その中で気になったのが「清算価値」やら「清算価値保証」っていう言葉なのね。どうやら「自分がどれだけ財産を持っているか」というのが借金の減額量に関わってくるらしいんだけど。
ともだちは詳しいこととかしってる?
ただし、個人再生の返済額というのは清算価値だけで決まるわけじゃない。他にある2つの基準と比較して決定するんだよ。
詳しい話を先生に聞いてみよう!
この記事では、個人再生後の返済額を決定する上で重要な「清算価値」や「返済額の基準となる残り2つの評価方法」を紹介します!
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まずは個人再生をおさらい
「民事再生法」にのっとった法的な手続き
その中でも「民事再生法にのっとった手続き」を行うのが個人再生だ。下の条文を軽く読んでみてね。
第一節 小規模個人再生
(手続開始の要件等)
第二百二十一条 個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が五千万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「小規模個人再生」という。)を行うことを求めることができる。
【引用:民事再生法 – e-gov】
- 個人による借金であること
- 今後も安定した収入があること
- 借金が5000万円以下であること
法にのっとった手続きだから、怪しいと思わないように!
裁判所を通じて借金を減額する
任意整理は「裁判所を通さず、業者と直接交渉する手続き」だけど、個人再生は「裁判所を通じて行う手続き」という点で違いがある。
任意整理だと、債権者から借金減額を断られてしまうとおしまいなんだ。でも、個人再生の場合、裁判所の許可を得れば強制的に減額することも可能。
裁判所を通すといっても難しいことはないよ。弁護士に依頼すれば基本的に大丈夫だから!
借金を最大で5~10分の1まで減額し、それを3~5年で返済
個人再生の場合、減額後の借金は「1番安くて100万円」と定められているんだけど、借金が100~500万円の人なら、100万円まで減額できる可能性が十分あるね。
減額された借金は原則3年で完済、裁判所が認めた場合のみ、5年での完済が認められるよ。
個人再生における「清算価値保証」とは
- 申立て者が所有している財産が多い場合、個人再生より自己破産の方が債権者たちへの分配が多くなる
- そこで「個人再生をしても、自己破産した場合以上の金額を返済しましょう」という決まり
自己破産した場合と同じように債権者に返済すべきという考え
個人再生と自己破産を比較してみるよ。
借金 | 貸主への分配 | |
個人再生 | 最大で5~10分の1まで減額 | 返済分が分配される |
自己破産 | ゼロになる | 財産を売却してできた利益を分配 |
この場合、債権者たちへの配当は以下のようになる。
貸主への分配 | |
個人再生 | 400万円の借金が100万円まで減額される、残りの100万円を分割払いしていくことで債権者に少しづつ分配されていく |
自己破産 | 所有している財産を売却してできたお金(200万円)を貸主たちで分配する |
このように、対象者が財産をたくさん持っている場合、個人再生をするより、自己破産をしてもらった方が債権者側からするとお得だと思わない?
「まず、財産があるならそれを売却してお金を作れ!」とも思うだろうしね。
といった事情などを踏まえて「個人再生をするとしても、破産したときに債権者たちに分配されるであろう金額よりは多く返済しましょうね」という決まりみたいなものが「清算保証価値原則」なんだ。
- 申立て者が所有している財産が多い場合、個人再生より自己破産の方が債権者たちへの分配が多くなる
- そこで「個人再生をしても、自己破産した場合以上の金額を返済しましょう」という決まり
財産として評価されるものの例
差し押さえの対象となる財産の例
- 現金で99万円を超えた部分
- 口座に入っているお金で20万円を超えた部分
- 売却したら20万円を超える財産
- 生命保険や退職金(見込み額で20万円を超える場合) など
ただし、「これらを差し押さえた場合の合計額以上に返済しましょうね」ということになるわけだ。
「財産を多くもっている場合、個人再生でも返済額が大きくなる可能性がある」と覚えておこう。
個人再生の減額量を決める3つの基準
①最低金額を定めた「最低弁済額」
借金額 | 最低弁済額 |
100万円未満 | 減額なし |
100~499万円 | 100万円 |
500~1499万円 | 借金額の5分の1 |
1500~2999万円 | 300万円 |
3000~4999万円 | 借金額の10分の1 |
②本人の持ち金や財産をもとに決める「清算価値保証基準」
もとに返済額を決定するんだ。
さいむくん、自分の財産の中で、お金になりそうなものはある?
このように、「財産を現金化したらいくらになりそうか」を基準に金額をはじき出すんだよ!
③本人の可処分所得をもとに決める「可処分所得基準」
手取りから生活費を引いたお金が可処分所得。生活費の額は生活保護の金額を参考にするよ。
そして、「可処分所得2年分を返済しましょう」というのが可処分所得基準だよ。
- 過去2年の収入の総額を算出
- そこから所得税や住民税、社会保険料を引いて「手取り」を算出
- ②を2で割る
- ③から生活保護を参考にした「最低生活費1年分」を引く
- ④を2倍にする
→過去2年の収入(800万円)-過去2年に支払った所得税など(200万円)÷2=300万円
→300万円-最低生活費1年分(156万円)×2年分=288万円
これの難しいところは「借金額に関係なく、自身の収入をもとに返済額が決まってしまう」という点だね。
今回のケースだと返済額は288万円だから、それを大幅に超えるような借金がないと、あまり個人再生をする意味がないかもしれない。
どの基準を選ぶかは、手続きの種類にもよる
借金300万円のさいむくんの返済額は?
①最低弁済額基準 | 100万円 |
②清算価値保証基準 | 70万円(車だけ) |
③可処分所得基準 | 288万円 |
可処分所得基準だと返済額はかなり高くなるし、結局のところ、返済額はいくらになるんですか?
個人再生の種類 | 金額の決め方 | さいむくんの返済額 |
小規模個人再生 |
①最低弁済額基準 ①か②の高いほうに決まる |
最低弁済額基準で「100万円」 |
給与所得者等再生 |
①最低弁済額基準 ①~③の一番金額が高いものに決まる |
可処分所得基準で「288万円」 |
小規模個人再生と給与所得者等再生の違い
違いを比較
手続き名 | 両者の違いや特徴 |
小規模個人再生 | 〇手続きには債権者たちによる半数以上の同意が必要 ★給与所得者等再生に比べて借金が減りやすい ▲2度目の個人再生をやることにも制限がない |
給与所得者等再生 | 〇債権者の同意が必要ない ★小規模個人再生に比べて返済額が大きくなりやすい ▲過去7年以内に「自己破産」か「給与所得者等再生」をしている場合には手続きができない |
過去7年以内に給与所得者等再生をしている場合は、再び給与所得者等再生を選択することはできない。でも、債権者の同意があれば小規模個人再生は手続き可能だよ。
実際のところ、「小規模個人再生をしようとしたら、債権者から反対を受けた」というケースはとても少ないから、大多数の人が小規模個人再生をすることになる。
まとめ
関連して覚えなきゃいけない知識も多かったから、今回の内容で大事な部分を振り返ってみよう!
- 清算価値保証とは「自己破産をしていたら債権者に分配できたであろう金額以上は返済しましょう」という決まり
- 財産を多く所有している場合、個人再生の返済額も大きくなる可能性がある
- 個人再生の返済額は「最低弁済額基準」「清算価値保証基準」「可処分所得基準」の中から決まる
実際に個人再生をしたら返済額がいくらになりそうかとか、気になることがいっぱいでてきたらから、弁護士事務所にいって相談してこようと思います!
企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。