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【新規上場企業分析】GMOフィナンシャルゲートのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

GMOフィナンシャルゲートの概要

GMOフィナンシャルゲートの基本情報

まずはGMOフィナンシャルゲートの基本情報を紹介します。
上場日は2020年7月15日、市場はマザーズ、想定時価総額は92.8億円です。

会社名 GMOフィナンシャルゲート株式会社
設立日 1999 年9月7日
上場日 2020年7月15日(承認日:2020年6月11日)
市場 マザーズ
証券コード 4051
業種 情報・通信業
決算期 9月
ホームページアドレス https://gmo-fg.com/
発行済株式総数 3,595,170 株(2020 年 6 月 11 日現在)
上場時発行済株式総数 3,835,170 株
※公募分を含む
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある
公募株数 240,000 株
想定価格 2,420円
想定時価総額 92.8億円
(※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 1,173,309 千円(2020 年 6 月 11 日現在)
1単元の株式数 100株
監査人 有限責任監査法人トーマツ
主幹事証券会社 大和証券
引受幹事証券会社 SMBC日興証券
みずほ証券
いちよし証券
丸三証券

GMOフィナンシャルゲートの沿革

GMOフィナンシャルゲートの前身である株式会社シー・オー・シーは、デビットカード(J-Debit)の通信・決済代行を行う情報処理センターとして、数社にわたる共同出資によって1999年に設立されました。
その後、2010年にGMOペイメントゲートウェイ株式会社の持分法適用関連会社としてGMOインターネットグループ入りしました。
2015年に商号を「GMOフィナンシャルゲート株式会社」に変更し、2016年9月GMOペイメントゲートウェイ株式会社の連結子会社となりました。

1999年9月 東京都港区赤坂において、デビットカード(J-Debit)の通信・決済代行を行う情報処理センター として株式会社シー・オー・シーを設立(資本金60百万円)
2000年1月 日本デビットカード推進協議会に加入、同年3月デビットカード(J-Debit)決済サービス開始
2000年3月 資本金を205百万円に増資、発行済株式総数4,100株
2001年8月 日本クレジットカード協会から情報処理センター認定取得、クレジット決済サービス開始
2002年2月 資本金を385百万円に増資、発行済株式総数7,700株
2009年2月 本社を神奈川県川崎市に移転
2009年11月 全株式を株式会社アイネスが取得
2009年12月 資本金を410百万円に増資、発行済株式総数8,700株
2010年1月 全株式をGMO-PGが株式会社アイネスから取得
普通株式300株を1株に併合 発行済株式総数29株
資本金を411百万円に増資、発行済株式総数155株、GMO-PGの持分法適用関連会社となる
2010年3月 本社を東京都渋谷区に移転
2010年9月 資本金を減少 資本金46百万円
2011年9月 三菱UFJキャピタル株式会社及びSMBCベンチャーキャピタル株式会社を引受先とした第三者割当増資を実施し、資本金を79百万円に増資
2011年10月~12月 三井住友カード株式会社、株式会社クレディセゾン及びユーシーカード株式会社等を引受先とした第三者割当増資を実施し、資本金を107百万円に増資
2012年7月 ユーシーカード株式会社から包括代理加盟店契約権を許諾され、クレジットカード決済代行サービス開始
2012年8月 銀聯カード決済サービス提供を開始
2014年4月 NFC対応の決済端末の運用開始
2015年4月 商号を「GMOフィナンシャルゲート株式会社」へ変更
2015年5月 GMO-PG、大和企業投資株式会社、三菱UFJキャピタル株式会社及びみずほキャピタル株式会社を引受先とした第三者割当増資を実施し、資本金を229百万円に増資
2015年9月 資本金を減少 資本金100百万円
2016年1月 ハイブリッド型決済端末VEGA3000の発売開始
2016年6月 楽天Rポイントを軸に加盟店開拓事業会社とアライアンス合意し加盟店獲得開始
2016年9月 GMO-PG等を引受先とした第三者割当増資を実施、資本金を1,173百万円に増資、GMO-PGの連結子会社となる
グローバルカードシステム株式会社(現連結子会社)を100%子会社化
2016年12月 主力端末VEGA3000に、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社のT-POINT処理アプリケー ションを追加搭載
2017年3月 株式会社NTTドコモがdポイント処理アプリ搭載端末にVEGA3000を選定
クレジットカード決済に関する世界標準のセキュリティ基準PCIDSSに完全準拠し、決済情報処理 センターとしての堅確性・セキュリティレベルを確立
2017年4月 株式会社北國銀行がクレジットカード会社としてのライセンスを得て、加盟店獲得事業展開に際 してVEGA3000の採用を決定
2017年6月 VEGA3000のPOS連動アプリケーションが完成
2017年10月 事業領域拡大戦略として、組込端末による決済サービス立上げを決定し、NAYAX社端末を選定して飲料メーカー・自販機メーカーへの営業活動を開始
2017年12月 りそな銀行グループがクレジットカード会社のライセンスを取得し、加盟店向け端末にVEGA3000の採用を決定
2018年1月 株式会社伊藤園の飲料自販機にNAYAX組込端末を搭載、りそな銀行の首都圏店舗ロビーに設置開 始
2018年4月 中国系QR決済 Alipay、WeChatPay対応のアプリケーションを開発し決済サービス開始
2019年5月 ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社、三井住友カード株式会社との新たなアライアンス協議を推進し基本合意書締結
2019年8月 三井住友カード株式会社と合弁でGMOデータ株式会社(現連結子会社)を設立

