「法律事務所で働いてみたい!」
「就活に向けてインターンをしたいけど、どんな所でしたら良いの?」
法曹を志望している方や、一般企業への就活に活かせるインターンを探している方で、このようにお悩みの方はいませんか?
マイナビの調査によると、2019年卒学生の8割以上が何らかのインターンに参加したと回答しています。
今や、就職活動においてインターン経験はもはや必須のものと言っても過言ではありません。
そこで今回は、あまり知られていないけれども魅力たっぷりの、法律事務所でのインターンについて紹介します。
法曹志望の方もそうでない方も、この記事を読んで是非法律事務所でのインターンの魅力を感じてみてください!
目次
1.法律事務所の業務内容
法律事務所でのインターンに参加する学生は多くないため口コミも少なく、法律事務所がそもそも何をしているのか、いまいちイメージが湧かない方もいるかもしれません。
そこではじめに、法律事務所がどのような業務を行っているのかについて紹介します(業界についての知識がある方は、読み飛ばしていただいて構いません)。
法律事務所はその名の通り、弁護士が開いた事務所のことですが、弁護士の職務は法律事務全般と多岐に亘るため、事務所によってその業務内容は様々です。
一般的に、法律事務所の分類の仕方として、以下のようなものが挙げられます。
もちろん、これらのカテゴリーにぴったりと当てはまるわけではない事務所も多く存在するため、注意してください。
(1)四大法律事務所・大手法律事務所
四大法律事務所とは、日本で特に所属弁護士の多い、以下の4つの事務所を指す言葉で、「四大」や「BIG FOUR」と称されることもあります。
➀西村あさひ法律事務所
➁アンダーソン・毛利・友常法律事務所
➂長島・大野・常松法律事務所
➃森・濱田松本法律事務所
また、近年では上4つに➄TMI総合法律事務所を加え、「五大法律事務所」と呼ぶこともあります。
これら大手法律事務所の業務内容は、東証一部上場企業や銀行など、大手企業に関する法律問題が多く、海外拠点を通して国際的案件も取り扱っています。
四大事務所や大手事務所は司法修習生やインターン志望者から特に人気が高く倍率が高い一方で、これらの事務所で働いた経験は今後のキャリアアップに大きなプラスとなりえます。
(2)外資系法律事務所
外資系法律事務所は、海外に拠点を置く法律事務所の日本支部である事務所です。
主な取扱業務となるのは、日本に進出している外資系企業や、逆に海外へ進出しようとする日本企業の法律業務がメインとなります。
アメリカやイギリスから派遣された弁護士も多く、将来的に留学してLLMを取得して国際弁護士として働きたい方や、商社に就職したい方などに向いています。
(3)ブティック系法律事務所
ブティック系法律事務所とは、企業法務のうち、特に何らかの業務に特化した専門性の高い事務所のことを指します。
たとえば、M&Aや資金調達といった金融法務のほか、特許や商標といった知的財産を専門的に扱う事務所などがあります。
これらの事務所には弁護士のほか、弁理士など他の分野でのプロフェッショナルが在籍している場合が多く、将来働きたい専門的な分野が決まっている人には特におすすめです。
また、知的財産権を専門とする法律事務所の場合には、特許出願などの関係で理系出身者も多く在籍していることが特徴です。
(4)一般民事系法律事務所
一般民事系法律事務所とは、民事事件全般を取り扱う法律事務所のことで、在籍弁護士数があまり多くない(20名以下など)場合に多くみられます。
取り扱い業務は、交通事故や相続、企業法務まで多岐に亘りますが、所属する弁護士各人の強みを活かして専門性に特化した事務所もあります。
将来的に士業として独立開業したい方や、一般企業に事務として就職したい方に特に向いている事務所形態であると考えられます。
(5)刑事事件専門法律事務所
刑事事件専門法律事務所とは、主に刑事弁護を専門的に取り扱っている事務所のことです。
専門とはいっても、ほとんどの事務所が民事事件も並行して取り扱っており、全く民事事件にはタッチしないという事務所は少数派です。
他の弁護士事務所でも国選事件などの刑事事件を取り扱うことはありますが、やはり件数としては圧倒的に受注案件が少ないのが実情です。
そのため、刑事事件専門法律事務所は、将来的に検察官や刑事事件に特化した弁護士を志している方にはうってつけの事務所といえるでしょう。
また、刑事裁判を通じて行政機関と接する機会も多いため、行政庁への就職を考えている方にもおすすめです。
2.法律事務所でのインターン
ここまでは、法律事務所の分類と、それぞれの業務内容について紹介しました。
法律事務所でのインターンは、短期のものと長期のものに分類されます。
また、インターンとして従事する業務内容は事務所によっても様々ですが、今回は一般的に募集の多い内容に絞って紹介します。
実際にどのような業務に従事するかについては、面接等の段階で直接確認することをおすすめします。
(1)インターンの種類
法律事務所でのインターンは、法曹志望者を対象とした短期インターンと、それ以外の学生でも参加できる長期インターンの二種類に分類することができます。
短期でのインターンについて、大手の法律事務所であれば、サマークラークと呼ばれる短期間(2週間前後)のインターンを募集していることがあります。
サマークラークの募集対象となるのは基本的にロースクール在学生または卒業生で、主に8月の夏季休業中に実施されることが多いようです。
また、ロースクールによっては、インターンシップへの参加によって単位が取得できるエクスターンシップ制度を実施している学校もあります。
