個人再生

2回目の個人再生は可能?返済に困った時に考えるべきこと

個人再生手続き後に再び借金で首が回らなくなった…。

そんな時、2回目の個人再生は可能なのでしょうか。

今回の記事では2度目の個人再生申立ての際に注意すべきこと、自己破産をした方がいい場合についてなど詳しく解説します。

さいむくん
さいむくん
先生!

前にサラ金でできた借金を個人再生で解決したんですけど、また借金が増えて返済できなくなっちゃいました!

せっかくチャンスをもらったのに…反省したほうがいいよ。
ともだち
ともだち
せんせい
せんせい
個人再生をしたあとでまた借金が増えてしまうケースも少なくない。

そんなときは「2回目の個人再生」を考えることになるけど、条件が厳しくなることもあるから要注意だよ。

個人再生に成功しても、その後にまた借金をして返済に苦しんでしまう方は少なくありません。

また、個人再生は「裁判所に再生計画案の認可を受けて約束どおりに返済する」という制度ですが、収入減少などのトラブルで計画どおりに返済できなくなるケースもあるでしょう。

はたして「2回目の個人再生」は可能なのでしょうか?

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2回目の個人再生は可能?

せんせい
せんせい
まず前提として「2回目の個人再生」は可能だよ。

こんなパターンにあてはまる人は、2回目の個人再生を考えるようになるね。

2度目の個人再生を検討する場合
  1. 個人再生して完済後にふたたび借金をして返済に困っている
  2. 個人再生の返済中に収入が減って計画通りに返済できなくなった
個人再生のことを定めている「民事再生法」には、回数制限の定めがない。

だから、法律の理屈だけを考えれば「個人再生は何度でも可能」だといえるね。

せんせい
せんせい
さいむくん
さいむくん
じゃあ何回でもやりなおすチャンスはあるんだ!
ただし、やみくもに「何度でもOK」っていうわけじゃないよ。

前回の個人再生の方法によっては一定の制限があるので注意しよう。

せんせい
せんせい

個人再生の種類

せんせい
せんせい
個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等個人再生」の2種類がある。

それぞれ条件が違うから、自分がどちらにあてはまるのかをチェックしておこう。

【個人再生の種類と要件】

個人再生の種類 要件
小規模個人再生
  • 住宅ローン以外の借金が5000万円以下
  • 継続して収入が見込める
給与所得者等個人再生 上記の条件に加えて次の2つを満たす必要がある

  • 給与などの安定収入がある
  • 収入の変動幅が小さい

1回目が小規模個人再生だった場合

せんせい
せんせい
前回が小規模個人再生だった場合は、とくに制限がないよ。

個人再生を使って事業と生活の再建を目指しても上手くいかない場合は、2回目の個人再生で解決を目指すのもいいかもしれない。

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1回目が給与所得者等個人再生だった場合

せんせい
せんせい
さいむくんはサラリーマンだから前回が給与所得者等個人再生だね。

給与所得者等個人再生の場合は「前回の認可決定から7年」は再利用できないことになっているんだ。

えぇ~!じゃあ僕はあと数年は個人再生できないってことですね…。
さいむくん
さいむくん
せんせい
せんせい
これは法律の決まりだから仕方がない。

念のために条文をチェックしておこう。

第二百三十九条

5 前項に規定する場合のほか、裁判所は、第二項の申述があった場合において、次の各号のいずれかに該当する事由があることが明らかであると認めるときは、再生手続開始の決定前に限り、再生事件を小規模個人再生により行う旨の決定をする。ただし、再生債務者が第三項本文の規定により小規模個人再生による手続の開始を求める意思がない旨を明らかにしていたときは、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。

一 再生債務者が、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者に該当しないか、又はその額の変動の幅が小さいと見込まれる者に該当しないこと。

二 再生債務者について次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に当該申述がされたこと

イ 給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日

ロ 第二百三十五条第一項(第二百四十四条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日

ハ 破産法第二百五十二条第一項に規定する免責許可の決定が確定したこと 当該決定の確定の日

【引用】民事再生法|e-Gov

ここでおぼえておいてほしいのが「再生計画の認可決定」を受けていた場合という条件だよ。

つまり、前回の申し立てで不許可になった場合はこの制限を受けないんだ。

せんせい
せんせい
さいむくん
さいむくん
じゃあ不許可になったときは何度でもチャレンジできるんですね!
法律上は不許可後の再申し立てに制限はないよ。

ただし、前回不許可になった理由をしっかり解消しないと許可される可能性は低い。

やみくもに何度もチャレンジしてもムダになるから気をつけよう。

せんせい
せんせい

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2回目の個人再生をする前に考えるべきこと

せんせい
せんせい
2回目の個人再生には、法律上の制限をクリアするだけでは認可されにくい。

前回の計画では事業や生活を再建できなかった理由を解消しないといけないから、カンタンには認可されないよ。

う~ん、じゃあ2回目の個人再生は「法律ではOK!だけどなかなか認められない」ってことですか?
さいむくん
さいむくん
せんせい
せんせい
そう考えたほうがいいね。

