0.事案の概要
この裁判例は、経費や出張費をごまかした公務員に対する停職処分の有効性が争われた事案で、停職処分を有効と判断しました。
1.官僚の労働法の特徴
民間企業で、従業員にとって不利な処分の有効性が争われた場合、例えば解雇が顕著ですが、会社の側が処分の合理性を主張立証すべき負担を事実上負うことになります(労契法22条1項参照)。
他方、公務員の場合には、行政庁の処分行為として行政庁側に大幅な裁量権限が認められており、公務員の側が処分の違法性(裁量権の逸脱)を主張立証しなければなりません。
実際に、行政庁の処分の場合はこの程度で有効なんだ、と実感する裁判例も多く見かけます。
2.実務上のポイント
実際、数万円のごまかしで、訴訟対象となった6ヶ月の停職処分の他、降格減給処分も行っており、民間企業の場合であれば少し重いようにも感じます。
もっとも、懲戒事例ごとの処分例や基準が定められていたうえで、それに沿って処分が行われており、基準の明確性などの事情も踏まえれば、民間企業でもこの程度の処分が認められるのかもしれません。
しかし、いずれにしても民間企業の先例としては、少し使いにくい裁判例となります。
※ JILAの研究会(東京、大阪)で、毎月1回、労働判例を読み込んでいます。
その中から、特に気になる判例について、コメントします。
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