法人や個人の経営・生活再建のためにつくられた法律さ。
例えば法人では、2022年に株式会社ホテルショコラが、民事再生法の適用を東京地裁に申し立てたんだ。
(株)ホテルショコラ(TSR企業コード:028957962、法人番号:3440001008359、渋谷区渋谷2-24-12、設立2018(平成30)年7月、資本金500万円、代表:長瀬寛幸氏ほか)は7月28日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し同日、保全命令が下りた。申請代理人は渡辺宗彦弁護士(ブレークモア法律事務所、千代田区霞が関1-4-1、電話03-3503-5571)。
負債総額は約51億円。
【引用:TSR速報-東京商工リサーチ】
民事再生法とは簡単にいえば会社再建のための法律ですが、先生がいうように個人でも利用できます。
今回はこちらのポイントを中心に解説します。
- 民事再生法と民事再生について
- 個人でも利用できる個人再生
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民事再生法とは|簡単に解説
裁判所の許可の元借金を減額して再建を図る手続きを定めた法律のこと
「裁判所の許可で借金を減額して、再建を図る手続き」は難しい言葉で民事再生というよ。
民事再生は、企業でも個人でも利用できるんだ。裁判所もこんな感じで紹介してるね!
経済的に苦しい状況にある法人や個人(債務者)が,自ら立てた再建計画(再生計画)案について,債権者の多数が同意し,裁判所もその計画案を認めることにより,債務者の事業や経済生活の再建(再生)を図ることを目的とした手続です。
【引用:(2) 民事再生手続について‐裁判所】
その減額された借金を、返済計画にもとづいて完済する手続きなんだ。
法人の場合民事再生法は倒産時の処理で適用される
法人の場合、民事再生法は倒産時の処理で適用されるよ。
会社の倒産・再生の手続き | ||
法的整理 | 破産手続き | 破産法にもとづき、会社の財産を清算して会社が消滅する |
特別清算手続き | 会社法の特別清算の規定にもとづき、財産を清算して会社が消滅する 株式会社に特化した破産の手続き |
|
民事再生手続き | 民事再生法にもとづき、債務を減額して経済的な再生を図る ※個人も利用可 |
|
会社更生手続き | 会社更生法にもとづき、債務を減額して経済的な再生を図る 株式会社に特化した再生の手続き |
|
私的整理 | 事業再生ADRなど 裁判を介さない債権者との話し合い |
この辺は難しいから、別に覚えなくてもいいよ!
他の手続きとの違いは「法人の民事再生と他の整理手続きの違い」でも解説してくれますよ!
個人の場合民事再生法は個人再生で適用される
個人再生とは、裁判所の許可のもと、借金を大幅に減額して、計画的に3年間で返済していく手続きなんだ。
民事再生を個人でも利用できるように簡略化したものだよ。
個人再生については「個人でもできる民事再生|個人再生とは」でも解説するから、参考にしてね。
民事再生法の目的は借金を負った人の経済的な再生
(目的)
第一条 この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。
【引用:民事再生法第1条-e-Gov法令検索】
救済制度があるのには、そういう意味もあるだろうね。
法人の民事再生と個人の個人再生との違い
民事再生が法人と個人だとどんな違いがあるか、まとめるね!
