自己破産

自己破産後でも起業できる!融資制度や注意点は?

さいむくん
さいむくん
借金が膨らんできたから自己破産しようと思ってるんだけど、破産して借金がチャラになったら起業したいんだ。できるかな?
結論として自己破産後の起業はできるよ。

ただし、資金調達が難しいなどの注意点もあるから、今回は自己破産後の起業について解説しよう。

せんせい
せんせい

「今の借金が自己破産で清算されたら起業したい」とお考えの方もいるかもしれません。

注意点はいろいろありますが、先生がいうように起業そのものに法的制限はありません

今回は破産後の起業に関して、以下のポイントを中心に解説します。

  1. 自己破産後に起業する際の注意点
  2. 自己破産後の起業で資金を調達する方法
  3. すでに起業している人の自己破産の注意点は?

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自己破産後に起業は可能!

せんせい
せんせい
最初にも話したけど、結論として自己破産後の起業は可能だよ。

起業自体は、法的に制限されていない

せんせい
せんせい
起業自体に法的制限はないんだ。

以前の旧商法では破産者が取締役として起業することは一定期間できなかったんだ。

でも、2006年に現行の会社法が施行されてからは撤廃されたんだね。だから、今は破産後すぐでも起業できるし、取締役に就任できるんだ。

取締役は退任になるが再任ができるようになった

せんせい
せんせい
そもそも取締役ってのは、会社との委任契約だよね。

でも、民法には委任の終了事由として、自己破産の手続きの開始決定を受けたことって規定がされているんだ。

(委任の終了事由)
第六百五十三条 委任は、次に掲げる事由によって終了する。
 委任者又は受任者の死亡
 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと
 受任者が後見開始の審判を受けたこと。
【引用:民法第653条ーe-Gov法令検索

ただ、さっき話した通り、「退任になったあと一定期間は取締役に就任できない」みたいな規定はなくなったから、株主総会で認められれば、再び就任できるんだよ。
せんせい
せんせい

自己破産が認められれば資格制限も解除される

せんせい
せんせい
注意したいのは、資格制限だね。

自己破産では手続き中、一定の資格が制限を受ける。だから資格を使って働くことができないんだ。

破産手続き中に資格制限がかかる職業
  • 弁護士
  • 司法書士
  • 税理士
  • 公認会計士 など
ただし、自己破産が認められさえすれば、これらの資格を使って働くことができる。

だからこうした職業で起業・独立することも可能だよ。

せんせい
せんせい

自己破産後に起業する際の注意点

せんせい
せんせい
ここまで解説したように、自己破産後の起業は可能だよ。

ただし、注意点もあるから、よかったらセットで覚えてね。

自己破産後に起業する際の注意点5つ
  1. 必要最低限の財産から再スタートになる
  2. 資金調達が困難な可能性が高い
  3. 賃貸物件を借りられない可能性がある
  4. 個人事業主の賃貸審査は難易度が高い
  5. 自己破産から7年は再度自己破産ができない

必要最低限の財産から再スタートになる

せんせい
せんせい
自己破産では、基本20万円以上の財産がある場合に、没収されてしまうんだ。

だから、自己破産後に事業を始める場合は、必要最低限の財産から始めないといけないよ。

とはいえ、自己破産は財産のすべてを没収されてしまうわけじゃないんだ。

手元に残せる財産もあるから、自己破産でも残せる財産と失う財産を一部紹介するね。

手元に残せる財産 失う財産
  • 20万円以下の預貯金
  • 99万円以下の現金
  • 査定額が20万円以下の車
  • 生活に必要な家財
  • 支給見込み額の8分の1にあたる額が20万円以下の退職金
  • 自己破産後に得た財産 など
  • 持ち家
  • 土地
  • 査定額が20万円以上の車
  • 査定額が20万円以上の財産 など
自分で貯めたお金も没収されてしまうから、軌道にのるまでは金銭的な苦労をするってことは覚悟しないとですね…。
ともだち
ともだち
せんせい
せんせい
そうだね。ただ、生活に必要な現金や家財は残るので、まずは生活を立て直してから起業してもいいかもしれないね。