GMOフィナンシャルゲートの事業内容

GMOフィナンシャルゲートは、「決済に変革 社会を変える No,1キャッシュレスプラットフォーマーへ」をビジョンに掲げ、キャッシュレス決済市場において多角的に事業を展開しています。             

大きく下記の2つのサービスをメインに運営されており、主要事業のビジネスモデルは図の通りです。

  1. 決済処理サービス
  2. 決済代行サービス
GMOフィナンシャルゲートのビジネスモデル

 

①決済処理サービス

決済のシステムは、加盟店がクレジットカード会社等と直接契約を結ぶことで成立します。決済処理サービスは、小売・飲食等の加盟店がキャッシュレス決済を運営する際のサポートを行う事業です。決済時に使用する決済端末の提供と決済情報処理センターを運営して加盟店を支援しています。
また、GMOフィナンシャルゲートの決済情報処理センターでは、24時間365日対応のヘルプデスク(コールセンター)の運用を行うことで、加盟店がいつでもサポートを受けれる体勢を構築しています。

②決済代行サービス

前述した決済処理サービスは、クレジット会社等と契約した加盟店の決済業務をサポートするサービスでした。
一方、決済代行サービスは、加盟店とGMOフィナンシャルゲートのような決済代行会社が契約を結ぶことで、加盟店の決済業務を代行会社が請け負う事業です。
一般的に、小売・飲食等の加盟店がクレジットカード会社等と直接契約を結ぶ場合、審査や手続きが煩雑でハードルが高いとされています。
そこで、GMOフィナンシャルゲートは、2012年からクレジットカード会社と包括加盟店(包括代理)契約を締結し、加盟店が行う決済に係る煩雑な手続きを一括して代行する決済代行サービスを展開しました。
決済代行サービスによって、クレジットカード等による決済を行えていなかった事業者も、キャッシュレス決済を行うことができるようになりました。

③売上区分

上記のように、GMOフィナンシャルゲートは、主に決済処理サービスと決済代行サービスを軸として事業を行っています。
2つのサービスからは4区分の売上がサービス対価として計上されています。
以下が、GMOフィナンシャルゲートの業務基盤を成す4区分の売上です。

  • イニシャル
    イニシャルは加盟店が決済端末を導入する際や、加盟店の要望によって決済端末アプリの開発やカスタマイズを行った際に発生する売上のことです。
    加盟店が決済端末を導入する初回や、カスタマイズなどのスポットで発生する売上であるため「イニシャル」と区分されています。
    イニシャルは、加盟店数の拡大や決済アプリケーション開発要望の多様化によって拡大します。
  • ストック
    ストックは決済処理サービスを提供する際に発生する売上です。
    決済金額の明細データや、システム接続サービスを提供した際などの対価としてクレジットカード会社等の決済事業者や加盟店から請求する売上です。
    これらはクレジットカード利用額や決済件数の規模に関わらず、定期的に請求する固定的な売上であるためストックと区分されます。
    累積の加盟店数や決 済端末数、接続クレジットカード会社数などの拡大がストックの拡大に繋がります。

