自己破産

個人事業主は自己破産できる?事業を継続できるのかについても解説!

さいむくん
さいむくん
脱サラして事業をはじめたはいいものの、コロナショックで借金まみれになってしまった…。

いっそ自己破産してやり直そうかなあ。

だけど、事業はできれば続けたいし、どうしたらいいものか…。

おやおや、大変そうだね。

たしかに、自己破産をすれば借金は全部チャラにできるけど、事業への影響ってどうなんだろうね。

そうだ、借金問題に詳しい先生のところに聞きにいこうか!

ともだち
ともだち

自己破産とは、法律の力を使って借金を減額する「債務整理」のうちの1つ。

自己破産をすれば、ほぼすべての借金の返済義務を帳消しにできます。

ただし、その代わりに高価な財産を没収されたり、ローンが組めなくなるなどのリスクもつきもの。

自己破産後も事業を継続していくのはなかなか難しいのが現実です。

借金問題を解決しながら、事業を継続していきたい場合にはどうすればいいか、この記事を読めば丸わかりです!

この記事では以下の3点を中心に詳しく解説していきます!

  • 自己破産後に事業を継続するのが難しい理由
  • 個人事業主が自己破産する際の注意点(買掛金・売掛金の扱い)
  • 自己破産以外の借金解決方法とは

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この記事の内容
  1. 自己破産後も事業を継続するのは難しい
  2. 自己破産後も事業を継続しやすい業種
  3. 自己破産後も事業を継続するための対策
  4. 自己破産における売掛金・買掛金の扱い
  5. 個人事業主の自己破産は複雑な「管財事件」となるのが一般的
  6. 自己破産をしたあとに再度の開業は可能!
  7. 個人事業主が自己破産をする際の注意点
  8. 借金に悩まされている事業主の方は弁護士に相談しよう
  9. まとめ

自己破産後も事業を継続するのは難しい

せんせい
せんせい
結論からいうと、自己破産をした後も事業を継続していくのは非常に困難だね。

その理由としては、以下の4つがあげられるかな。

  • 事業で必要になる設備や在庫が没収されてしまう
  • 事業に必要な契約が解除されてしまう
  • 追加の融資が受けられなくなる
  • 事業そのものが処分される可能性もある

事業で必要になる設備や在庫が没収されてしまう

せんせい
せんせい
まず、個人事業主の自己破産は「管財事件」と呼ばれる手続きで進められるのが一般的なんだ。
管財事件とは

自己破産の手続きの一種。破産者の財産について詳細な調査が必要な場合に管財事件となる。

管財事件については、このあと「個人事業主の自己破産は複雑な「管財事件」となるのが一般的」で詳しく教えるね。

簡潔にいえば、返済義務がなくなる代わりに、価値のある財産が没収されて、債権者に分配されてしまうのが管財事件なのさ。

その際に、事業のために使っていた設備や在庫などはほぼすべて没収対象になる。

たとえば個人事業主のカメラマンなんかは、高級な機材も借金の肩代わりとして奪われてしまうってわけ。

これが、自己破産をした個人事業主が事業を継続するのが難しい一番の理由だね。

せんせい
せんせい

事業に必要な契約が解除されてしまう

せんせい
せんせい
管財事件の手続きの中では、生活に必要最低限な契約(携帯電話・水道光熱費・賃貸など)をのぞいて、契約関係も原則として解約するんだ(破産法53条・民法631条など)。

事業のために契約していた数々の契約も、解約することになるのさ。

自己破産で解約する契約

  • 事務所の賃貸契約(住居兼用の場合は除く)
  • 従業員との雇用契約
  • 事業用の設備や機材などのリース契約
従業員との雇用契約も解約されてしまうんですね!

