債務整理

債務整理の2回目はできる?任意整理・個人再生・自己破産をそれぞれ解説

さいむくん
さいむくん
ねえねえともだちよ、債務整理をすれば借金がなくなる、というのはわかったんだけど、債務整理をした後にまた借金だらけになってしまったらどうするの?

2回目の債務整理をしたいなんていったら断られたり、法的に無理だったりするのかな?

1度債務整理したならちゃんとお金のやりくりしてよ!といいたいところだけど、色々な事情があって再び借金をしたり、生活が厳しくなってしまうことはあるよね。

結論からいうと、2回目の債務整理は「できるケース」と「できないケース」があるよ。

ひと言で説明するのは難しいから、先生に順番に教えてもらおう!

ともだち
ともだち

債務整理には主に3種類があります。

任意整理 借金の利息をカットしてその後分割払いをしていく
個人再生 借金を元金事減らしてその後分割払いをしていく
自己破産 借金をまるごとなくす

任意整理や個人再生の場合、手続き後も返済が続きますし、自己破産の場合も手続き後に再び借金を負ってしまう可能性はあります。

そのような場合に再び債務整理をすることはできるのか。この記事では「2回度目の債務整理」について解説していきます。

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2回目の任意整理ができるケース・できないケース

せんせい
せんせい
まずは任意整理から!2回目の任意整理をする場合、いくつかのパターンが考えられるよね。

それぞれのケースについて順番に解説していくね!

2回目の任意整理をするパターン
  • 任意整理の返済中に返済が困難になってしまった
  • 過去に任意整理をしたが、再び借金だらけになってしまった
  • 過去に個人再生や自己破産をしたが、再び借金だらけになってしまった

任意整理の返済中に返済が困難になってしまった場合

任意整理は借金を減額する手続です。

手続き後は借金を返済していくことになりますが、その期間に再び返済が難しくなってしまった場合、2回度目の任意整理はできるのでしょうか?

できる:別の債権者を相手に任意整理を行う場合

せんせい
せんせい
さいむくんがA社の借金を任意整理していたとしよう。

減額してもらった借金をA社に返済していたが、今度はB社からの借金が返せなくなってしまった。

そういう状況で、さいむくんはB社の借金を任意整理できるのか?答えはYESだよ。

任意整理は自分が雇った弁護士(司法書士)と貸金業者の話し合いだから、「他の業者の借金をすでに任意整理しているからダメ」なんていう決まりはないんだ。

それとは関係なしに任意整理を断られてしまう可能性はもちろんあるけどね。

わからない:同じ債権者を相手に2回度目の交渉をする場合

せんせい
せんせい
A社の借金を任意整理したが、再び返済が困難になってしまったので、A社相手に2回度目の任意整理をしたい。

この場合は、うまくいくケースといかないケースがあるよ。

  • 2回度目の任意整理が認められた
  • 2回度目の任意整理が認められなかった
シンプルにいえば、業者が認めるのなら任意整理は何度でも可能だよ。

ただし、すでに1度借金が返せなくなってしまって任意整理をしている。つまり約束を破っている状態だ。

再び約束を破ってしまったら、業者はどう感じるだろう?

せんせい
せんせい
さいむくん
さいむくん
「2回度目は許さない!」とか思うんですかね?僕がお金を貸した立場だったらそう思いますけど笑。
まあそういうこと笑。

「2回度目の任意整理は応じない」と社内ルールで決まっている可能性もあるし、心証が悪くて断られてしまう可能性もある。

だから、すべては「相手の業者次第」ってとこかな!

せんせい
せんせい

過去の任意整理分は完済したが再び任意整理するケース

せんせい
せんせい
次は、「任意整理の分割払いは終わっているけれど、再び借金を作ってしまい、2回度目の任意整理をしたい」というケースだよ。

できる:別の債権者を相手に任意整理を行う場合

せんせい
せんせい
過去にA社相手に任意整理をし、無事完済した。

その後、B社から借入をしたが返済が厳しくなってしまったので、2回度目の任意整理をしたい、というケースだね。

これに関しても問題なく手続き可能だよ。

さっきも言った通り、「他の業者相手に任意整理をした人は2回度目の任意整理ができない」というルールはないんだ。

さらに、1度目の任意整理をしてから5年くらい経つと、2社目の業者は「さいむくんが過去に任意整理をしたことがある」という情報を知ることさえ出来なくなる。

つまり、1度目の任意整理と同じように手続きできるということさ。

できない:同じ債権者を相手に2回度目の交渉をする場合

せんせい
せんせい
過去にA社相手に任意整理をしたが完済。その後A社から再び借入をしたが返済困難になってしまった。

そんな場合、A社相手に2回度目の任意整理ができるか?それは残念ながら難しいね。

正確な言い方をすると「過去に任意整理をした顧客に再び貸し付けをする可能性がとても低い」だから任意整理ができない、といったところかな。

1度任意整理をした顧客は、完済後も「社内ブラックリスト」として個人情報が記録されている。

だから再び借り入れることも難しいし、当然任意整理も困難になるというわけ。

運よく借入ができたのであれば、任意整理の交渉をする余地はあるということですね!
ともだち
ともだち

過去に個人再生や自己破産をしているケース

せんせい
せんせい
過去に個人再生や自己破産などの債務整理をしたことがあるが、無事に手続きが終わった。

その後、他社から借りたお金が返済できなくなってしまったが、2回度目の債務整理(任意整理)は可能か?

