個人再生

個人再生の際に手持ちの現金はどうなる?返済額が決まる基準は?

さいむくん
さいむくん
借金の返済がきついから個人再生しようと思ってるんだけど…やっぱり手持ちの現金も全部没収されてしまうのかなあ…。
おや、さいむくん。

何やらお困りのようだけど、もしかしたら個人再生と自己破産がごっちゃになってるんじゃないのかな?

個人再生だったら手持ちの現金を没収されるようなことはないよ!

個人再生について、せんせいに詳しく聞いてみたほうが良さそうだね!

ともだち
ともだち

個人再生とは、国に認められた借金の減額手段である債務整理のなかの一つで、裁判所を通じて借金を最大で10分の1にまで減らせる手続きです。

さいむくんのように、手持ちの財産を没収されてしまうのではないかと心配している人もいるかもしれませんが、その心配は基本的にありません。

この記事では、以下の3点について詳しく解説していきます。

  1. 個人再生の時に残せる財産について
  2. 個人再生での返済額が決まる基準
  3. 個人再生で財産隠しをしてはいけない理由と、財産隠しに該当する行為について

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個人再生は裁判所を通じて借金を最大で10分の1にまで減額できる手続き

せんせい
せんせい
個人再生について、今一度しっかりと確認しておこう!

個人再生とは、合法的に借金を減額できる債務整理のうちの一種で、裁判所に申し立てをして借金を最大で10分の1にまで減らせる手続きのことだね。

個人再生では、すべての借金を減額してもらったあとに原則として3年以内で完済する約束をする必要があるんだよ。

3年以内で返済するための計画を再生計画と呼ぶ。

弁護士に協力してもらいながら再生計画を立てて、それが裁判所と債権者(お金を貸している人)に認められれば晴れて個人再生での借金減額が成功となるわけだ。

小規模個人再生|個人再生の基本形

せんせい
せんせい
個人再生の中には2種類あるんだけど、ほとんどの人が小規模個人再生で手続きを進めることになるよ。

理由としては、もうひとつの給与所得者等再生よりも小規模個人再生の方が減額できる金額が大きくなるケースが多いからだね。

小規模個人再生をするためには、半数以上の債権者たちの同意を得る必要があるんだ。

小規模個人再生の流れ

第四項の期間内に再生計画案に同意しない旨を同項の方法により回答した議決権者が議決権者総数の半数に満たず、かつ、その議決権の額が議決権者の議決権の総額の二分の一を超えないときは、再生計画案の可決があったものとみなす。
【引用:民事再生法第230条 第6項 – e-Gov法令検索

給与所得者等再生|債権者の半数以上の同意が得られない場合

せんせい
せんせい
もう一つが給与所得者等再生という手続きだ。

こちらだと、小規模個人再生よりも減額できる金額は少なくなってしまうけれど、債権者の半数以上の同意は不要なんだ。

金融業者によっては、必ず小規模個人再生に異議を唱える方針をとっているところもあるし、金融業者以外の債権者の場合は、異議を出すことも珍しくない。

小規模個人再生と給与所得者等再生どちらを選ぶかは専門的な知識が不可欠だから、弁護士に判断を任せるしかない場合も多いけど、知っておいて損はないね。

給与所得再生の流れ

個人再生であれば基本的にすべての財産を手元に残せる!

せんせい
せんせい
たまに勘違いしてる人もいるけれど、個人再生において財産や資産は基本的に没収されることはないんだ。

例外として返済中のローンや借入のある銀行口座は差し押さえの対象になってしまう

せんせい
せんせい
だけど、返済中のローンがある車などは没収されてしまうし、借金をしている銀行の口座は凍結されてしまうから気をつけよう。

個人再生では、すべての借金が整理の対象になるから、残っているローンも約束した通りの金額は払えないことになる。

そのため、個人再生をすると、ローンの残っている財産・資産はお金に換えるために担保としてローン会社によって没収されてしまうんだ。

銀行から借入をしていた場合も、やはり借入していた金額をすべて額面通りは返済できなくなってしまう。

だから、口座の利用も止められてしまうってわけですね。

ともだち
ともだち

個人再生において財産はあくまで返済する金額を決めるための基準である

せんせい
せんせい
個人再生では、財産はあくまでも返済していく金額を決めるための基準にしかならないんだ。

個人再生の返済は、毎月の収入の中から捻出していくことになる。

だから、現金を含めた手持ちの財産をお金に換えて債権者へ納めるような必要はないんだよ。

自己破産の場合は自由財産以外はすべて差し押さえの対象になる

せんせい
せんせい
それに対して、自己破産の場合はほとんどすべての財産が差し押さえの対象になって没収されてしまう。

自己破産はすべての借金を帳消しにできる強力な債務整理。

だから、自由財産と呼ばれる一部の財産を除いたすべては没収されてお金に換えて債権者へ配分されてしまうよ。

自由財産一覧
  • 99万円以下の現金
  • 自己破産後に新たに取得した財産(給与なども含む)
  • 20万円以下の価値の預貯金や債権
  • 家電製品、食器、服、家具、携帯電話などの生活に必要な財産
  • その他特別に裁判所から認められた財産
自己破産は返済できないほど借金をした人に対するペナルティだと思っている人もいるかもしれない。

