個人再生

民事再生法は法人・個人再建のための法律|メリット・費用・流れは?

さいむくん
さいむくん
最近、民事再生法ってのがあるらしいって聞いたんですけど、簡単にいうとどんな法律なんですか?
民事再生法は、法律にしたがい、債権者(お金を貸した側)の同意のもと、裁判所の許可を受けて会社や個人の再建をはかる手続きをまとめた法律のことだね。

法人や個人の経営・生活再建のためにつくられた法律さ。

例えば法人では、2022年に株式会社ホテルショコラが、民事再生法の適用を東京地裁に申し立てたんだ。

せんせい
せんせい

(株)ホテルショコラ(TSR企業コード:028957962、法人番号:3440001008359、渋谷区渋谷2-24-12、設立2018(平成30)年7月、資本金500万円、代表:長瀬寛幸氏ほか)は7月28日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し同日、保全命令が下りた。申請代理人は渡辺宗彦弁護士(ブレークモア法律事務所、千代田区霞が関1-4-1、電話03-3503-5571)。
負債総額は約51億円。
【引用:TSR速報-東京商工リサーチ

せんせい
せんせい
今回は、民事再生法や民事再生、法人の民事再生と、個人でも利用できる個人再生などについてわかりやすく簡単に解説しようか。

民事再生法とは簡単にいえば会社再建のための法律ですが、先生がいうように個人でも利用できます。

今回はこちらのポイントを中心に解説します。

  • 民事再生法と民事再生について
  • 個人でも利用できる個人再生

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この記事の内容
  1. 民事再生法とは|簡単に解説
  2. 法人の民事再生と他の整理手続きの違い
  3. 民事再生とはどんな手続き?簡単に解説!
  4. 個人でもできる民事再生|個人再生とは
  5. 法人の民事再生でよくある質問
  6. 法人の民事再生、個人の個人再生は弁護士に相談しよう
  7. まとめ

民事再生法とは|簡単に解説

せんせい
せんせい
ではまず、民事再生法ってなんぞやって点を簡単に、わかりやすく解説するよ。

裁判所の許可の元借金を減額して再建を図る手続きを定めた法律のこと

せんせい
せんせい
民事再生法は、裁判所の許可で借金を減額して、再建を図る手続きを定めた法律のこと。

「裁判所の許可で借金を減額して、再建を図る手続き」は難しい言葉で民事再生というよ。

民事再生は、企業でも個人でも利用できるんだ。裁判所もこんな感じで紹介してるね!

経済的に苦しい状況にある法人や個人(債務者)が,自ら立てた再建計画(再生計画)案について,債権者の多数が同意し,裁判所もその計画案を認めることにより,債務者の事業や経済生活の再建(再生)を図ることを目的とした手続です。
【引用:(2) 民事再生手続について‐裁判所

基本的には、裁判所に申し立てをして、債権者の同意のもと借金を減額するんだね。

その減額された借金を、返済計画にもとづいて完済する手続きなんだ。

せんせい
せんせい

法人の場合民事再生法は倒産時の処理で適用される

せんせい
せんせい
先にも説明したように、民事再生は法人でも個人でも利用できる。

法人の場合、民事再生法は倒産時の処理で適用されるよ。

会社の倒産・再生の手続き
法的整理 破産手続き 破産法にもとづき、会社の財産を清算して会社が消滅する
特別清算手続き 会社法の特別清算の規定にもとづき、財産を清算して会社が消滅する
株式会社に特化した破産の手続き
民事再生手続き 民事再生法にもとづき、債務を減額して経済的な再生を図る
※個人も利用可
会社更生手続き 会社更生法にもとづき、債務を減額して経済的な再生を図る
株式会社に特化した再生の手続き
私的整理 事業再生ADRなど
裁判を介さない債権者との話し合い
倒産時の処理をまとめた法律はほかにもいくつかあるんだけど、その中の1つが民事再生法なんだ。

この辺は難しいから、別に覚えなくてもいいよ!

せんせい
せんせい
ともだち
ともだち
大きな特徴は、①企業の再生、②株式会社でない企業が利用できるって点ですね。

他の手続きとの違いは「法人の民事再生と他の整理手続きの違い」でも解説してくれますよ!

個人の場合民事再生法は個人再生で適用される

せんせい
せんせい
個人の場合、民事再生法は個人再生で適用される法律。

個人再生とは、裁判所の許可のもと、借金を大幅に減額して、計画的に3年間で返済していく手続きなんだ。

民事再生を個人でも利用できるように簡略化したものだよ。

個人再生については「個人でもできる民事再生|個人再生とは」でも解説するから、参考にしてね。

民事再生法の目的は借金を負った人の経済的な再生

さいむくん
さいむくん
でもなんでそんな法律があるんですか?
民事再生法の目的は、借金を負った人の経済的な再生にあるんだよ。これは条文にも書いてあるよ。
せんせい
せんせい

(目的)
第一条 この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。
【引用:民事再生法第1条-e-Gov法令検索

せんせい
せんせい
例えば法人の場合、一度借金を返済できなくなったからって立ち直れるシステムがなかったら法人はどんどん減っていって、経済が回らないかもしれないじゃない?

救済制度があるのには、そういう意味もあるだろうね。

法人の民事再生と個人の個人再生との違い

せんせい
せんせい
民事再生には、企業の手続きと、個人の手続きがあるよね。

民事再生が法人と個人だとどんな違いがあるか、まとめるね!