たしかに、これだけ契約を解約されてしまったら、事業を続けるのは難しそうだ…。

ともだち
ともだち

追加の融資が受けられなくなる

せんせい
せんせい
事業主の多くは、銀行などからまとまったお金を借りて事業を行っているよね。

だけど、一度自己破産をしてしまうと、その後しばらくは追加の融資も受けられなくなってしまうんだ。

これには、「ブラックリスト」と呼ばれるものが関係しているね。

ブラックリストとは

個人のお金の貸し借りに関する情報が記録されている信用情報機関に、自己破産などの事故情報が載っている状態。

銀行や貸金業者などは、ローン契約の審査の際に信用情報機関に問い合わせを行う。

そのときに自己破産をした過去がバレてしまって、「返済能力がない」と判断されて融資を断られてしまうんだ。

せんせい
せんせい
ともだち
ともだち
自己破産をするほどお金に困っている状態だったら、手元にあるお金だけで事業を回すのは非現実的。

銀行などからお金が借りられなかったら、事業の継続は難しいですね。

事業そのものが処分される可能性もある

せんせい
せんせい
事業そのものに価値があると判断された場合には、事業自体が譲渡などの形で処分される可能性もあるんだ。

個人事業主が自己破産をすると、事業そのものが借金の肩代わりとして売却されるケースもある。

事業が売却されると、もちろん破産者本人の権限は何もなくなってしまうから、事業の継続はできないってことだね。

自己破産後も事業を継続しやすい業種

さいむくん
さいむくん
自己破産をするとほとんどの事業は潰さないといけなさそうですね…。

でも、場合によっては続けられるときもあるのかな?

そうだね。先ほど話した通り、自己破産をすると事業を続けるために必要なものが多く奪われてしまう。

逆にいえば、自己破産で失うものをそもそも使っていない事業であれば、自己破産をしても続けられる可能性があるのさ。

せんせい
せんせい

自己破産後も続けられる可能性がある事業

  • 自宅で仕事をおこなっている(事務所を契約していない)
  • 従業員の雇用や外注をおこなっていない
  • 高価な機械や設備を必要としていない
  • 在庫商品を抱える必要がない
ともだち
ともだち
なるほど。具体的にはこんな業種ですかね。
  • デザイナー、エンジニア、ライター
  • モデル、ホステス
  • 運んだ荷物の量に応じて収入が決まるドライバー
  • 作業した日数に応じて収入が決まる建築作業員

自己破産後も事業を継続するための対策

さいむくん
さいむくん
自己破産後も事業を継続しやすい業種」に当てはまらない人でもどうにか事業を続ける方法はないですかね?
そうだね…。現実的には厳しいけど、絶対にムリってわけではないね!

具体的には以下のような対策が考えられるかな!

せんせい
せんせい
  • 事業に必要なものを差押禁止財産として認めてもらう
  • 自由財産の拡張を認めてもらう
  • 自己破産以外の債務整理を検討する

事業に必要なものを差押禁止財産として認めてもらう

せんせい
せんせい
自己破産後も事業を続けるために一番いい方法は、事業に必要なものを「差押禁止財産」として認めてもらうことだね。

差押禁止財産とは、その名の通り差し押さえが禁止されている財産。

自己破産をしても差し押さえをしてはいけないものが民事執行法で細かく決められているんだ。

(差押禁止動産)
第百三十一条 次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。

〜中略〜

 主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
 主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物
 技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
【引用:民事執行法第131条 – e-Gov法令検索

う〜ん、この条文だけ読むと、差し押さえ禁止財産には業務に必要なものも含まれてますよね。

だったら、個人事業主が自己破産をしても、設備とか在庫はそのまま残せそうですけど…。

さいむくん
さいむくん
せんせい
せんせい
うん、たしかにその意見ももっともなんだけど、実際には多くの場合で事業に使っていた設備や在庫は没収されてしまうんだ。

どこまでが差押禁止財産と認めてもらえるかは、あくまで裁判所の判断による。

事業に使っていたものを差押禁止財産と理解してもらうためには高度な法律知識が必要になってくるから、弁護士に相談をするのがベストだよ。

自由財産の拡張を認めてもらう

せんせい
せんせい
さきほど話した差押禁止財産は、自由財産の一部なんだ。
自由財産とは

自己破産をしたあとも手元に残せる財産のこと。以下のものが含まれる。

  • 差押禁止財産(民事執行法により規定)
  • 新得財産(破産手続き開始後に得た財産)
  • 99万円以下の現金
  • 20万円以下の預貯金・有価証券など
差押禁止財産の他にも、これらのものは自己破産後に手元に残せることになっている。