この場合も任意整理であればできる可能性があるよ。何度もいうけど「業者がOKといえばそれでOK」だからね。

「過去に個人再生や自己破産をした人が再びお金を借りられるか」はまた別の問題だよ!
ともだち
ともだち

2回目の個人再生ができるケース・できないケース

せんせい
せんせい
次は個人再生のケースだよ!

「手続き後も返済が続く」という点で任意整理と似ているけれど、個人再生は裁判所を通す手続きだから、若干法律の制限が出てくるんだ。

  • 任意整理…業者との直接交渉
  • 個人再生…裁判所を通した手続き
「任意整理→個人再生」、「個人再生→個人再生」、「自己破産→個人再生」の3パターンにわけて解説していくからね!
せんせい
せんせい

任意整理中に個人再生をするケース

できる:任意整理した借金をさらに個人再生する

せんせい
せんせい
任意整理して残額を分割払いしていたが、事情により返済が困難になってしまった。そこで個人再生をしたい。

これは可能だよ。実際にも、このような手続きをとる人もいるからね。

注意点が一つ。任意整理の場合、自分が選択した業者だけが借金減額の対象になったけど、個人再生はすべての借金が対象になるよ。

だから、保証人に迷惑がかかったり、ローン中の品物を引き上げられたりしないか、事前に弁護士に相談しよう。

できる:任意整理したものとは別の借金を個人再生する

せんせい
せんせい
A社の借金を任意整理していたが、B社の借金が返済困難になったので個人再生がしたい。

こういったケースも個人再生は可能だよ。

さっきもいったけど、個人再生はすべての借金が対象だから、B社だけを個人再生することはできない。

A社もB社も、その他の借金も全部債務整理の対象になると覚えておこう。

個人再生を2度行う場合

せんせい
せんせい
次は「個人再生→個人再生」のケース。

この場合、2種類ある個人再生のうちどちらかを選んだかによって結果が変わってくるよ。

手続の種類 特徴 2回目
小規模個人再生 半数以上の債権者が認めないと手続きできない いつでもできる
給与所得者等再生 債権者の許可がなくても強制的に手続ができる 7年経たないとできない

できる:1度目が「小規模個人再生」だった場合

せんせい
せんせい
1度目に行った個人再生が「小規模個人再生」だった場合、2回目に行う個人再生に関して、これといった制限はないよ。

ただし、1度目が小規模個人再生の場合でもその時に後で説明するハードシップ免責の決定を受けた場合はできないよ。

ほとんどのケースでは「小規模個人再生」の手続きが行われているから、自分の場合はどうなのか、担当してくれた弁護士に確認してみてね!

わからない:1度目が「給与所得者等再生」だった場合

せんせい
せんせい
1度目の個人再生が「給与所得者等再生」だった場合、「前回の手続から7年経たないと再び個人再生はできない」と個人再生法で定められている。

つまり「給与所得者等再生」を2度続けて行う場合には、前回の手続きから7年空ける必要がある。

ただし、「給与所得者等再生→小規模個人再生」の場合や「小規模個人再生→小規模個人再生」の場合には、「債権者たちが認めるのであれば」、前回の手続から7年経っていなくても2回度目の個人再生が可能なんだ。

なので、結論としては「場合による」といった感じかな。

手続の流れ 2回目
小規模個人再生→小規模個人再生 債権者が認めるならできる
小規模個人再生→給与所得者等再生 できる(例外あり)
給与所得者等再生→給与所得者等再生 7年空ける必要がある
給与所得者等再生→小規模個人再生 債権者が認めるならできる

自己破産後に個人再生をするケース

せんせい
せんせい
自己破産については、「給与所得者等再生」と同じく、前回の手続きから7年経たないと個人再生はできない、というのが原則。

これに関しても、「小規模個人再生」であれば、債権者が認めれば2回目の個人再生も可能だよ。

結論は、「条件つきで可能」といったところかな!

手続の流れ 2回目
自己破産→小規模個人再生 債権者が認めるならできる
自己破産→給与所得者等再生 7年空ける必要がある

補足:個人再生の返済が滞ったらどうする?

せんせい
せんせい
補足になるけど、個人再生中に返済が滞ってしまった場合の対処法を紹介するね。

何も、必ず2回目の債務整理をしなければいけないというわけではないんだよ!