民事再生
※企業の民事再生
個人再生
※個人の民事再生
対象 法人だけでなく個人も対象 個人のみ
借金の上限 なし 5000万円以下(住宅ローンを除く)
手続き 複雑 簡略化
裁判所費用 200万円~ 約3~4万円(東京地裁の場合)
民事再生には借金の上限がない。だから、会社を再建する意思があれば、借金の額はあまり関係ないんだね。
せんせい
せんせい

【参考:個人再生手続利用にあたって – 裁判所

法人の民事再生の種類

せんせい
せんせい
企業の民事再生には、いくつかタイプがあるよ。
民事再生をするとなると、会社再建のための資金の調達が必要になる。

資金をどこから調達するのかによって、「自力再建」型なのか、「スポンサー支援」型なのか、分かれるんだね。

ざっくり説明すると、こんな感じだね。

自力再建型 自社の利益から負債を返済する
スポンサー型 スポンサー企業を見つけ、支援を受けながら負債を返済する
プレパッケージ型 民事再生の手続き前にスポンサーが決まっている
清算型 事業を別会社に譲渡し、得られた代金を返済資金にする
スポンサー型って、再生を目指してる企業に、支援してくれる所なんかあるんですか?
さいむくん
さいむくん
せんせい
せんせい
そうだね。この後解説するけど、取引先や、事業に魅力を感じた企業・メインバンクや再生ファンドなどが出資してくれるんだ。

でも中小企業の多くはスポンサーから支援は難しいから、自力再建するケースが多いんだよ。

自力再建型

せんせい
せんせい
自力再建型は、自社の利益から、民事再生で減額された債務を自力で返済する方法だね。

基本的な民事再生の形態であり、スポンサーなどがいない中小企業や、自力返済できる企業はこうした方法をとるね。

スポンサー型

せんせい
せんせい
スポンサー型は、スポンサーから出資などの支援を受けながら再建を図るパターンだね。

出資というと金融機関のイメージがあると思うけど、馴染みの会社と直接交渉する方法や、仲介会社に依頼して探してもらう方法などで、スポンサー企業を見つけられるよ。

また、スポンサー候補を募って、入札などで決定するケースが多いかな。

スポンサーがつくことで、企業の再生もしやすくなるし、信用回復にも繋がるよね!
ちなみに、スポンサー企業に事業を譲渡して会社を清算する手法も、スポンサー型に分類されるんだ。

実際、スポンサー企業に事業譲渡をして、民事再生をした企業もあるんだよ。

【参考:事例:プレパッケージ型民事再生|スポンサーへの事業譲渡 – みらいエフピー株式会社

プレパッケージ型

せんせい
せんせい
プレパッケージ型は、民事再生の手続き前にスポンサーが決まっているタイプの手続きなんだ。

あらかじめスポンサーを決めておくことで、社会的な信用を失わずに済む可能性があるんだね。

スポンサー企業は複数候補の中から選ぶから、ある程度こちらの意見を反映できるみたいだよ。

清算型

せんせい
せんせい
清算型は、事業の一部または全部を別会社に譲渡して、得られた代金を返済資金にする手続きだね。

スポンサーが期待できず、自力再建ができないような場合は、有効な方法だね。

確かに、会社を売却すると会社自体はなくなってしまうってデメリットはある。

でも、破産のように事業そのものをなくしてしまうよりいいのかもしれないね。

企業が複数の事業を展開している場合に利用できそうだね。

法人の民事再生と他の整理手続きの違い

せんせい
せんせい
法人の民事再生と個人の個人再生との違い」でもちょっと触れたんだけど、民事再生のように裁判所を通して行われる手続きを法的整理というんだね。

ほかの法的整理と民事再生との違いもわかりやすく解説するね!

法人破産との違い

せんせい
せんせい
法人破産は、自己破産の企業版といった感じだね。民事再生との違いはかなり簡単にいうと目的だね。
民事再生 会社を再建する手続き
法人破産 会社を消滅させる手続き
法人破産の場合、裁判所に申立てがあると、すべての業務を停止、すべての財産が処分される。

財産が処分されると会社には何もなくなるから、会社という実体は消滅してしまうんだね。

せんせい
せんせい
さいむくん
さいむくん
確かに、再建を目指す民事再生とはずいぶん違いますね。

民事再生法と似ている会社更生法の違い

せんせい
せんせい
会社を存続させる系の法律は、民事再生法のほかに会社更生法もあるよ。違いを簡単に紹介するね。
民事再生 会社更生
法律 民事再生法 会社更生法
対象 法人・個人 株式会社のみ
株主の権利 維持される 失う
税金の扱い 随時支払いOK 手続き開始後は支払いNG
経営者 退任しなくてよい 退任する
会社更生は法人破産と似ている気もしますけど、微妙に違うんですね。
さいむくん
さいむくん
せんせい
せんせい
どちらも会社の再建を図る手続きという点は一緒だね。

ただし、根拠となる法律が違う点や、会社更生法の対象は株式会社に限られる。

会社の経営陣が交代するかどうかといった点も違いがあるね。

民事再生なら株主もそのまま、経営陣も変わらないので、会社の経営に与える影響は小さいといえるね。

会社更生法といえば、JAL(日本航空)が2010年に適用を裁判所に申し立てていましたよね。
ともだち
ともだち

1月19日
・日本航空が、企業再生支援機構に支援の申込みを行うとともに、裁判所に会社更生法に基づく更生手続き開始の申し立て。これを受け、企業支援機構が支援決定。また、裁判所が更生手続き開始決定。
【引用:日本航空の再生への取組み状況①-国土交通省

私的整理との違い

せんせい
せんせい
私的整理は、法的整理と違って、裁判所を介さない方法だよ。

具体的には、債権者と話し合い、債務の免除や返済猶予などを決めるんだ。

民事再生との違いを簡単にまとめるね。

民事再生 私的整理
裁判所を通すかどうか 通す 通さない
債権者との任意の交渉
強制力 裁判所を介すため強制力がある 応じるかは債権者次第
事業への影響 公になる可能性が高く、事業に響きやすい 公になる可能性は低いため事業に響きにくい
返済計画 最長10年など、ある程度ルールがある あくまで話し合いなので柔軟にできる可能性がある。
3~5年以内がめど
費用 裁判所費用:200万円~+弁護士費用 かからない(弁護士に依頼しない場合)
色々と違いはあるけど、私的整理はあくまでも任意の交渉なんだね。

また、方法としては、事業再生ADRといった話し合いや、RCC(整理回収機構)という機関がまとめる方法など様々なものがあるよ。

内容によっては、経営陣が退任しなければならないものや、株主への影響が生じるものもある。

実際にどちらがいいのかは、弁護士に相談したほうがいいね。

せんせい
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せんせい
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民事再生とはどんな手続き?簡単に解説!

