結論をいうと、賃貸では、債務整理しようとしてまいと約3ヶ月間家賃を滞納すると追い出される可能性があるよ。
だから早めに対処することが重要なんだ!
今回は賃貸を追い出されそうな場合の対処法なども含め、家賃を債務整理する際の注意点を解説するよ。
今回のポイントはこちら。
- 家賃を債務整理する際の注意点
- 家賃が払えない場合の対処法
- 賃貸を追い出されそうな場合の対処法
賃貸に住んでいれば毎月必ず発生する家賃。借金とは違うようですが、もしも滞納してしまったら債務整理できるのでしょうか?
家賃を滞納しそう・家賃を滞納してしまっている方はぜひご覧ください。
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滞納した家賃は債務整理できる?どうなる?
滞納してる家賃を任意整理する場合は、滞納分の家賃を分割払いにできないか大家さんと交渉。
また、物件と契約している保証会社が滞納分の家賃を支払った場合は、肩代わり分の一括請求を分割払いにしてもらう交渉になるよ。
個人再生・自己破産では手続きする借金を選べないから、手続きの対象になるね。
任意整理 | 大家・保証会社との分割交渉 |
個人再生・自己破産 | 自動的に減額・免除される |
滞納した家賃は債務整理できる
債務整理をしたことで賃貸を追い出されることはない
実は以前は、自己破産を理由に賃貸から追い出すことができるって法律だったんだ。
だけど、2004年に破産法や民法が改正されたことで、自己破産を理由とした賃貸物件の解除はなくなったんだね。
ただし注意したいのは、「滞納した家賃」を債務整理すると、今後の更新を断られる可能性があるってこと。
債務整理で家賃を減額すれば、大家さんも退去してほしいと思うかもしれない。
一応「家賃を滞納してる場合の対処法」「万が一賃貸を追い出されそうな場合」で対処法も解説するよ!
債務整理関係なく家賃を滞納していると解約の恐れがある
だから本来は1回の滞納でも追い出すことは可能なんだけど、借主は路頭に迷ってしまうよね。
だから実務上は、1回の滞納で退去が認められるってことはないんだ。
この3ヶ月ってのは、「信頼関係が破壊された」と判断される期間だからなんだね。
継続的に家賃を支払い、その代わりに部屋を借りるわけだからね。
だから、法律上、賃貸契約の解除には「信頼関係が壊れた」といえるだけの事情が必要なんだ。
どれくらい滞納が続けば「壊れた」と言えるのか、法的根拠はない。
基本的には、借主の事情を考慮して決められるけど、一般的には3ヶ月くらいの滞納で契約を解除されるケースが多いんだよね。
それに、家賃保証会社による強引な契約解除や、予告のない契約解除は違法だと、最高裁でも判断されているんだ。
困ってるなら弁護士に相談した方がいいし、家賃を滞納してるのなら3ヶ月経って契約解除にならないように対処したほうがいいよ。
【参考:「家賃滞納で明け渡し」条項は違法 最高裁が初判断 – 日本経済新聞】
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任意整理する場合は分割交渉をする
ではまず、任意整理で家賃を減額する場合について。任意整理とは(債権者)と減額の交渉をする手続きで、利息のカットに落ち着くケースが多いね。
家賃滞納中でも任意整理はできる
自己破産などは、裁判所を通して行う手続きだから、すべての借金が手続きの対象になるんだ。
一方、任意整理はあくまでも任意の交渉だから、借り入れが複数ある場合、減額せずに支払いを続けたい借金は、手続きから除外できるんだ。
だから、借り入れと家賃を任意整理してもいいし、借り入れだけ任意整理してもいい。
だからもし家賃の滞納を解消するなら、他の借金を減額して、家賃の支払いにあてるのが1番だよ。
家賃だけ任意整理するなら分割交渉をする
すでに保証会社が肩代わりしている場合は、肩代わり分の請求を分割払いにしてもらう交渉になるんだ。
任意整理って呼べるかわからないけど、分割の交渉をする余地はありそうですね。
個人再生で家賃を減額する場合
個人再生とは、裁判所の許可で、元金を最大で10分の1に減額する手続きだね。
減額された借金は、返済計画に沿って、3年間の分割払いで返済していくよ。
家賃滞納中でも個人再生はできるがその後住み続けられるとは限らない
ただし、「債務整理をしたことで賃貸を追い出されることはない」で解説したように、大家さんからしたら家賃が払われなかったことには変わりないから、更新などを断られる可能性はある。
今後も住み続けたいなら、そうしたほうがいいかもしれない。
でも、個人再生の返済が終わるのは3年後。3年を待たずに更新が拒否されるってことは考えられるよね。
