違いはよく分からないけど、どちらも借金の減額ができるんでしょ?
自己破産と民事再生はどちらも借金減額の手段だけど、手続き方法や費用、メリットやデメリットは全く違うみたいだよ。
今回は、自己破産と民事再生の違いについて先生に聞いてみよう!
「自己破産や民事再生という手続きがあるらしいが違いがわからない」「自分がどっちの手続きが向いているのか知りたい」
実は、自己破産も民事再生も同じ借金問題を解決する手段ですが、その特徴が大きく異なります。
そこで今回は、自己破産と民事再生を5つのポイントにわけて特徴を比較します。また、どちらの手続きにどんな人が向いているのか、紹介します。
自己破産と民事再生は、減額幅や費用、デメリットなどに大きな違いがあります。
「今ある借金をなんとかしたいけど、自分に向いているのはどっち?」
そんなときは弁護士に相談して、客観的なアドバイスをもらうのがおすすめです。
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自己破産と民事再生の特徴
自己破産なら借金の返済義務がなくなって、民事再生なら借金の返済義務が残ることになるよ。
その他の違いについても表にまとめておいたから、最初にざっくり自己破産と民事再生の特徴を見てみよう。
自己破産 |
民事再生 |
|
返済義務 |
全額免除 |
一部免除 |
手続きに必要な期間 |
6ヶ月~1年以上 |
6ヶ月~1年 |
手続きに必要な費用 |
約50~80万円 |
約40~80万円 |
マイホーム |
原則没収される |
原則残すことができる |
車・バイク |
原則没収される |
原則残すことができる |
現金 |
原則99万円までしか残せない |
上限なく残せる |
生命保険 |
原則解約される |
解約されない |
資格の制限 |
制限される |
制限されない |
利用不可条件 |
浪費、ギャンブルなど |
なし |
自己破産|免責許可により借金の返済義務を消滅させる
借金の返済義務がなくなる代わりに、生活に必要な最低限の財産以外はすべて没収されてしまう。
その没収した財産をお金にかえて、債権者に分配し、残りの借金を大目に見てもらおうっていう制度だね。
民事再生|再生許可により借金を大幅に減額して分割返済する
ただ、民事再生の場合には、借金の返済義務がなくなるのではなく、借金を1/5~1/10に減額してもらえる制度なんだ。
だから、民事再生の場合は一部の借金の返済義務が残ってしまうよ。
そして、大幅に減額した借金を原則3年で完済していくことになる。
その違いってあるのですか?
これは小規模個人再生のほうが借金の減額幅が大きく、手続きも簡単だからなんだ。
今回は、民事再生=小規模個人再生ということで説明するから注意してね。
小規模個人再生 |
給与所得者等再生 |
|
サラリーマン |
使える |
使える |
個人事業主 |
使える |
使えない場合が多い |
ポイント1|借金の減額率
まず1つ目に借金の減額率が違うよ。
自己破産 |
返済義務が免責される =減額率100% |
民事再生 |
一部の返済義務が残る =減額率およそ80~90% |
自己破産:借金の返済義務が免除される
借金の返済義務が免除される手続きは、債務整理のなかでもこの自己破産だけだよ。
それにいくら借金があったとしても、慰謝料や税金といった一部の支払い義務を除いて、すべての債務が免責されることになるよ。
だから、自己破産は経済的に困ってしまった人への最後の救済方法なんて言い方もされるね。
民事再生:1/5~1/10に借金を減額できる
ただ、民事再生の場合には、最低限返済しないといけない金額が法律で決まっている。
そのための返済額を決める基準は、①最低弁済額基準、②清算価値保障基準、③可処分所得基準の3つがあるんだ。
①最低弁済額基準 |
借金の金額に応じて返済額を決める基準 |
②清算価値保障基準 |
本人の財産額に応じて返済額を決める基準 |
③可処分所得基準 |
収入から支出を引いた残りの金額を返済額とする基準 |
この中でも①最低弁済額基準が一番わかりやすい基準なんだけど、実際にいくら借金があるときにいくらの返済額になるか見てみよう。
借金総額 |
返済額 |
100万円未満の場合 |
借金全額 |
100万円以上500万円以下の場合 |
100万円 |
500万円超1500万円以下の場合 |
借金総額の5分の1 |
1500万円超3000万円以下の場合 |
300万円 |
3000万円超5000万円以下の場合 |
借金総額の10分の1 |
200万円も借金が減額できるなら、なんとか僕でも返済できそうだよ!