せんせい
せんせい
民事再生とほかの手続きとの違いはわかったかな?

おさらいすると、民事再生は、裁判所の許可のもと、債務を減額してもらい、その減額された債務を返済計画にしたがって返済していく手続き。

じゃあ実際に、民事再生のメリットやデメリット・条件などについてわかりやすく解説するね!

法人の民事再生のメリット

せんせい
せんせい
企業が民事再生を考えた時に気になるのがメリット・デメリットだよね。

法人の民事再生のメリットは主に4つだよ。

法人の民事再生のメリット
  1. 会社を存続させることができる
  2. 現経営陣の維持ができる
  3. 債務を大幅に減額・分割で返済できる
  4. 手元にある資金を確保できる

会社を存続させることができる

せんせい
せんせい
民事再生法の大きなメリットは、負債を減らしながら会社を存続させることができる点だね。

経営者なら、ここまで築いてきた会社や、ブランド価値などを残せるんだ。

もちろん、再建の途中で、事業の縮小や、従業員の整理などもしなければならない可能性はあるけど…会社が消滅しなくて済むのは嬉しいね。

ただ、失敗すると法人破産の可能性が高くなるから、再建計画は慎重に立てないといけないね。

会社を存続させられるのはありがたいですね!
さいむくん
さいむくん

現経営陣の維持ができる

せんせい
せんせい
民事再生では、現経営陣が続投できるのもメリットだよ。

例えば、株式会社が行う会社更生の場合、手続きが開始されると更生管財人って人が経営を引き継ぎ、今の経営陣は退陣しないといけないんだね。

とはいえ、手続きが開始すると、監督委員という人が経営を監督することになるから、今までのように経営するのは難しいけどね。

債務を大幅に減額・分割で返済できる

せんせい
せんせい
民事再生をすれば、債務を大幅に減額したうえで、さらに分割返済ができるよ。

民事再生をすることで、倒産は免れることができるんだね。

また、民事再生をすることで、減額された債務の返済期間も、最長で10年にできる可能性があるんだね。民事再生に詳しい弁護士に一度相談してみよう!

(再生計画による権利の変更)
第百五十五条 再生計画による権利の変更の内容は、再生債権者の間では平等でなければならない。ただし、不利益を受ける再生債権者の同意がある場合又は少額の再生債権若しくは第八十四条第二項に掲げる請求権について別段の定めをし、その他これらの者の間に差を設けても衡平を害しない場合は、この限りでない。
中略
3 再生計画によって債務が負担され、又は債務の期限が猶予されるときは、特別の事情がある場合を除き、再生計画認可の決定の確定から十年を超えない範囲で、その債務の期限を定めるものとする。
【一部引用:民事再生法 – e-Gov

手元にある資金を確保できる

せんせい
せんせい
例えば、銀行からの債務がある状態で口座に預金が残ってると、銀行は債務を埋めるために相殺という行為に出る可能性がある。

要するに、預金があるんだから銀行の借金は預金から返してもらうぜってことだね。

相殺は、民法で認められ、契約書にも記載されているはずだよ。

(相殺の要件等)
第五百五条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
【一部引用:民法 – e-Gov

でも民事再生の手続きを開始することで、銀行は相殺って行為ができなくなるんだ(民事再生法第93条)。

民事再生では、全ての債権者を平等に扱わないといけないと決まっている。特定の債権者だけが弁済を受ける不公平な状況を禁じてるんだね。

そのため、銀行だけが返済を受けることがないように、手続きを開始すれば相殺ができなくなるんだね。

預金はそのまま再建に活用できるんだ。

せんせい
せんせい

法人の民事再生のデメリット

せんせい
せんせい
一方で、法人の民事再生のデメリットはこんな感じだね。
法人の民事再生のデメリット
  • 社会的な信用を失う可能性がある
  • 担保権を行使される恐れがある
  • 裁判所や弁護士費用などがかかる
  • 債務免除益課税が発生する可能性がある
  • 失敗すると破産になる恐れがある

社会的な信用を失う可能性がある

せんせい
せんせい
まず、民事再生を行うと、社会的な信用を失う可能性がある

企業の知名度や負債額によってはネットニュースになる場合もあるからね。

県内でスーパーマーケット「さとちょう」を運営する佐藤長はきのう付けで青森地方裁判所弘前支部から民事再生手続きの開始決定を受けました。
佐藤長は関連会社の「青森食研」と合わせておよそ70億円の負債を抱え、先月26日民事再生法の適用を申請しました。
再生計画案の提出期限は11月30日で来年1月下旬に予定している債権者集会で決議する方針です。
佐藤長は営業を続けながら支援企業を探し再建をめざしています。
【引用:経営破綻の佐藤長 民事再生手続き開始決定 負債70億円‐YAHOO!ニュース

