もし急に収入が途絶えたりして返済ができなくなったら、自己破産するしかないと聞いたんです。
自己破産をすると自分の持っているものをすべて没収されてしまうって本当ですか?
よく誤解されているんだけど、実は『自己破産をしても財産を残せる場合は意外と多い』んだよ。
せっかくだから、今日は自己破産をしたときに残すことができる財産について解説していこうかな!
自己破産とはすべての借金を帳消しにするという、債務整理の最終手段です。
それだけ強力な手続きなので、すべての持ち物を没収されるという噂もありますがそれは誤解です。
この記事では以下の2点について説明します。
- 自己破産をしても残すことができる財産
- 自己破産をした後の生活で変化すること/しないこと
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財産を差し押さえられるのは「管財事件」だけ
借金が消滅するということは、お金を貸していた人たち、つまり債権者は損をすることになってしまう。
債権者が一方的に損をしないように、お金を借りていた人は自己破産をした後に可能な限りの財産を(お金に換えて)債権者に配分する必要があるんだ。
その時に、配分ができる財産を持っていないために差し押さえが行われない場合が『同時廃止』、裁判所が選んだ弁護士によって公平に財産の配分を行う場合が『管財事件』になるよ。
早速それぞれの特徴についてみていこうか!
差し押さえがないのが「同時廃止」
これといった財産がなければこちらになる
債権者に配分ができる財産っていうのは、明確な基準があるんでしょうか?
債権者の権利にも関わる大切なところだから、ものすごく細かく基準が決められているんだ。
大まかな基準としては、『金額にして20万円以上の財産がない場合は同時廃止』になるといえるよ。
基本的に自動車や家といった大きな財産をもっていない場合は同時廃止になると考えていいかな。
財産の調査や売却がないため短期間で終わる
つまり、同時廃止は管財事件に比べて非常に短い期間で手続きが終わるよ。
弁護士に同時廃止の申し込みをしてから半年程度で終わるのが一般的かな。
7割以上が同時廃止である
自己破産をする時の資産状況によってどちらになるかが決まるんだけど、司法統計によると『7割以上の場合は同時廃止』という手続きになるという結果が出ているみたい。
差し押さえがあるのが「管財事件」
20万円を超える財産は売却される
この時に、『20万円を超える財産はすべて没収されて、債権者への配分のために売却される』ことになる。
財産の調査や売却に時間がかかる
そのときに、『破産管財人』という、裁判所が選出した弁護士が財産の調査をするんだ。
破産管財人の調査や、財産の売却に時間がかかるから、管財事件の場合は同時廃止に比べて半年ほど長い時間がかかることになるよ。
あとは、破産管財人への報酬や裁判の費用のために、同時廃止より、最低でも20万円ほど多くのお金がかかることも注意が必要だね。
自己破産後も残せる5つの「自由財産」
もし管財事件になった場合、すべての財産が没収になるんでしょうか?
以下の5つについては、管財事件であっても差し押さえの対象にならないんだ。
この5つのことを『自由財産』という呼び方もするから、覚えておくといいよ!
- 破産開始決定後に取得した財産
- 日常生活に必要なもの
- 99万円以下の現金
- お金に換えてもほぼ価値のないもの
- その他、例外的に裁判所から認められたもの
①破産開始決定後に取得した財産
『破産開始が決定したあとに新たに取得した財産は、差し押さえの対象にならない』よ。
たとえば、生活を立て直すために自己破産をしたのに、その後の仕事で振り込まれた給料もすべて差し押さえられてしまったら…生活の立て直しようがないよね。
②日常生活に必要なもの
そのまんまだけど、これは『差押禁止財産』とも呼ばれるんだ。
差押禁止財産は意外と多いから、下にまとめてみたよ!
