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【新規上場企業分析】ドラフトのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

ドラフトの概要

ドラフトの基本情報

はじめに株式会社ドラフトの基本情報を紹介します。 上場日は2020年3月17日、市場はマザーズ、想定時価総額は67.9億円、上場時の時価総額は54.6億円でした。

会社名 株式会社ドラフト
設立日 2008年4月1日
上場日 2020年3月17日(承認日:2020年2月12日)
市場 マザーズ
証券コード 5070
業種 建設業
決算期 3月
ホームページアドレス https://draft.co.jp/
発行済株式総数 3,750,000 株(2020年2月12日現在)
上場時発行済株式総数 4,470,000 株  ※公募分を含む。
公募株数 720,000 株
想定価格 1,520円
想定時価総額 67.9億円(※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 1,221円
上場時時価総額 54.6億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 55.0億円(2020年8月31日時点)
資本金 20,000 千円(2020年2月12日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 有限責任 あずさ監査法人
主幹事証券会社 SMBC日興証券
引受幹事証券会社 みずほ証券
SBI証券
野村證券
極東証券
いちよし証券

ドラフトの沿革

株式会社ドラフトは、2008年4月、東京都で創業しました。 ドラフトは、デザインを重視したオフィスのトータルコンサルティングを業務として運営し、2020年3月に東証マザーズへ上場しています。

2008年4月 東京都新宿区市谷左内町にオフィス内装事業を目的とした株式会社ドラフトを設立
2010年11月 東京都渋谷区神山町へ本社を移転
2012年4月 家具、インテリア用品等の企画・販売を目的とした株式会社ディーパブリックを子会社として設立 大阪府大阪市北区中之島に大阪支社を設置
2013年1月 東京都新宿区四谷へ本社を移転
2013年11月 3D画像等の製作を目的としたD-RAWRITE INC.(フィリピン)を子会社として設立(現 連結子会社)
2013年12月 中国での事業展開を目的とした独到装飾芝木設計(上海)有限公司(中国)を子会社として設立
2016年10月 東京都渋谷区神宮前へ本社を移転
2017年10月 オリジナルオフィス家具(ブランド名「201°」)の販売を開始
2018年2月 独到装飾芝木設計(上海)有限公司を清算
2018年3月 株式会社ディーパブリックを吸収合併
2018年5月 大阪府大阪市中央区南船場へ大阪支社を移転
2019年3月 東京都渋谷区神宮前に本社サテライトオフィスを設置
2020年3月 東証マザーズへ上場

ドラフトの事業内容

ドラフトは、 「ALL HAPPY BY DESIGN」を経営理念に掲げ、オフィスのデザインや設計、施工の管理などをトータルでコンサルティングする業務を運営する企業です。 ドラフトが行うオフィス設計の特徴は、「デザイン」が非常に重視されており、働く人々がより心地よく働けるようなオフィスをデザインすることに事業の軸が置かれている点です。

以下は、ドラフトとその子会社の事業系統を表した図です。

ドラフト事業系統

① 事業内容の詳細と特徴

ドラフトのオフィスコンサルティングサービスの基軸は「デザイン」です。

ただの作業場としてのオフィスではなく、ワーカー同士の協調を重視したい空間なのか、斬新なアイデアの創出を促したい空間なのか、外部に向けて会社のブランドを発信したい空間なのかなどをヒアリングして顧客の要望に沿ったデザインをしていくことがドラフトの事業の最大の特徴であるといえます。

ドラフトでは、約6割がデザイン部門に所属しており、代表取締役自らもデザインを行います。
天井を抜いて高さを出す、段差を活用して奥行きを出す、自然光の取り込みを工夫するといったデザイン設計を行うことで、顧客に対して独自の価値を提供し、オフィスそのものだけでなく、什器や植物などもトータルで選定することで、より一体感のあるオフィスをデザインしています。

ドラフトの業務は、オフィスの企画・設計から、建設プロジェクトの進捗管理やコスト管理、施工業者との調整まで行うことで、オフィス建設のフローにおける入口から出口まで一気通貫した形でのコンサルティングやマネジメントを行う業務フローとなっています。

