裁判所の手続きが必要だって聞くと難しそうだし、時間がかかるんじゃないかなっていうイメージがあるんですよね。
たしかに難しい手続きだけど、実は個人再生にかかる期間をできるだけ短縮する方法もあるから、事前にしっかり学んでおくといいよ。
膨らみすぎた借金の返済が難しくなってしまった人を法的に救済する制度のひとつが「個人再生」です。
個人再生は民事再生法という法律にもとづいた法的手続きなので、基本的な流れも定まっています。
個人再生の流れや手続きにかかる期間を紹介しながら、個人再生の手続きを短縮するための対策や注意点を解説していきましょう。
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個人再生の手続きと流れ
先に言っておくけど、詳しく順序立てて説明していくからほとんどの人が「面倒だなぁ」と感じるはず。
でも、実は個人が対応しないといけない部分はそんなに多くないから、あまり難しく考える必要はないんだ。
- 弁護士や司法書士に依頼
- 受任通知の送付
- 過払い金の返還請求
- 収支・財産の調査
- 個人再生申立書の作成
- 個人再生申し立て
- 債務履行テスト|約6ヶ月
- 個人再生委員との面談・手続き開始
- 債権の届け出・調査
- 再生計画案の作成・提出
- 再生計画案の決議
- 再生計画の認可・不認可
- 個人再生手続きの完了・計画にもとづいて返済開始
1:弁護士や司法書士に依頼
利用できる条件に合致しているのかもチェックしないといけないから、まずは弁護士や司法書士に相談して、個人再生がマッチしていると判断されれば正式に依頼しよう。
だから個人で進めることも可能だけど、手続きが難しいし失敗すればムダになってしまうから、裁判所も個人再生について「専門家に依頼したほうがいい」と勧めているんだ。
個人再生手続は,これまでの説明どおり,申立人が自分で主体的に手続を進めなければなりません。それができない場合には,「その8」記載のような結果に終わることにもなりかねません。決して安易な手続ではありませんから,申立を行う場合には,なるべく法律の専門家である弁護士に依頼することをお勧めします。少なくとも,個人再生手続,破産,調停,任意整理など各種の負債整理の手続のうち,自分がどれを利用するのが適切なのかについては,是非弁護士に相談するのが妥当でしょう。
【引用:個人再生手続利用にあたって – 裁判所】
2:受任通知の送付
その後の連絡はすべて代理人になった弁護士が窓口になるよ。
つまり、受任通知は「これからはすべて私に連絡をください」と知らせるためにあるんだ。
3:過払い金の返還請求
過去の取引までさかのぼって法律で認められている正しい金利で計算しなおすと「過払い金」が発生していることもあるんだ。
4:収支・財産の調査
これは個人再生が「借金の総額」によってどのくらいの圧縮を認めるかが異なるからなんだ。
【引用:個人再生手続利用にあたって – 裁判所】
5:個人再生申立書の作成
申立書といっても、実際には陳述書として家計表や財産目録などたくさんの書類を添付することになるから、申立書を作成するだけでも大変な作業になるんだ。
- 再生手続開始申立書
- 陳述書(職業・収入の額および内容、生活・財産・負債の状況など)
- 家計表・予測家計表
- 財産目録
- 再生計画案
- 債権者一覧表
各申立て書類に対する証明資料 | |
申立書 |
|
収入の状況 |
|
住居の状況 |
|
生活の状況 |
|
債権者との訴訟等の状況 |
|
家計表 |
|
財産目録 | 【預貯金】
【貸付金等】
【退職金制度】
【保険】
【有価証券等】
【自動車・二輪車等】
【高価品】
【事業用動産】
【不動産】
【処分した財産】
【その他の財産】
|
その他 |
|
再生計画案 | 【住宅資金特別条項を定めるとき】
|
6:個人再生の申し立て
申立書を受理した裁判所は、書類・資料を詳しくチェックしたうえで「個人再生委員」を選出するよ。
財産・収入を調査したり、提出を受けた再生計画案をチェックして意見を述べたりするんだ。
7:債務履行テスト|約6ヶ月
そのために実施されるのが「債務履行テスト」だよ。
個人再生委員が開設したテスト用の口座を指定されるから、そこに再生計画案で示した1か月分の返済額を毎月きまった期日までに支払うんだ。
それに、裁判所によっては履行テストがない所もある。ここでは一例として東京地裁の運用を表にしておこう。
債務履行テストの運用方法(東京地裁の場合) | |
支払い先 | 個人再生委員が開設したテスト用口座 |
支払いのペース | 毎月 |
支払い額 | 再生計画案で示した1か月分 |
支払い期間 | 原則として6か月 |
8:個人再生委員との面談・手続き開始
申立てをする本人・代理人となった弁護士・個人再生委員の三者が集まるから「三者面談」とも呼んだりするよ。
とはいえ、うっかり口が滑ってしまうとダメになる…みたいな心配をしなくても、難しい質問には弁護士が口添えをしてくれるから安心しよう。
三者面談が問題なく終わると、申立てから1か月くらいで裁判所が手続き開始を決定するよ。
9:債権の届け出・調査
