借金の返済で困っていて、調べていたら個人再生がいいってことが分かったんだけど。
最低弁済額ってなんなの?
なんか基準によって返済額が違ってくるみたいなんだけど、よく分からないんだよね。
確かに色々な基準があって計算方法も複雑だから、自分が個人再生するとどれくらい弁済しなければならないのか分かりにくいよね。
今日は、先生にわかりやすく解説してもらおうか。
個人再生は、借金を最大10分の1まで減額できる可能性があります。
ただし個人再生には「最低弁済額」が定められており、一定金額を下回ることはありません。
今回は個人再生の最低弁済額について、どのような基準を用いて算出しているのか、手続き後に最低弁済額を支払えない場合はどうなるのか解説していきます。
\家族に内緒で月々の返済を減らしたい人はこれ!/
任意整理とは?内容や特徴メリット・費用などすべてを解説!
\借金が返済できない人はこれ!/
自己破産とは|自己破産のデメリットや費用などをわかりやすく解説
\どっちが自分にあってるの?知りたい人はここ!/
LINEで無料相談!
個人再生における最低弁済額とは?
法律で決められている最低限支払いする金額
個人再生をした場合、借金は最大10分の1まで減額される。
そしてこの最低弁済額を、事前に定めた再生計画に基づき3〜5年で返済していくことになるんだよ。
住宅ローン特則:住宅ローンは減額対象外
個人再生のメリットである住宅ローン特則は、こういう制度だったよね。
- 個人再生手続きではすべての借金が整理の対象となる
- ローンの支払いが残っているものは整理の対象となりローン会社によって引き上げられてしまう
- 住宅ローン特則を利用することで、住宅ローン以外の借金だけを整理して減額できる
- ローンの支払いが残っていて個人再生した場合でも持ち家を手元に残しておくことができる
個人再生後は、減額された借金の返済と住宅ローンの支払を行うことになるよ。
個人再生の弁済額を決める3つの基準
どの基準に基づいて計算したかによって、弁済額は大きく変わってくる。
それぞれの基準はどういったものなのか、またどのように弁済額を計算するのか詳しく解説していくよ。
個人再生の種類
①最低弁済額基準 | 借金総額により弁済額が決まる基準 |
②清算価値保障基準 | 申し立てた人の持っている財産により弁済額が決まる基準 |
③可処分所得基準 | 申し立てた人の可処分所得、収入から手取りや生活に必要な費用を差し引いた2年分で決まる基準 |
個人再生の種類と弁済額を算出する際に用いられる基準
個人再生の種類 | 弁済額を算出する際に用いられる基準 |
小規模個人再生 | ・最低弁済額基準 ・清算価値保障基準 (計算を行って弁済額が高かったほうが用いられる) |
給与所得者等再生 | ・最低弁済額基準 ・清算価値保証基準 ・可処分所得基準 (計算を行って弁済額が高かったほうが用いられる) |
最低限弁済する金額が、給与所得者等再生の方が高額になりやすいからだね。
小規模個人再生の場合、①最低弁済基準、②清算価値保障基準の2つの基準をから、最低限弁済する金額を決めるんだ。
それぞれの基準がどういった内容なのかについては、次のところで詳しく解説していくよ。
法律で定められた「最低弁済額基準」
民事再生法で定められた借金総額ごとの最低弁済額
負債総額 | 最低弁済額 |
借金額が100万円以下 | 減額されない |
借金額が100万円~500万円 | 100万円にまで減額される |
借金額が500万円~1500万円 | 5分の1にまで減額される |
借金額が1500万円~3000万円 | 300万円にまで減額される |
借金額が3000万円~5000万円 | 10分の1にまで減額される |
個人再生すれば毎月の返済も楽になりそうです!
