自己破産

自己破産のできる条件や借金額は?自己破産できないと言われたら?

さいむくん
さいむくん
借金がいつになっても減らない…。

もういっそのこと自己破産しようかと思ってるんだけど、自己破産って誰でもできるんですか?

自己破産は、いくつかの条件を満たしていれば基本的に誰でもできるよ。

ただし、例外的に自己破産ができないパターンもあるから注意してね。

せんせい
せんせい

自己破産とは、やむを得ない事情で借金が返済できなくなった際に、裁判所の許可によって借金の返済義務を帳消しにしてもらえる制度です。

借金返済に苦しむ方のためのセーフティネットである自己破産は、基本的に誰でも利用できます。

ただし、裁判所から自己破産を認めてもらうためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

自己破産を検討している方は、自分が自己破産できる条件を満たしているか今一度確認してみましょう。

この記事では、以下の3点を中心に自己破産について詳しく解説していきます。

  • 自己破産するための3つの条件とは
  • 自己破産ができないパターン
  • 自己破産できないと弁護士から言われた際の対処法

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自己破産するための3つの条件とは?

自己破産するための条件は、以下の3つです。

  1. 支払不能である
  2. ②免責債権以外の借金・未払い金がある
  3. 免責不許可事由に該当しない

それぞれ詳しく解説していきます。

①支払不能である

自己破産によって借金を帳消しにするには、「支払不能である」ことが条件となります。

自己破産の手続きに関して細かくルールを定めている破産法によると「支払不能」とは以下のように定義されています。

「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態
【引用:破産法第2条 – e-Gov法令検索

こちらの定義を噛み砕くと、「支払不能」とは以下の4つを満たしている状態であるといえます。

  • 現在の財産や収入、信用状態、労働により収入を得られる能力などを考慮して、借金の支払い能力が欠けている
  • すでに返済期日がきている借金について支払いができない
  • 債権者(お金を借りている相手)が複数いる場合に、一部の債権者にしか返済ができない
  • 突発的な事情により一時的に返済ができないわけではなく、今後も返済の見通しが立たない

客観的にこれらの条件を満たしていると判断された場合のみ、「支払不能」であると認められ、自己破産の手続きが可能です。

②非免責債権以外の借金・未払い金がある

以下のような借金・未払い金は「非免責債権(ひめんせきさいけん)」と呼ばれ、自己破産をしても支払い義務が免除(免責)されません。

  • 税金・保険料の滞納
  • 交通違反の罰金
  • 損害賠償(相手に暴行を加えてケガをさせた場合の慰謝料など)
  • 養育費 など

非免責債権は、自己破産をしても未払い金が免除されるわけではないため、注意しましょう。

消費者金融や銀行からの借入や、クレジットカードのリボ払い残高などの未払い金、または個人間の借金などについて支払いできない方のみが、自己破産の対象となります。

③免責不許可事由に該当しない

自己破産は、返済義務がなくなる強力な手続きですが、誰でも気軽に自己破産できるわけではありません。

破産法には「自己破産による免責が認められない事情や行為」である免責不許可事由が定められています。

例えば、次のようなものが免責不許可事由にあたります。

  • ギャンブルや投資、浪費などによる借金
  • 自己破産手続きにおいて裁判所に虚偽の申告をした
  • 一部の債権者のみ優先して返済をした(偏頗弁済)
  • すでに返済ができないとがわかっていながら新たに借金をした
  • 過去7年以内に自己破産による免責を受けている など

このように、自己破産では遊びで作った借金や、自己破産の手続きで不正行為をした人の借金の免除を認めていません。

上記のような免責不許可事由にあたる事情がないことが、自己破産をする条件となります。

自己破産できる借金はいくら?

ここでは、いくらの借金を抱えている場合に自己破産ができるのか解説していきます。

自己破産において借金額の決まりはない

結論からお伝えすると、「いくらの借金なら自己破産できる」という決まりはありません。

「支払不能である」「非免責債権以外の借金がある」「免責不許可事由に該当しない」の3つの条件さえ満たせば、借金額がいくらであっても自己破産は可能です。

たとえば、借金の総額が50万円の方でも、収入や財産などを総合的に判断したうえで自己破産ができる可能性があります。

逆に、借金が1000万円あっても、今後の返済が不可能だと客観的に判断できなければ、自己破産が認められません。

借金額や生活状況によっては他の手続きを検討するべき

自己破産において借金額の決まりはありませんが、借金額や生活状況によっては自己破産はおすすめできません。

自己破産は、ほぼすべての借金の返済義務が帳消しになる代わりに、以下のようなデメリットがあるためです。

  • 持ち家や車など高価な財産が没収されてしまう
  • 自己破産後最長7年間はローンやクレジットカードの契約ができない
  • 弁護士などの士業や警備員など一部の職業において資格制限がある など