就業期間を定めずに募集している長期インターンの場合には、募集対象に特に制限はなく、いわばアルバイトの一種としての募集といえます。
この記事では、基本的にこの長期インターンに興味がある方を対象としています。
エクスターンシップの場合には給与が出ないことが一般的ですが、サマークラークと長期インターンの場合には時給や日当として給与が支払われるものがほとんどです。
(2)インターンの業務内容
インターンとして従事する業務内容は、事務所によって大きく異なるため一概にはいえません。
一般的に、短期インターンは法曹志望者を対象としていることもあり、就業するというよりは職業訓練としての側面が強く、実務文書の起案や法律相談への同席などを行います。
長期インターンの場合には、資料作成や電話対応といった一般事務のほか、裁判所への同行や書類の提出業務などを行います。
この場合にはパートタイマーとして就業するという面が強くなり、判例調査などを行うパラリーガルとして働く人もいます。
基本的に、法律事務所では各弁護士が自由な裁量をもっていることが多いため、弁護士法などに違反しない範囲で、様々な業務を経験することができます。
3.法律事務所で働くメリット
ここまでは、法律事務所の業務内容や、インターンの業務内容の概要について紹介しました。
以下からは、法律事務所でインターンをするメリットについて紹介します。
どのようなメリットが得られるかについては、将来どのような仕事に就きたいのか、また、どのような事務所で働くかによっても異なるため、自分なりの意味づけを探してみるのも良いと思います。
(1)一足先に実務に触れることができる
法曹志望の方にとっては、法律事務所で働くことによって人よりも早く実務に触れることができます。
裁判所や他の事務所とのやり取り、書類の取り扱いなどについては、業界の慣習に従って行われている要素も多く、事務所では専門用語も多く飛び交います。
こうした実務での取り扱いについて、人よりも早く触れることができるという点で、他の人よりもスタートダッシュを切ったキャリアをスタートすることができます。
また、全く関係ない業界への就職を希望している人にとっても、アルバイトとは異なりプレ社会人として長期的に働いた経験は、どんなキャリアを選択するにしてもきっと貴重な財産となると思います。
(2)勉強のモチベーションアップ
法律事務所には、弁護士や司法書士などの法律関係の専門家だけではなく、税理士や公認会計士など様々なプロフェッショナルが在籍しているところもあります。
こうした難関資格の合格を目指している人にとっては、先に合格した先輩たちの働く姿を見、直に接することは日々の勉強の大きなモチベーションとなります。
(3)人とは違う経験ができる
法律事務所で働いた経験のあるという人は、そう多くはいません。
そのため、学生時代に人とは違った経験をしてみたい人や、就活の際にアピールポイントが欲しい人にはうってつけのインターン先といえるでしょう。
法律事務所での業務はクライアント毎に全く異なるため、様々な案件を通じて自分の特性を見つめなおしたり、どんな業種が向いているかを考えるきっかけにもなると思います。
(4)司法修習前に内定がとれる
将来弁護士になりたいと考えている方にとっては、司法修習に行く前の早い段階で(事実上の)内定を取ることができるという点も、大きなメリットです。
司法修習は修習地がどこになるか分かりませんし、就活には時間的・金銭的コストがかかるため、修習前に内定先を見つけておくと修習生活も楽になります。
4.法律事務所インターンに向いている人
ここまでは法律事務所で働くメリットについて紹介してきました。
それでは、法律事務所でのインターンは、どのような人に向いているのでしょうか。
(1)法曹・法律関係志望者
法律事務所でのインターンは、法曹志望者や法律関係の仕事に就きたい人にはうってつけです。
先ほど述べたように、人よりも早く実務のスタートダッシュを切れるという点や、勉強のモチベーションを保つことができるなどの点で、他のインターンやアルバイトよりも優位性があります。
また、法律事務所によっては週一回勤務などの勤務形態で募集しているところもあるため、学校の忙しいロースクール生などにもおすすめです。
(2)理系学部生
法律事務所といえば文系のイメージが先行しがちですが、実は、特許などの知的財産を専門的に取り扱う法律事務所であれば、理系学部の学生にとっても学べる点は多々あります。
将来的に弁理士などを目指している場合にはもちろんのこと、一般企業への就職を志望している場合であっても、特許申請などの実務上の運用を知れるということは他の就活生に対するアドバンテージになります。
そのため、理系学部で学んでいる人も、ぜひ積極的に法律事務所でのインターンを考えてみてはいかがでしょうか。
(3)将来の夢が決まっていない人
将来やりたいことが特にない、自分にどんな仕事が向いているのかもわからない、という人にも、法律事務所はおすすめです。
法律事務所が取り扱う業務はクライアント毎に様々なため、日々の業務を通じて、自分がどのような業務に興味があるのかを探ることができるからです。
また、法律事務所で培うことができる一般事務能力や、社会人としてのマナーなどは、これからどんな業種に就職するにしても絶対に無駄にはなりません。
学生時代の貴重な時間を単調なアルバイトで過ごすくらいなら、自分を成長させることができる長期インターンへ参加することをおすすめします。
5.インターン先の探し方
それでは、実際にインターンとして働いてみたいと思った場合、どのようにしてインターン先の事務所を探せば良いのでしょうか?