小規模個人再生なら、これと清算価値保障基準を比較するし、給与所得者等再生ならこれと清算価値保障基準・可処分所得基準の3つを比較して弁済額を決めるんだ。
個人再生では最低弁済額は100万円~
借金が100万円以下の場合、個人再生では全額の弁済となるので、100万円以下の場合は個人再生の効果はないよ。
借金が100万円以下なら、任意整理などを検討した方がいいね。
所有している財産の額が重要「清算価値保障基準」
- 清算価値保障基準とは所有している財産や資産によって返済額が決まる基準
- 個人再生を申し立てた人が所有している財産・資産が多数ある場合、自己破産した方が債権者へ分配できる金額が多いケースがある
- そこで個人再生した場合でも、自己破産した時と同様の金額が債権者へ行き渡るように定められた
例えば借金400万円で、自分が所有している財産が300万円ある場合、個人再生と自己破産それぞれどのような違いが生じるかみてみよう。
個人再生と自己破産した場合における債権者への配当金額
債権者への分配 | |
個人再生 |
|
自己破産 |
|
債務者は減額された100万円を3~5年で完済すればいい。
一方、自己破産の場合は、返済義務がなくなるけど、一定以上の財産は没収されて、債権者に分配されるんだ。
個人再生よりも自己破産の方が分配される金額が多くなるなら、個人再生は債権者にとってメリットはない。
だから、自己破産と同じように、一定以上の金額を超える財産を、個人再生の弁済する基準に組み込もう。
自己破産と同じように、弁済が受けられるようにしようというのが、清算価値保障基準なんだ。
超わかりやすくいうと、自分の持っている財産以上は返済しないと行けないって決まってるってことだね。
この例でいうと、400万円を減額した金額100万円と、財産300万円を比較することになるから、金額が大きい財産額300万円が手続き後に返済しなければならない金額になるんですね。
確かに、借金400万円に対して、財産が300万円あるなら、財産を売って返済しろよってのは当然かも…。
個人再生は、財産を没収はされないけど、財産額が返済額に関係するってワケか…。
収入に応じて返済額が定まる「可処分所得基準」
可処分所得は、以下の方法で計算できるよ。
- 過去2年間分の収入の総額を算出する
- そこから所得税・住民税・社会保険料などを引いて手取りのお給料を算出する
- 算出した金額を2で割る
- 割った金額から生活保護を参考にした「最低生活費1年分」を引く
- 引いた金額を2倍にする
でも、生活保護って、地域や世帯人数、年齢等によって異なるんだ。だから計算するのは結構難しいよ。
あくまでも目安となるけど、生活保護の自動計算サイトなんかを使ってシミュレーションしてみてもいいかもね!
可処分所得基準が実際にいくらになるかは、「可処分所得基準を計算した場合」を参考にしてみて!
とりあえず、可処分所得基準は収入に応じて変動するから弁済額としては一番高額になる可能性があるってことは覚えておこう。
個人再生の最低弁済額シミュレーション
なおシミュレーションは、抱えている借金の総額500万円の人が、個人再生をしたと仮定して計算しているよ。
最低弁済額基準を計算した場合
負債総額 | 最低弁済額 |
借金額が100万円以下 | 減額されない |
借金額が100万円~500万円 | 100万円にまで減額される |
借金額が500万円~1500万円 | 5分の1にまで減額される |
借金額が1500万円~3000万円 | 300万円にまで減額される |
借金額が3000万円~5000万円 | 10分の1にまで減額される |
清算価値保障基準に基づいて計算を行い財産が「100万円以下」であれば、最低弁済額基準が採用されて弁済額は100万円となるよ。
じゃあこの100万円まで減額された分を3年で完済するとなると、月の返済額はこんな感じですかね?