また民事再生を始めると、今まで行っていた取引や売掛金の支払い、返済はすべて停止しなければならなくなる。

というのも、民事再生では、すべての債務が整理の対象となる。

その中で、特定の債権者だけ返済を受けると、他の債権者にとって不公平になるよね。

それに、企業の財産額・債務を正確に把握できなくなるため、支払いを止めないといけないんだね。

民事再生の決まりとはいえ、債権者からしたら支払いが停止するわけだから、一層信用を失ってしまうんだね。

せんせい
せんせい

担保権を行使される恐れがある

せんせい
せんせい
手元にある資金を確保できる」でも解説したように、民事再生が開始されると、銀行は相殺ができなくなる。

この理由は「社会的な信用を失う可能性がある」でも話したけど、民事再生ではすべての債権者が平等に扱われるため、特定の債権者だけが弁済を受けてはいけないんだね。

ただし、例外がある。それが担保だね。

民事再生法の民事再生では、手続きを開始すると担保(担保にした不動産など)を回収されて売却されてしまう恐れがあるよ。

えっ?それじゃ、担保を持ってる債権者だけが、借金を回収できちゃって不公平じゃないですか?
さいむくん
さいむくん
せんせい
せんせい
そうだね。

でも、担保権だけは優先的に回収が認められている。

この担保権だけが例外的に認められている権利のことを別除権(べつじょけん)なんていったりするんだけど、難しいから覚えなくていいよ。

つまり、債権者は民事再生の手続きに関係なく担保を回収できちゃうんだ。

だから、民事再生が開始されると、担保権を行使されて、資産を回収されてしまう恐れがあるってことだね。

(別除権)
第五十三条 再生手続開始の時において再生債務者の財産につき存する担保権(特別の先取特権、質権、抵当権又は商法若しくは会社法の規定による留置権をいう。第三項において同じ。)を有する者は、その目的である財産について、別除権を有する。
2 別除権は、再生手続によらないで、行使することができる。
3 担保権の目的である財産が再生債務者等による任意売却その他の事由により再生債務者財産に属しないこととなった場合において当該担保権がなお存続するときにおける当該担保権を有する者も、その目的である財産について別除権を有する。
【引用:民事再生法 – e-Gov

まぁこれを阻止するには、担保権実行の中止命令なんかを裁判所に申し立てないといけないから、弁護士に相談したほうがいいよ。
せんせい
せんせい

裁判所や弁護士費用などがかかる

せんせい
せんせい
民事再生が裁判所を通す以上、裁判所費用や弁護士費用がかかってしまうのもネックだね。

私的整理との違い」でも解説したけど、民事再生は裁判所費用だけで最低200万円はかかってしまう。

法人の民事再生にかかる費用相場」でも解説するけど、弁護士費用に関しては、債務の大きさによっても異なるけど、1億円未満でおおよそ200~300万円くらいするんだよね。

裁判所に納める費用と同程度くらいと考えておこう。

他にも、従業員の給料や、従業員の整理に対して発生する退職金など、運営を維持するにあたってかかる費用も必要になってくるよ。

費用に関しては「法人の民事再生にかかる費用相場」でも詳しく解説するね!

債務免除益課税が発生する可能性がある

せんせい
せんせい
また、企業が民事再生をすると、債務免除益課税が発生する可能性があるんだ。

端的にいえば、免除された額が利益扱いで課税されるかもしれないんだね。

せっかく借金を減らせても、債務免除益課税が払えず破産、なんてことにならないようにしたいですね。
ともだち
ともだち
せんせい
せんせい
そうだね。とはいえ、債務免除益は過去7年間の損金と相殺ができるんだ。追加の徴収が行われないケースもあるよ。

この辺はものすごく難しいだろうから、弁護士に相談しよう!

失敗すると破産になる恐れがある

せんせい
せんせい
さっきからちょこちょこ触れていると思うけど、民事再生に失敗すると、破産になる可能性があるよ。

これは民事再生法で、民事再生がうまくいかない場合に、裁判所の職権で破産手続きに移行することが決められているからなんだ。

(再生手続の終了に伴う職権による破産手続開始の決定)
第二百五十条 破産手続開始前の再生債務者について再生手続開始の申立ての棄却、再生手続廃止、再生計画不認可又は再生計画取消しの決定が確定した場合において、裁判所は、当該再生債務者に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、職権で、破産法に従い、破産手続開始の決定をすることができる。
2 破産手続開始後の再生債務者について再生計画認可の決定の確定により破産手続が効力を失った後に第百九十三条若しくは第百九十四条の規定による再生手続廃止又は再生計画取消しの決定が確定した場合には、裁判所は、職権で、破産法に従い、破産手続開始の決定をしなければならない。ただし、前条第一項後段の規定による破産手続開始の申立てに基づいて破産手続開始の決定をする場合は、この限りでない。
【引用:民事再生法 – e-Gov

法人の民事再生ができる条件

せんせい
せんせい
民事再生のメリット・デメリットが分かったところで、民事再生を開始できる条件を解説するよ!
法人の民事再生が開始できる条件
  • 裁判所費用や当面の運転資金を用意できる
  • 民事再生が適切と判断される
  • 再生計画案を実行できる見込みがある
  • 税金や社会保険料の滞納額が少ない
  • 債務免除額を相殺できるだけの繰越欠損金等があること

手続きをする上で欠かせないのは、裁判所の費用だよね。

その上、事業を継続ともなれば、当面の運営資金や、従業員の給料なども必要になるからこの辺の体力がないと申し立ては難しいね。

せんせい
せんせい
ともだち
ともだち
また、税金などの滞納があると、再生計画の履行にも影響してきますね。
そうだね。滞納があると、計画的な返済は難しいのではないかと思われてしまう。

そして「債務免除益課税が発生する可能性がある」で解説したように、債務が免除されると課税される可能性があるから、相殺できるような繰越欠損金が必要になるんだ。

この辺は税金の話になるから、これらの条件を踏まえて、民事再生が妥当であるかどうか弁護士に相談してみてね。

せんせい
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せんせい
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せんせいは、これまでたくさんの借金にお悩みの方の問題を解決してきました。

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民事再生をした場合の従業員の処遇

さいむくん
さいむくん
民事再生をした場合、従業員の処遇が気になる人も多いんじゃないですか?
そうだね。基本的に、民事再生をしても従業員は解雇されないよ。

解雇しなければならないなんて法律もないしね。

また、会社側としても、会社の技術は流出してほしくない。

ただ、再生計画の同意を得るために、従業員を整理したり事業の縮小を余儀なくされるケースも多いんだ。

その場合、従業員の解雇にあたっては、労働基準法や就業規則にのっとり、不当解雇に該当しないような整理が必要になるね。

企業の民事再生や雇用者側の労働問題に詳しい弁護士に相談しよう

せんせい
せんせい

法人の民事再生にかかる費用相場

さいむくん
さいむくん
法人の民事再生についてだいぶ分かってきましたけど、費用ってどれくらいかかるんですか?