エクスターンシップなどの短期インターンを探している方は、所属しているロースクールの事務室等へ問い合わせを行います。
しかし、法律事務所での長期インターンはあまりメジャーではないため、応募しようとする場合には自ら積極的に探さなければなりません。
そこで、長期インターン先を探すための具体的な方法を以下に紹介します。
(1)応募サイトから探す
最も一般的なのは、就活サイトや求人サイトから探す方法です。
こうした応募サイトであれば、勤務地や具体的な業務内容などをあらかじめ知ることができ、複数の事務所に同時にエントリーできるため、利便性が高いことが特徴です。
しかし、実際に応募サイトで検索してみると、インターン生を募集する広告を掲載しているのは4大事務所などの大手事務所が多く、それ以外の形態の事務所へのインターンを希望する人にとっては効率的な方法ではありません。
(2)事務所サイトから探す
そこで、気になる事務所がある場合には、事務所のWebサイトを訪問して求人を行っていないかを確かめる方法もあります。
事務所によってはWebサイトを整備していないこともありますが、その場合には電話で問い合わせてみるのも一つの方法です。
Webサイトはあるが求人については何も書かれていない、という場合には、メール等での問い合わせを行いましょう。
(3)友人や大学からの紹介
最後に、弁護士等との繋がりがある友人から紹介を受ける方法もあります。
地方在住の場合や、小規模の事務所へのインターンを志望している場合には、上の2つの方法よりもむしろ効率的な方法といえるかもしれません。
また、ネットや雑誌には求人広告を出していないけれども、大学の就職課などには広告を出している、という場合もあります。
そのため、ネット等で検索しても見つからない場合には、大学へ問い合わせてみることもおすすめです。
6.インターンに向けた就活対策
最後に、法律事務所に(長期)インターンとして就業することを志望する場合の就活対策について紹介します。
基本的には、法律事務所だからといって、他の業種の就活対策と異なることはありません。
(1)志望理由
志望動機は、書面で提出することもあれば、面接の場で口頭で説明を求められることもあります。
いずれにせよ、必ずと言っていいほど聞かれる質問なので、しっかりと答えられるように繰り返し考えるようにしましょう。
自力で書くことに自身のない方は、以下の質問に答え、それを文章にまとめると、相手に伝わりやすい志望理由がまとまりやすくなります。
・法律事務所を目指した背景・経験
・他の業界ではなく、法律事務所を選んだ理由
・他の事務所ではなく、その法律事務所を選んだ理由
・法律事務所でやってみたい業務
(2)面接
法律事務所での面接を担当するのは、基本的に弁護士であるケースがほとんどです。
面接においては、何よりも素直に、謙虚に質問に答えるようにしましょう。
弁護士は、職務上、相手のウソやごまかしを見抜く力に優れていますし、法律事務所では弁護士と事務員とが密に連携するチームワークが求められるからです。
面接では、志望理由のほか、学校で学んでいることや、社会問題に対する見解を求められることもあります。
これらの質問に対して、無理に自分をよく見せようとしたり、背伸びをした受け答えをしてしまうとかえって悪印象を与えることにもなりかねないため、無理をせずありのままの自分で答えるようにしましょう。
(3)最低限の社会常識やマナー
法律事務所に訪れるクライアントは、仕事や家庭等になんらかのトラブルを抱えている人がほとんどです。
また、クライアントからすれば、相手が学生のインターン生であるのか、正社員の事務員なのかは関係ありません。
そのため、クライアントに対して失礼をしないためにも、社会人として最低限の常識やマナーをしっかりと身に着けておく必要があります。
例えば、服装や言葉遣い、ビジネスメールの書き方などについては、インターンの募集に応募する前に一通り書籍等で確認しておくようにしましょう。
これらの知識はいずれ必ず必要になるものなので、早い段階で身に着けておいて損はありません。
7.まとめ
今回は、法律事務所でのインターンについて、具体的な業務内容や就活時のポイントなどを紹介しました。
法律事務所はインターン先としてはメジャーではありませんが、法を駆使してクライアントの権利・利益を追求する弁護士のサポートをすることは、他の業種では得難い経験を積むことができます。
また、今回紹介したように、法律事務所でのインターンは法学部の学生だけではなく、理系学部に所属する学生であっても得られる経験がたくさんあります。
法曹志望の方だけでなく、一般企業への就職を希望している方であっても、法律事務所へのインターンを一度考えてみてはいかがでしょうか。
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