車がないと仕事や生活に支障がある人も多いはずだから、この問題を解決できないと自己破産を決断できないんじゃないかな?
「自己破産」は、返済不能になってしまった人の借金をゼロにする手続きです。
このように説明すると「借金を返済しなくてもいい!ラッキー!」なんて考えてしまう方も少なくないようですが、甘く考えてはいけません。
自己破産では、できる限りの財産を処分して借金返済にあてる必要があります。
そして、財産としても価値が高い「自動車」は処分の対象になるおそれが高いので、通勤や生活に車が欠かせないとしても手放さないといけないかもしれないのです。
自己破産をするとかならず車を手放さないといけないのか、車を手元に残す方法はあるのかを解説しましょう。
\専門家に無料相談しよう!/
自己破産をすると車はどうなる?
自動車ローンが残ってるときは没収される
車検証の「所有者」がローン会社になっているよね?
返済できないときは「使用者」としての権利を失うから、自己破産をすると没収されてしまうよ。
ローンは完済・車の価値が20万円以上あるときも没収される
すると「借主本人の財産」として処分の対象になるんだ。もし車の価値が「20万円以上」なら、お金に換えるために没収されるよ。
ローン完済・車の価値が20万円以下なら残せる
自由財産は処分しなくてもいいから手元に残せるよ。
一般的な大衆車を長く乗り続けていた場合は残せる可能性が高くなるよ。
家族名義の車は没収されない
たとえば、夫が自己破産しても妻名義や息子・娘の名義になっていれば処分する必要はないんだ。
車は手元に残すことができても、自己破産が不許可になってしまう危険な行為だよ。
同じように「どうせ没収されるから先に売っちゃえ」っていうのもNGだ。貸主の権利を不当に減らしてしまう行為は禁止されているからね。
自己破産で車が処分されるかどうか決まる基準
でも、車を没収されてしまうと仕事ができないっていう人もいるしリスタートを難しくしちゃうと思うんだけど…
でも、仕事や生活の必需品なのに車を没収するのは理不尽に感じる人も多いんじゃないかな?
車が処分されるかどうかの基準をチェックしていこう。
自動車の処分見込み額とは
難しい言い回しだけど「時価」だと考えればわかりやすいかな?いま、その状態で処分するといくらになるのかという意味だよ。
ローンが完済できるくらい乗り続けていれば次のモデルが発売されて中古市場ではガクッと値下がりしているかもしれないんだ。
市場価格で20万円以上の車は処分される
ここで注目したいのが「減価償却」という考え方だ。
- 普通車なら初年度登録から6年で処分見込み額が0円になる
- 軽自動車なら初年度登録から4年で処分見込み額が0円になる
自己破産で失う財産・残せる財産
その財産は換金されて債権者に平等に分配されるんだ。
ただ、処分の対象になる財産と手元に残せる財産があるから「全財産を没収される」なんて心配はいらないよ。
処分されてしまう破産財団
「財団」なんていうとわかりにくいけど、とりあえずここでは「処分される財産」と理解しておけばいい。
- 99万円を超える現金
- 20万円を超える預貯金
- 土地・建物などの不動産
- 評価額が20万円を下回り、生活必需品に該当しない動産(貴金属や絵画など)
自由財産
自由財産にあたるものは処分されないから手元に残すことができるんだ。
- 99万円以下の現金
- 20万円以下の預貯金
- 衣服・寝具・家具・調理や炊事用具などの生活必需品
- 1か月分の食料や燃料
- 義手や義足など、身体の補足に必要なもの
- 仏壇・位牌・仏像など、礼拝や祭祀に必要なもの
- 仕事上必要なもの
- 給料・退職金の4分の3
- 公的年金の受給権
- 失業給付の受給権
- 生活保護の受給権
- 交通事故被害者の自賠責請求権
- 不法行為に対する損害賠償請求権 など
自由財産の拡張とは
これを「自由財産の拡張」というんだ。
- 重病にかかっている人の生命保険
- 99万円以内の預貯金
- 病気の治療や療養施設への入所費用などに必要な預貯金 など
自己破産をしても車を残す方法
だから「車は手放さないといけない」とあきらめるのはまだ早いよ。
ちなみに、たまに言われる「第三者弁済」、要は親など他の人に車のローンを支払ってもらう方法は、ものによっては微妙だよ。
というのも、20万円以下の価値しかない車なら問題ないけど、ローンを完済しても20万円なら没収されちゃうわけだからね。
自由財産の拡張として認めてもらう
仕事を続けるためには車が必要だとか、家族の介護に車が欠かせないといった事情があれば自由財産の拡張が認められる可能性が高いよ。
むしろ、車にお金をかけすぎてきたことが金銭苦の原因だと評価されやすいから、趣味の車で処分価値があるものなら手放す覚悟が必要だよ。
自己破産以外の方法を検討する
ただし、まだローン返済中の場合は個人再生をすると所有権にもとづいてローン会社に引き上げられてしまう。
車を維持したいなら、自動車ローンの会社を避けてほかの貸金業者を相手に任意整理を進めるか、さっき話した第三者弁済をする方法もあるよ。
自己破産前にやってはいけないこと
最悪の場合は自己破産が不許可になってしまうから、ここで挙げる行為は絶対にやめよう。
車の名義変更
家族や親戚、友人に名義変更しても、財産調査の段階でかならず車の存在がバレてしまうよ。
名義変更していてもカンタンに調べられてしまうから、隠し通せるなんて考えちゃいけない。
車のローンを申告しない
ローン隠しは「詐欺破産」になることもある危険な行為だと心得ておこう。
車を勝手に処分
そんなことをすると、裁判所に「貸主の権利を不当に減少させた」と評価されてしまい、やはり不許可の理由になってしまうんだ。
車のローンだけを完済
先に特定の貸主にだけ返済する行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」という禁止行為にあたるんだ。
自己破産後に車に関して知っておくべきこと
車の運転は今まで通りできる
車を処分されても会社の営業車などを運転することはできるから心配はいらないよ。
もちろん、家族名義の車を運転してもなんら問題はない。
たとえば、家族が車を買い換えるタイミングに今まで使っていた車をもらって名義変更をするなんてこともOKなんだ。
自己破産後5~7年たてば自動車ローンも組める
新たな自動車ローンを組もうとしても審査で落とされてしまうんだ。
保存期間内はローンを申し込んでも事故情報がヒットしてしまうから審査で落とされるけど、手続きから5~7年を過ぎれば事故情報が削除されるから、ローン審査で不利な情報はヒットしなくなるんだ。
自己破産後5~7年たたないとクレジット機能のあるETCカードは使えない
つまり、クレジット機能のついたETCカードは使えなくなると覚悟しておかないといけないよ。
ただし、信用情報を参照されない、クレジット機能のないETCパーソナルカードなら通常通り使えるから安心してね!
まとめ
ただし、ローンの状況や車の価値、使用が欠かせない事情などによっては手元に残せることもあるんだ。
- 原則として車は処分し、お金に換えて貸主への返済にあてないといけない
- 自動車ローンを完済していて、処分見込み額(時価)が20万円以下なら自由財産として手元に残せる
- 裁判所が「自由財産の拡張」を認めた場合も手元に残せる
- 自己破産前の名義変更や処分は違法行為!自己破産が不許可になる危険があるから絶対にやめよう
ただし、中古車市場はめまぐるしく変動するから、ある程度乗り続けているからといって無価値とも断言できない。
個人では判断できないから、まずは弁護士に相談してアドバイスをもらおう。
企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。