めちゃくちゃ高額になりそうな予感しかないんですが…。

そうだね。実際に企業の民事再生を考えている人からすると、気になるのはその費用だよね!

法人の民事再生にかかる費用がめちゃくちゃ高額になるかは、負債額によるかな。

せんせい
せんせい

手続きにかかる裁判所の費用

せんせい
せんせい
法人の民事再生の裁判所費用はこんな感じだね。

基本的にはどこの裁判所でもこの金額がかかることになるよ。

負債総額 基準額
5000万円未満 200万円
5000万円以上~1億円未満 300万円
1億円以上~5億円未満 400万円
5億円以上~10億円未満 500万円
10億円以上~50億円未満 600万円
50億円以上~100億円未満 700万円

【参考:民事再生事件の手続費用一覧-高松地方裁判所

弁護士費用の相場

せんせい
せんせい
同じく、法人の民事再生の場合は、弁護士費用も高額になりやすい。

弁護士費用は、ざっくり分けると、依頼時に支払う着手金と、事件終了時に支払う報酬金というものがある。

各法律事務所によっても、費用は異なるけど、着手金だけでも裁判所の費用と同程度かかるケースが多い。

もし負債総額が1億円未満でも、着手金や成功報酬合わせて1000万円程度かかるのが一般的なんだ。

会社の体力的にこうした費用が払えるかどうかも、再生をするか破産をするかの分かれ道になると思う。

債務が貯まり危険という段階で弁護士に相談するのが重要だよ。

民事再生の手続きの流れ

せんせい
せんせい
費用相場も分かったところで、民事再生の手続きの流れをざっくり紹介するよ。
民事再生の手続きの流れ
  • 民事再生の申し立てと保全処分の決定
  • 監督委員が選任される
  • 再生手続き開始決定
  • 債権届出
  • 会社の財産状況の報告・財産評定
  • 債権認否書の提出・債権調査期間
  • 再生計画案の作成と決議・認可
  • 再生計画の遂行

これだけ見せられても何が何やらです…。
さいむくん
さいむくん
せんせい
せんせい
そうだね。わかりやすくいえばこんな感じだね。
民事再生のざっくりした流れ
  1. 民事再生を申し立てて会社の財産を保護する
  2. 財産の調査や債権者の調査をする(再生が妥当か判断するため)
  3. 財産や債務の調査終了後に再生計画を提出する
  4. 債権者や裁判所がOKなら、債務が減額されて計画通りに返済していく

まずは会社がどのくらい借金があるのって所を調査して、それをベースに再生が妥当か、返済はできるかって判断するんだ。

それを元に再生計画を作って、債権者や裁判所の許可がもらえればOK。

計画通りに、コツコツ返済していくってワケだね。

せんせい
せんせい

民事再生の申し立てと保全処分の決定

せんせい
せんせい
民事再生の申し立ては、民事再生法の適用を裁判所に申請すること。

保全処分の決定は、民事再生するらしいと聞いた債権者に資産を回収されないようにするための措置だよ。

本来、民事再生が開始されれば、「担保権を行使される恐れがある」で解説した通り、弁済や、支払いはすべて停止されるし、特定の債権者だけが弁済を受けるような行為は禁止される。

でも、債権者の中には、勝手に借金を回収しようとしちゃったりするケースがあるわけだ。

とんでもない奴ですね。
さいむくん
さいむくん
せんせい
せんせい
そう、だから債権者が回収に動かないように、裁判所から「勝手に借金を回収するなよ」と、保全処分ってのを出すわけだね。

債権者に回収されてしまったら、所有している財産額が確定せず、手続きが進まないからね。

監督委員が選任される

せんせい
せんせい
申し立てや保全処分の決定がなされたら、監督委員が選任される。

監督委員っていうのは、民事再生の手続きを裁判所に代わって監督する専門員のこと。

民事再生が開始されても、企業は財産の管理や処分、事業の遂行ができる。

でも、民事再生の途中だから、不正が行われないように、監督をしてるんだね。

財産の処分・借り入れなどについては監督委員の同意が必要になるよ。

通常は、倒産手続きに精通した弁護士が選ばれるんだ。

再生手続き開始決定

せんせい
せんせい
申し立てに不備がないなど何も問題がなければ、民事再生の手続き開始が決定されるよ。

申し立てから開始までは通常2週間くらいだよ。

債権届出

せんせい
せんせい
手続きの開始が決定すると、債権届出の提出期間に入るよ。

債権届出は、債権者が裁判所に提出する届け出のこと。

裁判所は民事再生を開始する際に、債権者に通知を行ってるんだね。

だから、通知を受けた債権者も、裁判所にお金を貸した事実をちゃんと申告しないといけない。

裁判所に申告しないと、今後借金の返済が受けられなくなってしまうんだね。

再生債権届出書は,再生手続開始決定通知書記載の再生債務者に対して,お金を貸したけれど弁済を受けていない等,あなたが何らかの債権を有している場合に,裁判所に対してその債権を届け出るためのものです。
【引用:民事(通常)再生事件の債権届出書を提出する方のために‐裁判所