資金調達が困難な可能性が高い

せんせい
せんせい
財産を没収される上、資金調達が困難な可能性が高い。

多くの場合、事業資金は銀行から借り入れるよね。でも、自己破産によるブラックリストで借り入れられない可能性が高いんだ。

ブラックリスト
  • 信用情報(金融的な取引の記録)に債務整理・滞納などの記録が追加されて審査を通過できない「状態」をいう
  • 「ブラックリスト」という名前のリストが存在するわけではない
信用情報を管理している団体「信用情報機関」は国内に3つあります。

各団体の登録期間を見てみましょう。

ともだち
ともだち

破産記録の登録期間

信用情報機関 登録期間
CIC(株式会社シー・アイ・シー) 契約期間中および契約終了後5年以内
JICC(株式会社日本信用情報機構) 契約継続中及び契約終了後5年以内
KSC(全国銀行個人信用情報センター) 破産手続開始決定等を受けた日から7年を超えない期間
せんせい
せんせい
銀行は審査の際に信用情報を確認するよね。

ところが、自己破産の記録が判明すると、審査に通過できない可能性が高くなるんだ。

借金を返せなくて自己破産したわけですから、銀行としては、融資したお金を返済してくれるか不安になるんですね!
さいむくん
さいむくん
せんせい
せんせい
そうだね。だから、資金調達が困難になる可能性が高いんだ。

何か事業を起こそうと思ったら少なくとも数百万は必要だし、業態や業種によっては1000万円を超えるかもしれないからね。

賃貸物件を借りられない可能性がある

せんせい
せんせい
また、事業のために賃貸オフィスなどの物件を借りたい人もいるかもしれないけど、借りられない可能性があるよ。

理由は2つだね。

賃貸物件・賃貸オフィスを借りるのが難しい理由
  1. 信用情報(ブラックリスト)に自己破産の記録が残ってるから
  2. 起業したばかりだと賃料を払えるだけの売り上げがないから
オフィスを借りるのに、引っかかりやすいのが、①だね。②はこの後説明するね。
せんせい
せんせい
さいむくん
さいむくん
ここでもブラックリストの影響が出るんですか?
正確には賃貸契約ではなく、賃貸の保証人契約に影響が出るんだ。

賃料を保証する会社も審査を行うんだけど、基本保証会社は信用情報を照会できない。

信用情報の加盟店は、クレジットカード会社・銀行・消費者金融などだからね。

ただし、信販系の家賃保証会社だと信用情報を参照できてしまうので、審査が通らない可能性があるってことだ。

せんせい
せんせい
さいむくん
さいむくん
ブラックリストの影響っていろんな所に出てくるんですね…。
また、審査でも難関がある。

どの事業でもそうだけど、事業内容・財務状況がわかる書類を提出して、賃料を払えるだけの売上があるかどうか審査されるんだね。

せんせい
せんせい
ともだち
ともだち
事業を始めたばかりで売上が安定しないと、賃料を払えると判断されず、物件を借りられない可能性が出てきますね。

個人事業主の賃貸審査は難易度が高い

せんせい
せんせい
個人事業主になると、賃貸審査の難易度はもっと高くなるんだ。

そもそも個人事業主とは「組織や会社に属さず、個人で独立して事業を行う人」なんだけど、賃貸審査の難易度が高くなる理由を簡単にまとめるとこんな感じだよ。

個人事業主の賃貸審査が通過しにくい理由

  • 収入が不安定と判断されやすい
  • 連帯保証人が必須
  • 審査の際の必要書類が多い など
確かに個人事業主って売上に波があるイメージだし、そうなると必然的に連帯保証人を求められる可能性が高くなるのか…。

審査のハードルが高くなるのも納得できますね。

さいむくん
さいむくん

自己破産から7年は再度自己破産ができない

せんせい
せんせい
これも注意してほしいのだけど…自己破産から7年は自己破産できないよ。

だから、自己破産後に始めた事業がもしも失敗して借金をしたとしても、7年間は自己破産できないから注意しようね。

これは、破産法第252条で決められているんだ。

(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
(中略)
 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと
 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日
 民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日
 民事再生法第二百三十五条第一項(同法第二百四十四条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
【引用:破産法第252条第1項第10号ーe-Gov法令検索

要するに、ほいほい自己破産はできませんよってことなんだね。
ともだち
ともだち

自己破産後に起業・会社設立をするコツ

せんせい
せんせい
破産後の起業に、いろいろと注意点があるのはわかったかな?