民事再生 ※企業の民事再生 |
個人再生 ※個人の民事再生 |
|
対象 | 法人だけでなく個人も対象 | 個人のみ |
借金の上限 | なし | 5000万円以下(住宅ローンを除く) |
手続き | 複雑 | 簡略化 |
裁判所費用 | 200万円~ | 約3~4万円(東京地裁の場合) |
【参考:個人再生手続利用にあたって – 裁判所】
法人の民事再生の種類
民事再生をするとなると、会社再建のための資金の調達が必要になる。
資金をどこから調達するのかによって、「自力再建」型なのか、「スポンサー支援」型なのか、分かれるんだね。
ざっくり説明すると、こんな感じだね。
自力再建型 | 自社の利益から負債を返済する |
スポンサー型 | スポンサー企業を見つけ、支援を受けながら負債を返済する |
プレパッケージ型 | 民事再生の手続き前にスポンサーが決まっている |
清算型 | 事業を別会社に譲渡し、得られた代金を返済資金にする |
でも中小企業の多くはスポンサーから支援は難しいから、自力再建するケースが多いんだよ。
自力再建型
基本的な民事再生の形態であり、スポンサーなどがいない中小企業や、自力返済できる企業はこうした方法をとるね。
スポンサー型
出資というと金融機関のイメージがあると思うけど、馴染みの会社と直接交渉する方法や、仲介会社に依頼して探してもらう方法などで、スポンサー企業を見つけられるよ。
また、スポンサー候補を募って、入札などで決定するケースが多いかな。
スポンサーがつくことで、企業の再生もしやすくなるし、信用回復にも繋がるよね!
ちなみに、スポンサー企業に事業を譲渡して会社を清算する手法も、スポンサー型に分類されるんだ。
実際、スポンサー企業に事業譲渡をして、民事再生をした企業もあるんだよ。
【参考:事例:プレパッケージ型民事再生|スポンサーへの事業譲渡 – みらいエフピー株式会社】
プレパッケージ型
あらかじめスポンサーを決めておくことで、社会的な信用を失わずに済む可能性があるんだね。
スポンサー企業は複数候補の中から選ぶから、ある程度こちらの意見を反映できるみたいだよ。
清算型
スポンサーが期待できず、自力再建ができないような場合は、有効な方法だね。
確かに、会社を売却すると会社自体はなくなってしまうってデメリットはある。
でも、破産のように事業そのものをなくしてしまうよりいいのかもしれないね。
企業が複数の事業を展開している場合に利用できそうだね。
法人の民事再生と他の整理手続きの違い
ほかの法的整理と民事再生との違いもわかりやすく解説するね!
法人破産との違い
民事再生 | 会社を再建する手続き |
法人破産 | 会社を消滅させる手続き |
財産が処分されると会社には何もなくなるから、会社という実体は消滅してしまうんだね。
民事再生法と似ている会社更生法の違い
民事再生 | 会社更生 | |
法律 | 民事再生法 | 会社更生法 |
対象 | 法人・個人 | 株式会社のみ |
株主の権利 | 維持される | 失う |
税金の扱い | 随時支払いOK | 手続き開始後は支払いNG |
経営者 | 退任しなくてよい | 退任する |
ただし、根拠となる法律が違う点や、会社更生法の対象は株式会社に限られる。
会社の経営陣が交代するかどうかといった点も違いがあるね。
民事再生なら株主もそのまま、経営陣も変わらないので、会社の経営に与える影響は小さいといえるね。
1月19日
・日本航空が、企業再生支援機構に支援の申込みを行うとともに、裁判所に会社更生法に基づく更生手続き開始の申し立て。これを受け、企業支援機構が支援決定。また、裁判所が更生手続き開始決定。
【引用:日本航空の再生への取組み状況①-国土交通省】
私的整理との違い
具体的には、債権者と話し合い、債務の免除や返済猶予などを決めるんだ。
民事再生との違いを簡単にまとめるね。
民事再生 | 私的整理 | |
裁判所を通すかどうか | 通す | 通さない 債権者との任意の交渉 |
強制力 | 裁判所を介すため強制力がある | 応じるかは債権者次第 |
事業への影響 | 公になる可能性が高く、事業に響きやすい | 公になる可能性は低いため事業に響きにくい |
返済計画 | 最長10年など、ある程度ルールがある | あくまで話し合いなので柔軟にできる可能性がある。 3~5年以内がめど |
費用 | 裁判所費用:200万円~+弁護士費用 | かからない(弁護士に依頼しない場合) |
また、方法としては、事業再生ADRといった話し合いや、RCC(整理回収機構)という機関がまとめる方法など様々なものがあるよ。
内容によっては、経営陣が退任しなければならないものや、株主への影響が生じるものもある。
実際にどちらがいいのかは、弁護士に相談したほうがいいね。
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民事再生とはどんな手続き?簡単に解説!