100万円以下の借金だと個人再生では減額されない
減額される基準の1つに最低弁済額(さいていべんさいがく)基準ってのがあって、借金が100万円以下だと全額返済しないといけないんだよね。
【最低弁済額基準】
負債総額 | 最低弁済額 |
借金額が100万円以下 | 減額されない |
借金額が100万円~500万円 | 100万円にまで減額される |
借金額が500万円~1500万円 | 5分の1にまで減額される |
借金額が1500万円~3000万円 | 300万円にまで減額される |
借金額が3000万円~5000万円 | 10分の1にまで減額される |
そもそも申告しなかった場合は分割返済できない
それに、手続きの際に申告しなかった債権者には3年間返済できないんだ(民事再生法第232条第3項)。
自己破産で家賃の返済義務をなくす場合
自己破産は、裁判所の許可で借金の返済義務をなくす手続きだね。
自己破産では申し立て前後で異なる
手続きを申し立てる前に滞納していた家賃は手続きで免除されるけど、申し立て後に発生した家賃は免除されないんだね。
手続き申し立て前 | 支払い義務は免除される |
手続き申し立て後 | 支払い義務は免除されない |
自己破産の申し立ては、「すでに支払い期限が来ている借金を支払えていない状態である」と認められないといけない。
申し立て後に発生する家賃は支払えないかもしれないけど、申し立ての時点では、まだ支払い期限が来ていないよね。
だから、手続きの申し立て後に発生する家賃は免除されないんだ。
支払い義務がなくなっても住み続けられるかは別問題
これは自己破産でも同じで、手続きしたことを理由に追い出してはいけない。
でも、支払い義務がなくなってもすみ続けられるかは別の問題。
次の更新を拒否される可能性もあるし、大家さんや管理会社の方針によるんだ。
もし継続して住み続けたいなら、自己破産の手続き後に任意で返済していくというのも1つの方法だね。
手続きをする際の滞納してる家賃の支払いは弁護士に相談する
自己破産や個人再生では、すべての貸主(債権者)を平等に扱わないといけないって決まってるんだ。
だから、一部の債権者に優先して返済したと判断されると、手続きが認められない可能性があるよ。
ただ、判断するのは裁判所。滞納した家賃を優先して払っても、生活に必要な支払いだと判断されて、自己破産の許可が下りるケースもあるんだよね。
裁判所によって判断が分かれるから、ここは弁護士に相談しよう。
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家賃を滞納し続けるリスク
滞納約3ヶ月で退去を求められる
とはいえ、いきなり荷物を勝手に廊下に出したりカギを変えるって感じの退去は違法なんだ。
勝手に室内に入るのは住居侵入罪だし、カギを勝手に交換する行為も不法行為とする判例がある(大阪簡易裁判所平成21年5月22日判決)。
実際に部屋から追い出すとなると、大家さんが裁判所に明け渡し請求ってやつを申し立てて、裁判所の執行官って人が追い出すことになる。
一応時間はあるけど、早めに次の住まいを見つけたほうがいいよ。
滞納3~6ヶ月で保証会社から一括返済を求められる
賃貸物件は、家賃の支払いが滞った際に肩代わりしてくれる家賃保証会社と契約しているケースが多いんだ。
家賃保証会社は、借主に代わって滞納分の家賃を支払うんだけど、その肩代わり分を一括で請求されるんだよね。
これは、退去してようが、してまいが請求されるからね。
保証会社によっては信用情報に傷がつく
信用情報
- クレジットカードやローンの返済状況などの記録
- 「傷がつく」とは一般的に、信用情報に債務整理や滞納などの記録が追加されることをいう
そして、信用情報は借り入れの審査の際に参照とされる情報だから、借金を滞納すると審査に通らなくなるんですよね。
家賃を滞納しても信用情報に傷がつくことはないけど、家賃保証会社によっては、滞納分の肩代わりのタイミングで信用情報に傷がついてしまうよ。
家賃保証会社は、大きく「信販系」と「独立系」に分かれているんだ。
家賃保証会社の種類 | 概要 | 主な会社 |
①信販系 | 信用情報を確認し、記録にもとづいて審査を行う | |
②独立系 | 信用情報を確認せず、独自の基準で審査を行う |
信用情報機関(信用情報を管理している団体)に登録しているんだね。
だから、家賃を滞納すると、「滞納しています」という情報を信用情報機関に申請されて、信用情報に傷がついてしまうんだね。
連帯保証人がいる場合は請求を受ける
ただし近年は、連帯保証人ではなく保証会社への加入を求められるケースが多いけどね。連帯保証人がいる場合は、注意が必要だよ!
