昔の借金があると信用情報に傷がついていてローンの審査に落ちるって噂もあるし、実際のところどうなんでしょうか?
さすがに時効になっているだろうし、問題ないとは思うんですけど…。
だけど、借金はいくら時間が経っても放っておくだけでは時効にはならないから、念の為に時効援用の手続きをとって時効を成立させておくのがおすすめだよ。
借金を返さずに10年以上放置しているという方も多いのではないでしょうか。
消費者金融やカード会社などからの借金は、原則として最後の返済日から5〜10年が経過すれば時効が成立する可能性があります。
ただし、借金を放置しているだけでは時効は成立せず、実際に返済義務から逃れるために時効援用という手続きが必要なので注意しましょう。
この記事では以下の3点を中心に10年以上借金を放置している方向けに解説していきます。
- 借金の時効を成立させるための条件
- 10年以上放置している借金がある場合ローンの審査は通る?
- 10年や20年以上前の借金の内容がわからない場合はどうしたらいい?
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借金を10年放置したら時効になる?
10年放置した借金は、時効となって返済義務から逃れられる条件が整っている場合が多いです。
民法によって、借金などの時効については以下のように定められています。
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
【引用:民法166条 – e-Gov 法令検索 】
ただし、この条文は2020年4月の法改正によって定められたものであるため、借金を借りた時期が2020年4月より前である場合は時効が成立する条件が異なる可能性があるので注意しましょう。
2020年3月31日以前の借金の場合
2020年3月31日以前に借り入れた借金の場合は、時効が成立するための期間は以下のように借入先によって異なります。
- 銀行や消費者金融など金融機関からの借金は最終返済日から5年
- 親や友人など個人間の借金は最終返済日から10年
そのため、最後の返済から10年以上が経過していれば、相手が金融機関であっても親や友人などの個人であっても時効を成立させられます。
2020年4月1日以降の借金の場合
2020年4月1日の法改正以降の借金の場合は、時効が成立するための期間は、借入先によらず以下のようになります。
- 権利を行使できる(貸したお金を返せと言える)と債権者が知ってから5年間
- 権利を行使できる時から10年間
のいずれか早い方
金融機関などからの借入の場合、返済期日は債権者である金融機関が設定しているため、権利を行使できるタイミングは当然認識できていると考えられます。
そのため、法改正以降の借金に関しては、基本的に返済期日から5年間で時効が成立します。
借金の時効を成立させるための3つの条件
10年以上放置した借金は時効によって返済義務から逃れられる可能性がりますが、放置したままでは時効とはなりません。
借金の時効を成立させるためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 最後の返済日から5年以上が経過している
- 時効が更新となる行為をしていない
- 時効援用の手続きをとる
それぞれ簡単に解説していきます。
最後の返済日から5年以上が経過している
「借金を10年放置したら時効になる?」で解説した通り、借金の時効が成立する期間は民法により定められています。
2020年4月の法改正の影響で、借金の時効が成立するまでの期間は借入をした時期によって異なります。
しかし、基本的に消費者金融やカード会社などからの借入の場合は、法改正以前以後にかかわらず、最後の返済日から5年が経過していれば時効が成立する条件を満たします。
時効が更新となる行為をしていない
以下のような行為は、借金の存在を認めたとみなされます(債務の承認)。
- 債権者に対して返済方法や返済期日などについて相談する
- 債務のうちの一部(1円でも)を返済する
- 時効が成立していないにもかかわらず時効援用の手続きをする
これらの行為をとったタイミングで時効が更新となり、時効成立までの期間がカウントがゼロに戻ってしまいます。
つまり、時効が更新となる行為をしてから新たに5年間は時効が成立しなくなってしまいます。
そのため、10年以上放置していた借金があった場合は、少なくとも過去5年間のあいだで時効が更新となる行為をしていないことが時効を成立させる条件となります。
時効援用の手続きをとる
時効を実際に成立させて借金の支払い義務から逃れるためには、「時効援用」という手続きが必要となります。
時効が成立している借金について、「この借金は時効となっているため、今後一切返済を行いません」と債権者について通知する手続きのこと。
時効援用の手続きについて法律などで定められたフォーマットはなく、自分で文書を作成することも可能です。
しかし、時効が成立する条件を満たしていない状態で時効援用をすると時効が更新されて返済義務が発生してしまいます。
そのため、
です。10年以上放置している借金があっても住宅ローンの審査は通る?
