ちょっと調べたら司法書士にも依頼できるみたいなんだけど、弁護士とどっちがいいんだろう…。
だけど、弁護士よりも対応範囲が狭いから、司法書士に頼むことを検討しているなら弁護士との違いをしっかり理解しておこうね。
任意整理は、債権者(お金を借りてる相手)と交渉をして利息や遅延損害金(延滞料のようなもの)を減額してもらう手続きです。
任意整理は弁護士や司法書士などの専門家に依頼して行うのが一般的ですが、「弁護士と司法書士、何が違うの?」という疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?
借金問題に関しては、司法書士の業務内容は弁護士よりも狭く、対応できる案件が限られるので注意しましょう。
この記事では、以下の3点を中心に解説していきます。
- 弁護士と司法書士の違い
- 司法書士に任意整理を依頼するメリット・デメリット
- 任意整理しなければよかったと後悔しないために大切なこと
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弁護士と司法書士の違いとは
弁護士も司法書士も、法律に関する専門家です。
それぞれ、どのような違いがあるのか確認しておきましょう。
弁護士は法律トラブル全般の専門家
弁護士は、司法試験に合格して司法修習を終えた方が資格を得られる仕事であり、2023年時点では全国に44,916人の弁護士がいます。
弁護士は法律トラブル全般の専門家であり、当事者同士で解決できないトラブルの相談に対して、法律の専門家としてアドバイスをしたり、法的手続きを手伝ったりする業務を行います。
代理人として相手方と交渉を行い、問題を解決に導くのも、主な業務です。
また、司法書士とは異なり訴訟の代理人となることもできて、あらゆる種類の法律相談を受けられます。
【参考:日本弁護士連合会】
司法書士は法律に関する書類の専門家
司法書士は、司法書士試験に合格した方が資格を得られる仕事で、2023年時点では全国に23,059人の司法書士がいます。
司法書士は、弁護士と同じように法律の専門家ですが、代表的な業務は書類の作成や手続きの代行です。
具体的には、不動産や商業登記が主な仕事となり、実は借金の相談など紛争の相談は受けられません。
司法書士の中でも、法務大臣の認可を受けた「認定司法書士」であれば、借金の相談や任意整理を引き受けてくれます。
しかし、任意整理がスムーズに進まずに地方裁判所での訴訟に移行した場合などは、対応できないので注意しましょう。
日本司法書士会連合会によると、司法書士全体のうち78%ほどの18,027人が認定司法書士として登録されています。
【参考:日本司法書士会連合会】
任意整理を専門家に依頼する際の費用相場
任意整理を司法書士や弁護士に依頼する際にかかる費用を確認しておきましょう。
司法書士に依頼した場合
任意整理を司法書士に依頼した際の費用相場は、債権者一社あたり2~5万円です。
任意整理の報酬を明確に定める法律などはないため、費用は司法書士事務所ごとに異なります。
ただし、司法書士会連合会によると、任意整理一件につき上限は5万円と決められています(着手金や報酬などの名目を問わず)。
そのため、一社あたり5万円を超える金額を請求された場合には、ルール違反をしている事務所と考えられるので依頼を避けるべきでしょう。
弁護士に依頼した場合
任意整理を弁護士に依頼した際の費用相場は、司法書士と同じく債権者一社あたり2~5万円です。
弁護士連合会によると、任意整理の着手金に上限はありませんが、解決報酬は一社あたり2万円と定められています。
任意整理に関しては、弁護士よりも司法書士の方が安いというイメージがあるかもしれませんが、実際にかかる費用にそこまで差はないといえます。
司法書士も弁護士も、着手金とは別に減額報酬10%が加算されるケースもあります。
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司法書士に任意整理を依頼するメリット
司法書士に任意整理を依頼するメリットは、「弁護士と比較するとわずかに費用が安い可能性がある」点です。
任意整理の費用は、司法書士は一件につき5万円と上限が決められていますが、弁護士は総額の上限はありません。
そのため、弁護士の方が費用が高くなる可能性があるといえます。
とはいえ、実際はそこまで費用は変わらないケースも多いため、事前に見積もりをして確認するのがおすすめです。
司法書士に任意整理を依頼するデメリット
普通の司法書士はあくまで登記の専門家であり、債権者との交渉をするなど、トラブル解決の代理人を務めることはできません。
例外的に、司法書士の中でも、法務大臣の許可を受けた認定司法書士は任意整理の代理人を引き受けられます。
ただし、認定司法書士に任意整理を依頼する際は、以下のようなデメリットがあると覚えておきましょう。
- 140万円超の借金は扱えない
- 簡易裁判所での裁判が地方裁判所に移行した場合は対応できない
- 個人再生や自己破産の際に対応範囲が限られる
それぞれ簡単に解説していきます。
140万円超の借金は扱えない
認定司法書士は、司法書士法や裁判所法などによって、140万円を超える借金について人に整理の代理人になれないと定められています。
裁判所にはいくつか種類があり、争う金額によって申し立てができる裁判所が決められています。
140万円の根拠は、認定司法書士が対応できる裁判所は、140万円までの争いを申し立てられる簡易裁判所までと司法書士法第3条に定められているためです。
