
第三者弁済って一体何なんですか?
債務整理と関連して説明するとややこしくなるから、純粋に第三者弁済について説明するね。
実は、普通に生活していたら、誰でも一度や二度は第三者弁済を体験しているんだよ。
例えば、以下のような出来事はなかったかな?

- コンビニでジュースを買おうとしたが、財布を忘れたため、友達に払ってもらった
- 今日は出勤の日だったが、体調が悪いので、別の人に代わってもらった

②の場合は「出勤する」という行為。
これらの行為は、ここでは「債務」と呼ばれるんだけど、その債務を第三者に代わって実現してもらうのが、第三者弁済だよ。
少しはイメージが湧いたかな?
この記事では、「弁済」の意味にはじまり、「第三者」の定義、法的な観点から、「第三者弁済が認められないケース」などをわかりやすく解説します。
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第三者弁済とは
まずは、第三者弁済という言葉の意味を、「第三者」と「弁済」に分けて説明します。
弁済とは?
まず、第三者弁済という言葉の意味をわかりやすく説明していきます。
弁済の意味
「弁済」という言葉を辞書で調べると、以下のように説明されています。
べん‐さい【弁済/×辨済】
[名](スル)
借りたものを相手に返すこと。
債務者または第三者が、債務の内容である給付を実現して債権を消滅させること。「債務を—する」→履行【引用:weblio】

これを「コンビニでジュースを買うさいむくん」という設定でわかりやすく解説するよ。

例えば、ジュースを買いたいのに、さいむくんが財布を家に忘れて来てしまい、その場にいたともだちがお金を払ったとしよう。
「さいむくんの代わりにともだちが弁済をした」これが第三者弁済だよ。


ちなみに、お金の貸し借りの場合は、以下のような関係になるよ。
債務 | 債権 | |
さいむくん | お金を返す | お金を受け取る |
貸主 | お金をさいむくんに渡す | お金を返してもらう |
第三者とは?
単純に、自分以外の人間を「第三者」と呼びますが、法的にはその中でも2種類ありますので、順番に紹介します。
利害関係を有する第三者

これもさいむくんを例に説明していくよ。
まずは以下の表を見てね。
さいむくん | A会社からお金を借りた |
ともだち | さいむくんが返済できなくなった場合の物上保証人(※) |
A会社 | さいむくんにお金を貸した |
お金を借りたのはさいむくんだけど、自身の財産を守るためにも、ともだちはさいむくんに代わってでも返済しなきゃいけない関係なのよ。
他にも様々な形があるんだけど、こういった関係にある人のことを「利害関係を有する第三者」と呼ぶんだよ!

※…債務者が借金返済できなくなったときに備え、自身の財産(主に不動産)を担保として提供した保証人。
例えば債務者が返済できなくなった場合、物上保証人は担保にしていた財産を差し出さなけばならない。
利害関係を有さない第三者

一番最初に、「ジュースを買おうとしたら財布を忘れてしまったさいむくん」の説明をしましたの覚えてる?
その場にいたともだちがジュース代を払うのは、まさに「利害関係を有しない第三者」による弁済だよね。
第三者弁済が認められないケース
第三者が弁済することが認められないケースもあります!
本人以外の弁済が認められないような債務の場合
本人以外の弁済が認められないようなケースは、例えば以下のようなものがあります。
債務 | 債権 | |
歌手(Bさん) | コンサートをする | 報酬をもらう |
イベント会社 | 報酬を払う | Bさんにコンサートをさせる |

Bさんがいきなり、「やっぱりコンサートをしたくないので、他の人に変わってもらうことにした」といっても、イベント会社は当然それを認めない。
これが、「本人以外の弁済が認められないケース」だよ。
当事者が第三者の弁済を認めない場合




債務者が第三者弁済をすることに反対した場合

とてもわかりやすい例を会話であげてみるね。




肩代わりした分を本人に求める権利ね。
第三者弁済によって、債務者(借主)がさらなるピンチに追い込まれることのないように、債務者には拒否をする権利があるってこと。
第三者弁済の法改正の内容とは
第三者弁済に関する法律「民法第474条」には、債権者側にとって不利な部分がありました。
それを解消するために令和2年に法改正が行われました。問題点の内容と改正後の内容について確認しましょう。
債務者が意思に反していても第三者弁済が有効に
改正前の「民法474条2項」では、このような決まりになっていました。
利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。
この法律があることにより、予想外な第三者からの弁済を防ぐことが出来ました。
例えば、ヤミ金などの組織が債務者に変わって弁済を名乗り出た場合には、債務者の意思でそれを反対・却下することが出来ます。
ただし、この法律には穴がありました。「後になって、債務者が第三者弁済に反対していることを知ったとき、債権者はお金を返還しなければならなかった」のです。

それではお金を受け取ります。


僕は両親が返済することを認めていないよ!

これって、債権者(ともだち)ばかりが不利な内容だと思わない?
改正後の内容
改正後の「民法474条2項」は以下のようになりました。
弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。
ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。
【引用:民法 – e-gov】





このように、債権者にとって有利な内容となったのです。
利害関係にない人からの弁済は拒否してもいい

例えば、こんな状況に陥るかも。

だから安心してください…。




債権者を保護するため、改正後は、「民法474条」に以下のような条文が追加されました。
3 前項に規定する第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、その第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたときは、この限りでない。
【引用:民法 – e-gov】
利害関係にない第三者からの弁済は、債権者側でも拒否することが出来ます。ただし、以下のようなケースは例外です。






まとめ

今日、先生に教わった内容を振り返ってみようか。
第三者弁済とは、その名の通り「第三者が弁済」をする行為です。
弁済とは、「債務の内容を実現して、債権を消滅させる失う」ことで、日常生活では以下のようなケースがあります。
債務 | 債権 | |
コンビニで | お金を払って | 品物を受け取る |
この「債務の部分」を第三者にやってもらうのが第三者弁済です。具体的には、その場にいる友人にお金を出してもらう行為があてはまります。
日常生活でも第三者弁済に当てはまるような場面はたくさんありますが、ビジネスや、高額な借金が絡む場合などは注意が必要です。
例えば、債務者(借主)がダメだといっているのに、保証人などにあてはまらない家族(第三者)に請求し・弁済させるのはNG。
債務者が「その人からの第三者弁済は認めない」と言っているにもかかわらず、その人に弁済をしてもらうのもNG。
これらは、債務者・債権者両方を保護するために設けられている法律ですので注意しましょう。

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。