また、税金や保険料の滞納の場合は、1ヶ月程度の滞納で差し押さえを受ける恐れもあるんだ。
給料を差し押さえられると、生活がかなり苦しくなってしまうから、その前に正しい対処をとるようにしようね。
借金を長期間滞納していると、債権者(お金を借りている相手)が裁判所に申し立てて、給料の一部が差し押さえられてしまいます。
一度給料の差し押さえを受けると、未払金を支払い終えるまで毎月差し押さえが続くことになります。
給料の差し押さえによる生活への影響は大きいため、差し押さえについてしっかりと知っておきましょう。
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給料の差し押さえとは
まず、給料の差し押さえとはどのような仕組みで行われるのか、差し押さえを受けるまでの期間や手元に残せる給料はどのくらいなのかなどの概要について解説していきます。
ローンや税金を滞納した際に給料の一部が強制的に回収されること
差し押さえとは、ローンやクレカのリボ払いなどを滞納している債務者に対して、債権者が強制的に借金を回収する手段のことです。
消費者金融や銀行などの債権者は、通常は債務者本人以外から借金を回収することは認められていません。
しかし、度重なる督促にも応じず滞納を続ける債務者に対しては、裁判所の許可を得たうえで債務者の給料から毎月一定額を強制的に回収することが民事執行法により認められています。
一度給料の差し押さえを受けると、未納となっている金額を支払い切るまで、毎月一定額が給料から差し引かれてしまいます。
また、税金や保険料など国・自治体に納めるべき支払いを滞納している場合は、自治体により裁判所を通さずに差し押さえが行われます。
給料が差し押さえられるまでの期間
滞納によって給料が差し押さえられるまでの期間は、主に以下の通りです。
滞納していたもの | 差し押さえまでの期間 |
|
滞納開始から3~6ヶ月程度 |
税金・保険料 | 滞納開始から20~50日程度 |
金融機関やカード会社などが給料の差し押さえによって借金を回収するには、裁判所へ申し出る手続きをとらなくてはいけません。
裁判所へ申し出る手続きは煩雑で費用もかかるため、債権者としてもできる限り差し押さえをせずに未払い金を回収したいと考えるはずです。
そのため、滞納したからといってすぐに給料の差し押さえを受けることは考えづらいです。
通常は、督促状の送付や電話などによって繰り返し取り立てをしたうえで、滞納から半年程度経っても支払ってもらえなかったり連絡が取れなかったりする場合に差し押さえに踏み切ります。
反対に、税金や保険料を滞納した場合は、国や自治体は裁判所の許可をとらずに差し押さえができることになっています。
そのため、国や自治体に納めるべき税金や保険料を滞納すると、滞納開始から20~50日程度と早いタイミングで給料の差し押さえを受ける可能性があります。
差し押さえられる給料の上限
給料の差し押さえを受けた場合に、回収される金額は以下の通りです。
滞納していたもの | 差し押さえまでの期間 |
|
・手取り給料の4分の1 (手取り給料が44万円を超える場合は、手取り額から33万円を引いた額) |
税金・保険料 | 給料の総支給額から ①所得税・住民税 ②社会保険 ③10万円+配偶者や子ども一人当たり4万5,000円 ④総支給額から①〜③を差し引いた金額の20% を引いた額 |
金融機関やカード会社などからの借入は一般債権と呼ばれます。
一般債権の滞納により給料の差し押さえを受けた場合は、手元に手取り額の4分の3程度(手取り30万円の方なら22万5,000円)を残せます。
税金や保険料の滞納の場合は、計算方法が少し複雑になりますが、配偶者や子どもがいる方は、差し押さえを受けた際に手元に残せる金額が多くなるようになっています。
総支給額40万円の方が税金・保険料の滞納によって給料の差し押さえを受けた例
総支給額 | 家族構成 | 差し押さえを受ける金額 |
40万円 | 単身者 | 40-1.1(①所得税)-2.5(①住民税)-6(②社会保険料)-10(③)-3.9(④)=16.3万円 40万円 |
40万円 | 配偶者一人+子ども2人 | 40-1.1-2.5-6-23.5(③)-1.4=5.5万円 |
給料差し押さえの通知はない
滞納がローンやリボ払いなどの一般債権である場合も、税金や保険料である場合も、原則として給料の差し押さえは事前の通知なく行われます。
ただし、ローンやリボ払いなどを滞納している場合は、実際に差し押さえをされる前に、裁判所から「支払督促」「訴状」などの裁判に関する通知が届きます。
裁判所からの通知が来た後も無視を続けていると、債権者の言い分が一方的に認められて給料の差し押さえが行われることとなります。
そのため、「支払督促」や「訴状」といった裁判所からの手紙が、実質的に差し押さえの予告通知ととれるでしょう。
裁判所からの手紙を受け取った際は、すぐに弁護士に相談してください。
給料の差し押さえを受けると会社をクビになる?
