個人再生

年金受給者も個人再生できる!個人再生後も年金を受け取れる!

さいむくん
さいむくん
ねえともだち!実はうちの親が借金してしまって、個人再生しようか迷っているんだけど。

そもそも年金受給者でも個人再生ってできるのかな?

年金受給者でも個人再生はできるよ!

ただ場合によっては、任意整理や自己破産を選んだ方がいいかもしれないね。

今回は年金受給者の個人再生や債務整理について、先生に教えてもらおうか!

ともだち
ともだち

個人再生とは、債務者が民事再生法によって定められた手続きの元再生計画案を作成し、裁判所の認可を受けて経済的な再生を目指す手続きです。年金受給者でも個人再生を行うことは可能ですが、いくつか注意すべきポイントもあります。

今回の記事では年金受給者の個人再生について、注意すべきポイントや最低弁済額はどれくらいになるのか、またその他の債務整理のメリット・デメリットなどについて解説していきます。

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年金受給者でも個人再生できる!

先生
先生
結論から言うと、年金受給者でも個人再生で借金を大幅に減額できる可能性があるよ!

まずは個人再生を簡単におさらいしておこうか。

個人再生は、裁判所を通じて手続きを行うことにより、借金を最大10分の1まで減額できる手続きのことだったね。

第一条 この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。
【引用:民事再生法 – e-Gov法令検索

個人再生は民事再生法という法律によって手続きが定められていて、裁判所が認めれば誰でも利用できるんだ。

もちろん年金受給者でも利用できる手続きだから安心していいよ。

先生
先生
さいむくん
さいむくん
裁判所が認めれば誰でも利用できるんですね!

年金受給者のように、収入が少ないと個人再生は利用できないものだと思っていました!

ただし年金受給者の場合、個人再生を行う上でいくつか注意すべきポイントがあるよ。

詳しいことは次のところで解説していくね!

先生
先生

年金受給者の個人再生において注意すべきポイント

先生
先生
年金受給者が個人再生する場合、次の2つに注意する必要があるよ。

年金受給者が個人再生する場合において注意すべきポイント

  • 継続的で安定した収入があるか
  • 再生計画の履行可能性があるか

継続的で安定した収入があるか

先生
先生
実は個人再生の要件の1つに「将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあるか」というものがあるんだ。

(手続開始の要件等)
第二百二十一条 個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が五千万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「小規模個人再生」という。)を行うことを求めることができる。
【引用:民事再生法 – e-Gov法令検索

つまり継続的で安定した収入がない場合、個人再生が裁判所に認めてもらえない可能性があるってことなんだ。
先生
先生
さいむくん
さいむくん
うーんでも年金受給者の場合、仕事をしていない人も多いから、継続的で安定した収入があるとは認められない可能性が高いんじゃないですか?
いやそうでもない。

そもそも年金自体は国から一定額毎月支給される給付金だから、継続的で安定した収入とみなされるケースがほとんどだから安心していいよ。

先生
先生

再生計画の履行可能性があるか

先生
先生
再生計画の履行可能性とは、個人再生をすることで債務者が借金を返済できる可能性があるかということだね。

特に年金受給者の場合、収入が年金だけだと再生計画の履行可能性がないとみなされて、裁判所に個人再生を断られてしまうケースもあるんだ。

えぇ…。じゃあやっぱり年金受給者の場合、個人再生はできないってことですか?
さいむくん
さいむくん
先生
先生
いや年金受給者で収入が年金だけだとしても、事前に返済に必要なお金を用意しておいてあり、最低弁済額をできるだけ少なくしたりすれば、裁判所も個人再生を認めてくれるよ。

最低弁済額については、次のところで詳しく解説するね!

年金受給者の個人再生弁済額は最低弁済額基準で決まる

先生
先生
年金受給者が個人再生をした場合、弁済額を算出する際には3つの基準が用いられているんだ。

どの基準を用いられたかによって、弁済額は違ってくる。

それぞれの基準はどういったものなのか、どのように弁済額は計算されるのか以下で詳しく解説していくよ!

個人再生の種類について

先生
先生
個人再生の弁済額を算出する際には、次の3つの基準が用いられているんだ。
①最低弁済額基準 借金総額により弁済額が決まる基準
②清算価値保障基準 申し立てた人の持っている財産により弁済額が決まる基準
③可処分所得基準 申し立てた人の可処分所得、収入から手取りや生活に必要な費用を差し引いた2年分で決まる基準
そしてどの基準で弁済額を決めるのかは、2種類ある個人再生のうちどの手続きを選んだかによって決まってくるんだよ。
先生
先生

個人再生の種類と弁済額を算出する際に用いられる基準

個人再生の種類 弁済額を算出する際に用いられる基準
小規模個人再生
  • 最低弁済額基準
  • 清算価値保障基準
    (計算を行って弁済額が高かったほうが用いられる)
給与所得者等再生
  • 最低弁済額基準
  • 清算価値保証基準
  • 可処分所得基準
    (計算を行って弁済額が高かったほうが用いられる)
先生
先生
一般の人は小規模個人再生を選ぶことが多いね。最低限弁済する金額が、給与所得者等再生の方だと高額になりやすいためだ。

それぞれの基準がどういった内容なのかについては、次のところで詳しく解説していくよ!