おさらいすると、民事再生は、裁判所の許可のもと、債務を減額してもらい、その減額された債務を返済計画にしたがって返済していく手続き。
じゃあ実際に、民事再生のメリットやデメリット・条件などについてわかりやすく解説するね!
法人の民事再生のメリット
法人の民事再生のメリットは主に4つだよ。
- 会社を存続させることができる
- 現経営陣の維持ができる
- 債務を大幅に減額・分割で返済できる
- 手元にある資金を確保できる
会社を存続させることができる
経営者なら、ここまで築いてきた会社や、ブランド価値などを残せるんだ。
もちろん、再建の途中で、事業の縮小や、従業員の整理などもしなければならない可能性はあるけど…会社が消滅しなくて済むのは嬉しいね。
ただ、失敗すると法人破産の可能性が高くなるから、再建計画は慎重に立てないといけないね。
現経営陣の維持ができる
例えば、株式会社が行う会社更生の場合、手続きが開始されると更生管財人って人が経営を引き継ぎ、今の経営陣は退陣しないといけないんだね。
とはいえ、手続きが開始すると、監督委員という人が経営を監督することになるから、今までのように経営するのは難しいけどね。
債務を大幅に減額・分割で返済できる
民事再生をすることで、倒産は免れることができるんだね。
また、民事再生をすることで、減額された債務の返済期間も、最長で10年にできる可能性があるんだね。民事再生に詳しい弁護士に一度相談してみよう!
(再生計画による権利の変更)
第百五十五条 再生計画による権利の変更の内容は、再生債権者の間では平等でなければならない。ただし、不利益を受ける再生債権者の同意がある場合又は少額の再生債権若しくは第八十四条第二項に掲げる請求権について別段の定めをし、その他これらの者の間に差を設けても衡平を害しない場合は、この限りでない。
中略
3 再生計画によって債務が負担され、又は債務の期限が猶予されるときは、特別の事情がある場合を除き、再生計画認可の決定の確定から十年を超えない範囲で、その債務の期限を定めるものとする。
【一部引用:民事再生法 – e-Gov】
手元にある資金を確保できる
要するに、預金があるんだから銀行の借金は預金から返してもらうぜってことだね。
相殺は、民法で認められ、契約書にも記載されているはずだよ。
(相殺の要件等)
第五百五条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
【一部引用:民法 – e-Gov】
民事再生では、全ての債権者を平等に扱わないといけないと決まっている。特定の債権者だけが弁済を受ける不公平な状況を禁じてるんだね。
そのため、銀行だけが返済を受けることがないように、手続きを開始すれば相殺ができなくなるんだね。
預金はそのまま再建に活用できるんだ。
法人の民事再生のデメリット
- 社会的な信用を失う可能性がある
- 担保権を行使される恐れがある
- 裁判所や弁護士費用などがかかる
- 債務免除益課税が発生する可能性がある
- 失敗すると破産になる恐れがある
社会的な信用を失う可能性がある
企業の知名度や負債額によってはネットニュースになる場合もあるからね。
県内でスーパーマーケット「さとちょう」を運営する佐藤長はきのう付けで青森地方裁判所弘前支部から民事再生手続きの開始決定を受けました。
佐藤長は関連会社の「青森食研」と合わせておよそ70億円の負債を抱え、先月26日民事再生法の適用を申請しました。
再生計画案の提出期限は11月30日で来年1月下旬に予定している債権者集会で決議する方針です。
佐藤長は営業を続けながら支援企業を探し再建をめざしています。
【引用:経営破綻の佐藤長 民事再生手続き開始決定 負債70億円‐YAHOO!ニュース】
というのも、民事再生では、すべての債務が整理の対象となる。
その中で、特定の債権者だけ返済を受けると、他の債権者にとって不公平になるよね。
それに、企業の財産額・債務を正確に把握できなくなるため、支払いを止めないといけないんだね。
