昨日の仕事帰りにパチンコに行ったんだけどさ、3日間一度も大当たりが出てない台を見つけたから「これは今日こそ出るぞ!」と思って全財産ツッコんだわけ!
そしたら鳴かず飛ばずのままで5万円も負けちゃったよ…
自己破産すなわち免責が許可されるためには条件があります。
条件をみたさない場合は裁判所が許可してくれないので、残念ながら「借金帳消し」というわけにはいきません。
自己破産ができる条件と不許可になる具体的なケースを解説していきましょう。
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自己破産ができる3つの条件
裁判所に自己破産を認めてもらうためには3つの条件を満たす必要があるよ。
- 借金の返済ができないこと
- 借金が非免責債権でないこと(免除できない支払いに該当しないこと)
- 免責不許可事由に該当しないこと(免除できないケースに該当しないこと)
借金の返済ができないこと
支払い不能とは、つまり「これ以上は借金を返せない状態」を指すんだ。
(破産手続開始の原因)
第十五条 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。【引用:破産法 – e-Gov】
ボクの場合って、返済はめちゃくちゃ苦しいけど、一応は給料で約束どおりの返済はできてるし…
債権者(=借主)が支払い能力を欠くために、支払期日が到来した借金について、一般的かつ継続的に弁済できない状態が支払い不能だとされているよ。
一般的に「借入総額÷36か月」の金額が毎月の返済可能額を上回っていると支払い不能だと判断されるよ。
借金が非免責債権でないこと
ここで挙げるような支払いは、たとえ自己破産をしても免除されないんだ。
- 税金の滞納分
- 犯罪や事故など、不法行為によって受けた損害賠償請求
- 罪や違反を犯して支払いを命じられた罰金など
- 別居中の配偶者に対する婚姻費用や子どもの養育費
- 離婚後の慰謝料や養育費
- 従業員に対する未払いの賃金
- 債務者(借主)がわざと名簿に記載しなかった借金
免責不許可事由に該当しないこと
ここで挙げる事情があると「不誠実だ」と判断されて裁判所が破産を認めないおそれがあるんだ。
- 浪費やギャンブルによって借金を抱えた
- 財産隠しがあった
- 特定の債権者だけにかたよった支払いをした
- 破産申立て前の1年以内に詐欺的な方法でクレジットカードで物を買った
- ローンやクレジットカードで商品を買ったうえで、非常に安い価格で換金した
- 過去7年以内に自己破産による免責を受けている
- 裁判所や破産管財人による調査に協力しなかった
条件を満たしていればこんな状況でも自己破産できる
ここで挙げるような状況にあっても、自己破産による解決は可能なんだ。
生活保護や年金をもらっている
とくに生活保護を受給していると「自己破産すると保護費をもらえなくなる」と考えている人が多いようだけど、両者はまったく別の制度で、お互いに不利にはたらくこともないから安心してもいいよ。
奨学金の借金を抱えている
社会人になった時点ですでに300万円以上の借金を抱えている状態になるから、給料が少ない新社会人が返済不能に陥ることが問題視されているよ。
非免責債権にはあたらないから、自己破産による整理は可能なんだ。
ただし、ほとんどの人が親などの保護者を連帯保証人にしているはず。
自己破産すると連帯保証人が請求を受けるってことだけは心得ておかないといけないね。
自己破産ができないケース
ただし、ここで挙げるような状況があると裁判所が自己破産を認めてくれない事があるから注意しておこう。
借金が少額であり、返済できる収入がある
制限はないけど…借金が少額で、給料や年金などの定期的な収入によって返済を続けられる状況なら「支払い不能」とはいえないから、自己破産は認められないだろうね。
自己破産の予納金が払えない
管財事件(かんざいじけん) | 財産を処分して返済にあてる原則的な方法。予納金が必要。 |
同時廃止(どうじはいし) | 処分すべきめぼしい財産がないから申立てと同時に破産を認める方法。 |
破産管財人も当然ボランティアではないから、弁護士費用が発生する。
だから、管財事件になると破産管財人への報酬として20万円程度の予納金が必要なんだ。
管財事件と同時廃止を費用面で比較してみよう。
自己破産の種類 | 費用の内訳 | 費用の合計 |
管財事件 |
|
23万円~ |
同時廃止 |
|
およそ3万円 |
だから、自己破産の手続きは弁護士に任せるのがセオリーだよ。
トータルでみると「結局は同じくらいの出費になる」っていう印象があるんですけど…
だけど、弁護士に依頼すればまず「私が代理人になった」という通知を出してもらえるんだ。
受任通知を受けた貸主は以後の本人に対する取り立てが禁止される。
だから、予納金が用意できないときは、まず弁護士に依頼して返済をストップさせて、返済分を弁護士に預けて予納金や着手金にあてることでクリアできるよ。
過去7年以内に自己破産をしている