お次は、注意点をふまえて起業する際のコツを紹介するよ。

家族や親族を代表にして融資を受ける

せんせい
せんせい
ブラックリストの間、自分が代表として借り入れできない場合は、家族や親族を代表にして融資を受けるのも方法の1つ。

代表にする家族や親族の信用情報に問題がなければ、問題なく融資を受けられる可能性があるからね。

共同経営者がいればその人を代表取締役にすることで、融資を見込めるかもしれない。

ただいずれのケースにしても、よく話し合ってから決めてね。

初期費用をかけずに事業を開始する

せんせい
せんせい
なるべく初期費用を抑えて事業を始めるのもコツの1つ。
  • 実店舗を持たないネットショップ
  • PC1台で始められるクリエイター など
また、在庫を抱えない仕事をするのも大事。在庫を抱えてしまうと管理コストもかかっちゃうからね。
せんせい
せんせい
ともだち
ともだち
起業には不安もあると思うので、開業支援のサービスを利用するのもいいですね。
こちらは、資金援助ではなく物理的なサポートをしてくれるサービス。気になったら調べてみてね。

開業資金のサポートについては、このあと紹介するからね。

せんせい
せんせい

自己破産後の起業で資金を調達する方法

さいむくん
さいむくん
先生!自己破産後の起業で資金を調達する方法、早く教えてくださいよ~!
まあまあ、いったん落ち着いて。順番に紹介するからさ。
せんせい
せんせい
自己破産後の起業で資金を調達する方法
  • 再チャレンジ支援融資|日本政策金融公庫
  • 新創業融資制度|日本政策金融公庫
  • 再挑戦支援制度|信用保証協会
  • クラウドファンディング

再チャレンジ支援融資

せんせい
せんせい
再チャレンジ支援融資は、日本政策公庫が運営している融資制度。

本来の制度の趣旨は「一度事業に失敗した人の再創業の支援」なんだけど、過去に自己破産した人でも利用できるのが特徴なんだ。

この再チャレンジ支援融資は主に2つに分けられるよ。

  • 国民生活事業(個人)
  • 中小企業事業(中小企業)

再チャレンジ支援融資の条件

せんせい
せんせい
再チャレンジ支援融資の条件について。

新たに開業する、または開業後おおむね7年以内で、次にあげる条件すべてを満たす人が対象になるよ。

再チャレンジ支援融資の利用条件
  1. 廃業歴がある個人、または廃業歴がある経営者が営む法人である
  2. 廃業したときの負債が新たな事業に影響しない程度に整理される見込みがある
  3. 廃業の理由・事情がやむを得ないものである
  4. 新たに営もうとする事業について、適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると認められる方

【参考:再挑戦支援資金ー日本政策金融公庫

再チャレンジ支援融資の融資限度額と返済期間

せんせい
せんせい
再チャレンジ支援融資の融資限度額と返済期間をざっと紹介するよ。
融資限度額 返済期間
国民生活事業 7,200万円(運転資金4,800万円を含む) 設備資金:20年以内
運転資金:15年以内
中小企業事業 7億2,000万円(運転資金2億5,000万円)

【参考:再挑戦支援資金ー日本政策金融公庫

これだけ貸してもらえれば、起業できそうかも!
さいむくん
さいむくん

新創業融資制度

せんせい
せんせい
再チャレンジ支援融資の利用が困難な場合は、「新創業融資制度」の利用もおすすめ。

こちらも、先ほどと同じ日本政策金融公庫が運営しているよ。再チャレンジとの違いは、新たに事業を始める人向けであること。

担保や保証人が原則不要というメリットもあるんだよ。

新創業融資制度の条件

せんせい
せんせい
新創業融資制度の利用条件は、以下の通り。
新創業融資制度の利用条件

対象者の要件

  • 新たに事業を始める、または事業開始後税務申告を2期終えていない人
  • 新たに営もうとする事業について、適正な事業計画を策定しており、当該計画を遂行する能力が十分あると認められる方