この時点で裁判所が把握しているのは「借主が申告している借金額」だから、貸主からも正確な借金額を確かめるんだ。
手続きが終わってから発覚すると、個人再生の支払いを続けている間は返済できないのがルールだから、相手にも多大な迷惑がかかってしまうんだ。
そういう事態を防ぐために「官報」という国の機関紙で個人再生の開始が広く知らされることになっているよ。
10:再生計画案の作成・提出
これは「いつからいつまでに、いくらを、どのような方法で返済していくのか」という計画だから、個人再生で最大のポイントとなるものだよ。
記載しなければならない項目
- 返済の開始時期
- 返済期間
- 返済の総額
- 返済の方法
- 住宅資金特別条項の利用の有無
「住宅ローン特則」とも呼ばれていて、この制度を利用することでマイホームを手放すことなく個人再生できるんだ。
11:再生計画案の決議
これを受け取った貸主は「その計画に同意する」または「同意しない」を選択できるよ。
令和2年中に全国で申立てがあった個人再生手続きは11,948件だったけど、不認可になった件数はわずか26件。
不認可になるケースはほとんどないから、あまり心配する必要はないよ。
でも「そっちのほうが都合がいい」なんて考えちゃいけないよ。
給与所得者等再生は小規模個人再生と比べると減額効果が低いから、まずは小規模個人再生を進めていくほうがおすすめだね。
12:再生計画の認可・不認可
貸主が同意した場合でも、裁判所が審査して「この計画案では返済を守れそうにない」とか「法律に反している部分がある」と評価されると不認可になるよ。
13:個人再生手続きの完了・計画にもとづいて返済開始
個人再生にかかる期間は約6ヶ月~1年程度
それぞれの段階でどのくらいの時間がかかるのかを整理しておこう。
個人再生にかかる手続き | 各手続きにかかる期間 |
弁護士・司法書士への依頼と準備 | 数か月 |
個人再生手続開始の決定 | 申立てから1か月くらい |
再生計画案の提出 | 個人再生手続開始決定から2~3か月後 |
認可・不認可の決定 | 再生計画案の提出から1~2か月後 |
トータルの期間 | 6か月~1年くらい |
個人再生にかかる期間を少しでも短縮する方法
だけど、できるだけスムーズに進めていくために守っておきたいポイントならあるよ。
専門家に依頼する
だから、弁護士や司法書士といった法律の専門家に依頼して手続きを進めてもらうのが最善だよ。
だけど、慣れない手続きだから必要以上に時間がかかってしまうし、もし裁判所が不認可とした場合はまた最初からやり直さないといけない。
一度のチャンスでしっかりと結果を出したほうが時間も手間も節約できるから、専門家に任せたほうが利口だよ。
準備の遅れや書類の不備がないようにする
戸籍謄本・住民票・所得証明・源泉徴収票などの必要資料を揃えるのが遅くなると、その分だけ申立ても遅れることになるから、積極的にアクションを起こしたいところだね。
個人再生でかかる費用
個人再生にかかる費用 | |
裁判所に支払う費用 | 3~20万円くらい |
弁護士に支払う費用 | 50万円くらい |
裁判所に選ばれたからといって、弁護士も当然無償というわけではないから、申立人が弁護士費用を負担しなければならないんだ。
だから、申立人側に代理人弁護士がいる場合は、個人再生委員への報酬を除いた予納金や収入印紙などの合計3万円くらいで済むよ。
個人再生の注意点
官報にのる
掲載されるのは、手続きを開始したときと手続きの認可・不認可が決まったタイミングのあわせて2回だよ。
だから「バレるかも」なんて心配はいらないよ。
5~7年は借金ができない
個人再生に関する情報は5~7年は消えないから、その期間は新たなローン契約やクレジットカード発行を申し込んでも審査で落ちてしまうんだ。
通帳や家計簿を提出する必要がある
通帳はすべて提出することになるし、生活状況を知るために家計簿を作成して提出する必要があるよ。
特定の債権者だけに返済しない
だけど、特定の貸主(=債権者)だけに返済する行為は法律によって禁止されているんだ。
発覚すると最悪の場合は個人再生が不認可になってしまうから絶対にやってはいけないよ。
財産を隠さない
バレてしまうと返済額が増えてしまったり、個人再生が不認可になったりすることもあるから気をつけよう。
わざとではなくても財産隠しを疑われるかもしれないから、準備の段階でしっかりと財産調査を尽くさないといけないよ。
まとめ
手続きにかかる期間を短縮する方法
- 個人再生は準備に数か月、申立てから認可・不認可の決定まで6か月~1年
- 手続きの期間を短縮したいなら弁護士・司法書士に一任するのがベスト
- 裁判所からの質問や修正、追加資料の提出にはすみやかに対応しよう
- 弁護士に依頼すれば裁判所に支払う費用が抑えられる
- 特定の貸主だけに対する返済や財産隠しはルール違反だからやめておこう!
裁判所への申立てにあたって作成する書類やそろえるべき資料もたくさんあるから、弁護士に相談してサポートを依頼しよう。
企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。