民事再生の決まりとはいえ、債権者からしたら支払いが停止するわけだから、一層信用を失ってしまうんだね。
担保権を行使される恐れがある
この理由は「社会的な信用を失う可能性がある」でも話したけど、民事再生ではすべての債権者が平等に扱われるため、特定の債権者だけが弁済を受けてはいけないんだね。
ただし、例外がある。それが担保だね。
民事再生法の民事再生では、手続きを開始すると担保(担保にした不動産など)を回収されて売却されてしまう恐れがあるよ。
でも、担保権だけは優先的に回収が認められている。
この担保権だけが例外的に認められている権利のことを別除権(べつじょけん)なんていったりするんだけど、難しいから覚えなくていいよ。
つまり、債権者は民事再生の手続きに関係なく担保を回収できちゃうんだ。
だから、民事再生が開始されると、担保権を行使されて、資産を回収されてしまう恐れがあるってことだね。
(別除権)
第五十三条 再生手続開始の時において再生債務者の財産につき存する担保権(特別の先取特権、質権、抵当権又は商法若しくは会社法の規定による留置権をいう。第三項において同じ。)を有する者は、その目的である財産について、別除権を有する。
2 別除権は、再生手続によらないで、行使することができる。
3 担保権の目的である財産が再生債務者等による任意売却その他の事由により再生債務者財産に属しないこととなった場合において当該担保権がなお存続するときにおける当該担保権を有する者も、その目的である財産について別除権を有する。
【引用:民事再生法 – e-Gov】
裁判所や弁護士費用などがかかる
「私的整理との違い」でも解説したけど、民事再生は裁判所費用だけで最低200万円はかかってしまう。
「法人の民事再生にかかる費用相場」でも解説するけど、弁護士費用に関しては、債務の大きさによっても異なるけど、1億円未満でおおよそ200~300万円くらいするんだよね。
裁判所に納める費用と同程度くらいと考えておこう。
他にも、従業員の給料や、従業員の整理に対して発生する退職金など、運営を維持するにあたってかかる費用も必要になってくるよ。
費用に関しては「法人の民事再生にかかる費用相場」でも詳しく解説するね!
債務免除益課税が発生する可能性がある
端的にいえば、免除された額が利益扱いで課税されるかもしれないんだね。
この辺はものすごく難しいだろうから、弁護士に相談しよう!
失敗すると破産になる恐れがある
これは民事再生法で、民事再生がうまくいかない場合に、裁判所の職権で破産手続きに移行することが決められているからなんだ。
(再生手続の終了に伴う職権による破産手続開始の決定)
第二百五十条 破産手続開始前の再生債務者について再生手続開始の申立ての棄却、再生手続廃止、再生計画不認可又は再生計画取消しの決定が確定した場合において、裁判所は、当該再生債務者に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、職権で、破産法に従い、破産手続開始の決定をすることができる。
2 破産手続開始後の再生債務者について再生計画認可の決定の確定により破産手続が効力を失った後に第百九十三条若しくは第百九十四条の規定による再生手続廃止又は再生計画取消しの決定が確定した場合には、裁判所は、職権で、破産法に従い、破産手続開始の決定をしなければならない。ただし、前条第一項後段の規定による破産手続開始の申立てに基づいて破産手続開始の決定をする場合は、この限りでない。
【引用:民事再生法 – e-Gov】
法人の民事再生ができる条件
- 裁判所費用や当面の運転資金を用意できる
- 民事再生が適切と判断される
- 再生計画案を実行できる見込みがある
- 税金や社会保険料の滞納額が少ない
- 債務免除額を相殺できるだけの繰越欠損金等があること
その上、事業を継続ともなれば、当面の運営資金や、従業員の給料なども必要になるからこの辺の体力がないと申し立ては難しいね。