ただし、例外として「自由財産の拡張」が認められる場合もあるんだ。

自由財産の拡張が認められた財産については、破産後も没収されずに手元に残せるのさ。

自由財産の拡張が認められるかどうかは、以下のような判断基準によるね。

せんせい
せんせい
  • 債務者の経済的な立て直しのために必要なものであるかどうか
  • 自由財産の拡張を認めてもいい範囲の値段のものかどうか

自己破産以外の債務整理を検討する

せんせい
せんせい
自己破産をすると、事業に必要なものが奪われてしまうのは事実。

ただし、借金トラブルを解決する手段は、自己破産だけではないんだ。

自己破産というのは、法律の力を使って借金を減額する「債務整理」という手続きのうちの1つ。

債務整理の中には、自己破産以外にも「任意整理」「個人再生」というものが含まれるんだよ。

任意整理 債権者と直接交渉して将来かかる利息をカットする
個人再生 裁判所に申し立てをして借金を最大で10分の1まで減額する
任意整理や個人再生であれば、返済義務は残るものの、自己破産のように財産が没収される心配もない。

借金の状況によっては、自己破産よりもこれらの手段の方が適している可能性があるのさ。

ただし、任意整理や個人再生の場合でも、ブラックリストになることは避けられない。

結局新たな借入などはできなくなってしまうから、それでも事業が続けられるのかどうかは弁護士ともよく相談するべきだよ。

せんせい
せんせい

自己破産における売掛金・買掛金の扱い

せんせい
せんせい
事業主の多くが売掛金・買掛金を扱っているよね。

自営業者が自己破産をした場合には、売掛金・買掛金の扱いにも注意が必要なのさ。

売掛金|発生したタイミングにより異なる

せんせい
せんせい
売掛金は、発生したタイミングによって回収対象となるかどうかが変わってくるんだ。

特に気をつけるべきなのは、破産手続きの開始決定をまたぐ場合には没収の対象になるということだね。

仕事のタイミング 回収のタイミング 売掛金の扱い
破産手続き開始決定前 破産手続き開始決定前 ・現金または預貯金という扱いになるため一定額までは手元に残せる
破産手続き開始決定前 破産手続き開始決定後 没収の対象になる
破産手続き開始決定後 破産手続き開始決定後 ・新得財産の扱いになるため手元に残せる
わかりやすく例をあげると以下のような感じだね。
せんせい
せんせい

4月15日に破産手続き開始が決定したケース

  • 3月20日に売掛金が発生、4月10日に回収…手元に残せる
  • 4月5日に売掛金が発生、4月20日に回収…開始手続きをまたぐため没収
  • 4月25日に売掛金が発生、4月30日に回収…手元に残せる
せんせい
せんせい
とはいっても、売掛金は個人事業主にとっては給料のようなものだよね。

失ったら生活が困難になる場合などでは、「自由財産の拡張」が認められて手元に残せる可能性もあるよ。

買掛金|破産した時点で支払義務がなくなる

せんせい
せんせい
買掛金とは、未払いの仕入れ代金のこと。

言ってしまえば取引先への借金だから、自己破産によって支払義務がなくなってしまうんだ。

自己破産の手続きを開始した時点で担当の弁護士が取引先にも受任通知を送るから、経営破綻が知られてしまうことになるね。

ええ、それは嫌だなあ。

自己破産をしたことは知られたくないから、取引先の買掛金だけ先に払っておくっていうのはアリですか?

さいむくん
さいむくん
せんせい
せんせい
それは絶対にダメ!