自己破産以外の借金を減額する手続きとしては、任意整理や個人再生などがあります。

自己破産を検討している方は、一度借金問題の専門家である弁護士に相談して、自分が自己破産をするべきかどうか確認するのがおすすめです。

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自己破産ができないパターン

自己破産ができない、またはおすすめできないパターンとは、主に以下の通りです。

  • 借金が少額である
  • 免責不許可事由にあたる事情がある
  • 予納金や弁護士費用が支払えない
  • 滞納している支払いが税金や保険料のみ
  • 借金に連帯保証人がいる

それぞれ簡単に解説していきます。

借金が少額である

借金が少額である方は、自己破産できない可能性があります。

法律上、少額の自己破産が禁止されているわけではありません。

しかし、実務上では少額の借金なら返済できるのではと、「支払不能」状態が認められない可能性が高いです。

免責不許可事由にあたる事情がある

免責不許可事由にあたる事情がある場合は、自己破産が認められない可能性が高いです。

例として、以下2つの免責不許可事由について解説します。

  • 浪費やギャンブルによって借金を作った
  • 過去7年以内に自己破産をしている

浪費やギャンブルによって借金を作った

浪費やギャンブルによって借金を作った場合は、自己破産が認められないと破産法により定められています。

浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
【引用:破産法第252条 – e-Gov法令検索

自己破産は、やむを得ない事情で借金を返済できなくなった方のための救済措置です。

浪費やギャンブル、投資などは、最低限の生活に必要なものではなく、やむを得ない事情とはいえないため、免責不許可事由にあたります。

ただし、浪費やギャンブルが原因の借金であっても、しっかり反省をして更生する意思を見せれば、裁判所によって特別に免責が認められるケースもあります(裁量免責)。

過去7年以内に自己破産をしている

過去7年以内に自己破産による免責を受けていることも、免責不許可事由にあたります。

十 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。
イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日
ロ 民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日
ハ 民事再生法第二百三十五条第一項(同法第二百四十四条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
【引用:破産法第252条 – e-Gov法令検索

自己破産はほぼすべての借金の返済義務が帳消しになるという強力な手続きであるため、短期間で何度も自己破産をすることは認められていません。

また、自己破産と同じように裁判所に申し立てることで借金を減らす「給与所得者等再生」という手続きを行った方も、手続きから7年が経つまでは自己破産は認められません。

予納金や弁護士費用が支払えない

自己破産をするためには、手続きの事務手数料として「予納金」を納めなくてはいけません。

また、自己破産する際に高価な財産を持っていたり、債権者が多数いる場合などは、「破産管財人」という裁判所の担当者に自己破産手続きを手伝ってもらう必要があります。

破産管財人へ支払う報酬も、破産者が予納金として負担しなくてはいけません。

これらの予納金が支払えない場合は、手続きを始めることができず、自己破産ができません。

加えて、自己破産をする際には弁護士に依頼して手続きを進めるのが一般的ですが、弁護士に支払う費用が用意できない際も自己破産ができません。

滞納している支払いが税金や保険料のみ

滞納している支払いが税金や保険料のみの方は、自己破産ができません。

税金や保険料などは、自己破産をしても支払い義務が免除されない「非免責債権」であるため、自己破産をしても意味がないためです。

税金や保険料などを滞納している場合は、役所に相談して分割納付などに対応してもらいましょう。

借金に連帯保証人がいる

連帯保証人がついている借金がある方でも自己破産の手続きは可能ですが、おすすめはできません。

自己破産によって免責されるのは、破産者本人の支払い義務のみです。

そのため、自己破産をすると連帯保証人が残りの借金の返済義務を背負うことになります。

連帯保証人も支払いができない場合は、元に借りた人と連帯保証人セットで自己破産をするケースもあります。

奨学金や住宅ローンなどは、自己破産すると連帯保証人に迷惑がかかる恐れがあるため、弁護士に相談して、他の手続きも含めて検討しましょう。

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自己破産で同時廃止になる条件

自己破産の手続きは、「同時廃止事件」と「管財事件」に分けられます。

概要
同時廃止
  • 自己破産の手続き開始と同時に廃止(終了)する
  • 費用や時間がかからない
  • 破産者の財産が少ない場合や債権者が少ない場合に同時廃止となる可能性が高い
管財事件
  • 財産や借金の調査のため、裁判所が選任した「破産管財人」が手続きを進める
  • 破産管財人の報酬が発生する
  • 財産や借金の調査に時間がかかるため同時廃止より期間を要する