そして「債務免除益課税が発生する可能性がある」で解説したように、債務が免除されると課税される可能性があるから、相殺できるような繰越欠損金が必要になるんだ。
この辺は税金の話になるから、これらの条件を踏まえて、民事再生が妥当であるかどうか弁護士に相談してみてね。
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民事再生をした場合の従業員の処遇
解雇しなければならないなんて法律もないしね。
また、会社側としても、会社の技術は流出してほしくない。
ただ、再生計画の同意を得るために、従業員を整理したり事業の縮小を余儀なくされるケースも多いんだ。
その場合、従業員の解雇にあたっては、労働基準法や就業規則にのっとり、不当解雇に該当しないような整理が必要になるね。
企業の民事再生や雇用者側の労働問題に詳しい弁護士に相談しよう。
法人の民事再生にかかる費用相場
めちゃくちゃ高額になりそうな予感しかないんですが…。
法人の民事再生にかかる費用がめちゃくちゃ高額になるかは、負債額によるかな。
手続きにかかる裁判所の費用
基本的にはどこの裁判所でもこの金額がかかることになるよ。
負債総額 | 基準額 |
5000万円未満 | 200万円 |
5000万円以上~1億円未満 | 300万円 |
1億円以上~5億円未満 | 400万円 |
5億円以上~10億円未満 | 500万円 |
10億円以上~50億円未満 | 600万円 |
50億円以上~100億円未満 | 700万円 |
弁護士費用の相場
弁護士費用は、ざっくり分けると、依頼時に支払う着手金と、事件終了時に支払う報酬金というものがある。
各法律事務所によっても、費用は異なるけど、着手金だけでも裁判所の費用と同程度かかるケースが多い。
もし負債総額が1億円未満でも、着手金や成功報酬合わせて1000万円程度かかるのが一般的なんだ。
会社の体力的にこうした費用が払えるかどうかも、再生をするか破産をするかの分かれ道になると思う。
債務が貯まり危険という段階で弁護士に相談するのが重要だよ。
民事再生の手続きの流れ
- 民事再生の申し立てと保全処分の決定
- 監督委員が選任される
- 再生手続き開始決定
- 債権届出
- 会社の財産状況の報告・財産評定
- 債権認否書の提出・債権調査期間
- 再生計画案の作成と決議・認可
- 再生計画の遂行
- 民事再生を申し立てて会社の財産を保護する
- 財産の調査や債権者の調査をする(再生が妥当か判断するため)
- 財産や債務の調査終了後に再生計画を提出する
- 債権者や裁判所がOKなら、債務が減額されて計画通りに返済していく
それを元に再生計画を作って、債権者や裁判所の許可がもらえればOK。
計画通りに、コツコツ返済していくってワケだね。
民事再生の申し立てと保全処分の決定
保全処分の決定は、民事再生するらしいと聞いた債権者に資産を回収されないようにするための措置だよ。
本来、民事再生が開始されれば、「担保権を行使される恐れがある」で解説した通り、弁済や、支払いはすべて停止されるし、特定の債権者だけが弁済を受けるような行為は禁止される。
でも、債権者の中には、勝手に借金を回収しようとしちゃったりするケースがあるわけだ。
債権者に回収されてしまったら、所有している財産額が確定せず、手続きが進まないからね。
監督委員が選任される
監督委員っていうのは、民事再生の手続きを裁判所に代わって監督する専門員のこと。
民事再生が開始されても、企業は財産の管理や処分、事業の遂行ができる。
でも、民事再生の途中だから、不正が行われないように、監督をしてるんだね。
財産の処分・借り入れなどについては監督委員の同意が必要になるよ。
通常は、倒産手続きに精通した弁護士が選ばれるんだ。
再生手続き開始決定
申し立てから開始までは通常2週間くらいだよ。
債権届出
債権届出は、債権者が裁判所に提出する届け出のこと。
裁判所は民事再生を開始する際に、債権者に通知を行ってるんだね。
だから、通知を受けた債権者も、裁判所にお金を貸した事実をちゃんと申告しないといけない。
