あんまりお金がかかるんだったら、任意整理はやめておこうかなって思って…。
もしもまとまった費用が用意できないのであれば、分割払いに対応してくれるケースが多いから、一度相談してみるのがおすすめだよ!
任意整理は、弁護士などの専門家を通じて、債権者(お金を借りている相手)と交渉して、利息や遅延損害金(延滞料のようなもの)などをカットしてもらう手続きです。
弁護士に支払う費用は、事務所によって異なるため、複数の弁護士に相談して見積もりを出すのがおすすめです。
また、まとまった費用が払えない場合や、任意整理を依頼した後に支払いができなくなった場合の対処法も覚えておきましょう。
任意整理を検討している人に向けて、この記事では次の点を解説します。
- 任意整理にかかる費用の相場
- 費用が払えない場合の対処法
- 任意整理後に支払いができなくなった場合
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任意整理の費用相場と内訳
費用の相場は一社あたり2~5万円
任意整理を弁護士に依頼する際の費用相場は、債権者一社あたりおおよそ2~5万円です。
任意整理は、債権者一社ずつとの交渉で借金を減額する手続きであるため、債権者が多いほど費用がかかります。
たとえば、合計5社からの借金を任意整理する場合には、10~25万円ほどの費用がかかる計算になります。
任意整理の費用の内訳
任意整理にかかる費用の内訳は、主に以下の通りです。
名称 | 概要 | 費用相場 |
相談料 | 弁護士との相談の際にかかる費用 | ・1時間5,000~10,000円 ・事務所によっては無料の場合もある |
着手金 | 弁護士に任意整理を依頼する際にかかる費用。交渉の結果減額ができなかった場合でも返金はされない。 | ・一社あたり2~5万円程度 |
成功報酬金 | 交渉が成功した場合に支払う報酬金 | ・一社あたり最大2万円 ・着手金に含まれている場合もある |
減額報酬金 | 交渉の結果利息などが減額できた場合に支払う報酬金 | ・減額できた利息の最大10% |
過払金報酬金 | 任意整理の手続きの中で過払い金の回収に成功した場合に支払う報酬金 | 【債権者との交渉で回収した場合】回収額の最大20% 【裁判で回収した場合】回収額の最大25% |
これら以外に、任意整理手続きの中で弁護士が支払った交通費や郵送費などの実費が発生します。
減額報酬や報酬金に関しては発生しない事務所もあります。
日弁連の報酬規程
弁護士の費用は、基本的に、弁護士事務所ごとに独自に決められています。
ただし、任意整理と過払い金の報酬に関しては、日本弁護士連合会の規定によって、以下のように上限が定められています。
内訳 | 規定 |
着手金 | 上限規制なし(追加受領は禁止) |
解決報酬金 ※成功報酬のこと |
1社あたり2万円以下が原則。商工ローンは5万円以下。 |
減額報酬金 | 減額分に加算される報酬金 減額分の10%以下。 |
過払金報酬金 | 訴訟によらない場合回収額の20%以下。 訴訟による場合回収額の25%以下。 ※いずれも税別。税込みの場合は、22%~27.5% |
【参考:債務整理の弁護士報酬のルールについて – 日本弁護士連合会】
報酬金としてこれらの上限を超える額を提示された場合には、日本弁護士連合会の規定を無視している違反業者である可能性が高いため、依頼するのは避けましょう。
任意整理の費用が払えない際の対処法
任意整理にかかる費用をまとめて用意できない場合には、以下の対処法を検討しましょう。
- 分割払いに対応している弁護士に依頼する
- 債権者への支払いが止まっている間に用意する
- 交渉する業者を絞る
- 法テラスに依頼する
それぞれ簡単に解説していきます。
分割払いに対応している弁護士に依頼する
借金に困っている方はまとまった費用を用意できないことがほとんどではないでしょうか。
任意整理で弁護士に支払う費用は、実は分割払いで支払うケースが多いです。
3~6回程度の分割払いや後払いに対応してくれる弁護士事務所もあります。
基本的には分割払いであることがほとんどなので、そこまで心配する必要はないでしょう。
もっともすべての法律事務所が分割払いに対応しているとは限りません。
弁護士に相談をした際に、まとまった費用を用意できないことを正直に伝えておきましょう。
分割払いに対応してくれるなど相談者の事情に寄り添ってくれる事務所であれば、実際に任意整理を依頼した後も安心して任せられるはずです。
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債権者への支払いが止まっている間に用意する
任意整理を弁護士に依頼すると、債権者(お金を貸した側)への返済を一時的にストップできるため、その間に費用を用意することもできます。