だから、実際には現在の財産状況などで返済額が変わることになるよ。
いくら借金が減るのか、弁護士に調べてもらうと安心して自己破産と民事再生のどちらが良いのか決めやすくなるから、一度弁護士に相談してみよう。
ポイント2|財産の没収の有無が違う
自己破産なら、原則として財産を没収されることになる。
一方で民事再生なら原則として財産を没収されないよ。
自己破産 |
原則として財産が没収される |
民事再生 |
原則として財産が没収されない |
自己破産:原則として財産を没収される
没収されてしまう財産の目安として、お金にかえたときに20万円以上の価値があるなら没収の対象になってしまう。
例えば、家や車は没収されてしまう可能性が極めて高いんだ。
だから、たとえ自己破産してもすべてを取り上げられて、自己破産後の生活ができなくなってしまうようなことにはならないから安心してね。
その他にどんな財産が没収の対象になってしまうかは、下記の記事で詳しく解説しているから気になる人は参考にしてね。
民事再生:原則として財産を没収されない
なぜなら、民事再生は、自己破産と異なり、財産をお金にかえて債権者に分配する手続きではないからね。
ただ、民事再生は、財産額に応じて返済額を決める清算価値保障基準というものがある。
つまり、家や車など高額な財産があると返済額が増えてしまう可能性があるんだ。
例えば、財産が1000万円あったとしよう。
このとき借金が300万円あるから民事再生したいと考えても、財産額(1000万円)より返済額を少なくすることができないから、民事再生しても300万円返済しないといけない。
つまり、せっかく手続きしたとしても1円も減額することができないんだ。
でも、「財産があるから民事再生しても意味がない」と思わず、いくら借金が減るか調べてくれるから一度弁護士に相談して借金問題を解決するベストな方法を聞いてみよう!
補足|民事再生なら住宅ローンが残っていても自宅を残せる
もし住宅ローンも一緒に民事再生してしまうと、持ち家を引き揚げられてしまう可能性がある。
これは、住宅ローンの債権者が抵当権(ていとうけん)をもっているからなんだ。
つまり、持ち家が住宅ローンの担保になっているから没収されてしまうということだね。
それなら返済義務がなくなる自己破産の方がいいのではないでしょうか?
この制度を利用すれば、住宅ローン以外の借金を民事再生することになる。
つまり、住宅ローンはこれまで通り、返済を続けることができ、ローン会社に引き揚げられることがない。
住宅ローンのある持ち家があるなら、やっぱり家を残したいし民事再生が良さそうだね。
ポイント3|手続き中の制限が違う
他方で民事再生には自己破産のような制限がない。
自己破産 |
資格や職業の制限がある |
民事再生 |
一切制限がない |
自己破産:資格制限がある
たとえば、貸金業者や警備員、生命保険の営業、旅行業などがある。
この制限は、自己破産の手続きを始めてから終わるまでの間ずっと制限されることになるよ。
自分の職業が制限されないのか、下記のリンクから探してみよう!