裁判所に申告しないと、今後借金の返済が受けられなくなってしまうんだね。
再生債権届出書は,再生手続開始決定通知書記載の再生債務者に対して,お金を貸したけれど弁済を受けていない等,あなたが何らかの債権を有している場合に,裁判所に対してその債権を届け出るためのものです。
【引用:民事(通常)再生事件の債権届出書を提出する方のために‐裁判所】
会社の財産状況の報告・財産評定
財産評定は、民事再生の手続き開始時点で会社が保有しているすべての財産の価値を定める手続きだね。
会社の財産の状況に応じて、再生計画を立てたり、債権者が再生計画に同意するかどうか判断するんだね。
債権認否書の提出・債権調査期間
債権調査は、債権届出後に行われる調査で、届け出のあった借金が存在するか否かやその金額などを確定させるための調査だよ。
要するに、債権者からも届出のある借金なのかどうかなど、債務を確定する作業なんだね。
再生計画案の作成と決議・認可
再生計画案については、債権者を招集した債権者集会で決議を行うんだね。
債権者集会は裁判所主催で開かれるんだけど、メインは再生計画案の議論ではなく、単純に賛成か反対かの投票。
ちなみに、再生計画案の可決には下記2つの条件を満たさないといけないんだね。
- 債権者の過半数の同意
- 債務総額の2分の1以上の債権者の同意
A金融機関 | 500万円 |
B金融機関 | 500万円 |
C金融機関 | 2000万円 |
例えば、C金融機関の債務は2,000万円。だからC金融機関がこの計画はないわって反対すると、民事再生は失敗になってしまうってワケだね。
再生計画の遂行
ちなみに、監督委員は3年間、再生計画の遂行を監督するんだね。
民事再生にかかる期間は5ヶ月~1年
とはいえ、これは統計などがないから正確な数字はわからないけど、おおよそ5ヶ月くらいなんだね。
借金額が大きかったり、債権者数が多かったりすると手続きに1年以上かかるケースもあるみたいだよ。
また、再生計画案の認可から返済終了までは、最長で10年の分割払いが認められているんだ。
法人の民事再生成功のポイントは今後継続して返済できるか
手続き成功のポイントはこんな感じだね。
- 再生計画・経営戦略を練る
- 再生計画中の資金繰りの問題を解決する
- 早い段階で弁護士に相談をする
結局、今後の事業として利益が出せるか、再生計画は実現可能かどうかって部分が、債権者の同意を得るポイントだね。
また、一番頭を悩ませるのが、再生計画中の資金繰りの問題だね。
再生計画が認可されるまではおおよそ6ヶ月ほどかかる。その間は、融資を受けるといったことはできない。
そのため、スポンサーを探しておくなどの対策も必要になる。
こうした計画的な再建を目指すには、やはり早期から弁護士に相談をして、コツコツ計画を立てることが大事だね。
個人でもできる民事再生|個人再生とは
ここでは、個人でもできる民事再生、個人再生について解説するよ。
民事再生法のもと借金を減額できる手続き
元金を最大で10分の1まで減額できて、原則3年の分割払いで返済するよ。
個人再生の手続きは2種類に分かれる
小規模個人再生 | 給与所得者等再生 | |
対象者 | 小規模事業の経営者・個人事業主など | サラリーマン |
減額幅 | 大きい | 小さい |
債権者の同意 | 必要 | 不要 |
件数 | 割合 | |
小規模個人再生 | 1万1948件 | 約94% |
給与所得者等再生 | 764件 | 約6% |
【参考:第109表 再生既済事件数―事件の種類及び終局区分別―全地方裁判所‐裁判所】
その結果、給与所得者等再生は小規模個人再生よりも返済額が高額になりがち。
だから、小規模個人再生を選ぶ人がほとんどなんだよね。
小規模個人再生
収入が一定のサラリーマンは、返済額が高額になりがちな給与所得者等再生が対象になるんだけど…さっき話したように、今や「個人再生」といえば、小規模個人再生だと思っていいくらい割合が多いんだ。
先の表でも紹介したように小規模個人再生は、債権者の同意が必要だけど減額幅が大きいんだ。