裁判を起こされる可能性がある
物件の明け渡し請求 | 部屋の退去を求める |
未払い家賃の請求 | 滞納した家賃の支払いを求める |
最終的に強制執行を受ける
滞納した家賃の強制執行(差し押さえ) | 給料などを差し押さえられる |
退去の強制執行 | 家を退去させられる |
家賃を滞納してる場合の対処法
まず分割払いの相談をしよう
だから、分割払いを認める方が楽なんだね。もし相談するときは、これらのポイントを忘れずに伝えよう!
- なぜ支払えないのか
- いつなら支払えそうか
ポイントをふまえて早い段階で相談すれば、分割払いが認められるかもしれないよ。
住宅確保給付金を利用する
住宅確保給付金は、生活困窮者自立支援制度のひとつ。
離職などにより住居を失う可能性が高い人に、家賃額を原則3ヶ月間支給している制度だよ。
制度の詳細については、厚生労働省のホームページを見てみてね。
ただし、条件はけっこう厳しいから、もうどうにもならないって人は早めに次の住処を見つけたほうがいいよ。
【参考:住宅確保給付金ー厚生労働省】
【参考:住宅確保給付金 申請・相談窓口 – 厚生労働省】
万が一賃貸を追い出されそうな場合
- 家賃の安い公営住宅に申し込む
- 初期費用が安いUR賃貸を利用する
- 生活保護を受給する
家賃の安い公営・市営住宅に申し込む
低所得者向けに割安で提供されている賃貸住宅だけど、メリットとデメリットがあるんだ。簡単に紹介するね。
メリット
- 家賃が周辺の相場より安い
- 近隣にスーパーや医療機関があるなど、立地がいい場合が多い
デメリット
- 入居するには収入基準がある
- 住んでいる途中でも収入が増えれば引っ越しを求められる可能性がある
- 築年数が古いとエレベーターがない場合がある
初期費用が少ないUR賃貸を利用する
UR賃貸は「都市再生機構」という独立行政法人が管理している公的な賃貸住宅なんだ。
地方公共団体が運営している公営住宅とも違うんだけど、国の政策として運営されている。
だから、これらの初期費用を抑えて入居できるんだ。
- 仲介手数料
- 礼金
- 更新料
なので、利用する前には実際の家賃も含めてよく検討してね。
生活保護を受給する
生活保護を受給すれば、生活保護の範囲で家賃や引っ越し費用を支給してもらえるよ。
- 収入が少ない・働くことができない
- 預金など高価な財産がない
- 親族からの援助が受けられない など
他にも、生活困窮者自立支援制度など、サポートしてくれる制度があるからね。きっと何かしらの対策を教えてもらえるよ。
【参考:生活保護制度 – 厚生労働省】
【参考:相談支援や生活保護などの生活支援のご案内 – 厚生労働省】
債務整理をする際の注意点
- ブラックリストになるため支払い方法を変更する
- 口座凍結を受ける場合は引き落とし口座を変更する
- 債務整理後は賃貸契約ができないケースもある
ブラックリストになるため支払い方法を変更する
ブラックリストになると、クレジットカードは使えなくなってしまうんだ。
特に、家賃の支払いをクレジットカードにしている場合は注意が必要だよね。
家賃を滞納していても、手続き開始後の家賃は支払っていかないといけない。
そんな時に、クレジットカードが停止になり、支払ができないとなるとまた家賃を滞納することになるからね。
だから、支払い方法を変更しておこう。この辺は、債務整理をする際に、弁護士からも話があるから、ちゃんと確認しておこうね。
口座凍結を受ける場合は引き落とし口座を変更する