任意整理を依頼された弁護士は、すぐに債権者に対して「受任通知」という手紙を送ります。
受任通知を受け取った債権者は、取り立てを行ってはいけないと貸金業法によって決められているため、弁護士依頼後は取り立てが止まることになります。
任意整理の手続きを進めている間は債権者への返済は不要となるため、その間に任意整理の費用を積み立てるケースが一般的です。
取り立ては止まり返済が不要となるため、今の返済と別に弁護士費用を用意する必要もありません。
任意整理で債権者と和解して、利息を減額したうえでの返済が始まるまではおよそ3~6ヶ月程度の期間があるため、その間に弁護士に支払う費用を用意できるはずです。
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交渉する業者を絞る
任意整理は、すべての借金を減額対象にする必要はありません。
減額交渉をする債権者が増えればその分弁護士に支払う費用もかかるため、費用が用意できないのであれば交渉する業者を絞るのもおすすめです。
複数の会社から借金がある場合には、借金額が大きく、減額効果が期待できる業者だけを任意整理の対象にすれば、弁護士費用を抑えられます。
また、一社だけ任意整理をした後に、他の業者も任意整理をしないと返済が難しいといったケースでは、追加で任意整理の対象を増やすこともできます。(追加介入)
どの会社を任意整理の対象にするかは、弁護士と相談した上で予算に合わせて決めましょう。
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法テラスに依頼する
弁護士に支払う費用が用意できない場合には、法テラスに相談するのもおすすめです。
法テラスとは、経済的に困窮している方でも弁護士などの法律の専門家のサポートを受けられるように国によって設立された機関です。
法テラスを利用すれば、以下のように安く任意整理ができます。
1社 実費10,000円、着手金33,000円
2社 実費15,000円、着手金49,500円
3社 実費20,000円、着手金66,000円
4社 実費20,000円、着手金88,000円
5社 実費25,000円、着手金110,000円
6~10社 実費25,000円、着手金154,000円
11~20社 実費30,000円、着手金176,000円
21社以上 実費35,000円、着手金198,000円
過払金がある場合、別途、報酬金がかかります。
【引用:弁護士費用・司法書士費用 – 法テラス】
法律事務所によっては法テラスより安い金額で任意整理を行っている法律事務所もありますので、法テラス経由で弁護士に依頼する場合とどちらが安いのか比較してみてもいいでしょう。
また、法テラスの強みは、民事法律扶助制度で弁護士費用を立て替えた上で、月々5,000~10,000円程度の分割払いで対応してくれる点です。
法テラスに依頼するには、収入や財産が一定以下であるなどの条件を満たす必要がありますが、弁護士費用を用意できない方はぜひ一度相談してみてください。
任意整理を依頼したあとに費用が払えなくなった場合
任意整理で債権者と和解した後は、利息や遅延損害金がカットされた上で残った元本を3~5年の期間で返済していく必要があります。
任意整理を依頼したあとに、債権者と約束した通りの返済ができなくなった場合には、すぐに以下のような対処をとってください。
- 依頼している弁護士に相談する
- 他の弁護士事務所に依頼して再度任意整理をする
- 個人再生や自己破産など他の債務整理を検討する
もし任意整理の和解後に返済できなくなり、何度か滞納すると、結局一括での返済を求められたり、差し押さえを受けたりするリスクがあります。
依頼している弁護士に相談する
任意整理後の返済が難しくなった際には、まずは依頼している弁護士に相談しましょう。
弁護士に依頼して任意整理をした際には、和解後の返済は弁護士事務所を通して行うケースも多いです。
1回程度の滞納であれば、一時的に立て替えてもらったり、債権者との交渉で返済スケジュールを調整したりなどの対応をとってくれるでしょう。
また、2回以上滞納が続きそうな場合には、以下のような選択肢も検討できます。
再和解 | すでに和解している債権者と再び交渉して、毎月の返済額や返済期間を変更する |
追加介入 | 任意整理をしなかった債権者に対して、追加で任意整理を行い返済負担を軽くする |
再和解は、一度和解した業者に対して再交渉をすることになりますが、すでに信用も失っているため、一度目の任意整理よりも厳しい和解条件になる可能性が高いので注意しましょう。
また、任意整理後の支払いや弁護士費用を滞納してしまい、さらに弁護士への連絡を怠った場合などは、弁護士側から任意整理を辞任される可能性もあります。