裁判所に申し出て計画を立て直す

せんせい
せんせい
個人再生は、事前に提出した「再生計画」に沿って返済をしていく。

途中で収入が減ったり、働けなくなってしまって、当初の計画のように返済を続けていくことが難しくなる場合もあるよね。

そういう場合には、裁判所に申し出て再生計画を変更してもらおう。

原則3年で返済するはずだった借金が、最大で5年払いまで延長することができるよ。

ハードシップ免責で借金をなくしてしまう

せんせい
せんせい
残額が残り少ない状態になるまで返済をしたにもかかわず、あと少しのところで返済が難しくなってしまったとしよう。

その場合「ハードシップ免責」が認められれば、残りの借金は免除。晴れて借金から卒業だ。

ハードシップ免責が認められるのは、以下の条件を満たした状態だよ。

ハードシップ免責が認められる条件
  • 再生債務者の責めに帰することができない事由がある
  • すでに75%以上の借金を返済している
  • 再生計画を遂行することが極めて困難
  • 債権者の一般の利益に反するものでないこと など
実際のところ、ハードシップ免責が認められるケースというのはあまり多くないみたい。

「再生計画の変更」で対応できない場合には、自己破産をすることが多いみたいだよ!

せんせい
せんせい

2回度目の自己破産ができるケース・できないケース

せんせい
せんせい
最後は自己破産のケース。

自己破産そのものの条件やハードルはあるものの、任意整理や個人再生(給与所得者等)と違って、債権者の許可が必要ない。

だから、多少ハードルが低く感じられるかもね!

そうですよね。

貸主の方が許すとか許さないとか、そういう次元じゃないんですもんね。どうがんばっても返済は不可能な状態ですから。

まったくお金を持っていない、他から借り入れることもできない人に向かって「貸した〇万円ちゃんと返せ」なんていってもまず戻ってこないってことですよね笑。

さいむくん
さいむくん
ともだち
ともだち
さいむくん、勘違いしちゃだめよ!

お金がない人なら誰でも自己破産できるわけじゃないからね。

先生も言った通り、自己破産が認められるのは「自己破産の条件を満たしている人」だけだからね!

任意整理→自己破産のケース

せんせい
せんせい
任意整理をして借金減額、残額を返済していたが今後の返済が困難になってしまったので自己破産をしたい。

このケースでは問題なく自己破産をすることが可能だよ!

任意整理後は3~5年をかけて残額を返済していくことになる。

その間に失業してしまったり、体を壊してしまったり、色々な事情で借金が返済できなくなる可能性があるよね。

「もう返済は無理!」となってしまったら自己破産を検討しよう。

個人再生→自己破産のケース

せんせい
せんせい
これは「個人再生→個人再生」の手続きと同じで、2種類ある個人再生のうち、どちらを選んだかによって答えが変わってくるよ。

給与所得者等の手続きの場合、7年空けないと自己破産はできないんだ。

手続の流れ 2回目
小規模個人再生→自己破産 できる
給与所得者等再生→自己破産 7年空ける必要がある
あてはまるケースはあまりないと思うけど、「ハードシップ免責→自己破産」のケースでも7年空けないと手続きできないからね!
せんせい
せんせい

自己破産→自己破産のケース

せんせい
せんせい
「自己破産→自己破産」のケースも他と同じく、前回の手続きから7年空ける必要がある。

ただそれだけじゃなくて、他にもちょっとした条件があって、それをクリアしないと自己破産は認められないんだ。

  1. 前回の破産が認められてから7年が経過している
  2. 前回と同じような理由で破産に至ったわけではない
②は例えば、1回目の破産はパチンコのやりすぎといった免責不許可事由が原因だったけれど、2回目の破産も同じ理由、みたいなケースね。

1回目はパチンコが原因だったが、2回目は事業で失敗して借金を作ってしまった、などの理由であるなら、まだ破産が認められる可能性はあるかな。

ただ、①と違って、②については、法律上認められないというわけではなく運用上認められにくいということになってるよ。

せんせい
せんせい
さいむくん
さいむくん
なるほど。そうでもしないと借金作って破産し放題ですもんねー。

まとめ

ともだち
ともだち
さいむくんお疲れさま!2回度目に債務整理に関して理解できたかな?

今回の内容で大事な部分を振り返ってみようか。

手続きの流れ 2回度目
任意整理→任意整理 できるが、同じ業者相手に2度の場合は交渉次第
任意整理→個人再生 できる
任意整理→自己破産 できる
個人再生→任意整理 個人再生の返済中は困難、完済後なら相手次第で可能
個人再生→個人再生 できる、もしくは7年空ければできる
個人再生→自己破産 できる、もしくは7年空ければできる
自己破産→任意整理 できる
自己破産→個人再生 できる、もしくは7年あければできる
自己破産→自己破産 7年あければできる
だいぶわかりやすく教えていただきありがとうございました!

ケースによって色々と条件があるみたいだから、本当に気になるときは弁護士に相談した方がよさそうだね!

さいむくん
さいむくん
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著者情報

この記事の監修者
赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

監修者の詳細なプロフィール
この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。

20代後半に作ってしまった借金100万円を自力で完済した。

筆者の詳細なプロフィール