利用するには条件があるから、簡単に紹介するね。
小規模個人再生の利用条件
- 今後も継続して収入を得られる見込みがある
- 住宅ローンを除く借金が5000万円以下である
給与所得者等再生
安定した収入があるサラリーマンが対象だから、小規模個人再生よりも返済額が高額になりやすい基準を設けているんだ。
もっとも、そのお陰で手続きのほとんどは小規模個人再生が多いんだけどね。
こちらも利用するには条件があるから、簡単に紹介するよ。
給与所得者等再生の利用条件
- 給与など安定した収入がある
- 住宅ローンを除く借金が5000万円以下である
- 過去7年以内に給与所得者等再生やハードシップ免責を利用していない など
簡単にいうと、すでに4分の3以上返済している場合にかぎって、残りの返済を免除する制度なんだ(民事再生法第235条第1項第二号)。
ハードシップ免責や給与所得者等再生を過去7年以内に利用していると、給与所得者等再生は使えないから注意してね。
【参考:個人再生手続き利用にあたって – 裁判所】
個人再生のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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メリット
- 元金を最大で10分の1にカットできる
- 持ち家などの財産を手放さなくていい
- 借金の原因を問われない
また、ローンを返済中のものがある場合、個人再生をすれば返済の代わりとして引き上げられてしまう。
でも個人再生では、ローン返済中の持ち家を手放さずに済む制度があるんだ。
住宅ローン特則といって、住宅ローンを減額しない代わりに、持ち家に住み続けられるんだよ。
それに、個人再生では借金の原因を問われない。
返済義務が免除される自己破産だと、ギャンブルや浪費など、借金の原因次第では免除が認められない場合もあるんだ。
デメリット
- 最低でも100万円は返済しないといけない
- ブラックリストになり5~7年はしばらく借入れができない
- 安定した収入がないと利用できない
- 保証人への影響を避けられない
記録が追加されると、借入れの審査で信用情報をチェックされた際に、個人再生をしたことがバレてしまうんだ。
だから個人再生をしたことがバレると、返済能力がないと思われて借入れできないと。
だから、借金の中に保証人つきが含まれていたら、保証人にも請求がいってしまうんだ。
個人再生ができる条件
手続き開始の条件
- 安定した収入があること
- 住宅ローンをのぞいた借金総額が5000万円以下であること
個人再生にかかる費用相場はトータル40~70万円
実際、個人再生にかかる費用の相場は、裁判所と弁護士費用を合わせるとトータルで40~70万円ほどかかるんだ。
裁判所の費用
内訳 | 内容 | 金額 |
申し立て手数料 | 申し立ての際に必要となる費用。収入印紙で支払う | 約1~2万円 |
予納郵券 | 債権者に個人再生を知らせる通知のための切手代 債権者数に応じて増減する |
約2,000~3,000円 |
官報(かんぽう)公告費 | 官報に掲載される際に発生する費用 | 約1万2,000~1万4,000円 |
裁判所からのお知らせや法改正に関する情報などが掲載されているよ。
個人再生は裁判所を通す手続きだから、名前や住所が官報に掲載されるんだ。
とはいえ官報は書き方が独特だから、マニアでもないかぎり、頻繁にチェックする一般人は多くない。
官報が原因で周囲の人に個人再生が知れ渡ることは滅多にないからね。
弁護士費用の相場
着手金・報酬金・実費などの費用がこの中には含まれているんだ。
民事再生の簡略版とはいえ、個人再生の手続きは複雑で弁護士の負担が大きい。
だからその分費用が高くついてしまうんだ。
とはいえ、何も一括で支払えってことはない。多くの法律事務所では、分割払いであるケースがほとんど。
その上、手続き前は借金の返済も止まるから、そこまで負担ではないよ!