だからこそ、2回目の個人再生を考えるよりも前にここで挙げる方法を検討してみよう。

返済計画のリスケを申請する

せんせい
せんせい
再生計画にしたがって返済中に収入が減ってしまったなど、やむを得ない事情があるときは「再生計画の変更」が可能だよ。

再生計画の変更

第二百三十四条 小規模個人再生においては、再生計画認可の決定があった後やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となったときは、再生債務者の申立てにより、再生計画で定められた債務の期限を延長することができる。この場合においては、変更後の債務の最終の期限は、再生計画で定められた債務の最終の期限から二年を超えない範囲で定めなければならない。

【引用】民事再生法|e-Gov

裁判所が許可すれば「最終期限から2年以内」のリスケが可能。

ただし、なぜ再生計画を守れなくなったのかを証明しないといけないよ。

せんせい
せんせい
ともだち
ともだち
じゃあさいむくんみたいに「スマホゲームの課金でお金を使いすぎた」なんて理由じゃ認めてもらえないんですね。
再生計画の変更も、再生計画案の認可と同じように審査される。

だから単なる浪費とか怠けて収入が減ったなんて理由では許可されないと考えたほうがいいね。

せんせい
せんせい

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ハードシップ免責を検討する

せんせい
せんせい
返済計画に従ってある程度の返済を守ってきたなら「ハードシップ免責」を利用できる可能性があるよ。
これはすでに再生計画の4分の3にあたる返済を履行していた場合に利用できる制度だよ。

裁判所が許可すれば「免責」になるから、その後の返済は不要になる。

せんせい
せんせい
さいむくん
さいむくん
すると、個人再生は「4分の3さえ返済すればあとは返済できなくてもいい」ってことですか?
そういう考えかたは正しくない。

条文をみるとわかるけど「再生債務者がその責めに帰することができない事由」がないとハードシップ免責は認められないよ。

つまり、申立者には責任のない事情がある場合に限りってことだね。

せんせい
せんせい
さいむくん
さいむくん
なんだか難しそうですね…
たとえば不景気で収入が減ったとか、災害が原因で仕事がなくなったとか、不可抗力が理由じゃないと認められない。

なかなか許可されるものじゃないからカンタンに考えないほうがいいよ。

せんせい
せんせい

自己破産を検討する

せんせい
せんせい
再生計画の変更やハードシップ免責が使えなくてどうしても返済できない場合は自己破産を考えたほうがいいね。
個人再生から自己破産って可能なんですか?
さいむくん
さいむくん
せんせい
せんせい
切り替えは可能だよ。

ただし、個人再生は裁判所に「計画どおりに返済できる」と認めてもらう制度だから、そのままだと自己破産が許可されないんだ。

個人再生から自己破産への切り替えで気をつけるべきポイントをまとめておこう。

注意点
  • 自己破産は「返済不能」のときに利用できる制度なので、個人再生の取り消しが必要になる
  • 給与所得者等個人再生とハードシップ免責を利用した場合、7年間は自己破産できない

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まとめ

せんせい
せんせい
個人再生を利用したあとで新たな借金返済に困ったときは2回目の個人再生を考えることになる。

一定の制限を受ける場合もあるけど、どうしても苦しいときはほかの方法も含めて解決法を考えていこう。

今日のまとめ
  • 小規模個人再生なら制限なし、給与所得者等再生なら前回から7年が過ぎれば2回目の個人再生が可能
  • 2回目以降は前回の個人再生で再建できなかった理由も明らかにする必要がある
  • 個人再生の返済途中で支払いが難しくなったときは「再生計画の変更」や「ハードシップ免責」で解決できる可能性がある
  • どうしても解決できないなら自己破産を検討
2回目以降の個人再生や救済措置は、前回よりもハードルが高くなると考えたほうがいい。

個人で対応するのは難しいので、弁護士に相談してサポートを依頼したほうがいいね。

せんせい
せんせい
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著者情報

この記事の監修者
赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

監修者の詳細なプロフィール
この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。

20代後半に作ってしまった借金100万円を自力で完済した。

筆者の詳細なプロフィール