自己破産を検討している方は、費用も時間もかからない同時廃止事件として手続きを進めたいと考える方が多いはずです。

結論からお伝えすると、財産や債権者の調査に手間がかからないと客観的に判断できる場合は同時廃止事件として自己破産を進められます。

同時廃止事件となる条件は以下のようにまとめられます。

  • 20万円以上の財産がない
  • 免責不許可事由がない
  • 個人事業主でない

それぞれ簡単に解説していきます。

20万円以上の財産がない

自己破産では、20万円を超える価値がある財産は基本的に没収されて裁判所によって換価処分されます(売却してお金に換えられる)。

そのため、申し立てた時点で20万円を超える財産がない場合は、財産調査の手間もないため、同時廃止事件として処理される可能性が高いです。

ただし、この20万円という基準は自己破産を申し立てる裁判所によって異なるので注意しましょう。

たとえば、名古屋地方裁判所などでは30万円以上を超える財産がない場合のみ同時廃止となります。

免責不許可事由がない

自己破産が同時廃止事件として扱われるには、免責不許可事由がないことが条件です。

例えば、免責不許可事由が疑われる「財産隠し」や「ギャンブルによる借金」があると、破産管財人が詳細に調査する必要が出てくるため、管財事件になる可能性があります。

個人事業主でない

個人事業主の自己破産は、同時廃止事件として扱われることは少ないです。

個人事業主は、毎月の給与で生活している通常のサラリーマンとは異なり、収入や支出などのお金の動きが複雑です。

また、融資を受けている先や、買掛金を待ってもらっている取引先など、債権者が複数いる可能性も高いでしょう。

そのため、個人事業主の自己破産は財産や債権者に関する調査に手間がかかるため、管財事件として扱われるケースがほとんどです。

自己破産できないと言われた際の対処法

自己破産をするための条件を満たしているはずなのに、弁護士から「あなたは自己破産できません」と言われるケースもあります。

ここでは、自己破産を依頼した弁護士から自己破産できないと言われた際の対処法について簡単に紹介します。

別の弁護士に相談する

借金問題を専門とする弁護士事務所であっても、自己破産を積極的にすすめない事務所もあります。

自己破産よりも任意整理など他の手続きを提案した方が、事務的な労力が抑えられるケースもあるからです。

そのため、自己破産を断られた際には一度他の弁護士に相談してみるのもおすすめです。

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法テラスに相談する

法テラスとは、経済的に困窮している方でも弁護士などの法律の専門家のサポートを受けられるように作られた国の機関です。

弁護士費用を用意できないなどの事情で弁護士から自己破産を断られた際には、法テラスに相談してみましょう。

法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、弁護士費用を立て替えてもらえる可能性もあります。

任意整理や個人再生を検討する

自分では自己破産ができるはずと思っていても、客観的には自己破産の条件を満たしておらず、自己破産を断られてしまうケースもあります。

複数の事務所に相談しても自己破産ができない場合は、任意整理や個人再生など、自己破産以外の債務整理を検討しましょう。

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まとめ

せんせい
せんせい
今日のお話をまとめてみたよ。
まとめ
  • 自己破産をするには「支払不能である」「非免責債権以外の借金がある」「免責不許可事由にあたる事情がない」の3つの条件を満たす必要がある
  • 自己破産をするうえで借金額の決まりはない
  • 免責不許可事由にあたる事情があったり予納金が用意できない場合は自己破産できない可能性もある
  • 自己破産できないと弁護士に言われた際は他の弁護士か法テラスに相談しよう
先生の話を聞いてる限り、僕でも自己破産できそうでよかったです。

だけど、本当に自己破産するべきかどうかは弁護士に聞かないとわからないんですね…。

色々と気になることもあるし、一度弁護士に相談してみます!

さいむくん
さいむくん
弁護士に相談することで
借金を大幅に減らせる可能性があります。
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著者情報

この記事の監修者
赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

監修者の詳細なプロフィール
この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。

20代後半に作ってしまった借金100万円を自力で完済した。

筆者の詳細なプロフィール