ドラフト 事業系統

② 子会社の事業内容

ドラフトの連結子会社であるD-RAWRITE INC.は、フィリピンにおいて、ドラフトから発注された3Dイメージパースの製作を行っています。

3Dイメージパースとは、図面をもとに作成する立体型の完成予想画像であり、顧客と完成イメージを共有する上で非常に重要なツールです。

一方で、3Dイメージパースの製作には多大な時間と多くのコストが費やされます。 そこで、ドラフトでは、フィリピンの連結子会社D-RAWRITE INC.で、3Dイメージパースを内製しています。

フィリピンには優秀なエンジニアが多数存在しており、現地で3Dイメージパースを集中的に製作することで、ノウハウ・スキルの蓄積による品質の向上や、業務の効率化、コスト削減などが見込めることからです。

有価証券報告書情報

経営指標(過去3期分)

第12期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:60.4億円(前年比+28.6%)
  • 経常利益:4.6億円(前年比+26.9%)
  • 当期純利益:3.0億円(前年比+14.1%)
第10期 第11期 第12期
決算年月 2018年3月 2019年3月 2020年3月 
売上高(千円) 4,340,556 4,696,689 6,041,542
経常利益(千円) 247,023 365,754 464,043
当期純利益(千円) 172,939 260,692 297,513
純資産額(千円) 200,376 402,771 1,731,654
総資産額(千円) 1,871,825 2,171,653 4,571,602
自己資本比率 10.7% 18.5% 37.9%
営業キャッシュフロー(千円) 438,866 △106,344 △107,192
投資キャッシュフロー(千円) △44,727 △112,769 △10,525
財務キャッシュフロー(千円) 19,029 453,314 1,151,682
現金・現金同等物の期末残高(千円) 589,333 828,076 1,862,012
従業員数 94人 117人 144人

 

経営指標(過去5期分)

5期の業績を見ると、売上が4年で約2倍増加をしています。 また、利益に関しても、第9期に一時的にマイナスとなりましたが、その後は右肩上がりに伸長していることがわかります。 また、発行済株式総数の変異についての注釈は以下の通りです。

  • 2018年7月24日付で普通株式1株につき100株の割合で株式分割を実施。
  • 2019年11月29日付で普通株式1株につき50株の割合で株式分割を実施。
第8期 第9期 第10期 第11期 第12期
決算年月 2017年3月 2018年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月 
売上高(千円) 2,952,549 3,124,834 4,336,065 4,696,689 6,041,542
経常利益(千円) 141,623 △68,473 243,505 305,728 445,955
当期純利益(千円) 107,118 △79,184 158,312 217,286 282,875
資本金(千円) 20,000 20,000 20,000 20,000 543,296
発行済株式総数 750 750 750 75,000 4,470,000
純資産額(千円) 121,791 42,607 200,919 355,206 1,669,673
総資産額(千円) 1,160,482 1,153,856 1870,061 2,149,155 4,548,798
自己資本比率 10.5% 3.7% 10.7% 16.5% 36.7%
従業員数 56人 65人 75人 89人 116人

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
山下泰樹 2,750,000 69.90% 180日間
TDA株式会社 1,000,000 25.42% 180日間
長谷川幸司 19,000 0.48% 180日間
荒浪昌彦 15,000 0.38% 180日間
黒田直子 14,000 0.36% 180日間
那須俊貴 9,000 0.23% 継続保有
平野紗枝子 7,500 0.19% 継続保有
松永航 7,500 0.19% 継続保有
吉岡隆之 7,000 0.18% 継続保有
深澤伸行 6,000 0.15% 継続保有

 

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は1,580円、吸収金額(調達額)は21.4億円とされています。 また初値は、1,221円となりました。

仮条件 1,520円 ~ 1,580円
公募・売出価格 1,580円
想定価格 1,520円
初値 1,221円 (公募価格比△22.7%)
公募株数 720,000 株
売出株数 460,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 177,000 株
吸収金額(調達額) 21.4億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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