140万円を超える借金を任意整理する場合には、司法書士ではなく弁護士に依頼しないといけないと覚えておきましょう。
ちなみに、140万円というボーダーラインは借金の総額ではなく、個別の借金についてです。
たとえば、二社からそれぞれ100万円と50万円を借りている場合は、借金の総額は140万円を超えていますが、二社とも司法書士でも任意整理ができます。
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簡易裁判所から地方裁判所に移行した場合は対応不可
任意整理は、依頼した司法書士と債権者が直接交渉して今後の返済について取り決めを行います。
司法書士と債権者との交渉は、裁判所での裁判に発展するケースもありますが、先述した通り、司法書士が代理人として対応できるのは簡易裁判所までです。
簡易裁判所での裁判がもつれて和解できなかった場合には、地方裁判所での裁判に移行しますが、その際には新たに弁護士を探して代理人を探さなくてはなりません。
そのため、返済期間が短く債権者からの信用が著しく低いなど、はじめから和解が難しいと予想できる場合には、司法書士よりも弁護士に依頼するべきです。
個人再生や自己破産の際に対応範囲が限られる
任意整理の交渉がうまくいかなかったり、任意整理後の返済ができなくなった場合には、個人再生や自己破産といった任意整理以外の解決策をとるケースも多いです。
個人再生 | 裁判所に申し立てて、借金の総額に応じて最大で10分の1に減額する |
自己破産 | 裁判所に申し立ててほぼすべての借金の返済義務を帳消しにする |
個人再生や自己破産は、地方裁判所への申し立てが必要です。
しかし、司法書士は地方裁判所での手続きの代理人は担えないため、書類の作成までしかサポートしてもらえません。
任意整理がうまくいかずに個人再生や自己破産に移行した際には、新たに弁護士を探す必要が出てくるリスクもあると覚えておきましょう。
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任意整理は弁護士と司法書士どっちに依頼するべき?
結論からお伝えすると、任意整理は弁護士に依頼した方がおすすめであるケースが多いです。
特に、140万円を超える高額の借金がある場合には、弁護士に依頼するしかありません。
一社ごとの借金が140万円を超えていない場合でも、複数社から借入がありすでに自転車操業に陥っている方なども弁護士に依頼するべきでしょう。
任意整理では解決できずに個人再生や自己破産に移行する必要がある可能性があります。
個人再生や自己破産の代理人は、弁護士にしか務まらないため、最初から司法書士ではなく弁護士に依頼するべきといえます。
また、任意整理に関しては「司法書士の方が費用相場が安い」というイメージがあるかもしれませんが、実際の費用にそこまで差はないです。
「弁護士に依頼した方が安心して手続きを進められる」「費用がそこまで変わらない」という点から、司法書士よりも弁護士に依頼する方がおすすめです。
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任意整理しなければよかったと後悔しないために大切なこと
任意整理しなければよかったと後悔しないためには、以下の2点をおさえておきましょう。
- 依頼する前に複数の弁護士・司法書士事務所に相談する
- 複数の借金を任意整理する場合でも一つの事務所に依頼するべき
それぞれ簡単に解説していきます。
依頼する前に複数の弁護士・司法書士事務所に相談する
任意整理を専門家に依頼する際には、面倒であっても必ず複数の事務所に相談しましょう。
任意整理の費用は法律などによる縛りがなく、費用は事務所ごとに異なります。
借金の返済を楽にするための任意整理なので、複数の事務所に見積もりを出して、少しでも費用を抑えられる事務所に依頼するべきです。
また、こちらの事情や希望を聞き入れてくれて、親身になって相談にのってくれる事務所を見つけることも重要です。
口コミで「冷たい」「親身になってくれない」などと書かれている事務所もありますが、実際に話を聞いてみた際の印象を重視しましょう。
複数の借金を任意整理する場合でも一つの事務所に依頼するべき
140万円以上の借金の任意整理は、弁護士にしか依頼できません。
「140万円以上の借金だけ弁護士に依頼して、それ以外の借金については司法書士に依頼する」と考える方もいるかもしれませんが、この選択肢は避けるべきです。
一部の借金だけの任意整理を引き受けた事務所からすると、借金の全体像が把握できないため、根本的な解決になりづらいです。
複数の借金を抱えている場合は、基本的に一つの事務所にすべてまとめて依頼するようにしましょう。
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まとめ
- 任意整理にかかる費用は弁護士と司法書士でそこまで変わらない
- 司法書士は140万円以下の借金の任意整理しか引き受けられない
- 司法書士は個人再生や自己破産をする上での代理人にはなれない
- 複数社から借入がある場合や、多額の借金がある場合には司法書士ではなく弁護士に依頼しよう
任意整理がうまくいかなかった場合に司法書士だと対応できない可能性があるんだったら、最初から弁護士に依頼した方が良さそうですね。
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企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。