だけど、本来は借金で苦労している人の生活を立て直すための救済制度なんだ。

だから、自己破産後に生活をしていくために必要な財産や最低限の生活費などは没収されずに手元に残しておけるんだよ。

せんせい
せんせい
さいむくん
さいむくん
個人再生も自己破産も借金を減額できる救済措置だけど、こんなに違うんですね…勉強になりました。

個人再生の返済額の決まり方

せんせい
せんせい
個人再生において、財産はあくまで返済する金額を決めるための基準であると話したけど、じゃあ実際にどういう基準で決まるかという話をしていこう。

基本的に、以下の3つの基準のうち一番高い金額が返済額になるんだ。

  1. 最低弁済額
  2. 清算価値保証基準
  3. 可処分所得基準 (給与所得者等再生の場合のみ)

①最低弁済額

せんせい
せんせい
まず、個人再生における返済額の一番の基準になるのは最低弁済額だ。

最低弁済額とは、文字の通り最低でもこのくらいは返済してねという金額のことで、借金の総額によって以下のように決められているよ。

借金額 最低弁済額
100万円未満 減額なし
100~499万円 100万円
500~1499万円 借金額の5分の1
1500~2999万円 300万円
3000~4999万円 借金額の10分の1
すごい!こんなに借金を減らせるんですね!
さいむくん
さいむくん

②清算価値保証基準

せんせい
せんせい
そして、最低弁済額がわかったところで大切になるのが清算価値保証基準だ。

ちょっと聞き慣れない言葉だとは思うけど、簡単に言えば『お金に換えられるだけの価値がある財産を持っているなら、それと同じくらいは返済してください』って基準のことだよ。

もし清算価値保証基準で弾き出された金額が最低弁済額よりも大きい場合は、その金額だけ返済する必要があるってことだ。

個人再生において財産はあくまで返済する金額を決めるための基準である』ってのはこういうことだったんですね。

お金に換えられる財産をたくさん持っているなら、その分は返済しないといけないと。

でも、手持ちの現金はとられないし、財産を換金して返済しろと強要はされないと知れて安心です。

さいむくん
さいむくん

補足|自由財産は清算価値に含まれない!

せんせい
せんせい
自由財産は清算価値のなかに含まれないという点も覚えておこう。

自由財産とは、『自己破産の場合は自由財産以外はすべて差し押さえの対象になる』で話した通り、生活に必要な最低限の財産のことだね。

99万円以下の現金や電化製品などは清算価値に含まれないから、よほど現金を溜め込んでたり高価なものを持っていたりしない限りは最低弁済額まで減額できるケースが多いかな。

③可処分所得基準 (給与所得者等再生の場合のみ)

せんせい
せんせい
給与所得者等再生を選んだ場合のみ、2年分の可処分所得も返済額を決める上での基準となるんだ。

可処分所得とは、自由に使えるお金のことで、まあ『おこづかい』みたいなものだね。

手取りから生活費を引いたお金が可処分所得で、生活費は生活保護の金額を参考にするんだ。

2年分の可処分所得の計算方法
  1. 過去2年間の収入の総額を算出
  2. そこから所得税や住民税、保険料などを引いて2年分の手取り額を算出
  3. ②を2で割る
  4. ③から生活保護を参考にした生活費の1年分を引く
  5. ④を2倍にする
たとえば、さいむくんの年収が400万円だとすると、2年分の可処分所得はこのような計算になるね。
せんせい
せんせい
  1. 過去2年分の収入(800万円)
  2. 800万円ー過去2年に支払った所得税など(200万円)=600万円
  3. 600万円÷2=300万円
  4. 300万円-1年間の最低生活費(156万円)=144万円
  5. 144万円×2=288万円
せんせい
せんせい
つまり、可処分所得基準での返済額は288万円となるんだ。
あれ…なんかあんまり借金が減らない気がします。
せんせい
せんせい
せんせい
せんせい
可処分所得基準は、最低弁済額や清算価値保証基準に比べて金額が大きくなりやすいんだ。

つまり、給与所得者等再生だと、借金の減額幅が少なくなってしまうケースが多い。

基本的には小規模個人再生を検討した方がいいと言えるね…。

財産隠しをすると個人再生が認められない恐れがある

さいむくん
さいむくん
個人再生の時は自分の財産を基準に返済額が決まると…。

ということは、現金をたくさん持っているとか財産が多い場合はちょっと少なめに申請したりすれば返済額を下げられるのでは!?