任意整理後の支払いが遅れる際には、必ず担当の弁護士に相談してください。
別の弁護士事務所に依頼して再度任意整理をする
依頼した弁護士に辞任された場合は、あらためて他の弁護士事務所を探して任意整理を依頼しましょう。
その際は必ず、任意整理後の支払いが上手くいかなくて弁護士に辞任されたことを正直に伝えましょう。
一度任意整理が失敗していることは、新たに任意整理を依頼した弁護士が債権者と連絡を取り合った際に必ずバレてしまいます。
依頼時に隠し事があったとなると、弁護士からの信用を失うことにつながるため、今後の取引に悪影響を及ぼすと覚えておきましょう。
また、二度目の任意整理は、一度目の時よりも返済期間などの和解条件が厳しくなる傾向があるので注意してください。
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個人再生や自己破産を検討する
任意整理後の支払いがうまくいかなくなった際には、個人再生や自己破産も視野に入れましょう。
個人再生や自己破産は、任意整理とは異なり裁判所への申し立てによって借金を減額してもらう手続きで、それぞれ以下のような特徴があります。
個人再生 |
|
自己破産 |
|
個人再生や自己破産は、任意整理とは異なりすべての借金が減額対象になり、任意整理よりも大幅に借金を減らせる可能性があります。
しかし、保証人がついている借金がある場合は、保証人が返済義務を背負わなくてはいけなくなるなどのリスクもあるため、弁護士と十分に相談する必要があります。
任意整理を司法書士に依頼すると安いって本当?
任意整理は、弁護士ではなく司法書士(認定司法書士に限る)に依頼して行うことも可能です。
一般的に司法書士の方が費用が安いと言われていますが、実は相場は2~5万円と大きく変わりません。
また、司法書士の場合は次の点に注意が必要です。
- 1社140万円を超える借金については対応できない
- 債権者との訴訟がもつれて地方裁判所での裁判に移行した場合は対応できない
- 個人再生や自己破産に移行した場合は書類の作成のみしかできない
司法書士は、裁判の代理人になることができますが、簡易裁判所で行われる争いの金額までしか対応できません。
簡易裁判所では金額が140万円までの裁判しか行えないため、司法書士が扱える借金も1社140万円までと決められています(平成28年6月27日最高裁判決)。
一方で、弁護士であれば金額の制限なく任意整理を依頼できます。
もし1社あたりの借金が140万円を超えてしまうような場合は、弁護士に相談しましょう。
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任意整理以外の債務整理の費用相場は?
法律の力を使って借金を減らす手続きである債務整理には、任意整理以外にも「個人再生」と「自己破産」があります。
それぞれ任意整理と同じように弁護士に依頼することで手続きができます。
個人再生や自己破産の際にかかる費用相場を簡単に紹介します。
個人再生の費用相場は40~50万円
個人再生を弁護士に依頼する際の費用相場は、40~50万円ほどです。
個人再生は、裁判所に申し立てをして、借金を最大で10分の1にまで減額してもらった上で原則3年間での完済を目指す手続きです。
また、裁判所によっては裁判所側の担当者である「個人再生委員」が選任されるケースがあります。
「個人再生委員」が選任された場合、弁護士に支払う費用だけではなく、への報酬も申立者が負担する必要があります。
自己破産の費用相場は40~50万円
自己破産を弁護士に依頼する際の費用相場は40~50万円です。
自己破産も、個人再生と同じように裁判所に申し立てる手続きです、
自己破産には弁護士費用の他に、裁判所側の担当者である「破産管財人」への報酬も申立者が負担する必要があります。
要するに、裁判所の申し立てにも費用がかかるということです。
また、自己破産の手続きの中では、未払いの借金に充てるために、車や持ち家などの価値のある財産は破産管財人によって没収されてお金に換えられてしまいます。
そのため、価値のある財産が多い場合などは、破産管財人の業務負担も大きくなり、トータルで100万円ほどの費用が必要になるケースもあります。
まとめ
- 任意整理を弁護士に依頼する際の費用相場は債権者一社あたり2~5万円
- 任意整理の費用を用意できない場合は弁護士事務所に分割払いの相談をするか法テラスに依頼しよう
- 任意整理後に支払いができなくなった際は依頼した弁護士に相談した上で個人再生や自己破産などの手続きを検討しよう
どうすれば返済が楽になるか、インターネットで調べただけだとなかなかイメージしづらかったし、一度弁護士に相談してみようと思います!
企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。