目次
セルソースの概要
セルソースの基本情報
はじめにセルソース株式会社の基本情報を紹介します。上場日は2019年10月28日、市場はマザーズ、想定時価総額は43.8億円、上場時の時価総額は115.6億円でした。
会社名 | セルソース株式会社 |
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設立日 | 2015年11月30日 |
上場日 | 2019年10月28日(承認日:2019年9月19日) |
市場 | マザーズ |
証券コード | 4880 |
業種 | 医薬品 |
決算期 | 7月 |
ホームページアドレス | https://www.cellsource.co.jp/ |
発行済株式総数 | 1,440,000 株(2019 年 9 月 19 日現在) |
上場時発行済株式総数 | 1,920,000 株 ※公募分を含む。 |
公募株数 | 480,000 株 |
想定価格 | 2,280円 |
想定時価総額 | 43.8億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算) |
初値 | 6,020円 |
上場時時価総額 | 115.6億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算) |
時価総額 | 628.5億(2020年9月28日現在) |
資本金 | 90,000 千円(2019 年 9 月 19 日現在) |
1単元の株式数 | 100株 |
監査人 | EY 新日本有限責任監査法人 |
主幹事証券会社 | みずほ証券 |
引受幹事証券会社 | 野村證券 SMBC日興証券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 SBI証券 |
セルソースの沿革
セルソース株式会社は、2015年に医師である山川雅之によって設立されました。 再生医療分野の領域で事業を拡大し続け、2019年10月に東証マザーズへ上場しています。
2015年11月 | 東京都港区西麻布に再生医療支援を事業目的としたセルソース株式会社(資本金90百万円)を設立 |
2016年3月 | 東京都渋谷区渋谷に「再生医療センター」として、CPC(Cell Processing Center)を開設 「FatBankサービス」及び「血液由来加工受託サービス」を開始 |
2016年4月 | 「美顔器の仕入販売」を開始 |
2016年5月 | Medikan Co., Ltdと同社医療機器製品の日本国内独占販売契約を締結 |
2016年6月 | 「医療機器製造業許可」並びに「第三種医療機器製造販売業許可」を取得 |
2016年8月 | 「医療機器販売」を開始 「化粧品製造販売業認可」を取得 |
2017年2月 | 「再生医療センター」において、「特定細胞加工物製造許可」を取得 |
2017年5月 | 「脂肪由来幹細胞加工受託サービス」を開始 「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に即した医療の提供を支援する「再生医療等法規対応サポートサービス」を全面提供開始 |
2017年7月 | 化粧品「シグナリフト」ブランドの美容液「エクストラエンリッチ」の直販を開始 |
2018年1月 | 「高度管理医療機器等販売業許可」を取得 |
2018年8月 | 多血小板血漿(PRP)を加工し長期保管を可能にするPFCフリーズドライ製法の特許取得 |
2018年11月 | 東京都渋谷区渋谷に本社を移転 化粧品「シグナリフト」ブランドの保湿クリーム「エンリッチクリーム」の販売を開始 |
2019年4月 | 化粧品「シグナリフト」ブランドの洗顔料「ジェリーウォッシュ」の販売を開始 |
2019年6月 | 国立大学法人大阪大学と、エクソソームを含む細胞分泌物を用いる治療法確立を目的とした「共同研究契約」を締結 |
2019年10月 | 東京証券取引所マザーズ市場に上場 |
2019年11月 | 住商ファーマインターナショナル株式会社と「脂肪由来幹細胞の分譲に関する契約」を締結し研究用途での提供を開始 |
セルソースの事業内容
セルソースは、「すべての人生に、再生医療を。」をミッションとして掲げ、「再生医療」を軸とした複数の事業を運営する企業です。 セルソースでは、再生医療に関連したサービスを、医療機関向けに提供する「再生医療関連事業」と、一般消費者に向けて提供する「コンシューマー事業」の2つのセグメントに事業領域が分割して事業運営を行っています。 以下は、それぞれの事業セグメントの事業系統を表した図です。
