個人再生

個人再生における「清算価値」とは?減額の基準や決まり方を解説

さいむくん
さいむくん
ねえともだちよ、俺借金が多すぎるから色々調べてみたんだけど、個人再生っていうのが良さそうな気がするんだよ。

その中で気になったのが「清算価値」やら「清算価値保証」っていう言葉なのね。どうやら「自分がどれだけ財産を持っているか」というのが借金の減額量に関わってくるらしいんだけど。

ともだちは詳しいこととかしってる?

清算価値保証ね!だいたいさいむくんのいう通りであってるよ。

ただし、個人再生の返済額というのは清算価値だけで決まるわけじゃない。他にある2つの基準と比較して決定するんだよ。

詳しい話を先生に聞いてみよう!

ともだち
ともだち

この記事では、個人再生後の返済額を決定する上で重要な「清算価値」や「返済額の基準となる残り2つの評価方法」を紹介します!

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まずは個人再生をおさらい

先生
先生
まずは、清算価値を理解するために必要な、個人再生そのものについて軽く説明しよう。

「民事再生法」にのっとった法的な手続き

先生
先生
日本の法律には、借金が多くなりすぎて困っている人を救済するためのものがいくつもある。

その中でも「民事再生法にのっとった手続き」を行うのが個人再生だ。下の条文を軽く読んでみてね。

第一節 小規模個人再生

(手続開始の要件等)
第二百二十一条 個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が五千万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「小規模個人再生」という。)を行うことを求めることができる。
【引用:民事再生法 – e-gov

ここには、個人再生を始めるための条件が書いてある。
先生
先生
  1. 個人による借金であること
  2. 今後も安定した収入があること
  3. 借金が5000万円以下であること
先生
先生
これだけの条件をみたせば、ひとまずは個人再生ができると書いてある。

法にのっとった手続きだから、怪しいと思わないように!

裁判所を通じて借金を減額する

先生
先生
個人再生の方法なんだけど、シンプルに「裁判所に申立てを行って、それが認められればOK」だよ。

任意整理は「裁判所を通さず、業者と直接交渉する手続き」だけど、個人再生は「裁判所を通じて行う手続き」という点で違いがある。

任意整理だと、債権者から借金減額を断られてしまうとおしまいなんだ。でも、個人再生の場合、裁判所の許可を得れば強制的に減額することも可能。

裁判所を通すといっても難しいことはないよ。弁護士に依頼すれば基本的に大丈夫だから!

借金を最大で5~10分の1まで減額し、それを3~5年で返済

先生
先生
個人再生をした場合、借金が最大で5~10分の1まで減額されるよ。借金が多ければおおいほど、減額される幅も多くなるかな。

個人再生の場合、減額後の借金は「1番安くて100万円」と定められているんだけど、借金が100~500万円の人なら、100万円まで減額できる可能性が十分あるね。

減額された借金は原則3年で完済、裁判所が認めた場合のみ、5年での完済が認められるよ。

個人再生における「清算価値保証」とは

先生
先生
よし!それではさいむくんお楽しみの、清算価値保証について説明していこう。
清算価値保証原則とは…
  • 申立て者が所有している財産が多い場合、個人再生より自己破産の方が債権者たちへの分配が多くなる
  • そこで「個人再生をしても、自己破産した場合以上の金額を返済しましょう」という決まり

自己破産した場合と同じように債権者に返済すべきという考え

先生
先生
清算価値保証を説明するためには、自己破産についても触れる必要がある。さいむくんは自己破産について多少は知っているかな?

個人再生と自己破産を比較してみるよ。

借金 貸主への分配
個人再生 最大で5~10分の1まで減額 返済分が分配される
自己破産 ゼロになる 財産を売却してできた利益を分配
仮に「借金が400万円、自身が所有している財産が200万円ある」としよう。

この場合、債権者たちへの配当は以下のようになる。

先生
先生
貸主への分配
個人再生 400万円の借金が100万円まで減額される、残りの100万円を分割払いしていくことで債権者に少しづつ分配されていく
自己破産 所有している財産を売却してできたお金(200万円)を貸主たちで分配する
先生
先生
さいむくん、どう思う?個人再生をしたら100万円、自己破産をしたら200万円。

このように、対象者が財産をたくさん持っている場合、個人再生をするより、自己破産をしてもらった方が債権者側からするとお得だと思わない?