自己破産においては、すべての債権者を平等に扱わなくてはいけないと破産法で決められているんだ。

取引先だけを優先して返済するような行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と呼ばれて、自己破産におけるタブー行為なんだよ。

もし偏頗弁済をしてしまったら、自己破産自体が認められなくなる恐れもあるから気をつけてね!

(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。

〜中略〜

 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
【引用:破産法第252条 – e-Gov法令検索

取引先に迷惑をかけたくないのなら、他の債務整理を検討するのも1つだね。いずれにしても弁護士に相談したほうが確実だよ!
せんせい
せんせい

個人事業主の自己破産は複雑な「管財事件」となるのが一般的

せんせい
せんせい
実は、一口に自己破産といっても大きく分けて「同時廃止事件」と「管財事件」の2つに分けられる。

個人事業主が自己破産をするときは、費用や手間などの負担が大きくなる「管財事件」として扱われるのがほとんどなんだ。

管財事件
  • 破産者の財産が多く、債権者への配分が必要な場合などの手続き。
  • 裁判所が選出した弁護士が、破産管財人(はさんかんざいにん)として破産者の財産を調査・管理を行う。
同時廃止事件
  • 破産者の財産が少なく、債権者に配分する財産がない場合の手続き。
  • 破産手続きが開始してすぐに終了するため、管財事件と比べて費用も時間もかからない。
管財事件になると、帳消しになる借金の穴埋めのために、破産者の財産が債権者へと配分される。

その調査のために、破産管財人を雇う必要があるんだ。

結果として、同時廃止事件に比べて費用や時間も大きくかかってしまうのさ。

せんせい
せんせい
同時廃止事件 管財事件
弁護士費用 40~45万円 45~50万円
裁判所に納める費用 1~3万円 50万円~
※破産管財人への報酬含む
総額 40~50万円 95万円~

管財事件になりやすい理由

さいむくん
さいむくん
管財事件って、要するに財産が多い人が自己破産をする場合ですよね?

個人事業主だからといって、借金で焦げつきまくってほとんど財産がないような人もいると思うんですけど…。

どうしてそういう人でも管財事件になってしまうんですか?

それはズバリ、個人事業主が自己破産をするときには財産の厳格な調査が必要になるからだね。

個人事業主は、通常のサラリーマンのように、会社から給料をもらって生活をしているわけではないよね?

いろんな取引先とのお金のやりとりもあるし、どこかにお金を隠していないか詳細に調査する必要がある。

それに加えて、事業に使っている設備や機械も、財産価値を判断するのが難しい。

そういった理由から、個人事業主が自己破産をするときには、破産手続きの専門家である弁護士が破産管財人として詳細に財産を調べる必要があるのさ。

せんせい
せんせい

一社としか取引がない場合には同時廃止となる可能性もある

せんせい
せんせい
ただし、もちろん例外もある。

個人事業主という形態で仕事をしていたとしても、一社のみとしか取引がない場合(一社専従)だと同時廃止として自己破産が進められる可能性もあるよ。

なるほど。一社としか取引がない場合には、その会社から給料をもらっているようなものですもんね。
ともだち
ともだち
せんせい
せんせい
そういうこと。それ以外にも、あまりに財産が少ないと認められる場合にも、同時廃止事件となる可能性もある。

実際にどうなるかは、弁護士に相談してみないとわからないのが正直なところかな。

自己破産をしたあとに再度の開業は可能!

さいむくん
さいむくん
う〜ん。色々聞いていると、自己破産をしたあとも事業を続けるっていうのは難しそうだ。

でも、自己破産をして借金をチャラにできたら、そのあとまた新しく事業を始めるのは問題ないですよね?