それは絶対にダメだよ。

個人再生において財産隠しをすると、返済額に上乗せされるだけではなく個人再生自体が取り消しになってしまう可能性もあるんだ。

個人再生を申し込んだ裁判所は財産を細かく調査するから、必ずバレてしまう。

変なことは考えずに、ちゃんと正直に申請しないといけないよ。

せんせい
せんせい

個人再生で申請しないといけない財産

せんせい
せんせい
個人再生の手続きでは、債務者が所有している財産を細かく明記した書類である財産目録を提出するんだ。

財産目録に記載する必要がある財産は以下の通り。

財産項目 清算算価値として記載する金額
現金 手持ちの現金から自由財産に含まれる99万円を差し引いた金額
預貯金 全額。場合によっては20万円以下の預貯金は清算価値に計上されない
保険 解約返戻金の全額。返戻金がなくても、契約内容を明記する
過払金 回収済みでも未回収でも金額を明記
敷金 清算価値はない
退職金 退職金見込み額の8分の1
不動産 裁判所により評価基準が異なる
裁判所により評価基準が異なる
実際の書式はこんな感じで、各項目について細かく書く必要があるよ。
せんせい
せんせい

財産目録【引用:小規模個人再生手続開始申立書 – 裁判所

さいむくん
さいむくん
こんなに細かく書かないといけないんですね…僕一人じゃとても無理だ…。
書類の作成は基本的に弁護士が担当してくれるから大丈夫。

ちなみに、財産目録に記載するのは債務者本人の財産のみで、配偶者を含めた同居家族の財産は記載する必要はないよ。

先生
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財産隠しに該当する行為

さいむくん
さいむくん
自分で隠すつもりはなくても、気づかないうちに財産隠しとみなされるようなことをしてしまいそうで心配だな…。
財産目録に記載が必要な弁護士が詳しく教えてくれるから、それに従っていれば問題はないと思うよ。

でも、念の為個人再生において財産隠しに該当する行為をあげておこうか。

先生
先生

財産を個人再生直前に家族名義に変更する

先生
先生
財産目録に記載する必要があるのは債務者本人の財産だけという点を逆手にとって、個人再生が始まる前に家や車を家族名義に変更しようと考える人もいるけれどこれは絶対にダメ。

裁判所が財産を調査する際は、必ず過去にまでさかのぼって徹底的に調べるから必ずバレてしまうんだ。

怪しい名義変更は財産隠しとみなされて個人再生が認められなくなってしまうよ。

もし何らかの事情で名義変更をしなくてはいけないのならば、弁護士に相談してからにしようね。

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預金が少ない通帳のみを弁護士に渡して本口座を隠す

先生
先生
大体の人が複数の銀行口座を持っていると思うんだけど、預金が少ない通帳のみで申請しようとしても必ずバレてしまうよ。

同名義の銀行口座はすべて調査されてしまうからね。

意図的に破損させて財産の価値を下げる

先生
先生
所有している車とか、あとは高価な腕時計とか、そういった財産を意図的に壊して価値を下げようとするのも、場合によってはバレてしまうよ。

高価な買い物については購入履歴も調べられるし、個人再生直前にいくつもの財産を破損させていたら意図的なのではないかと疑われてしまうんだ。

個人再生については弁護士に相談するべき!

さいむくん
さいむくん
個人再生では手持ちの現金は残しておけると知れて安心です。

でも、清算価値とか、財産目録とか、手続きはすごい大変そうですね…。

個人再生では財産の計算が非常に複雑になってしまうから、素人にはとても無理なんだよ…。

借金の返済に困って個人再生を検討しているようなら、すぐに法律の専門家である弁護士に相談してみよう!

その人の借金と収入のバランスや、生活環境などによっては個人再生ではなくて任意整理や自己破産といった他の債務整理を選んだ方がいい可能性もある。

自分自身で色々と調べて情報を集めるのもいいことだけど、結局は専門家に依頼しないと解決しない問題がほとんどなんだよ。

先生
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ともだち
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大体どの弁護士も借金の相談であれば基本的に無料で引き受けてくれるし、今はLINEで相談できる事務所もあるみたいだからね!

これを機にさっそく相談してみなよ!

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せんせい
せんせい
せんせいは、これまでたくさんの借金にお悩みの方の問題を解決してきました。

借金に悩まされる生活はとても辛く苦しいものです。

でも大丈夫!専門家に相談することで明るい未来が待っています!

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まとめ

ともだち
ともだち
今日のお話をまとめてみました!
まとめ
  • 個人再生では現金を含めた手持ちの財産は没収されない
  • 家や車などのローンが残っている場合は没収の対象となる
  • 手持ちの財産は返済額を決める基準になるが、意図的に隠すと個人再生が認められない場合がある

個人再生について詳しく知れてよかったなあ。

でも、僕自身実際に個人再生をするべきなのかもまだわからないから、一度弁護士に相談してみようかな!

さいむくん
さいむくん
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著者情報

この記事の監修者
赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

監修者の詳細なプロフィール
この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。

20代後半に作ってしまった借金100万円を自力で完済した。

筆者の詳細なプロフィール