民事再生:制限がない
だから、もし自己破産で資格や職業の制限を受けてしまうような仕事をしているなら民事再生がおすすめだね。
自己破産の手続きには最短でも半年程度かかることが多いから自分の今の状況も考慮して弁護士と慎重に決めていこう。
ポイント4|借金の原因の制限が違う
一方で民事再生を認めてもらうにあたって、借金の原因は関係ない。
この借金の原因によって利用できる手続きが変わってしまうのはとても大事だから、少し詳しく説明していくね。
自己破産 |
利用に借金の原因による制限がある |
民事再生 |
借金の原因による制限はない |
自己破産:原則としてギャンブルや浪費の場合には利用できない
この免責不許可事由は、自己破産の効果が強力だからこそ悪用されないために決まっているルールなんだ。
たとえば、ギャンブルや浪費などこれらの場合には免責不許可事由にあたってしまうよ。
- 浪費やギャンブルなどが原因
- 自己破産することを前提にわざと借金をした
- 特定の債権者を優先して返済した
- 借金を完済できる見込みがないのに借入をした
- 借金の一部を隠した
- 前回の自己破産から7年以上経過していない
ただ、免責不許可事由にあたったとしても裁判所の判断で特別に借金の返済を免除してもらえることもある。
これを裁量免責(さいりょうめんせき)というよ。
だから、免責不許可事由にあたってしまったとしても弁護士に相談してなんとか自己破産ができないのか聞いてみようね。
民事再生:借金の理由を問われない
だから、免責不許可事由にどうしてもあたってしまい、自己破産が認められる可能性が低いのなら民事再生を検討しよう。
ポイント5|利用条件が違う
そして最後に重要なのが、自己破産と民事再生で利用条件が違うということだよ。
自己破産の場合には、「借金の返済ができない状況」であれば利用することができる。
一方で民事再生の利用には借金額の上限が決まっていて、5000万円までの借金しか利用することができないよ。
また、小規模個人再生の場合、債権者が個人再生に同意することが必要なんだ。
自己破産 |
借金の返済ができない状況であれば利用可能 |
民事再生 |
5000万円までしか利用できない 小規模個人再生の場合、債権者の同意が必要 |
自己破産:支払不能であれば利用できる
その代わりにどうしても返済できない状況、つまり「支払不能」であることが必要なんだ。
主に①支払い能力がない、②今すぐ返済すべき借金を返済できない、③継続的に返済できない、という3つの基準で支払不能かどうか判断されるよ。
自分が支払不能の状況なのか、下記のリンクを参考に考えてみよう!
民事再生:借金5000万円までしか利用できない
民事再生の利用金額の下限は決まっていないけど、法律で最低返済額が決まっているから100万円以上でなければ民事再生の効果があまりないよ。
それに弁護士費用などもかかることを考えると、基本的には200万~5000万円の人が民事再生を利用することになるね。
金額さえクリアできれば、民事再生が利用できるんですか?
最初に民事再生には①小規模個人再生と②給与所得者等再生の2種類があると説明したけど、①の場合には債権者の同意が必要になる。
だから、①小規模個人再生の方が民事再生が認められる条件が厳しいってことになるね。
ただ、②給与所得者等再生は、債権者の同意が不要な代わりに返済額を決める基準が厳しいから返済額が高額になりやすいよ。
返済額 |
返済計画への同意 |
|
小規模個人再生 |
少なくて済みやすい |
債権者の同意が必要 |
給与所得者等再生 |
高額になりやすい |
債権者の同意が不要 |
自己破産と民事再生のメリット・デメリット
ポイント |
自己破産 |
民事再生 |
1 借金の減額率 |
全額免責 |
一部免責 |
2 財産の没収 |
没収される |
没収されない |
3 手続き中の制限 |
ある |
ない |
4 借金の原因 |
問われる |
問われない |
5 利用条件 |
支払不能 |
5000万円以下の借金 小規模個人再生の場合、債権者の同意が必要 |
どちらも借金を減額できると聞いてたから、同じような手続きだと思っていました。
だから、各手続きのメリットとデメリットをしっかりと理解して、どちらにするか選ぶことが大切だよ。
今回は、自己破産と民事再生のメリットとデメリットを表にまとめてみたよ!