銀行から借り入れがある場合、債務整理が開始されると口座が凍結されて、引き落としができなくなってしまうからだね。
口座を凍結されちゃうと、光熱費はもちろん、家賃まで引き落としができなくなってしまう。
だから、口座引き落としに設定している支払いは、引き落とし口座を変更すれば大丈夫だよ。
これ自体は、民法で許された行為(民法505条)だし、銀行の契約書にも書かれているはずだよ。
タイミングとしては、弁護士に債務整理を依頼した段階で凍結されるのが一般的。詳しくは、弁護士にアドバイスをもらいながら進めてね。
債務整理後は賃貸契約ができないケースもある
だから、債務整理後は、家賃保証会社によっては、賃貸契約ができないケースがあるから注意してね。
でもクレジットカードを発行する「信販系」の家賃保証会社は、審査の際に信用情報を確認する。
審査に通らない可能性が高いんだ。
もし、賃貸を契約するなら、審査の際に信用情報を参照としない「独立系」と呼ばれる家賃保証会社を選ぼう。
家賃の問題は弁護士に相談するのがおすすめ
その理由を3つ紹介するよ。
- 大家さんや管理会社とのやり取りを任せられる
- なるべく周囲に知られずに手続きを進めてくれる
- 家賃以外にも借金がある場合は取り立てを止められる
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大家さんや管理会社とのやり取りを任せられる
大家さんや管理会社とのやりとりを任せられるんだね。
弁護士は債務整理だけじゃなくて、法的トラブルの際に代理人として、相手方と交渉したり話し合ったりしてくれる。
だから、分割払いの交渉ややり取りがスムーズに進む可能性が高いんだ。
なるべく周囲に知られずに手続きを進めてくれる
郵便物を法律事務所の名前が書いてないものにしてくれるなど、なるべく周囲に知られずに手続きを進めてくれるんだ。
家賃以外にも借金がある場合は取り立てを止められる
これは受任通知のおかげなんだよね。
- 担当弁護士から債権者に送られる通知
- 債務整理の依頼を受け付けた旨や、これまでの貸し借りの記録の開示を求める内容が記されている
家賃保証会社は貸金業じゃないし、家賃保証会社の取り立てを止める法律はないですよね?
でも家賃保証会社の違法な取り立ては問題にもなってるんだ。
弁護士が間に入れば、とりあえず連絡は弁護士に来るから、家賃保証会社も直接取り立ててくる可能性は低いよ。
特に退去が関わってくる問題だから、不安なら無料相談で相談してみたほうがいいよ。
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まとめ
- 滞納した家賃も債務整理できる
- 滞納が3ヶ月続くと強制退去になる可能性が高い
- 滞納しているのが家賃だけなら任意整理は分割交渉になる
- 個人再生では家賃分も3年間の分割払いになる
- 自己破産では家賃分の支払いも免除される
- 家賃を債務整理しても住み続けられるかは別問題
ただ事実として、家賃を滞納すると結構危ないんだ。
個人再生では完済までに時間がかかるし、自己破産で返済義務がなくなったとしても住めるかは不明。
任意整理の分割交渉だって必ず成功するとはかぎらないんだ。
滞納から3ヶ月経つと退去させられる可能性が高いから、もし支払えないと思ったらなるべく早く弁護士に相談しようね。
企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。