「まず、財産があるならそれを売却してお金を作れ!」とも思うだろうしね。

といった事情などを踏まえて「個人再生をするとしても、破産したときに債権者たちに分配されるであろう金額よりは多く返済しましょうね」という決まりみたいなものが「清算保証価値原則」なんだ。

清算価値保証原則とは…
  • 申立て者が所有している財産が多い場合、個人再生より自己破産の方が債権者たちへの分配が多くなる
  • そこで「個人再生をしても、自己破産した場合以上の金額を返済しましょう」という決まり

財産として評価されるものの例

先生
先生
もちろん、自己破産したからといって無一文になるわけではない。生活に最低限必要なものを残して、あまった部分を売却(差し押さえ)するんだ。
自己破産時に
差し押さえの対象となる財産の例

 

  • 現金で99万円を超えた部分
  • 口座に入っているお金で20万円を超えた部分
  • 売却したら20万円を超える財産
  • 生命保険や退職金(見込み額で20万円を超える場合) など
個人再生をする場合、自己破産と違ってこれらが差し押さえられたり、売却されることはない。

ただし、「これらを差し押さえた場合の合計額以上に返済しましょうね」ということになるわけだ。

財産を多くもっている場合、個人再生でも返済額が大きくなる可能性がある」と覚えておこう。

先生
先生

個人再生の減額量を決める3つの基準

先生
先生
それでは、実際に個人再生をしたら返済額がいくらになりそうか。その計算方法や評価の方法を計算していくよ。

①最低金額を定めた「最低弁済額」

先生
先生
まずひとつめは「最低弁済額」だ。その名のとおり「最低でもこれだけは返済しようね」という基準を定めたもの。
借金額 最低弁済額
100万円未満 減額なし
100~499万円 100万円
500~1499万円 借金額の5分の1
1500~2999万円 300万円
3000~4999万円 借金額の10分の1
すごい!こんなに借金が減るんですね!
さいむくん
さいむくん

②本人の持ち金や財産をもとに決める「清算価値保証基準」

先生
先生
これがさっき説明した「清算価値保証基準」だね。自身が所有している財産を
もとに返済額を決定するんだ。

さいむくん、自分の財産の中で、お金になりそうなものはある?

う~ん、例えば車ですかね?買ってから間もないので、売却したら70万円くらいになると思います。あとはとくにめぼしいものは…
さいむくん
さいむくん
先生
先生
なるほど、であれば清算価値保証基準で算出された金額は、「70万円」だね。

このように、「財産を現金化したらいくらになりそうか」を基準に金額をはじき出すんだよ!

③本人の可処分所得をもとに決める「可処分所得基準」

先生
先生
最後は、可処分所得基準(かしょぶんしょとくきじゅん)。可処分所得とは自由に使えるお金のことで、ラフにいえば「おこずかい」かな。

手取りから生活費を引いたお金が可処分所得。生活費の額は生活保護の金額を参考にするよ。

そして、「可処分所得2年分を返済しましょう」というのが可処分所得基準だよ。

可処分所得の計算方法
  1. 過去2年の収入の総額を算出
  2. そこから所得税や住民税、社会保険料を引いて「手取り」を算出
  3. ②を2で割る
  4. ③から生活保護を参考にした「最低生活費1年分」を引く
  5. ④を2倍にする
ためしに、さいむくんの「年収が400万円」として、2年分の可処分所得を計算してみようか。
先生
先生

→過去2年の収入(800万円)-過去2年に支払った所得税など(200万円)÷2=300万円

→300万円-最低生活費1年分(156万円)×2年分=288万円

先生
先生
つまり可処分所得基準での返済額は288万円となる。

これの難しいところは「借金額に関係なく、自身の収入をもとに返済額が決まってしまう」という点だね。

今回のケースだと返済額は288万円だから、それを大幅に超えるような借金がないと、あまり個人再生をする意味がないかもしれない。

(※)可処分所得の計算はややこしいので、気になる人は弁護士や司法書士に計算してもらうのがおすすめです!