借金 | 100万円 |
3年で完済する場合の月の弁済額(36回払い) | 約2.7万円 |
清算価値保障基準を計算した場合
また、清算価値保証基準として、算出される財産は自己破産で没収される財産が基準になるよ。
具体的にいえば、こんな感じだね。
現金 | 99万円を超える部分 |
預貯金や生命保険 | 20万円を超える部分 |
退職金 | 見込み額の4分の1~8分の1が20万円を超える場合 ※退職時期により異なる |
自動車 | 20万円を超える場合 |
不動産 | 評価額からローン残高を控除した金額 |
※裁判所により運用が異なるので注意
可処分所得基準を計算した場合
試しにさいむくんの年収が「400万円」だとして、可処分所得がどれくらいになるか計算してみよう。
- 過去2年間分の収入(800万円)-過去2年間に支払った税金など(約100万円)÷2=350万円
- 350万円-最低生活費1年分(156万円)×2=388万円
そして可処分所得基準を採用している給与所得者等再生では、3つの基準のうち「もっとも高い金額」が最低弁済額となる。
3つの基準に基づいて計算された最低弁済額を、実際に比較してみようか。
- 最低弁済額基準:100万円
- 清算価値保障基準:250万円
- 可処分所得基準:約388万円
とはいえ、これは給与所得者等再生で個人再生をした場合だね。
小規模個人再生なら、清算価値保証基準の250万円が最低弁済額になるよ。
債権者が個人再生に反対しない限りは、小規模個人再生を利用できると考えておいて問題ないよ。
個人再生はこんな人におすすめ
安定した収入がある
安定して継続した収入が見込めない場合、個人再生を認めてもらえない可能性が高い。
特にケガや病気で収入が減少もしくはなくなった人は、個人再生ではなく自己破産を検討しよう。
借金総額200万円以上で財産が少ない
財産が少なければ、清算価値保障基準が適用されて、最低弁済額基準よりも返済額が高くなる心配もないからね。
一定以上の財産があり没収されたくない
自己破産の場合、20万円以上の価値ある財産は没収対象となってしまう。
特に持ち家や車など手元に残しておきたい財産が多い人は、自己破産ではなく個人再生を選ぶべきだ。
個人再生をしても返済できそうにない場合は、自己破産を検討しよう。
借金総額が100万円以下なら任意整理がおすすめ
例えば借金80万円の場合、個人再生をしても減額されないけど、任意整理であれば利息をカットできる可能性がある。
実際にどのくらい減額されるのか、以下にまとめたから参考にしてね。
なお借金80万円・年利15%、3年もしくは5年で返済するとして計算しているよ。
借金80万円を任意整理した場合の減額効果
任意整理 | 毎月の返済額 | 総返済額 |
した場合 | 3年:22,222円 5年:13,333円 |
3年:80万円 5年:80万円 |
しなかった場合 | 3年:27,732円 5年:19,031円 |
3年:約99万円 (利息は約19万円) 5年:約114万円 (利息は約34万円) |
借金総額が5,000万円以上なら自己破産を相談しよう
借金額も膨大で利息も毎月莫大な金額が発生するから、借金額が5,000万円以上なら、一刻も早く自己破産を検討しよう。
個人再生後に最低弁済額を払えないとどうなる?
3~5年で完済しないといけないし、ちょっと不安です…。
再生計画を取り消される
そして再生計画が取り消されてしまった場合、債務者は個人再生で減額される前の借金額を支払わなければならないんだ。
訴訟の提起・差し押さえがされる
裁判に負けてしまうと、給料などが強制的に差し押さえが行われてしまうんだ。
個人再生の最低弁済額が払えない時の対処法
うう~今から不安だなぁ…なんか対処法はないんですか?