もちろんだよ。ブラックリストになるなど多少のハンデはあるけれど、自己破産後でも新しく開業するのは可能なのさ。
せんせい
せんせい

自己破産をしたこと自体は開業には影響しない

せんせい
せんせい
実は、自己破産の手続き中は、弁護士・司法書士などの士業をはじめとした一部の職業について資格制限があるんだ。

ただし、自己破産が終わって無事に借金の返済義務が帳消しとなれば、そのような資格制限などの法律上の縛りも一切なくなる。

自由に起業ができるようになるってわけさ。

でも、ブラックリストに登録されたままだからお金の借入はできないですよね?
ともだち
ともだち
せんせい
せんせい
そうだね。自己破産をした事実は、5~7年の間は信用情報機関に記録されてしまう(ブラックリスト)。

ブラックリストに登録された状態では、貸金業者などからの借入はもちろんのこと、事業者向けの融資を受けることはほぼ不可能だよ。

元手が少なくても始められる事業をするなどの対策を取る必要があるね。

再挑戦支援資金を使えば事業のための資金調達もできる

せんせい
せんせい
自己破産後に開業したい人にオススメなのが、「再挑戦支援資金」だ。

再挑戦支援資金とは、その名の通り一度事業を畳んでしまった人のために貸付を行っている国の施策だ。

審査に通れば自己破産後でブラックリストに載っている人でも大口の資金を借りられるのさ。

利用条件 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方のうち、次のすべてに該当する方

  1. 廃業歴等を有する個人または廃業歴等を有する経営者が営む法人であること
  2. 廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込み等であること
  3. 廃業の理由・事情がやむを得ないもの等であること
資金の使い道 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
融資限度額 7,200万円以内(うち運転資金4,800万円)
返済期間
  • 設備資金…20年以内
  • 運転資金…15年以内

【引用:再挑戦支援資金 – 日本政策金融公庫

ただし、日本政策金融公庫のホームページにも記載がある通り、「適正な事業計画を策定していて、事業を遂行する能力が十分にある」と認められる必要があるよ。
せんせい
せんせい

破産から5~7年が経過すれば銀行などからの借入もできる

せんせい
せんせい
もちろん、ブラックリストが解消されるだけの期間が経過すれば、銀行などからの融資を受けることも可能だ。

新たに開業したい場合には、ブラックリストが解消されるまでは資金を貯めるなどをしておくのが無難といえるかな。

個人事業主が自己破産をする際の注意点

せんせい
せんせい
これまで紹介してきた通り、個人事業主と一般のサラリーマンとでは、自己破産の手続きも少し変わってくる。

ここで、個人事業主が自己破産をする際の注意点をあげておこう。

家族経営の場合は実態を厳しく調査される

せんせい
せんせい
個人事業主のなかでも、家族経営をしている人の場合は財産の調査が厳しくなるよ。

家族経営の人は、以下のような違法行為が疑われやすいんだ。

  • 労働実態のない家族を従業員としている
  • 不当に高額な給与を払っている
ああ、どちらも税金対策のためにやってるっていう人を聞いたことありますね。
ともだち
ともだち
せんせい
せんせい
そうなんだよね。これまでは発覚しなかったとしても、自己破産をするとなると話は別。

破産管財人や裁判所は、家族経営の実態を重点的に調査するから、隠していた違法行為がバレてしまう恐れもあるね。

そうなると、自己破産が認められないだけではなく罪に問われる可能性もあるのさ。

家や車などの財産を失ってしまう

せんせい
せんせい
自己破産をすると、自由財産以外の財産はすべて没収されることになる。

持ち家や車などの高価な財産は、ほぼ確実に失うことになってしまうね。

連帯保証人・保証人が借金を負ってしまう

せんせい
せんせい
自己破産をする際に、連帯保証人・保証人がついている借金がある場合は要注意!

自己破産をすると、連帯保証人・保証人が借金の残額を一括請求されてしまうんだ。

保証人は借金の人質みたいなものだから、本人が返済できなかったら代わりに払わなければいけないのは当然ですね…。

だけど、一括請求はあまりにひどくないですか?