どの基準を選ぶかは、手続きの種類にもよる

先生
先生
今3つの基準で返済額を計算してみたね。さいむくんに「借金が300万円・年収が400万円」あったとしたら、各基準での返済額は以下のようになる。

借金300万円のさいむくんの返済額は?

①最低弁済額基準 100万円
②清算価値保証基準 70万円(車だけ)
③可処分所得基準 288万円
先生、各基準によってどうやって金額を算出するのかはわかったんですけど、金額に結構ばらつきがありますね…。

可処分所得基準だと返済額はかなり高くなるし、結局のところ、返済額はいくらになるんですか?

さいむくん
さいむくん
先生
先生
だよね、そう思うよね。これは2種類ある個人再生のうち、どちらを選んだかによって決まるんだ。
個人再生の種類 金額の決め方 さいむくんの返済額
小規模個人再生

①最低弁済額基準
②清算価値保証基準

①か②の高いほうに決まる

最低弁済額基準で「100万円」
給与所得者等再生

①最低弁済額基準
②清算価値保証基準
③可処分所得基準

①~③の一番金額が高いものに決まる

可処分所得基準で「288万円」
2種類ある個人再生の違いや、選び方については今から説明するからね!
先生
先生

小規模個人再生と給与所得者等再生の違い

先生
先生
最後に、個人再生による返済額を決めるうえで重要な、「2つの個人再生の違い」について説明するね。

違いを比較

手続き名 両者の違いや特徴
小規模個人再生 〇手続きには債権者たちによる半数以上の同意が必要
★給与所得者等再生に比べて借金が減りやすい
▲2度目の個人再生をやることにも制限がない
給与所得者等再生 〇債権者の同意が必要ない
★小規模個人再生に比べて返済額が大きくなりやすい
▲過去7年以内に「自己破産」か「給与所得者等再生」をしている場合には手続きができない
つまり、「債権者の同意が得られなかった」などの事情がない限りは小規模個人再生を選ぶのが普通かな。

過去7年以内に給与所得者等再生をしている場合は、再び給与所得者等再生を選択することはできない。でも、債権者の同意があれば小規模個人再生は手続き可能だよ。

実際のところ、「小規模個人再生をしようとしたら、債権者から反対を受けた」というケースはとても少ないから、大多数の人が小規模個人再生をすることになる。

先生
先生
特別な事情がないかぎり、ほとんどの人が小規模個人再生を行うことになる!

まとめ

ともだち
ともだち
さいむくん、お疲れさま!清算価値保証について理解できたかな。

関連して覚えなきゃいけない知識も多かったから、今回の内容で大事な部分を振り返ってみよう!

まとめ
  • 清算価値保証とは「自己破産をしていたら債権者に分配できたであろう金額以上は返済しましょう」という決まり
  • 財産を多く所有している場合、個人再生の返済額も大きくなる可能性がある
  • 個人再生の返済額は「最低弁済額基準」「清算価値保証基準」「可処分所得基準」の中から決まる
ありがとう!清算価値保証が何なのか知りたかったんだけど、個人再生についてたっぷりと知ることができたよ!

実際に個人再生をしたら返済額がいくらになりそうかとか、気になることがいっぱいでてきたらから、弁護士事務所にいって相談してこようと思います!

さいむくん
さいむくん
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著者情報

この記事の監修者
赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

監修者の詳細なプロフィール
この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。

20代後半に作ってしまった借金100万円を自力で完済した。

筆者の詳細なプロフィール