会社の財産状況の報告・財産評定

せんせい
せんせい
民事再生を申し立てた会社は裁判所に対し、財産の状況などを報告するよ。

財産評定は、民事再生の手続き開始時点で会社が保有しているすべての財産の価値を定める手続きだね。

会社の財産の状況に応じて、再生計画を立てたり、債権者が再生計画に同意するかどうか判断するんだね。

債権認否書の提出・債権調査期間

せんせい
せんせい
債権認否書は、債権者から届け出のあった借金を認めるかどうか明らかにし、裁判所に提出する書類のこと。

債権調査は、債権届出後に行われる調査で、届け出のあった借金が存在するか否かやその金額などを確定させるための調査だよ。

要するに、債権者からも届出のある借金なのかどうかなど、債務を確定する作業なんだね。

再生計画案の作成と決議・認可

せんせい
せんせい
債権調査が終わって借金額などが確定したら、再生計画案(返済スケジュール案)を作成して、債権者集会での決議にかけられるよ。

再生計画案については、債権者を招集した債権者集会で決議を行うんだね。

債権者集会は裁判所主催で開かれるんだけど、メインは再生計画案の議論ではなく、単純に賛成か反対かの投票。

ちなみに、再生計画案の可決には下記2つの条件を満たさないといけないんだね。

  • 債権者の過半数の同意
  • 債務総額の2分の1以上の債権者の同意
えーと??ややこしいな…。
さいむくん
さいむくん
せんせい
せんせい
例えをあげよう。
A金融機関 500万円
B金融機関 500万円
C金融機関 2000万円
3社から借り入れている場合、2社の同意が必要になる。その上で、債務総額2分の1以上の債権者の同意が必要になるんだね。

例えば、C金融機関の債務は2,000万円。だからC金融機関がこの計画はないわって反対すると、民事再生は失敗になってしまうってワケだね。

せんせい
せんせい
さいむくん
さいむくん
意外と難しいんですね…。
そうだね。だから、反対されないような計画をコツコツ練るためにも、会社に体力があるうちに弁護士に相談することが大事なんだよ。
せんせい
せんせい

再生計画の遂行

せんせい
せんせい
債権者集会で同意を得て、裁判所が再生計画案を認めれば、計画にしたがって返済していくことになるよ。

ちなみに、監督委員は3年間、再生計画の遂行を監督するんだね。

民事再生にかかる期間は5ヶ月~1年

せんせい
せんせい
民事再生の申立てから再生計画案の認可にかかるまでの期間は、東京地裁では平均5ヶ月といわれている。

とはいえ、これは統計などがないから正確な数字はわからないけど、おおよそ5ヶ月くらいなんだね。

借金額が大きかったり、債権者数が多かったりすると手続きに1年以上かかるケースもあるみたいだよ。

また、再生計画案の認可から返済終了までは、最長で10年の分割払いが認められているんだ。

法人の民事再生成功のポイントは今後継続して返済できるか

せんせい
せんせい
ここまで、企業の民事再生を解説してきたけど、気になるのは民事再生を成功させるポイントじゃないかな?

手続き成功のポイントはこんな感じだね。

民事再生を成功させるポイント
  1. 再生計画・経営戦略を練る
  2. 再生計画中の資金繰りの問題を解決する
  3. 早い段階で弁護士に相談をする

成功に重要なのは、実現可能な再生計画案の提出や、経営戦略を練ることだよね。

結局、今後の事業として利益が出せるか、再生計画は実現可能かどうかって部分が、債権者の同意を得るポイントだね。

また、一番頭を悩ませるのが、再生計画中の資金繰りの問題だね。

再生計画が認可されるまではおおよそ6ヶ月ほどかかる。その間は、融資を受けるといったことはできない。

そのため、スポンサーを探しておくなどの対策も必要になる。

こうした計画的な再建を目指すには、やはり早期から弁護士に相談をして、コツコツ計画を立てることが大事だね。

せんせい
せんせい

個人でもできる民事再生|個人再生とは

せんせい
せんせい
ここまで企業の民事再生を解説してきた。

ここでは、個人でもできる民事再生、個人再生について解説するよ。

民事再生法のもと借金を減額できる手続き

せんせい
せんせい
個人再生は、民事再生法のもと、裁判所の許可で借金を減額できる手続き。

元金を最大で10分の1まで減額できて、原則3年の分割払いで返済するよ。

個人再生の手続きは2種類に分かれる

せんせい
せんせい
また、個人再生はさらに、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類に分けられるんだ。
小規模個人再生 給与所得者等再生
対象者 小規模事業の経営者・個人事業主など サラリーマン
減額幅 大きい 小さい
債権者の同意 必要 不要
一長一短って感じですね。実際どっちが多いとかあるんですか?
さいむくん
さいむくん
せんせい
せんせい
2020年の統計では、個人再生1万2712件のうち9割が小規模個人再生を選択しているみたいだね。
件数 割合
小規模個人再生 1万1948件 約94%
給与所得者等再生 764件 約6%

【参考:第109表 再生既済事件数―事件の種類及び終局区分別―全地方裁判所‐裁判所

個人再生で返済額を決める基準はいくつかあって、小規模個人再生と給与所得者等再生では、採用される基準が違うことがあるんだ。

その結果、給与所得者等再生は小規模個人再生よりも返済額が高額になりがち。

だから、小規模個人再生を選ぶ人がほとんどなんだよね。

せんせい
せんせい

小規模個人再生

せんせい
せんせい
小規模個人再生は、主に自営業者・個人事業主などを対象にした手続きだよ。

収入が一定のサラリーマンは、返済額が高額になりがちな給与所得者等再生が対象になるんだけど…さっき話したように、今や「個人再生」といえば、小規模個人再生だと思っていいくらい割合が多いんだ。