最低弁済額基準

先生
先生
最低弁済額基準とは、民事再生法(第231条)によって定められた、借金額に応じて最低限支払うべき金額を定めた基準のことなんだ。

民事再生法で定められた借金総額ごとの最低弁済額

負債総額 最低弁済額
借金額が100万円以下 減額されない
借金額が100万円~500万円 100万円にまで減額される
借金額が500万円~1500万円 5分の1にまで減額される
借金額が1500万円~3000万円 300万円にまで減額される
借金額が3000万円~5000万円 10分の1にまで減額される
例えばさいむくんの借金が500万円だったとしよう。

この場合、最低弁済額基準に基づいて計算すると返さなければならない借金は100万円になる可能性があるんだ。

先生
先生
さいむくん
さいむくん
借金500万円なら、400万円も減るってことですか?個人再生したら毎月の返済も楽になりそうだなぁ…。
ただし、これはあくまでも最低弁済額基準に基づいた弁済額だからね。

小規模個人再生の場合、清算価値保障基準に基づいた弁済額と比較するし、

給与所得者等再生なら清算価値保障基準とか処分所得基準の3つを比較して弁済額が決まるよ。

先生
先生

清算価値保証基準

先生
先生
清算価値保障基準とは、その人が所有している資産や財産によって返済額が決定される基準のことなんだ。

【清算価値保障基準とは】

  • 清算価値保障基準とは所有している財産や資産によって返済額が定められる基準
  • 個人再生の申し立てをした人が多数の財産や資産を所有している場合、自己破産をしたほうが債権者に分配できる金額が多いケースがある
  • 債権者会の不平等とならないように、自己破産した時と同様の金額が個人再生でも行き渡るように定められた基準
実際に具体的な例を見てみよう。

例えば借金500万円で、自分が所有している財産が300万円ある場合、個人再生と自己破産ではそれぞれどのような違いがあるか比較してみようか。

先生
先生

個人再生と自己破産した場合における債権者への配当金額

債権者への分配
個人再生
  • 借金500万円が100万円まで減額される
  • 100万円は分割で返済して債権者に分配される
自己破産
  • 所有している財産300万円を処分して債権者に分配される
先生
先生
例えば最低弁済額基準の場合、借金500万円だったら100万円まで減額されるよね?

減額された借金は、債務者が3〜5年をかけて返済することになる。

その一方で自己破産の場合は、借金の返済義務がなくなるけど一定価値以上の財産は没収対象となって、債権者に分配されるんだ。

これだと財産や資産がある人は個人再生をした方がお得ですね。
さいむくん
さいむくん
先生
先生
そうなんだよ。

だから債務者が選んだ債務整理の方法で債権者が損をしないように、個人再生でも自己破産と同様に一定以上の金額を超える財産を弁済しなければならない金額に組み込もう、というのが清算価値保障基準なんだ!

めちゃめちゃ分かりやすく言うと、自分の持っている財産以上は個人再生でも返済しなければならない決まりってことだね。
ともだち
ともだち
さいむくん
さいむくん
所有している財産によっては、最低弁済額基準ではなく清算価値保障基準の2つを比較して高額な方に決まるんですよね?

この例で言うと、500万円を減額した金額100万円と、財産300万円を比較することになるから、金額が大きい財産額300万円が手続き後に返済しなければならない金額ということかぁ…。

所有している財産によって弁済額も変わってくるから、正確な弁済額が知りたいなら弁護士に聞いて計算してもらうのがおすすめだよ。
先生
先生

可処分所得基準

先生
先生
可処分所得基準とは、個人再生を申し立てた人の収入から生活に必要な費用を差し引いて、返済額を決める基準のことなんだ。

可処分所得は、次のような方法で計算できるよ!

【可処分所得基準の計算方法】

  1. 過去2年間分の収入の総額を計算する
  2. そこから所得税・社会保険料・住民税などを差し引いた手取りの給料を算出する
  3. 算出した金額を2で割る
  4. 割った金額から生活保護を参考にした「最低生活費」1年分を差し引く
  5. 差し引いた金額を2倍にする
先生!最低生活費って何のことですか?
さいむくん
さいむくん
先生
先生
これは生活保護を基準にしている金額なんだよね。

ただ生活保護って世帯人数や住んでる地域、年齢によって異なるから計算するのは難しいかも。

単純な目安として使うなら、生活保護の自動計算サイトなんかを使ってシミュレーションしてみてもいいかもね。

とりあえず可処分所得基準の場合、収入に基づいて計算を行うから、個人再生の弁済額では一番高額になる可能性があるって覚えておくといいよ!