- 生活必需品である衣服、寝具、家具、台所用品など
- 冷暖房器具、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジなどの家電製品
- およそ1ヶ月の生活に必要な食料および燃料
- 携帯電話、パソコン、スマートフォンなど、仕事に必要なもの
(農家であれば農具や飼料など) - 実印やその他印鑑などで職業または生活に必要なもの
少しほっとしました…。
③99万円以下の現金
実は、『管財事件であっても、現金は99万円以下であれば自由財産扱いになるから、差し押さえはされない』んだ。
生活に必要な現金までも差し押さえられてしまったら、当面の家賃や食費が払えない可能性も出てくるからね。
④お金に換えてもほぼ価値のないもの
つまり、『お金に換えたとしても価値のないものは、差し押さえがされない』んだ。
たとえば、預金残高がほとんど0円の通帳があったとしたら、これを解約するだけで銀行へ行く手間や費用が発生してしまう。
それにもかかわらず解約したところで分配される財産はほとんどないよね。
こういったものは差し押さえされずに放棄される場合が多いんだ。
⑤その他、例外的に裁判所から認められたもの(自由財産拡張がなされた財産)
これ以外のものについても、裁判所に申し立てをすることで差し押さえから外してもらえる場合があるんだ。
この手続きのことを、差し押さえの対象から除外される自由財産を増やすという意味合いで、『自由財産拡張』と呼ぶよ。
たとえば、自動車がないと生活がままならない地域に住んでいる場合などは、自由財産拡張の申し出をすれば意外と認められることも多いね。
自己破産で残る財産を増やしたくてもやってはいけないこと
なので没収されたくなかったら隠すのが賢いですよね?
財産は破産管財人が過去にまでさかのぼって徹底的に調べ尽くすからね。
財産を隠す以外にも、不当な処分で意図的に財産を減らしたり、特定の債権者を優先する行為もダメだよ。
これらの行為は免責不許可事由(めんせきふきょかじゆう)に当たって、自己破産が認められなくなってしまうんだ。
自己破産において借金返済の免除が認められなくなる行為のこと。
財産隠し
現金を隠すことがよくあるケースだけど、破産管財人は通帳の引き落とし履歴などをくまなく調べるから、高い確率でバレるよ。
一債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
不当な処分
たとえば、80万円の現金と50万円の車を持っていたら、自己破産を申し立てると車は処分されるね。
でも、申し立て前に車を18万円以内で売ると、現金は98万円になるから、財産を多く残せるような気がするよね。
しかし、このような行為は財産を残すための不当な処分とみなされて、免責不許可に当たるからアウトなんだ。
偏頗弁済
偏頗弁済とは、特定の債権者を優先して返済することをいうよ。」
具体的には、自己破産前に以下のような行為をすると偏頗弁済とみなされるよ。
- 知人や家族に借りたお金を返した
- 車のローンを返済した
- スマホの滞納料金を返済した
- 滞納している家賃を返済した
三 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
【引用:破産法252条1項3号 – e-Gov】
自己破産後の生活で変化すること
それでは次は、自己破産をしたことによって生活にどのような変化が起こるか確認していこう!
催促や取り立てから解放される
これは自己破産だけに限らずほかの債務整理についてもいえることだけど、自己破産の申し立てをした直後から催促の電話などは一切ストップするんだ。
借金の悩みのうちの大部分が催促や取り立ての電話によるものだから、それから開放されるのは大きいね。
ブラックリストにのる
実際に存在するんですね。
自己破産だけでなくて、任意整理や個人再生といった債務整理を行うと、信用情報機関というところにその履歴が残るようになっている。
カード会社や金融機関などは、クレジットカードの作成やローンの申し込みがあった際に、利用に適している人であるか審査をするために信用情報機関に情報の照会を行うんだ。
その際に、返済の延滞したことがあったり債務整理をおこなったりという事故情報が登録されていると審査に通らなくなってしまうということだね。
でも、5~7年という幅があるのはどうしてですか?
それぞれの信用期間について、破産に関する事実が登録される期間を表にまとめておいたから確認してみてね。
信用情報機関 | 破産に関する事実が登録される期間 |
CIC | 契約期間中+契約終了後5年以内 |
JICC |
【契約日:2019年9月30日以前】 【契約日:2019年10月1日以降】 |
KSC |
|
※KSCに関しては2022年11月4日から登録期間が10年から7年に変更されました。
【参考:一部情報の登録終了および登録期間の短縮について – 全国銀行信用情報センター】
持ち家に住めなくなる
財産として、債権者への配分の対象になってしまうからね。
だから、『どうしても持ち家を処分したくないのであれば、任意整理や個人再生といった自己破産以外の債務整理を検討する必要がある』ね。
20万円以上の資産はすべて没収される
でも、自己破産開始の手続きが完了した後であれば、車や家を購入することが可能だよ。
ただし…ブラックリストにのってしまう影響で5~7年間はローンを組むことはできないから、その期間は現金での一括購入のみになってしまうね。
自己破産しても影響がないこと
続いては、自己破産をしても実は影響がないっていうことを確認しておこうか!