個人再生の流れ
- 弁護士に依頼・受任通知を債権者に送付
- 裁判所に個人再生申し立て
- 個人再生の手続き開始
- 再生計画案の作成・提出
- 再生計画案の決議
- 手続き完了・返済開始
再生計画を同意してもらって、裁判所の許可後、返済を進めるって感じですね。
債権者に送ることで取り立てをとめることができるんだよ。
受任通知を受け取ったあとは直接の取り立てが禁止されるからね(貸金業法第21条第1項第九号)。
個人再生にかかる期間は約6ヶ月~1年
弁護士に個人再生を依頼したあとに、裁判所に申し立てる書類を準備しないといけないから、サクッと申し立てられるわけではないんだよね。
だから結局、法人の民事再生に比べて大幅な時短になるってわけでもないんだ。
個人再生と自己破産の違い
どちらも裁判所を通す手続きですけど、違いってあるんですか?
個人再生 | 自己破産 | |
効果 | 元金を最大で10分の1にカット | 借金の返済義務を免除する |
返済義務 | 残る | 残らない |
財産 | 残せる | 20万円以上の財産は残せない |
自己破産の場合は返済義務が残らない。個人再生は借金を大幅に減額できるけど、返済は続く。
だから安定した収入も必要になるよ。
法人の民事再生でよくある質問
社長や従業員も退任や解雇しなければならない?
ただし会社を再建するなら事業の見直しは必須だろうから、整理にともなってやむをえず解雇しないといけない場合もあるかもしれないね。
その場合は会社の規定に従い、退職金などの支払いが発生するから、こうした資金も考慮して、民事再生の手続きを検討しないといけないね。
民事再生をしたら従業員の給料はどうなるの?
給料の支払いは、「一般優先債権」と呼ばれるものになり、民事再生法では優先的に扱われるんだ (民法308条、民事再生法122条)。
だから、給料日になれば、手続きに関係なく給料が支払われることになるよ。
民事再生を利用した企業はある?
- 株式会社ニューマルシン:2011年1月
- マルホン工業株式会社:2015年3月
- TKJP株式会社:2017年6月
- 株式会社ホテルショコラ:2022年7月
【参考:2022年度報-帝国データバンク】
民事再生が失敗するとどうなるの?
一方、一回認可決定を受けて、再生計画を履行した場合はちょっと違う。
民事再生後、監督委員は3年間は、再生計画の履行を監督してくれる。でも、3年経過して、それでもまだ債務が残るような場合は、再度民事再生を申し立てることもできるよ。
だから、最初に再生計画が同意を得られるかどうかが肝になるね!
失敗して破産になってしまうのを避けるためにも、早い段階で弁護士に相談するようにしよう!
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法人の民事再生、個人の個人再生は弁護士に相談しよう
特に、企業の民事再生は考えないといけないことが多いよね。
- 今後の経営戦略
- 債権者の同意が得られる再生計画案の作成
- 従業員の処遇・資金繰りの問題
- そもそも民事再生が妥当かどうか など
その上、失敗すれば、破産のリスクを負うことになる。
だからこそ、「企業の民事再生」に強い弁護士に相談するようにしよう。
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まとめ
- 民事再生法とは裁判所の許可の元借金を減額して再建を図る手続きを定めた法律
- 民事再生法は個人にも適用される
- 法人が利用すれば会社を再建できる
- 法人の場合は莫大な裁判所費用がかかる
- 民事再生をしても原則従業員は解雇されない
- 個人が利用する場合は9割以上が小規模個人再生
法人でも個人でも借金が返せず悩んでいる場合は、弁護士に相談してみてね。
企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。