  • フィー
    フィーは決済の処理件数に比例して発生する売上です。
    フィー決済の処理件数に応じてクレジットカード会社等の決済事業者または加盟店に請求されます。
    また、ヘルプデスク(コールセンター)の利用料金や決済端末が消費するロールの代金もフィーに含まれます。
    このことから、大型加盟店の獲得や決済端末数の増加に伴い売上処理件数が増加することでフィーが拡大します。

  • スプレッド
    スプレッドは、決済代行サービスの提供によって得られる売上です。
    加盟店での決済金額に応じて請求される加盟店手数料や取次手数料を示します。
    この加盟店手数料及び取次手数料がスプレッドと区分されます。
    スプレッドは決済金額に応じて発生する料金であるため、大型のチェーン店や専門店と契約を締結したり、キャッシュレス決済の金額増加に伴って拡大します。

     
    GMOフィナンシャルゲートの中長期的な経営戦略

    ・次世代マルチ決済端末の拡販
    ・各種QRコード決済ならびにポイントアライアンス
    ・決済センター機能の拡充、取引照会WEBサービス拡充
    ・自動精算機・券売機のキャッシュレス化、IoTマネタイズサービスの提供
    ・FinTech/マネーサービスの提供
    ・キャッシュレス決済市場拡大と当社グループのビジネス機会

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去2期分)

21期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:23.8億円(前年比+47.1%)
  • 経常利益:2.3億円(前年比+34%)
  • 当期純利益:1.3億円(前年比+49.6%)
第20期 第21期
決算年月 2018年9月 2019年9月
売上高(千円) 1,617,103 2,379,019
経常利益(千円) 169,037 226,579
当期純利益(千円) 90,092 134,820
純資産額(千円) 2,673,625 3,044,163
総資産額(千円) 4,160,716 4,885,196
自己資本比率 64.26% 57.49%
営業キャッシュフロー(千円) △124,526 339,077
投資キャッシュフロー(千円) △140,479 △171,712
財務キャッシュフロー(千円) △12,671 227,167
現金・現金同等物の期末残高(千円) 2,740,961 3,135,493
従業員数 38人 48人

単体の経営指標(過去5期分)

5期の業績を見ると、売上高は4年で5倍以上増加しています。
また、利益に関しても4年で2倍以上成長しています。

第17期 第18期 第19期 第20期 第21期
決算年月 2015年9月 2016年9月 2017年9月 2018年9月 2019年9月
売上高(千円) 405,998 713,220 1,051,211 1,314,934 2,040,761
経常利益(千円) 47,534 85,079 92,532 103,365 148,627
当期純利益(千円) 47,244 93,857 66,061 66,433 104,694
資本金(千円) 100,000 1,173,184 1,173,309 1,173,309 1,173,309
発行済株式総数 38,497 119,589 119,839 119,839 119,839
純資産額(千円) 260,355 2,500,581 2,566,893 2,633,327 2,738,021
総資産額(千円) 678,479 3,704,025 4,082,126 3,982,467 4,402,378
自己資本比率 38.37% 67.51% 62.88% 66.12% 62.19%
従業員数 12人 18人 24人 30人 37人

株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
GMOペイメントゲートウェイ株式会社 2,332,590 60.39% 180日
株式会社ケイ・エム・シー 225,000 5.83% 90日
三菱UFJキャピタル3号投資事業 有限責任組合 217,380 5.63% 90日
大和ベンチャー1号投資事業有限責 任組合 189,840 4.92% 90日
豊山 慶輔 161,490 4.18% 90日
髙野 明 126,900 3.29% 180日
SMBCベンチャーキャピタル1号 投資事業有限責任組合 105,000 2.72% 90日
みずほ成長支援投資事業有限責任組合  79,110 2.05% 90日
SMBCベンチャーキャピタル3号 投資事業有限責任組合 61,080 1.58% 90日
倉田 秀喜 50,100 1.30% 180日

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は2540円、吸収金額(調達額)は12.5億円と予想されています。

仮条件 2,420円 ~ 2,540円
公募・売出価格 2,540円
想定価格 2,420円
初値
公募株数 240,000 株
売出株数 208,800 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 67,300 株
吸収金額(調達額) 12.5億円
(※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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