それに、裁判所でも計画に無理がないかは、じっくり見てくれるよ。
個人再生の手続きでは、裁判所によって実際に返済できるかどうかの「履行テスト」というものも実施するしね。
ただ、どうしても急に働けなくなったり、出費がかさんでしまうってこともあるよね。
もし、再生計画どおりに最低弁済額が払えない場合、どのように対処すれば良いのか具体的な対処法を解説していくよ。
返済期間・支払期間の延長 | 裁判所に申し立てて返済期間を最長2年延長してもらう |
ハードシップ免責 | 裁判所に申し立てて、残りの最低弁済額を免除してもらう |
自己破産 | 裁判所に申し立て、借金の返済義務をなくしてもらう |
返済期間を2年延ばしてもらう
(再生計画の変更)
第二百三十四条 小規模個人再生においては、再生計画認可の決定があった後やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となったときは、再生債務者の申立てにより、再生計画で定められた債務の期限を延長することができる。この場合においては、変更後の債務の最終の期限は、再生計画で定められた債務の最終の期限から二年を超えない範囲で定めなければならない。
【引用:民事再生法 – e-Gov】
その上、最低弁済額が減ることもないよ。
ハードシップ免責を利用する
ハードシップ免責を利用することで、残りの最低弁済額を免除してもらえる場合もあるんだよ。
(計画遂行が極めて困難となった場合の免責)
第二百三十五条 再生債務者がその責めに帰することができない事由により再生計画を遂行することが極めて困難となり、かつ、次の各号のいずれにも該当する場合には、裁判所は、再生債務者の申立てにより、免責の決定をすることができる。
一 第二百三十二条第二項の規定により変更された後の各基準債権及び同条第三項ただし書に規定する各再生債権に対してその四分の三以上の額の弁済を終えていること。
【一部抜粋:民事再生法 – e-Gov】
- 最低弁済額が既に4分の1以下であること(つまり、最低弁済額の4分の3は弁済が済んでいる)
- 支払えなくなった理由が債権者本人には責任のない事情であること(突然の解雇や長期入院など)
- ハードシップ免責を利用したとしても、債権者の利益が損なわれないこと、すでに清算価値を超えた金額を返済していること
- 支払期間を延長しても返済できそうにない
あくまでも4分の3を返済しおえて、あと少しって所でやむを得ず支払えなくなった人に向けて、免除してあげようねって制度なんだね。
ちなみに、住宅ローン特則もなくなるから、ハードシップ免責を受けるとローンの残る自宅は売却されてしまうことになるよ。
自己破産を検討する
ただし、自己破産は借金が免除になる一方で、いくつか注意しなければならない点もある。
- 手続き期間中は一定の資格・職業に制限がかかる
- 手続き期間中は引っ越しや郵便物が制限される
- 手続きによっては一定額以上の財産や資産は処分しなければならない
個人再生の最低弁済額が払えない・払えなさそうなら弁護士に相談しよう!
弁護士に相談すれば、毎月返済可能な金額になるよう個人再生の手続きを行ってくれるからね。
また、そもそも最低弁済額が払えるのかどうか、本当に個人再生が合っているのかどうかも含めて、弁護士に相談してみよう。
きっと、自分に合った負担の少ない方法を提案してもらえるよ!
\専門家に無料相談しよう/
▼感謝の声多数!▼
ただ、LINEは電話に比べて緊張しないので、少しだけ勇気を持ってLINEボタンをクリックして専門家に相談したところ借金を当時の3分の1まで減らすことができたんです! 今では、借金に悩まず、元気に生活できるようになりましたね!
友達登録して専門家に相談しよう!
まとめ
今回解説してきた中で、重要なことを改めて振り返ってみよう。
- 個人再生では最低限支払わなければならない最低弁済額が定められている
- 最低弁済額は用いられる基準によって金額が大きく異なる可能性がある
- 借金が100万円以下なら任意整理、5,000万円以上なら自己破産が適している
- 手続き後に最低弁済額が払えなくなったとしても、返済期間を延ばしてもらったり、ハードシップ免責を利用したりすることで対処可能
- 個人再生を検討しているが最低弁済額が払えそうにない人もまずは弁護士に相談してみよう
手続きをした後に自分がどのくらい返済しなければならないのか知りたいから、早速弁護士事務所に行って計算してもらおうと思います!
企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。