先の表でも紹介したように小規模個人再生は、債権者の同意が必要だけど減額幅が大きいんだ。

利用するには条件があるから、簡単に紹介するね。

小規模個人再生の利用条件

  • 今後も継続して収入を得られる見込みがある
  • 住宅ローンを除く借金が5000万円以下である

給与所得者等再生

せんせい
せんせい
給与所得者等再生は、主にサラリーマンを対象とした手続きだよ。

安定した収入があるサラリーマンが対象だから、小規模個人再生よりも返済額が高額になりやすい基準を設けているんだ。

もっとも、そのお陰で手続きのほとんどは小規模個人再生が多いんだけどね。

こちらも利用するには条件があるから、簡単に紹介するよ。

給与所得者等再生の利用条件

  • 給与など安定した収入がある
  • 住宅ローンを除く借金が5000万円以下である
  • 過去7年以内に給与所得者等再生やハードシップ免責を利用していない など
ハードシップ免責ってのは、個人再生の手続き後に利用できる制度。

簡単にいうと、すでに4分の3以上返済している場合にかぎって、残りの返済を免除する制度なんだ(民事再生法第235条第1項第二号)。

ハードシップ免責や給与所得者等再生を過去7年以内に利用していると、給与所得者等再生は使えないから注意してね。

せんせい
せんせい

【参考:個人再生手続き利用にあたって – 裁判所

個人再生のメリット・デメリット

さいむくん
さいむくん
ひとくちに個人再生といってもいろいろあるのは分かったんですけど、メリットやデメリットも知りたいです!
そうだね。個人再生のメリット・デメリットは、ざっくりこんな感じだよ。
せんせい
せんせい
メリット
  • 元金を最大で10分の1にカットできる
  • 持ち家などの財産を手放さなくていい
  • 借金の原因を問われない
デメリット
  • 最低でも100万円は返済しないといけない
  • ブラックリストになり5~7年は借入れができない
  • 安定した収入がないと利用できない
  • 保証人への影響を避けられない

メリット

せんせい
せんせい
個人再生のメリットはこんな感じだね。
個人再生のメリット
  • 元金を最大で10分の1にカットできる
  • 持ち家などの財産を手放さなくていい
  • 借金の原因を問われない

個人再生では元金を最大で10分の1にカットできる。もし借金額が5000万円だったら、500万円まで減額できるかもしれないんだね。

また、ローンを返済中のものがある場合、個人再生をすれば返済の代わりとして引き上げられてしまう。

でも個人再生では、ローン返済中の持ち家を手放さずに済む制度があるんだ。

住宅ローン特則といって、住宅ローンを減額しない代わりに、持ち家に住み続けられるんだよ。

それに、個人再生では借金の原因を問われない。

返済義務が免除される自己破産だと、ギャンブルや浪費など、借金の原因次第では免除が認められない場合もあるんだ。

せんせい
せんせい

デメリット

せんせい
せんせい
個人再生のデメリットはこんな感じだね。
個人再生のデメリット
  • 最低でも100万円は返済しないといけない
  • ブラックリストになり5~7年はしばらく借入れができない
  • 安定した収入がないと利用できない
  • 保証人への影響を避けられない

ブラックリストになるってのは、信用情報(借入れの履歴が蓄積されたデータ)に個人再生の記録が追加されること。

記録が追加されると、借入れの審査で信用情報をチェックされた際に、個人再生をしたことがバレてしまうんだ。

せんせい
せんせい
ともだち
ともだち
信用情報は借入れの履歴が蓄積されているから、返済能力の指標にするためにチェックされるんですね。

だから個人再生をしたことがバレると、返済能力がないと思われて借入れできないと。

そうだね。また、個人再生は保証人つきの借金も含めてすべての借金を手続きしないといけない。

だから、借金の中に保証人つきが含まれていたら、保証人にも請求がいってしまうんだ。

せんせい
せんせい
さいむくん
さいむくん
安定した収入がないといけないのは、残った借金を3年間で分割返済しないといけないからですね!

個人再生ができる条件

せんせい
せんせい
ちなみに、個人再生ができる条件はこんな感じだね。

手続き開始の条件

  • 安定した収入があること
  • 住宅ローンをのぞいた借金総額が5000万円以下であること
また個人再生を認めてもらうためには、再生計画案を債権者や裁判所に認めてもらう必要があるんだね。
せんせい
せんせい

個人再生にかかる費用相場はトータル40~70万円

さいむくん
さいむくん
個人の借金の減額手続きなら、費用は法人の民事再生より安く済むんですか?
うーん、そうだね…もちろん企業の民事再生よりは、遥かに安いけど…個人の手続きと考えると、決して安い金額ではないよ。

実際、個人再生にかかる費用の相場は、裁判所と弁護士費用を合わせるとトータルで40~70万円ほどかかるんだ。

せんせい
せんせい

裁判所の費用

せんせい
せんせい
個人再生にかかる裁判所費用は、今回は東京地裁を例に紹介するよ。
内訳 内容 金額
申し立て手数料 申し立ての際に必要となる費用。収入印紙で支払う 約1~2万円
予納郵券 債権者に個人再生を知らせる通知のための切手代
債権者数に応じて増減する
約2,000~3,000円
官報(かんぽう)公告費 官報に掲載される際に発生する費用 約1万2,000~1万4,000円
官報ってのは、国が発行する新聞みたいなもの。

裁判所からのお知らせや法改正に関する情報などが掲載されているよ。

個人再生は裁判所を通す手続きだから、名前や住所が官報に掲載されるんだ。

とはいえ官報は書き方が独特だから、マニアでもないかぎり、頻繁にチェックする一般人は多くない。

官報が原因で周囲の人に個人再生が知れ渡ることは滅多にないからね。

せんせい
せんせい

弁護士費用の相場

せんせい
せんせい
個人再生にかかる弁護士費用は約40~60万円だよ。

着手金・報酬金・実費などの費用がこの中には含まれているんだ。

民事再生の簡略版とはいえ、個人再生の手続きは複雑で弁護士の負担が大きい。

だからその分費用が高くついてしまうんだ。

とはいえ、何も一括で支払えってことはない。多くの法律事務所では、分割払いであるケースがほとんど。

その上、手続き前は借金の返済も止まるから、そこまで負担ではないよ!