だから、過去7年以内に自己破産をした経歴があると免責不許可事由にあたり、自己破産を認めてもらえないよ。
再度の自己破産は「前回よりもハードルが高くなる」と考えたほうがいいだろうね。
(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
中略
十 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。
一部抜粋:破産法|e-Gov
ギャンブルや浪費などが原因の借金である
法律が定める原則に従えば、自己破産できないってことになる。
免責不許可事由にあたる場合でも、裁判官の裁量によっては自己破産が認められる可能性は高いんだ。
管財人の調査に協力しない、財産や借金を隠したなど、悪質なケースを除けば裁量による免責は十分に期待できるよ。
免責許可自由にあてはまっても裁量免責で自己破産できる
裁量免責=裁判所に反省したことを認めてもらう
でもこれはあくまで「原則」ね。
申立て者が十分に反省していることを裁判所が認めた場合、自己破産をすることができる。
それを「裁量免責」と呼ぶよ。裁判所に反省をしていることを証明するには、言葉じゃなくて証拠で示すことが重要。
- ギャンブル依存の治療をした証拠
- 日々の生活の家計簿をつける など
免責不許可事由 | 裁量免責が認められにくい理由 |
自分の財産を隠した |
|
偏波弁済(特定の借金だけを返済する) |
|
裁判所の業務に非協力的である |
|
悪意がある行為が発覚した場合、自己破産は認められにくくなってしまうんだ。
2度目は認められない可能性が高い
1回目の自己破産が済んだあと、またギャンブルなどに手を出してしまったとしよう。
それでも、破産にいたる主な理由が別のところにある場合、自己破産が認められる理由は十分にあるよ。
- 収入減
- 詐欺被害等
- 離婚等に伴う出費
- 親族の不幸による出費 など
自己破産をおすすめできないケース
職業制限に該当する
破産者は職業の制限を受けるから、ここで挙げるような職業の人は慎重に考えたほうがいいよ。
- 弁護士・司法書士・行政書士などの士業者
- 人事院の人事官、教育委員、公正取引委員など、一部の公職
- 商工会議所・金融商品取引業・信用金庫・日本銀行・労働派遣業などの役員
- 会社取締役・執行役員・監査役など
- 貸金業の登録者
- 質屋を営む者
- 旅行業務取扱の登録者や管理者
- 生命保険募集人
- 警備業の責任者や警備員
- 建設業を営む者
- 割賦購入あっせん業者の役員
- 下水道処理施設維持管理業者
- 風俗営業管理者
- 廃棄物処理業者
- 調教師
- 騎手 など
だから職業制限を受けるのは自己破産を申し立てて手続きが終了するまでの間に限られるよ。
そのほかの公務員や教師・保育士・医師・看護師などはそもそも職業制限を受けないから安心だね。
保証人に迷惑をかけたくない
だから、借金の契約時に保証人や連帯保証人をつけた場合は、保証人がすべての義務を負うことになるよ。
保証人や連帯保証人をつけている場合は、自己破産に踏み切る前にまずその人とじっくり相談したほうがいいね。
もしその人にはどうしても迷惑をかけられないと考えるなら、別の方法で解決することをおすすめするよ。
持ち家・車など財産を失いたくない
持ち家・車などの財産を手放したくないと考えるなら、やはり自己破産を考えるべきじゃないね。
ほかの方法でも借金問題を解決できる可能性があるから、弁護士に相談してみよう。
ブラックリストになりたくない
ブラックリストになるとその後の5~10年間、貸金業者からお金を借りたり、ローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることが困難になるんだ。
借金に関する個人情報(信用情報)に「自己破産をした」という記録が残っている状態。
この状態で貸金業者の審査を受けても通過する可能性がかなり低くなってしまう。
記録が消えるまでに5~10年かかる。
でも、自己破産に限らず、任意整理や個人再生などの債務整理をした場合、ブラックリストになってしまう。
だから、「まだ自己破産をするほどじゃない」と考えている人は、このことを覚えておこう。
自己破産ができない場合の対処法
借金が返済できるなら他の債務整理を検討する
消費者金融やクレジットカード会社からの借金が多いなら任意整理でも大幅に減額できるし、持ち家を手放したくないなら住宅ローン特則がある個人再生でも解決できるんだ。
免責不許可事由があるなら他の債務整理を検討する
最初から自己破産が難しいことがわかっているなら、ほかの債務整理を検討したほうがいいよ。
税金を滞納しているなら相談する
税金の滞納分は税務署や自治体の窓口で相談してムリのない方法で納付を続けるのが基本だけど、どうしても解決できないときは「滞納相談センター」に相談してみるといいかもしれないね。
滞納相談センター
住所:東京都港区虎ノ門1-12-1 第一法規ビル
電話:03-6805-6330
【参考:滞納相談センター】
個人再生や任意整理はこんな人におすすめ
ちゃんと教えてくださいよ!