- 「再生医療関連事業」
- 「コンシューマー事業」
① 再生医療関連事業
「再生医療関連事業」は、医療機関を顧客とした再生医療関連のサービスを提供する事業セグメントです。 この事業セグメントで提供されるサービスは、「脂肪・血液由来の組織・細胞の加工受託サービス」「コンサルティングサービス」「医療機器販売」の3つのサービスに分割されます。
- 「脂肪・血液由来の組織・細胞の加工受託サービス」
「脂肪・血液由来の組織・細胞の加工受託サービス」は、医療機関から加工を委託された脂肪や血液に加工処理を行うサービスです。 処理された脂肪や血液は長期保存が可能になり、主に変形性膝関節症などの治療に使用されます。 また、この加工受託サービスの一部として「FatBankサービス」という患者から採取された脂肪をセルソースにおいて長期間保管するサービスも運用されています。 「FatBankサービス」の利用によって、医療機関は患者から都度脂肪を採取する必要がなくなるため患者や医療機関は、その分の負担を軽減させることが可能となります。 - コンサルティングサービス
「コンサルティングサービス」は、再生医療を行う医療機関からの委託を受けて、医療機関が患者に再生医療を提供する際に必要である申請・届出に関わる書類作成のサポートを行うサービスです。 再生医療を行う際、医療機関は省庁などの公的機関に対して手続きを行う必要がありますが、そのような手続きで発生する書類作成の支援や助言がこの部門では行われています。 さらに、「コンサルティングサービス」では、医療機関に対して、KPI(重要業績評価指標)による経営管理手法や人材マネジメント手法の導入についての助言を行う経営アドバイザーとしてもサービスも提供しています。 - 医療機器販売
「医療機器販売」サービスでは、医療機関の円滑な再生医療の提供を支援することを目的として、医療機関に対して、患者から血液及び脂肪等の組織を採取するために必要な医療機器の販売が行われており、セルソースは、世界的に販売実績のある医療機器メーカーのMedikan Co., Ltdと国内販売独占契約を締結しています。
② コンシューマー事業
「コンシューマー事業」は、セルソースが所有する再生医療センターでの脂肪由来幹細胞の研究に基づき開発された一般消費者向けの化粧品や美顔器の製造販売を行う事業セグメントです。 化粧品ブランド「シグナリフト」の美容液「エクストラエンリッチ」、クリーム「エンリッチクリーム」、洗顔ジェル「ジェリーウォッシュ」などが主要な商品として消費者に提供されています。 なお、販売手法としては、自社Webサイトによる通信販売、インターネットショップや医療機関・ドラッグストアなど店舗への卸売販売が採用されています。
有価証券報告書情報
連結の経営指標(過去3期分)
第4期の業績は以下の通りです。
- 売上高:16.1億円(前年比+32.9%)
- 経常利益:3.0億円(前年比+3.0%)
- 当期純利益:2.0億円(前年比+3.0%)
期 | 第2期 | 第3期 | 第4期 |
決算年月 | 2017年10月 | 2018年10月 | 2019年10月 |
売上高(千円) | 519,062 | 1,212,730 | 1,611,587 |
経常利益(千円) | 158,840 | 294,549 | 303,346 |
当期純利益(千円) | 111,400 | 193,400 | 199,606 |
純資産額(千円) | 207,848 | 401,249 | 1,607,703 |
総資産額(千円) | 327,420 | 697,012 | 1,842,242 |
自己資本比率 | 63.5% | 57.6% | 87.3% |
営業キャッシュフロー(千円) | 109,942 | 213,967 | 195,287 |
投資キャッシュフロー(千円) | △25,516 | △90,723 | △107,871 |
財務キャッシュフロー(千円) | – | – | 993,198 |
現金・現金同等物の期末残高(千円) | 129,693 | 252,937 | 1,333,551 |
従業員数 | 13人 | 39人 | 58人 |
経営指標(過去4期分)
創業以来、過去4期の業績を見ると、売上、利益とも右肩上がりで推移していることがわかります。 過去4期は、どのタームも黒字で計上されており、売上は3年間で約12倍に成長、利益に関しては30倍以上の成長となっています。 なお、下記の経営指標に関する主な注釈は以下の通りです。