自己資金の要件

  • 新たに事業を始める、または事業開始後税務申告を1期終えていない場合は、創業資金総額の10%以上の自己資金を保有している人
  • 「現在働いている企業と同じ業種の事業を始める人」などに該当する場合は、本要件を満たすものとする

【参考:新事業融資制度ー日本政策金融公庫

新創業融資制度の融資限度額と返済期間

せんせい
せんせい
新創業融資制度の融資限度額と返済期間をざっと紹介するよ。
融資限度額 3,000万円(運転資金1,500万円を含む)
返済期間 設備資金:20年以内
運転資金:15年以内
利率 1.05~2.05%
※条件による

【参考:新事業融資制度ー日本政策金融公庫

信用保証協会の再挑戦支援制度

せんせい
せんせい
信用保証協会の再挑戦支援制度を利用する方法もあるね。

信用保証協会
中小の零細企業や個人事業主がお金を借りやすいように保証を請け負う公的機関

自治体による融資には信用保証協会の保証をつけることになっていて、各地域の信用保証協会が再挑戦支援制度を用意している場合があるんだ。

例として、横浜市が用意している「創業おうえん資金」を紹介するね。

「創業おうえん資金」は、これから横浜市内で事業を始める、または事業を始めて5年以内の人のために創設されている支援制度。

簡単な概要も紹介するから、気になったら調べてみてね。

せんせい
せんせい

創業おうえん資金の概要

条件 次のいずれかに該当する方
1.これから創業予定(現在事業を営んでいない方に限る)で、1ヶ月以内に市内で個人事業を開始する方、又は2ヶ月月以内に市内で会社を設立し事業を開始する方
2.既に創業されている方で、次のいずれかに該当する方(当該事業の開始時に他の事業を営んでいない方に限る)
(1)個人事業の開始・会社の設立から5年未満の方
(2)個人事業を開始したのち、新たに会社を設立した方が、事業の譲渡により事業の全部又は一部を当該会社に承継させる場合に、個人事業を開始して5年未満の方
3.事業を継続している会社により新たに設立(分社化)された会社で、設立の日から5年未満の方(事業を継続しつつ、新たに市内で会社を設立(分社化)する方を含む)
資金使途 設備資金および運転資金
融資額 3,500万円以内
金利 固定金利:19%以内
※特定創業支援等事業の支援を受けた方など一部1.5%以内
返済期間 設備・運転資金ともに10年以内
担保 原則不要

※条件は2023年1月現在のもので、今後変わる可能性があります
【参考:創業おうえん資金ー横浜市

せんせい
せんせい
自分の住んでいる自治体でもこうした支援はあるはずだよ。「〇〇県 信用保証協会の再挑戦支援制度」などで検索してみよう!

ただし、各支援制度にはそれぞれ審査があって必ず利用できるわけではないから、あくまでも参考ね。

クラウドファンディング

せんせい
せんせい
また、公的な資金援助以外では、クラウドファンディングで資金を集める方法があるね。

メリットとデメリットを簡単に紹介すると、こんな感じ。

クラウドファンディング
メリット

  • 不確実な事業でも資金を調達できる可能性がある
  • 支援者に対するリターンを金銭以外に設定できる
  • 出資を募る段階で募る側の料金は発生しない

デメリット

  • アイデアを盗まれる可能性がある
  • 資金が集まらない可能性がある
  • プロジェクトが頓挫すると信用を失うおそれがある
一長一短って感じですね…。手軽に始められるイメージでしたけど、その分リスクが大きそうだ…。
さいむくん
さいむくん
せんせい
せんせい
そうだね。それに、クラウドファンディングは成功率が高くないんだ。