手続き名 | 内容 | メリット | デメリット |
任意整理 | 借金の利息をカットして分割返済 |
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減額効果そのものは弱め |
個人再生 | 借金を5~10分の1まで減らして分割返済 |
|
保証人には迷惑がかかる |
自己破産 | 借金をゼロにする |
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|
それぞれがどんな手続きなのか、ざっくりと説明していくよ!
任意整理:借金の利息をカットする
他の債務整理と違って、裁判所を通さないんだ。だから、手続きにかかる費用も安く済むし、3~6か月と短期間で完了することができるんだ。
借金がどれだけ減るか、については業者との交渉次第だけど、ある程度の相場はあるよ。
- 借金の利息をカットする
- 減額された借金を3~5年で分割払いする
それによって起こる不都合を、任意整理は回避することができるんだ。
- 保証人がついている借金…債務整理すると保証人が返済することに
- 返済中のローン…債務整理すると買った品物や担保が差し押さえられる
- 知人からの借金…債務整理の対象になると迷惑がかかる など
それによって、債務整理することによるデメリットや不都合を回避することができるんだよ。
その後数年に渡って返済していく安定した収入がないと、業者側から交渉を断られてしまう可能性もあるし。
個人再生:借金を5~10分の1にする
3~5年かけて返済していく手続きという点で、任意整理とすこし似ているね。
だから、任意整理と異なる部分をあげてみよう。
- 減額効果が任意整理より大きい
- 裁判所を通す手続きである→弁護士費用が高くなりやすい(40万円~)
- すべての借金が減額の対象になる(保証人などに迷惑がかかる)
- 裁判所を通すので、手続きの条件などが厳格に決まっている
- 任意整理と違い、裁判所が認めれば業者側との合意がなくても減額できる
だから、借金額が少なすぎる人には向かないよ。
個人再生にはそのような決まりはないから、財産を残したまま借金を減額できる。
また、住宅ローンの場合、返済できなくなったら家を没収される可能性が高い。
でも、個人再生には「住宅ローン特則」というのがある。早い話が「条件を満たせば住宅ローンはそのまま返済が続けられて、他の借金だけを減額できる」んだよ。
つまり、まとめるとこんな感じ。
- 自己破産の条件を満たしていなかった人は個人再生を選択することになる
- 自己破産なら財産を失わずに借金減額ができる
それは「自身が置かれている借金の状況」や「本人の事情や希望」を総合して判断する必要がありそうですね!
まとめ
条件に合致しない、あるいは自己破産は避けたほうがいいといった状況があるなら、別の債務整理で解決を目指そう。
条件に合致しない場合は?
- 自己破産が認められる条件は、支払い不能・非免責債権ではない・免責不許可事由にあたらないという3点
- 免責不許可事由にあたる場合でも、悪質なケースでなければ裁判所の裁量で許可される可能性がある
- 職業制限を受ける、保証人に迷惑をかけたくない、持ち家や車は手放したくないと考えるなら別の債務整理を検討しよう
個人で手続きを進めようとしても失敗してしまう危険があるから、弁護士のサポートは必須だね。
自己破産をするべきか、ほかの債務整理でも解決できるのかを判断するのも難しいから、まずは弁護士に相談しよう。
企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。