自己破産

浪費でも自己破産(同時廃止)はできる?免責はおりない?

さいむくん
さいむくん
ギャンブルに負け続けて借金が膨らんでしまった…。

もうどうやっても返せそうにないから、自己破産をしようと思ってるんだけど、ギャンブルとか浪費が原因だと自己破産できないって聞いたんですよね。

実際のところどうなんですか?

結論から言うと、浪費やギャンブルが原因で作った借金でも、自己破産は認められるケースが多いよ!

ただし、浪費やギャンブルが原因だと、自己破産の手続きが通常より少し大変になる可能性があるから注意してね。

せんせい
せんせい

自己破産とは、借金で生活が苦しくなってしまった方が、最低限の暮らしを立て直せるように国によって作られた救済措置です。

自己破産をすると、クレカのリボ払いや消費者金融からの借入など、ほぼすべての借金の返済義務が帳消しになります。

自己破産については破産法により細かくルールが決められており、ギャンブルや浪費などが原因で借金を作った場合は、法律上自己破産が認められません。

しかし、実務上は裁判所の判断によって、ギャンブルなどが原因であっても自己破産により借金をなくすことができます。

2020年の裁判所の発表でも、自己破産の原因としては「浪費やギャンブル」が第4位にランクインしており、多くの方が浪費やギャンブルによる借金を自己破産で帳消しにしています。

ギャンブルなどが原因で自己破産をする場合は、反省文の提出などをして、今後借金をしないという意思表示をしっかりする必要があるので注意しましょう。

この記事では、以下の3点を中心に自己破産についてくわしく解説していきます。

  • 浪費やギャンブルが原因の場合の自己破産手続きについて
  • 自己破産の理由で嘘を書くリスク
  • 浪費が原因により自己破産できない場合の対処法

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浪費が原因でも自己破産はできる?

結論としては、浪費やギャンブルが原因で借金を返せなくなった場合であっても自己破産による借金の免除は可能です。

浪費やギャンブルは免責不許可事由にあたる

自己破産は、法律の力によってほぼすべての借金の返済義務が帳消しになるという強力な手続きです。

自己破産は国に認められたセーフティネットであり、借金で苦しむ方であれば基本的に誰でも利用できる制度です。

しかし、簡単に借金の帳消しが認められてしまうと銀行や消費者金融は経営が成り立ちません。

そのため、自己破産に関しては破産法という法律によって細かくルールが定められています。

破産法のなかには「免責不許可事由(めんせきふきょかじゆう)」という決まりがあり、一定の事情がある場合には自己破産による免責(借金の免除)が認められないことになっています。

「ギャンブルや浪費で借金を作った」ことも免責不許可事由にあたるため、浪費により借金を返せなくなった場合は法律上は自己破産は認められません。

(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。

(中略)

四 浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
【引用: 破産法第252条 – e-Gov 法令検索

浪費が原因でも実務上は裁量免責が認められるケースが多い

破産法のルールに従うと、浪費が原因だと自己破産は認められません。

しかし、実務上は、浪費が原因であっても「裁量免責(さいりょうめんせき)」という制度によって、自己破産が認められるケースが多いです。

裁量免責とは、自己破産を申し立てた裁判所の判断によって、例外的に自己破産による免責を認めるという制度です。

裁量免責を受けるためは、反省文を提出するなど、「今後は一切ギャンブルや浪費から手を引き、生活を立て直す」という意思表示をする必要があります。

浪費が原因の自己破産は同時廃止事件になる?

自己破産の手続きは、大きく分けて「同時廃止事件」と「管財事件」の二つがあります。

名称 概要
同時廃止事件
  • 破産の申し立てと同時に手続きが終わる(廃止する)
  • 手続きに費用と時間があまりかからない
管財事件
  • 破産を申し立てたあと、裁判所の担当者である破産管財人によって借金の経緯や財産状況が細かく調査される
  • 手続きに費用と時間が多くかかる
  • 価値のある財産などは破産管財人によって没収され、債権者(お金を貸していた側)に分配される

自己破産が同時廃止事件としてすすめられれば、自己破産の手続きも簡潔に済み、生活への影響も抑えられます。

しかし、浪費やギャンブルが原因で借金を作った場合は、原則として管財事件として扱われます。

浪費が原因の自己破産は原則管財事件になる

浪費やギャンブルは、本来は法律上自己破産が認められない免責不許可事由にあたります。

そのため、浪費やギャンブルが原因で借金を返せなくなった方が自己破産をするには、裁判所による裁量免責を受ける必要があります。

裁量免責を認めてもらうためには、裁判所が選んだ担当者である破産管財人によって借金の経緯や財産について詳しい調査をしてもらわなくてはなりません。

以上の事情から、浪費が原因だと自己破産は管財事件として取り扱われます。

管財事件では、裁判所の事務手数料のほかに破産管財人に支払う報酬も破産者が負担する必要があり、少なくとも50~60万円程度の費用を用意しなくてはいけません。

場合によっては同時廃止となるケースもある

浪費やギャンブルが原因であっても、以下のようなケースでは、同時廃止事件として自己破産が進められる可能性があります。

  • 浪費の程度が少なく、免責不許可事由にあたらない
  • 財産がほとんど無いことが明らかである

浪費が原因だから絶対に管財事件になると諦めずに、一度弁護士に相談してしてみるのがおすすめです。

自己破産の手続き中に浪費をするとどうなる?