- 2016年12月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を実施。
- 2018年5月10日付で普通株式1株につき2株の株式分割を実施。
-
2019年4月1日付で普通株式1株につき200株の株式分割を実施。
期 | 第1期 | 第2期 | 第3期 | 第4期 |
決算年月 | 2016年10月 | 2017年10月 | 2018年10月 | 2019年10月 |
売上高(千円) | 139,504 | 519,062 | 1,212,730 | 1,611,587 |
経常利益(千円) | 8,300 | 158,840 | 294,549 | 303,346 |
当期純利益(千円) | 6,447 | 111,400 | 193,400 | 199,606 |
資本金(千円) | 90,000 | 90,000 | 90,000 | 593,424 |
発行済株式総数 | 1,800 | 3,600 | 7,200 | 1,920,000 |
純資産額(千円) | 96,447 | 207,848 | 401,249 | 1,607,703 |
総資産額(千円) | 135,038 | 327,420 | 697,012 | 1,842,242 |
自己資本比率 | 71.4% | 63.5% | 57.6% | 87.3% |
従業員数 | 6人 | 13人 | 39人 | 58人 |
セグメント別業績
第4期のセグメント別業績は表の通りです。
法人を顧客とする再生医療関連事業が、コンシューマー事業の約3倍の売上となります。
また、コンシューマー事業が前年と比較して売上がマイナスとなる一方、再生医療関連事業は大きく数値を伸ばし、全体としては前年比プラス33%という結果となりました。
- 再生医療関連事業:74.4%
- コンシューマー事業:25.6%
指標 | 全体 | 再生医療関連事業 | コンシューマー事業 |
売上高(千円) | 1,611,587 | 1,199,407 | 412,180 |
売上高前年同期比 | +32.9% | +54.6% | △5.6% |
セルソースは、2019年11月に医薬・医療・創薬の支援事業を世界展開する住商ファーマインターナショナル株式会社(SPI)は、セルソースが培養・加工する、ヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞(脂肪由来幹細胞)の分譲に関する契約を締結しました。 これにより、SPIは、セルソースから分譲された脂肪由来幹細胞を、研究用途として国内外の大学等の研究機関や企業等に対し順次提供開始することになります。 また、以下はこの契約に関する詳細について執筆された記事です。
住商ファーマインターナショナルとの脂肪組織由来幹細胞の分譲契約締結に関する記事
上場時の株主構成
上位10位までの株主は、以下の通りです。
株主 | 所有株式数 | 比率 | ロックアップ |
山川 雅之 | 964,800 | 60.97% | 180日間 |
裙本 理人 | 304,000 | 19.21% | 180日間 |
シリアルインキュベート株式会社 | 211,200 | 13.35% | 180日間 |
金島 秀人 | 20,000 | 1.26% | 継続保有 |
花木 博彦 | 8,000 | 0.51% | 継続保有 |
雨宮 猛 | 8,000 | 0.51% | 継続保有 |
野崎 正郎 | 4,400 | 0.28% | 継続保有 |
株式会社GTM総研 | 4,000 | 0.25% | 継続保有 |
中村 憲正 | 4,000 | 0.25% | 継続保有 |
早川 宗一郎 | 3,200 | 0.20% | 継続保有 |
上場時(IPO)の募集・売出し情報
公募・売出し・調達額情報
公募価格は2,280円、吸収金額(調達額)は12.3億円とされています。 また初値は、6,020円となりました。
仮条件 | 2,180円 ~ 2,280円 |
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公募・売出価格 | 2,280円 |
想定価格 | 2,230円 |
初値 | 6,020円(公募価格比+164.0%) |
公募株数 | 480,000 株 |
売出株数 | 0 株 |
オーバーアロットメントによる売出し株数 | 72,000 株 |
吸収金額(調達額) | 12.3億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算) |