ともだち
ともだち
せんせい
せんせい
その意見ももっともだ。だけど、残念ながらほとんどの場合は一括請求を避けられないよ。

なぜなら、借金の契約書には「自己破産などをすると期限の利益を喪失する」とほぼ確実に書かれているからだね。

期限の利益とは

指定された期限まで、支払いを待ってもらえるという債務者にとっての権利のこと。分割払いは期限の利益があることによって成り立っている。

期限の利益を失った債務者は、一括請求されてしまう。

つまりこの場合は、債務者の自己破産によって借金の肩代わりをすることになった保証人が一括請求を受けてしまうのさ。

せんせい
せんせい

借金に悩まされている事業主の方は弁護士に相談しよう

せんせい
せんせい
これまで色々と話してきたけれど、借金に悩まされているのであれば一刻も早く弁護士に相談するべきだよ!

自己破産以外の債務整理が適している場合もある

せんせい
せんせい
もう一度、自己破産を含めた3つの債務整理の特徴をおさらいしておこうか。
手続き名 特徴
任意整理
  • 債権者に直接交渉して、将来利息をカットする
  • 減額後の借金は3~5年で完済する必要あり
  • 整理対象の借金を選べるため、保証人に迷惑をかけないで済む
  • 家や車などの財産もすべて手元に残せる
個人再生
  • 借金を最大で10分の1にまで減額する
  • 減額後の借金は原則3年で完済する必要あり
  • 住宅ローン特則を使えば持ち家を残しながら借金を大幅に減額できる
自己破産
  • すべての借金の返済義務を帳消しにする
  • 価値のある財産は没収されてしまう
  • 手続き中は一部の職業において資格制限を受ける
やっぱり自己破産はすごいけど、その分リスクも気になりますね…。
さいむくん
さいむくん
せんせい
せんせい
そうだね。借金があるからといって、本当に自己破産をするべきかというのはその人の希望や収入状況・借金の総額によってまったく異なるのさ。

どの手続きを選ぶべきか判断をするには、借金トラブルの専門家である弁護士に相談するのがベスト。

債務整理に強い弁護士であれば、これまでに何百人という人の借金問題を解決してきてる。

きっと一人一人にあった解決法を提案してくれるはずだよ。

借金問題に関する相談は無料でできる

さいむくん
さいむくん
でも、弁護士ってお金かかりますよね?

相談ですら1時間いくらとか聞いたことあるし…ちょっと億劫だな…。

その心配は無用だ!

実は、借金問題に関する相談は無料で受け付けている弁護士事務所が多いんだよ。

借金に悩まされている人は相談料を工面するのも大変だということくらい、弁護士ならみんなお見通し。

まずは相談してみて、実際に債務整理を依頼するか決めればいいんだよ。

せんせい
せんせい
ともだち
ともだち
それに、今はLINEから匿名で気軽に相談できる窓口を設置している事務所もありますよね。

借金は放っておいても利息が膨らんでいくばかりで絶対に解決しない。

さいむくんも、うだうだ悩んでないでまずは相談してみなよ!

まとめ

ともだち
ともだち
今日のお話をまとめてみました!
今日のまとめ
  • 自己破産後も事業を継続するのは困難
  • 個人事業主が自己破産をするときには、複雑な管財事件になる可能性が高いのではじめから弁護士に依頼するべき
  • 自己破産後に開業するのは可能だが、融資を受けるのには制限がある
  • 自己破産以外にも借金トラブルの解決法はあるから、まずは弁護士に相談するべき

う〜ん、やっぱり自己破産をしたあとも事業を続けたいっていうのは無謀みたいですね…。

まずは弁護士に相談してみて、借金を解決してから次のステップに進むとするか…。

さいむくん
さいむくん
弁護士に相談することで
借金を大幅に減らせる可能性があります。
催促の電話を止めたい
毎月の返済額を減らしたい
返済するのが難しくなった
過払い金があるのか気になる

まずは借金問題の解決実績が豊富な
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著者情報

この記事の監修者
赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

監修者の詳細なプロフィール
この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。

20代後半に作ってしまった借金100万円を自力で完済した。

筆者の詳細なプロフィール