年金受給者なら個人再生以外の債務整理もおすすめ!

先生
先生
年金受給者の場合、個人再生ではなく任意整理や自己破産といった他の債務整理の手続きが適している場合もあるんだ。

それぞれの手続きの特徴やメリット・デメリットについて、以下で詳しく解説していくよ!

任意整理:利息がカットできる

先生
先生
任意整理は、直接金融機関や消費者金融と交渉することで、利息のカットや返済期間の変更ができる手続きのことだ。

任意整理のメリット・デメリットは、以下のとおりとなっているよ。

任意整理のメリット・デメリット

メリット
  • 借金の利息をカットできる
  • 毎月の返済額を減らして無理のない返済が可能となる
  • 金融機関や消費者金融からの連絡がストップする
  • 保証人がついている借金は除いて借金を整理できる
デメリット
  • 3〜5年かけて返済する必要がある
  • 借金の元本を返済しなければならない
  • 一定期間金融機関や消費者金融から借入ができない
  • 手続きに時間と費用がかかる
個人再生とは違って、借金の元本は減額にならないんですね。
さいむくん
さいむくん
先生
先生
そうだね、あくまでも任意整理は借金の利息がカットできる手続きなんだ。

だから、現在一定以上の収入があって利息カットできれば返済の見通しが立つ人や、保証人に対して請求がいって欲しくない人などにおすすめの手続きだね。

自己破産:借金の返済義務が免除になる

先生
先生
すでに返済の見込みがないようであれば、任意整理や個人再生ではなく自己破産を検討しよう。

自己破産は「破産法」という法律に基づいて手続きを行うことで「借金の返済義務が免除になる」手続きのことだ。

自己破産のメリット・デメリットは、以下のとおりとなっているよ。

自己破産のメリット・デメリット

メリット
  • 借金の返済義務が免除になる
デメリット
  • 官報に個人情報載る
  •  5〜10年の間クレジットカードやローンが利用できない
  • 一時的に引っ越し屋郵便物に制限がかかる
  • 一部の資格・職業に制限がかかる
  •  所有している財産や資産を処分しなければならない
いろいろデメリットもあるみたいですけど、借金の返済義務が免除になるのは魅力的ですね!
さいむくん
さいむくん
先生
先生
ただ借金してしまったからといって安易に自己破産するのも良くない。

どの債務整理をすべきか判断するのはかなり難しいから、まずは弁護士に相談してみよう。

弁護士に相談すれば、その人の現在の収入や借金額に応じて最適な債務整理方法がどれかアドバイスしてくれるからね!

年金受給者の個人再生後における年金の扱いはどうなる?

先生
先生
最後に年金受給者が個人再生した場合、その後年金の扱いはどうなるのか解説していくよ。

結論から言うと、個人再生をした後でも年金は通常通り受け取れるから安心してね。

よかった、でも年金を差し押さえられたりすることはあるんじゃないですか?
さいむくん
さいむくん
先生
先生
いやそれが年金は差し押さえが禁止されている財産だから、借金の滞納をしていて債権者から訴えられたとしても差し押さえられたりすることはないんだ。
そうなんですね!じゃあもし個人再生をするとしても、年金が受け取れなくなったり、差し押さえられたりする心配なく安心して手続きできそうですね!
さいむくん
さいむくん

まとめ

先生
先生
さいむくんおつかれさま!今回学んできた内容で、大事なところを最後にもう一度振り返っておこうか!
まとめ
  • 年金受給者でも個人再生はできる
  • 年金受給者の個人再生の場合、継続的で安定した収入があるかと再生計画の履行可能性があるかが問題になる
  • 最低弁済額基準によって返済しなければならない金額が決まる
  • 借金額や収入の状況によっては任意整理や自己破産した方がいい場合もある
  • 個人再生をした後も問題なく年金を受給できる

ありがとう!年金受給者の人が個人再生する場合について、何が問題になるのか理解できたよ!

年金受給者の場合、個人再生ではなく任意整理や自己破産をしたほうがいいケースもあるみたいだね。まずは弁護士事務所に行って、どの手続きをしたほうがいいか聞いてみるよ!

さいむくん
さいむくん
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著者情報

この記事の監修者
赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

監修者の詳細なプロフィール
この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。

20代後半に作ってしまった借金100万円を自力で完済した。

筆者の詳細なプロフィール