この記事では、分別の利益について、連帯保証人の場合と保証人の場合の違いや、どのくらい負担すべきなのかについて、基礎から分かりやすく説明しています。
また、催告の抗弁権や検索の抗弁権についても紹介しています!
債務整理をしようと思って調べてみたら、「連帯保証人には分別の利益がなく…」とか、ちょっと何言ってるかわかんないぞ。
どうやら、奨学金の保証人が返済を迫られたっていうニュースも出てくるな。
そうだ、弁護士の先生に聞いてみようよ!
債務整理をお考えの方で、「分別の利益」という言葉を聞いたことがある方はいませんか?
この記事では、分別の利益の意味や、連帯保証と連帯債務の違いなどについて、基礎から分かりやすく説明していきます!
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分別の利益とは?
ここで、さいむくんがした借金のことを、「主たる債務」というんだ。
そして、保証人となったのは①先生と②ともだちくんの2人だから、「保証人の頭数」は2だ。
したがって、僕とともだちくんはそれぞれ、100÷2=50で、50万円についてのみ保証しなければならない、ということだ。
そこで僕としては、「いや、保証人が2人いるんだから、僕は半分の50万円しか払いません!もう半分は先生が払います!」って言えるわけだね。
これなら安心だ!…っていうか、僕ならさいむくんの保証人には絶対ならないけど。
(数人の保証人がある場合)
第四百五十六条 数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第四百二十七条の規定を適用する。
(分割債権及び分割債務)
第四百二十七条 数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。出典:e-gov
普通保証人には分別の利益があるが、連帯保証人には分別の利益がない
それは、「連帯保証人には分別の利益がない」ということなんだ。
…っていうか先生、そもそも、普通の保証人と連帯保証人って、どう違うんですか?
そして、連帯保証人の場合には、①催告の抗弁権と、②検索の抗弁権、③分別の利益の、いずれもないことが特徴なんだ。
通常の保証人には認められ、連帯保証人には認められない権利・利益 | |
①催告の抗弁権 (民法452条) |
保証人が債権者に対し、先に債務者に対して請求するよう求める権利 |
②検索の抗弁権 (民法453条) |
保証人が債務者にはお金があることを証明し、債権者に対して、先に債務者に対して請求をするように求める権利 |
③分別の利益 (民法456条) |
共同保証人が、主たる債務の額を保証人の頭数で割った数についてのみ保証債務を負担するという利益 |
つまり「連帯」というのは、まさに「債務者本人になり代わって」という意味なんですね。
責任がめちゃくちゃ重い!
だから多くの場合、連帯保証人になるのは家族や親族になるみたいだ。
奨学金と分別の利益の関係
あれってどんな問題だったんですか?
今、日本で学生が借りている奨学金の多くは、日本学生支援機構という独立行政法人(公的機関)のものだ。
日本学生支援機構では、奨学金を貸し出すときに、以下の2パターンで保証をつけるように求めているんだ。
人的保証 | 借りた本人が返せないとき、連帯保証人1人(父か母)と、保証人1人(4親等以内の親族)の計2人が返還義務を負う。 |
機関保証 | 借りた本人が返せないとき、保証機関が返還義務を負う。その代わり、奨学金からは保証料が差し引かれる。 |
問題となったのは、ここで、連帯保証人も支払いができなかったときなんだ。
問題はここで、日本学生支援機構は保証人に対しても全額の支払いを求めていたことなんだ。
つまり、返還すべき奨学金の合計額が100万円のとき、保証人に対しても、100万円の支払いを求めていたんだ。
連帯保証人には分別の利益がなく、通常保証人には分別の利益があるんだよ。
人的保証の場合、連帯保証人が1人、通常保証人が1人だから、トータルでみると保証人の人数自体は2人だ。
だから本来、保証人は100万円のうちの半分、50万円しか払わなくてもいいはずなんだ。
100万円(返還すべき額)÷2人(保証人の頭数)=50万円
普通、一般人は分別の利益なんか知らないんだから、請求されたら全額支払っちゃうよなぁ。
ましてや、「支払わないと訴える」なんて言われちゃうとさ。
だけど、日本学生支援機構のやり方は、公的機関としてあまりにも冷たいというか、無責任だよね。
日本学生支援機構のエラい人は「いちいち保証人全員に伝えてたら大変」って言ってるみたいだ。
だけど、保証人に支払いを請求するときに一言追加するだけで済む話なのに、変な話だよね。
まとめ
- 分別の利益とは、複数の保証人がいるとき、各保証人は頭数で割った額だけ負担すればいい、というもの
- 通常保証人には分別の利益があり、連帯保証人には分別の利益がない
- 日本学生支援機構は、分別の利益を伝えることなく保証人に全額を請求していた
実をいうと、法律は弱い者の味方なんかじゃなく、法律を知っている者の味方なんだ。
このサイトでは今後も生活に役立つ法律知識を紹介していくけど、もし何か変な請求をされたときには、無理に一人で解決しようとせず、まずは法律のプロである弁護士に相談してみてね。
企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。