意外と誤解が多いから、わかりやすいようにまとめておいたよ!
- 仕事への影響はない
- 賃貸住宅には住み続けられる
- 引っ越しや旅行も自由にできる
- 年金受給や生活保護も受けられる
- 家族や知人にバレることは基本的にない
仕事への影響はない
自己破産をしたとしても、『会社から借金をしていない限り会社に知られることはない』し、知られたとしてもそれを理由にして解雇させられることはないよ。
ただ、お金や契約に携わる一部の専門職については、自己破産の手続き中は資格を失うから注意が必要だよ!
- 保険外交員
- 警備員
- 弁護士、司法書士などの士業
- 生命保険募集人
- 賃貸業者の責任者
など
賃貸住宅には住み続けられる
賃貸の住宅であれば、自己破産をしたあとでもそれまでと同様に住み続けることができるんだ。
仮に、『自己破産をしたことを大家さんに知られたとしても、そのことを理由に賃貸契約を解除することはできない』んだ!
もちろん、家賃を滞納していた場合は別だけどね。
滞納した家賃も借金だから、自己破産でまとめて清算されるかわりに、賃貸借契約を解除される可能性が高いんだよ。
引っ越しや旅行も自由にできる
だけど、自己破産の手続きが完了さえすれば 引っ越しや旅行も自由に行えるよ。
年金受給や生活保護も受けられる
『自己破産をしたとしても、年金の受給や生活保護を受け取る権利は保証されている』よ。
自己破産をすれば生活を早く立て直すきっかけになることから、『借金を抱えている生活保護受給者の自己破産はむしろ推奨されているともいえる』んだ。
家族や知人にバレることは基本的にない
自己破産をしたということは原則として債権者にしか通知されないんだ。
わざわざ裁判所が自己破産をした人の家族や勤務先に連絡を入れることはないから、家族や勤務先から借金をしたりしていない限りバレないことの方が多いよ。
でも、自己破産をするとなにかに名前が載るってことを聞いたことがあるんですが…
さいむくんがいってくれたように、自己破産をすると官報という内閣府が発行している新聞のようなものに名前が載ってしまう。
見ている人はほとんどいないけど、そこから知られてしまう可能性はゼロではないかな。
借金のお悩みは弁護士に相談!
家や車などの高額財産を残したい人は個人再生を
でも、生活必需品は差し押さえの対象にならないということを知れて安心しました。
自己破産というのは借金を帳消しにする強力な債務整理の手続きだから、その分リスクとして失ってしまうものは大きい。
もしどうしても手放したくない家や車などを持っている場合は、最大10分の1まで借金を減額できる個人再生という手続きを検討した方がいいね。
もう自己破産しかない人は自己破産を
だけど、減額した借金は3~5年で完済できるように計画を立てる必要があるから、それが現実的でない場合には自己破産をするしかないね。
どちらにせよ、『借金は素人1人で解決できる問題ではないから、まずは弁護士に相談するべき』といえるよ。
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でも、LINEで相談だけもしてみようかと思って勇気を持って友達追加してみたんですよね!
そしたら、その日のうちに問題が解決して、次の日からは借金に悩まず生活できるようになりました!
対応も早くて丁寧でしたのでとても感謝しています。
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まとめ
- 自己破産には管財事件と同時廃止があり、同時廃止ならば差し押さえはされない
- 管財事件であっても日常生活に必要な者や少額の現金はなどは差し押さえされない
- 自己破産した後は持ち家に住めなくなり、クレジットカードやローンの審査は通らなくなる
- 自己破産した後でも賃貸住宅には住み続けられるし、自己破産したことを理由に仕事をクビになることもない
でも、やっぱりリスクは大きいですね。
こつこつ返していけるように努力しないとな。
努力するのも大切だけど、あんまり1人で背負いすぎてもよくないから、是非弁護士に相談してみてね!
企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。