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
株式会社カルティブ 5,000,000 29.14% 180日間
日本電信電話株式会社 3,639,600 21.21% 180日間
田中 敦史 1,834,400 10.69% 180日間
JA三井リース株式会社 1,175,200 6.85% 180日間
三菱UFJキャピタル4号投資事業有限責任組合 914,000 5.33% 90日間
日本郵政キャピタル株式会社 842,000 4.91%
アイティーファーム・のぞみ投資事業有限責任組合 571,600 3.33% 90日間
株式会社INCJ 463,160 2.70%
DBJキャピタル投資事業有限責任組合 457,200 2.66% 90日間
SMBCベンチャーキャピタル1号投資事業有限責任組合 457,200 2.66% 90日間

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は1,600円、吸収金額(調達額)は108.4億円とされています。 また初値は、2,620円となりました。

仮条件 1,550円 ~ 1,600円
公募・売出価格 1,600円
想定価格 1,550円
初値 2,620円 (公募価格比+63.8%)
公募株数 2,987,000 株
売出株数 2,906,300 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 883,900 株
吸収金額(調達額) 108.4億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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