メリット |
デメリット |
|
自己破産 |
1 借金の返済義務がなくなる 2 支払不能なら利用できる |
1 財産が没収される 2 資格や職業の制限がある 3 借金の原因を問われる |
民事再生 |
1 家や車など財産を残すことができる 2 資格や職業を制限されないから仕事に影響がない 3 ギャンブルや浪費でも利用できる |
1 借金の返済が残ってしまう 2 ローンのない持ち家があると返済額が高額になりやすい 3 5000万円以上の借金だと利用できない 4 手続きによっては債権者の同意が必要 |
自己破産・民事再生どっちが向いている?
でも、やっぱり自分がどっちの手続きに向いているのか判断できません…。
どんな人がどっちの手続きに向いているのでしょうか?
自己破産が向いている人
- 借金の返済をすることができない人
- 所有財産がない人
借金の返済することができない人
これまで説明してきたように、民事再生だと借金の減額はできるけど、手続き後も返済することが必要になる。
だから、民事再生で減額したとしても返済できないような人は自己破産するしないんだ。
所有財産がない人
自己破産の一番大きなデメリットは、財産を没収されてしまうことなんだ。
そもそも没収される財産がないのなら自己破産で借金の返済義務がなくなる方がメリットが大きい。
だから、自己破産しても大きなデメリットがないから所有財産がないのなら向いているよ。
民事再生が向いている人
- 減額すれば3年以内に完済できる人
- 所有財産を残したい人
- ギャンブルや浪費で借金を作ってしまった人
- マイホームを手元に残したい人
減額すれば3年以内に完済できる人
そして、その残った借金の返済は、基本的に3年以内ですることになるんだ。
だから、民事再生で大幅に減額できれば3年以内に完済できる人は民事再生に向いているよ。
毎月返済するとしたら60回払いだ。
弁護士に個人再生でいくら借金が残るのか・月々いくら返済に必要なのかを計算してもらうといいね!
所有財産を残したい人
民事再生なら基本的に財産を没収されることがないから、現在の財産を残しつつ、借金問題を解決できるってわけ!
ギャンブルや浪費で借金を作ってしまった人
自己破産だと借金の原因が問われることになる。
もし免責不許可事由があって、裁量免責を取るためには、自己破産手続きが複雑になってしまうし、免責不許可となるリスクもある。
でも、民事再生なら借金の原因は、民事再生が認められるのとは無関係だから自己破産が難しいのであれば民事再生を検討しよう!
マイホームを手元に残したい人
民事再生で住宅ローン特則を利用すれば、住宅ローン以外を民事再生することによって手元に家を残しつつ、借金を減額することができるよ。
その他債務整理の方法|任意整理
任意整理は、債権者と直接交渉して、利息などをカットしてもらう手続きだよ。
この手続きならどの借入先の借金を減額するか選べるし、財産を没収されることもない。
ただ、利息のカットくらいの減額効果しかないし、3~5年以内での完済を求められるよ。
民事再生か自己破産か、迷ったら弁護士に相談!
弁護士に相談すれば、借金額や財産額、収入状況、借金の原因などひとりひとりにベストな方法を提案してくれる。
ときには自己破産や民事再生以外にももっと良い方法があればその方法を教えてくれるよ!
だから、迷っている場合だけでなく、気軽に一度相談してみることをおすすめするよ!
まとめ
それじゃあ、今回の復習をしよう!
自己破産と民事再生の5つのポイント |
||
自己破産 |
ポイント |
民事再生 |
全額免責 |
1 借金の減額率 |
一部免責 |
没収される |
2 財産の没収 |
没収されない |
ある |
3 手続き中の制限 |
ない |
問われる |
4 借金の原因 |
問われない |
支払不能 |
5 利用条件 |
5000万円以下の借金 ※手続きにより債権者の同意 |
- 自己破産に向いている人
- 借金の返済をすることができない人
- 所有財産がない人
- 個人再生に向いている人
- 減額すれば3年以内に完済できる人
- 所有財産を残したい人
- ギャンブルや浪費で借金を作ってしまった人
- マイホームを手元に残したい人
ただ、あまり考えずに選んでしまうと減額効果が少ないのにデメリットばかりあったりする。
だから、弁護士に相談して自分がどの方法を使うのがベストか聞いてみよう!
企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。