2019年に全世界で行われたクラウドファンディングのうち、成功したのは約22%(クラウドファンディング(購入型)の 動向整理) 。

さいむくんのいう通り手軽に始められるけど、あまりおすすめはできないんだ。

起業している人が自己破産する際の注意点

せんせい
せんせい
それでは最後に、すでに起業している人が自己破産をする際の注意点を解説するよ。

法人の場合は代表者も自己破産することに

せんせい
せんせい
代表者が法人の借金の連帯保証人になっている場合は、法人が自己破産をすると、残りの借金が一括で代表者に請求されることになる。

連帯保証人は、債務者本人と同じ責任を負うから。

だから、一括で請求された借金を代表者が払えなかったら、必然的に代表者も自己破産しないといけないんだ。

法人の破産なら、残りの借金が高額になってもおかしくありません。

代表者の自己破産は避けられない可能性が高いですね。

ともだち
ともだち

管財事件になるので費用も多くかかる

せんせい
せんせい
また、一括請求された法人の借金を自己破産する場合でも管財事件になる可能性があるんだ。
管財事件ってなんですか?
さいむくん
さいむくん
せんせい
せんせい
自己破産の手続きの1つだよ。
同時廃止事件 財産が少ないなど財産調査が不要な場合に行う手続き
管財事件 財産や債権者が多い、財産調査が必要な場合に行う手続き
法人や代表者の自己破産で行われる場合が多い
少額管財事件 管財事件と同じ条件であるものの、弁護士が申し立てた場合に行われる手続き
個人の自己破産で行われる場合が多い
自己破産は、借金の返済義務をなくす代わりに、一定の財産があると、債権者に分配するんだ。

財産が多いと破産管財人(はさんかんざいにん)という弁護士が選ばれて、財産の調査を行う。

この人の報酬もかかるから、手続きの費用も高額になるんだ。

せんせい
せんせい

自己破産で手続きにかかる費用

手続き 費用
同時廃止 裁判所費用:1~5万円
弁護士費用:40~45万円
少額管財 裁判所費用:20万円(東京地裁の場合)
弁護士費用:45~50万円
管財事件 裁判所費用:50万円~
弁護士費用:45~50万円
せんせい
せんせい
管財事件は、以下のような状況だと選択される可能性が高いんだ。
  • 負債総額が5,000万円以上
  • 債権者数が300人以上
法人や代表者なら、当てはまっていても不思議ではありませんね。
ともだち
ともだち
せんせい
せんせい
そうだね。管財事件となると裁判所費用も負債総額に左右されるから注意しよう。東京地裁の場合はこんな感じだよ。

管財事件で必要な裁判所費用

負債総額 法人 個人
5,000万円未満 70万円 50万円
5000万円~1億未満 100万円 80万円
1億~5億未満 200万円 150万円
5億~10億未満 300万円 250万円
10億~50億未満 400万円
50億~100億未満 500万円
100億~ 700万円
ひえ…法人ともなると規模も違うんですね…。
さいむくん
さいむくん

会社の在庫や備品は勝手に処分しない

せんせい
せんせい
自己破産をする際は、会社の在庫や備品を勝手に処分しちゃダメだよ。

自己破産では、会社の在庫や備品は、破産管財人が売却して、売却代金を債権者に分配しないといけない。

もし破産管財人の許可なく勝手に処分してしまうと、最悪、自己破産が認められない可能性があるんだ。

財産隠しを疑われてしまうからね。自己破産のルールをまとめた破産法では、財産隠しを禁止しているんだよ。

(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
【引用:破産法第253条第1項第1号ーe-Gov法令検索

もし、以下のような事情があって保管が難しい場合には、早めに弁護士に相談しよう。

早めに相談すれば、なにか解決策が残っているかもしれないよ。

せんせい
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まとめ

ともだち
ともだち
今回の解説をまとめてみましょう!
まとめ
  • 自己破産後の起業は可能!
  • 資金調達は困難になる可能性がある
  • 初期費用を抑えられる業種で起業するのも選択肢の1つ
  • 公的な資金援助では審査が必須
自己破産で借金を清算したら起業したい!と夢を持つのはいいことだね。

今回の解説でもあげたように注意点はいろいろあるけど、起業そのものは禁止されていないからね。

自己破産は弁護士に依頼して行うのがベストだけど、破産の相談の際に「起業したい」といってみてもいいんじゃないかな。

起業するというゴールに向かって何をどうしたらいいか、一緒に考えてくれるかもしれないよ。

また、法律事務所の多くは、自己破産などの相談を無料で受け付けているそうなんだ。ひとりで考えるのに疲れてなくても、検討してみてね。

せんせい
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著者情報

この記事の監修者
赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

監修者の詳細なプロフィール
この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。

20代後半に作ってしまった借金100万円を自力で完済した。

筆者の詳細なプロフィール