結論からお伝えすると、10年以上放置している借金がある場合でも住宅ローンの審査には通る可能性があります。
ここでは、ローンの審査に影響する信用情報の仕組みや確認方法について簡単に紹介していきます。
信用情報が回復していれば通る可能性がある
消費者金融や銀行などからの借金を滞納すると、一時的にブラックリストとなってしまいます。
借金滞納や自己破産などの信用上マイナスとなる情報が、信用情報機関という会社に記録された状態のこと。
ローンを組む際には、銀行や信販会社に申し込みますが、これらの会社は信用情報機関に登録された情報をもとに審査を行います。
そのため、ブラックリストになっていると「信用に欠ける」と判断されて審査に落ちる可能性が高いです。
信用情報機関の情報は、最長で「滞納した借金を完済してから5年間」は削除されません。
そのため、10年以上借金を放置して滞納を続けている場合は、原則としてブラックリストになり続けている状態と言えます。
しかし、実務上は、借金を長期間滞納された銀行などは、自分たちでの回収を諦めて、債権回収会社という借金回収を専門に行う会社に債権(借金を回収する権利)を譲っているケースが多いです。
このような債権譲渡をされた記録も信用情報機関に登録されますが、この情報は債権譲渡をされたタイミングから1~5年で削除されます。
以上のような都合から借金を10年以上放置している場合は、信用情報も回復している可能性があります。
念の為信用情報を確認しておくのがおすすめ
10年以上借金を放置している場合は、すでに信用情報は回復している可能性があります。
しかし、住宅ローンの審査を申し込む際には、事前に信用情報を確認しておくのがおすすめです。
信用情報は、CICやJICCなどの信用情報機関のホームページから情報開示をすれば調べられます。
信用情報を確認せずにローンを申し込むと、審査に落ちてしまう可能性もあるため、必ずローンを申し込む前に情報開示をしておきましょう。
10年以上前の借金について裁判を起こされたらどうしたらいい?
消費者金融や債権回収会社などから、10年以上前の借金について「元金や利息を含めて一括で支払え、払わなければ財産を差し押さえる」と裁判を起こされるケースもあります。
万が一10年以上前の借金を請求する訴状が裁判所から届いた場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。
10年のあいだに借金の一部を返済するなどの債務の承認にあたる行為をとっていなければ、時効を成立させて訴えを退けて支払い義務から逃れられる可能性が高いです。
訴状や支払督促が届いてから2週間程度で正しい対処をとらないと、裁判が勝手にすすめられて財産を差し押さえられる恐れもあります。
裁判所から通知が届いた際には、必ずすぐに弁護士などの専門家に相談してください。
10年や20年以上前の昔の借金がわからない場合はどうしたらいい?
10年から20年以上も借金を放置していると、借金の内容や借入先もわからない場合もあるはず。
昔の借金の内容がわからない際は、以下で紹介する対処法を検討してください。
信用情報機関に問い合わせれば借金の情報がわかる
自分自身のこれまでの借金の情報に関しては、滞納などの事故情報だけではなく、返済の履歴なども含めて基本的にすべて信用情報機関に記録されています。
そのため、信用情報機関に問い合わせれば10年や20年以上昔の借金について知ることができます。
ただし、借入先が債権回収会社に債権譲渡をした場合は、債権譲渡したという記録が1~5年で消えてしまいます。
記録が消えている場合には調べようがないので、万が一請求を受けた際に時効援用をするなどの対処法をとりましょう。
時効となっていたら時効援用をする
10年から20年以上前の借金に関しては、ほぼすべてのケースにおいて時効援用が可能です。
改めて督促を受けたり裁判を起こされたりした段階で弁護士に相談しても時効援用は可能ですが、急に昔の債権者から請求を受けたら精神的にも負担になるはずです。
昔の借金の実態がわかり、未払い金があった場合には、早めに時効援用をしておくのがおすすめです。
借金が払えない場合は債務整理をする
請求を受けた昔の借金について時効援用ができず、支払う経済的余裕もない場合は、債務整理を検討しましょう。
債務整理とは、法律の力を使って借金を減額する手続きであり、以下の3種類が含まれます。
任意整理 | 債権者と直接交渉して利息や遅延損害金をカットしてもらう |
個人再生 | 裁判所に申し立てて借金を最大で10分の1まで減額する |
自己破産 | 裁判所に申し立ててほぼすべての借金の返済義務を帳消しにする |
3種類の債務整理にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どの債務整理を選ぶべきかは借金の内容や生活状況によって異なります。
自分の借金問題を適切に解決するには、法律の専門家である弁護士に相談して、自分に適した債務整理を提案してもらうのがおすすめです。
まとめ
- 10年以上放置した借金は時効が成立している可能性が高い
- 放置しているだけでは時効とはならないので時効援用の手続きが必要
- 借金を10年以上放置している場合は信用情報が回復している可能性が高く、ローンの審査には影響しないケースもあるが、ローンを申し込む前には念の為に信用情報を確認しておくのがおすすめ
- 10年以上昔の借金に関して請求を受け、時効援用もできない場合には弁護士に相談して債務整理を検討しよう
時効援用や債務整理についてももう少し知りたいので、一度弁護士に相談してみます!
企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。