結論からお伝えすると、給料の差し押さえを受けたからといって会社をクビになる心配はありません。
会社側から給料の差し押さえを理由に懲戒処分はできない
会社が雇用している従業員をクビにする(懲戒処分)には、社会通念上相当であると客観的に認められる理由が必要です。(労働契約法第16条)
一般的に、借金をしていることや滞納によって差し押さえを受けたことは、業務とは関係がない私生活上の事情です。
そのため、借金や差し押さえを理由に会社をクビにされる心配はありません。
上司や同僚に滞納について知られる可能性はある
給料の差し押さえを受けると、人事部や経理部などの従業員の給料を取り扱う部署には差し押さえに関する通知が届くことになります。
差し押さえなどの情報はプライバシーに関わる問題であるため厳重に管理しなくてはいけませんし、基本的には人事部や経理部の方が上司や同僚に伝える必要はありません。
ただし、噂などによって広まってしまう可能性もゼロではありません。
また、そもそも自分が人事部や経理部に所属している場合には、上司や同僚に差し押さえについて知られることになるでしょう。
給料の差し押さえを受けて生活できない時はどうしたらいい?
ここでは、給料の差し押さえを受けてしまい生活が苦しくなった時の対処法を紹介していきます。
ローンやクレカの滞納の場合
ローンやクレカなどの滞納によって差し押さえを受けて生活が苦しくなった場合は、「差押禁止債権の範囲変更の申立て(民事執行法第153条)」を行いましょう。
裁判所から「給料の差し押さえを受けると最低限の生活が立ち行かなくなる」ことが客観的に認められれば、差し押さえの金額を減らしてもらえる可能性があります。
ただし、借金などが原因で差し押さえを受けた場合は、「差押命令原本」を受け取ってから4週間以内でないと範囲変更の申立ては認められません。
給料の差し押さえの通知を受けたら、すぐに弁護士に相談するのがおすすめです。
また、早めに弁護士に相談すれば、法律の力によって借金を減額する「債務整理」によって差し押さえを事前に防ぐこともできます。
税金や保険料の滞納の場合
税金や保険料を滞納した場合は、原則として差し押さえ金額の減額はできません。
ただし、給料の差し押えが「生活を著しく窮迫させるおそれがある」と認められる場合に限り、『滞納処分の停止』(国税徴収法153条)という措置をとってもらえます。
税金や保険料の場合は、差し押さえを受ける前であれば、経済状況に応じて分割納付や支払い猶予などに柔軟に対応してくれます。
そのため、税金や保険料が支払えない場合は督促状が届いた段階で早急に税務署に相談しましょう。
従業員の給料が差し押さえられた場合の会社の対応
従業員の給料が差し押さえられた場合の会社が取るべき対応は以下の通りです。
- 従業員に支払うべき給料を計算して支払う
- 裁判所に対して陳述書を提出する
- 債権者に差し押さえられた給料を支払う
それぞれ簡単に紹介していきます。
従業員に支払うべき給料を計算して支払う
従業員の給料が差し押さえを受けると、会社の人事部や経理部に差し押さえに関する通知が届きます。
給料を管理する部署の担当者は、差し押さえの対象となる金額を差し引いて、残りの金額を給与として従業員に支払わなくてはいけません。
債権者によって差し押さえられるのは、手取り給与の4分の1(手取り額44万円以上の場合は手取り額から33万円を引いた額)です。
たとえば、差し押さえを受けた従業員の手取り額が32万円の場合は、24万円を給与として支払います。
裁判所に対して陳述書を提出する
裁判所から送付された給与差し押さえ通知には、「陳述書」が同封されています。
陳述書には、以下のような事項を記載して裁判所に提出する必要があります。
- 債務者(差し押さえを受けた従業員)を現在雇用しているか
- 今後支払期が到来する給料の額
- 現在支給している給料額
- 他の差し押えがあるか など
陳述書は記入式となっているので、裁判所の指示にしたがって記入していけば問題ありません。
陳述書を返送しなかったり、虚偽の記載をしたりすると、債権者に対して損害賠償義務を負う可能性があるので注意しましょう(民事執行法第147条第2項)。
債権者に差し押さえられた給料を支払う
差し押さえを受けた従業員に支払う給与を計算して支払ったら、残りがの金額を債権者に対して支払います。
陳述書を裁判所に提出した後に、振込先口座などが知らされるので、指定期日までに決められた金額を振り込みましょう。
給料の差し押さえに関してよくある質問Q&A
最後に、給料の差し押さえに関してよくある質問をまとめました。ぜひ参考にしてください。
給料の差し押さえを受けたら会社にバレる?
原則としては人事部や経理部など給与に関わる部署の方にしかバレません。
しかし、噂などで広まってバレてしまい、周囲の信用を失う可能性はゼロとは言えません。
なぜ給料を差し押さえられる?
裁判所を通した給料の差し押さえは、民事執行法によって認められています。
また、税金や保険料を滞納した場合は、裁判所を通すことなく国や自治体の判断で差し押さえを受ける可能性があります。
職場がわからない場合は給料の差し押さえをされない?
債権者に対して職場を知らせていなくても、給料の差し押さえは受けます。
裁判所に対して差し押さえを申し立てた債権者は、債務者の勤務先がわからなくても「財産開示」という手続きによって給料の差し押さえが可能です。
まとめ
- 債権者による裁判所を通しての給料の差し押さえは民事執行法によって認められている
- 税金や保険料の滞納の場合は、裁判所を通さずに差し押さえを受ける恐れがある
- 給料の差し押さえを理由に会社をクビになる心配はないが、同僚や上司に差し押さえについて知られる可能性はある
- 差し押さえを受ける前に弁護士や税務署に相談するのがおすすめ
僕はまだ差し押さえを受けてないけど、弁護士に相談すれば借金を減らせるみたいだし、一度相談して話を聞いてみます!
企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。