自己破産手続き中の浪費やギャンブルなどは免責不許可事由にあたり、自己破産が認められなくなるリスクがあります。

自己破産中に浪費とみられる出費があると、生活を立て直す意思がないと判断され、裁量免責も受けられなくなる可能性があるので絶対に避けましょう。

自己破産の免責がおりない確率は3%

2020年の日本弁護士連合会の発表によると、自己破産を申し立てた方のうち免責が認められなかったのはわずか3%だけです。

自己破産が認められた97%の方の中には、浪費やギャンブルが原因で借金を作った方も含まれているため、浪費をしていても免責が下りる可能性は十分にあるといえます。

ただし、自己破産手続き中に浪費とみなされる出費があると免責が認められない恐れがあります。

また、自己破産の手続きにおいて借金の理由や財産状況などについて嘘の申告をするのも免責不許可事由にあたるため注意してください。

自己破産の理由で嘘を書くリスク

自己破産を申し立てる際には、借金の内容や経緯、財産状況などについて裁判所に詳しく申告する必要があります。

浪費やギャンブルで借金を返せなくなった方は、「自己破産が認められないかも」という気持ちから嘘の申告をしてしまうかもしれません。

しかし、自己破産の理由などについて嘘を申告することは以下のようなリスクがあるため絶対に避けてください。

  • 財産や借金についてより厳しい調査をされる
  • 自己破産自体が認められなくなる
  • 詐欺破産罪に問われる恐れがある

それぞれ簡単に解説していきます。

財産や借金についてより厳しい調査をされる

自己破産の理由で嘘を申告したことがバレると、破産管財人から「他にも嘘があるのではないか」と疑われてしまいます。

そのため、財産状況や借金の経緯などについてより厳しく調査をされることになるでしょう。

裁判所へ出頭して事情を説明するように求められる可能性もあります。

自己破産自体が認められなくなる

借金の経緯や理由などについて嘘をつくことは、破産法で「免責不許可事由」として定められています。

(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。

(中略)

八 破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
【引用: 破産法第252条 - e-Gov 法令検索

虚偽の申告があると、裁判所の担当者の印象が悪くなります。

そのため、浪費によって借金を作ったなど、本来であれば裁量免責が認められる可能性があるケースでも、虚偽の申告をしたせいで手続きが認められない可能性があるでしょう。

詐欺破産罪に問われる恐れがある

自己破産は、借金で生活が苦しくなった方のための救済措置であり、債務者にとっては生活を立て直すきっかけになるありがたい制度です。

しかし、借金の返済義務が帳消しになることによって、お金を貸していた側である債権者は大きな損を被ってしまいます。

そのため、債権者を害する目的で破産手続き上で虚偽の申告をすることは「詐欺破産罪」にあたる犯罪であり、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金又はその両方が課される可能性があります。(破産法第265条)

浪費が原因で自己破産できない時の対処法

浪費が原因の借金は、法律上免責不許可事由にあたるため、自己破産ができない可能性があります。

万が一自己破産が認められなかった際は、以下の2つの手段によって借金を解決しましょう。

任意整理する

任意整理とは、弁護士などの専門家を通じて債権者と直接交渉し、借金にかかる利息や遅延損害金(延滞料のようなもの)をカットしてもらう手続きです。

債権者は、お金を貸す代わりに利息を受け取ることによって利益をあげています。

しかし、「債務者が返済が苦しくなって自己破産されるよりはマシ」ということで、任意整理による利息のカットに応じてくれる可能性があります。

浪費が原因で作った借金について、任意整理をするメリットは以下の通りです。

  • 裁判所を通さないため家族や知人にバレずに借金を減額できる
  • 自己破産のように財産を没収される心配がない
  • 保証人となっている家族に迷惑がかからない

個人再生する

個人再生とは、自己破産と同じように裁判所に申し立てをして、借金の総額に応じて最大で10分の1にまで借金を減額してもらう手続きです。

個人再生は、自己破産のように免責不許可事由がないため、裁判所に支払う費用さえ用意できればどんな事情があっても利用できる制度です。

浪費が原因で作った借金について個人再生するメリットは以下の通りです。

  • ローン返済中の持ち家を残したまま借金の減額ができる
  • 手続き中の資格制限などを受けない

まとめ

せんせい
せんせい
今日のお話についてまとめてみたよ!

まとめ

  • 浪費やギャンブルが原因の借金でも自己破産は可能
  • 浪費がギャンブルが原因の場合は裁量免責を受けるために裁判所に反省文などを提出する必要がある
  • 自己破産の理由などについて嘘をつくと自己破産自体が認められなくなるだけでなく詐欺破産罪に問われるリスクもある

僕みたいに浪費が原因で借金を作っちゃった場合でも自己破産ってできるんですね!安心しました。

自己破産以外の手続きについても詳しく知りたいし、一度弁護士に相談してみます!

さいむくん
さいむくん

 

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著者情報

この記事の監修者
赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

監修者の詳細なプロフィール
この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。

20代後半に作ってしまった借金100万円を自力で完済した。

筆者の詳細なプロフィール