個人再生の流れ

せんせい
せんせい
個人再生の全体像がなんとなく分かったところで、次は個人再生の流れを簡単に紹介するよ。
個人再生の流れ
  1. 弁護士に依頼・受任通知を債権者に送付
  2. 裁判所に個人再生申し立て
  3. 個人再生の手続き開始
  4. 再生計画案の作成・提出
  5. 再生計画案の決議
  6. 手続き完了・返済開始

基本は企業の民事再生とあまりかわらないんですね。つまり、借金とか財産をはっきりさせて、再生計画を作る。

再生計画を同意してもらって、裁判所の許可後、返済を進めるって感じですね。

ともだち
ともだち
さいむくん
さいむくん
受任通知ってなんですか?債権者に送るとなんかあるんですか?
受任通知ってのは弁護士が、個人再生の依頼を受け付けたことを債権者に宣言する通知なんだ。

債権者に送ることで取り立てをとめることができるんだよ。

受任通知を受け取ったあとは直接の取り立てが禁止されるからね(貸金業法第21条第1項第九号)。

せんせい
せんせい

個人再生にかかる期間は約6ヶ月~1年

せんせい
せんせい
個人再生の手続きにかかる期間は約6ヶ月~1年くらいかな。

弁護士に個人再生を依頼したあとに、裁判所に申し立てる書類を準備しないといけないから、サクッと申し立てられるわけではないんだよね。

だから結局、法人の民事再生に比べて大幅な時短になるってわけでもないんだ。

個人再生と自己破産の違い

ともだち
ともだち
ところで、個人の借金問題を解決する方法といえば、個人再生以外に自己破産もありますよね?

どちらも裁判所を通す手続きですけど、違いってあるんですか?

いい質問だね。個人再生と自己破産の違いはこんな感じだよ。
せんせい
せんせい
個人再生 自己破産
効果 元金を最大で10分の1にカット 借金の返済義務を免除する
返済義務 残る 残らない
財産 残せる 20万円以上の財産は残せない
さいむくん
さいむくん
自己破産は借金の返済義務がなくなる代わりに、20万円以上の財産は没収されちゃうんですね。
そうだね。借金を返してもらえない債権者は損をしてしまうから、その補填のために回収するんだ。

自己破産の場合は返済義務が残らない。個人再生は借金を大幅に減額できるけど、返済は続く。

だから安定した収入も必要になるよ。

せんせい
せんせい

法人の民事再生でよくある質問

せんせい
せんせい
最後に、法人の民事再生でよくある質問に回答するよ。

社長や従業員も退任や解雇しなければならない?

せんせい
せんせい
「現経営陣が続投できる」や「民事再生をした場合の従業員の処遇」でも解説したけど、民事再生の場合、特に退任や解雇は必要ないよ。

ただし会社を再建するなら事業の見直しは必須だろうから、整理にともなってやむをえず解雇しないといけない場合もあるかもしれないね。

その場合は会社の規定に従い、退職金などの支払いが発生するから、こうした資金も考慮して、民事再生の手続きを検討しないといけないね。

民事再生をしたら従業員の給料はどうなるの?

せんせい
せんせい
民事再生をしても、従業員への給料の支払いは、特に何も変わらず続けられるよ。

給料の支払いは、「一般優先債権」と呼ばれるものになり、民事再生法では優先的に扱われるんだ (民法308条、民事再生法122条)。

だから、給料日になれば、手続きに関係なく給料が支払われることになるよ。

民事再生を利用した企業はある?

せんせい
せんせい
実際に民事再生を利用した企業はこちら。
  • 株式会社ニューマルシン:2011年1月
  • マルホン工業株式会社:2015年3月
  • TKJP株式会社:2017年6月
  • 株式会社ホテルショコラ:2022年7月
ちなみに帝国データバンクによると、2022年度の民事再生法の利用は206件で、うち136件を個人事業主が占めていたそうだよ。
せんせい
せんせい

【参考:2022年度報-帝国データバンク

民事再生が失敗するとどうなるの?

せんせい
せんせい
例えば、再生計画案を提出して、債権者の同意が得られないとか、裁判所の認可が降りないような場合は、そのまま裁判所の職権で破産手続きに移行することになるよ。

一方、一回認可決定を受けて、再生計画を履行した場合はちょっと違う。

民事再生後、監督委員は3年間は、再生計画の履行を監督してくれる。でも、3年経過して、それでもまだ債務が残るような場合は、再度民事再生を申し立てることもできるよ。

だから、最初に再生計画が同意を得られるかどうかが肝になるね!

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法人の民事再生、個人の個人再生は弁護士に相談しよう

せんせい
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今回は民事再生法を中心に解説してきたけど、民事再生・個人再生は弁護士に相談しよう。

特に、企業の民事再生は考えないといけないことが多いよね。

  • 今後の経営戦略
  • 債権者の同意が得られる再生計画案の作成
  • 従業員の処遇・資金繰りの問題
  • そもそも民事再生が妥当かどうか など
これを経営者で判断するのは難しいよね。

その上、失敗すれば、破産のリスクを負うことになる。

だからこそ、「企業の民事再生」に強い弁護士に相談するようにしよう

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まとめ

ともだち
ともだち
今回の解説をまとめました。
まとめ
  • 民事再生法とは裁判所の許可の元借金を減額して再建を図る手続きを定めた法律
  • 民事再生法は個人にも適用される
  • 法人が利用すれば会社を再建できる
  • 法人の場合は莫大な裁判所費用がかかる
  • 民事再生をしても原則従業員は解雇されない
  • 個人が利用する場合は9割以上が小規模個人再生

今回は、民事再生法を中心に、民事再生について解説してきたよ。

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せんせい
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著者情報

この記事の監修者
赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

監修者の詳細なプロフィール
この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。

20代後半に作ってしまった借金100万円を自力で完済した。

筆者の詳細なプロフィール