知財

シェアリングエコノミーの代表的な特許は?Uber、Airbnbの特許出願を調べてみた。

シェアリングエコノミー型のサービスは今世界的な潮流の中でどんどん広がっていっています。注目するべきはその事業のスピード。シェアリングエコノミー型のビジネスは、従来であれば事業拡大に必要であった設備投資に対するコストが掛かりません。したがって、その分の費用をユーザーを獲得したり売上を増加させたりするマーケティングに使えるため、このような急拡大が可能となっています。

しかしながら、一方では事業のビジネスモデル自体は模倣しやすいものでもあるため、競合他社対策が重要になってきます。実際にアメリカではライドシェアのシェアリングエコノミーでは、UBERLyftの2つのサービスが競争を繰り広げており、世界に目を向けるとUBERと同様のビジネスモデルのサービスが中国やインド、東南アジアなど各国において出てきています。

従って、これらの模倣を防ぐためにも、知財戦略は非常に重要となっており、特許をいかに取得して差別化していくか、というところで様々な戦略が可能となってくるのです。

今回は、そんなシェアリングエコノミーの代表的企業であるUberと、Airbnbの特許出願について調べてみました。

1 シェアリングエコノミーとは?

「シェアリングエコノミー」とは何か、という点についてまず解説させていただきたいと思います。シェアリングエコノミーでは、対象となるシェアされるものは様々。空き部屋や空き家などのハードから料理やDIYの代行などのサービスまで、様々な個人や企業が保有しているリソースがシェアされています。

多くの企業や個人にとって、こうしたリソースを保有していたとしても、100%常にそれを利用しているわけではありません。必ず、使ってなくてただ保管されているだけの状態がありえます。シェアリングエコノミーでは、こうした遊休状態にある資産を活用することで、リソースの保有者側にも、利用者側にもメリットのあるサービスが作られています。

例えば、利用者にとっては、直接リソースの保有者とつながれるため、企業の仲介が減少して中間マージンが抑えられるので、従来より低料金でサービスやモノを利用することができるようになります。

2 特許とは?

特許」とは、ある技術を発明をした個人や法人に対して、その発明の独占権を与えてその経済的な利益を保護する制度です。したがって、特許となるためには、以下の4つの「発明」の要件を満たす必要があります。

  • 自然法則を利用
  • 技術的な思想
  • 創作性
  • 高度なもの

それでは、以上4つについて解説させていただきます。

(1)自然法則を利用

自然法則」とは、自然界における現象の間に成り立っている必然的・一般的な関係を示した法則のことで、科学的な法則などがこれにあたります。一方、ゲームのルールなどは該当しません。

(2)技術的な思想

技術」とは、ある結果を得るための具体的な手段であり、誰が行っても同じ結果が得られるもののことです。「思想」とは、アイディアであり、単なる情報の提示は「技術的な思想」とはなりません。

(3)創作性

創作」とは、新しいものを作り出したり、考え出したりすることであり、すでに存在しているものを見つけ出すことは、「創作」ではなく発見です。したがって、自然界にある物質などを発見しても特許にはなりません。

(4)高度なもの

高度なもの」は、実用新案法に定められている「考案」と区別するために設けられたものですが、実務的にはこの条件は審査の際には考慮されないようになっています。

以上の4つの条件に加え、特許で保護されるためには次の特許要件を満たす必要があります。

3 特許要件として必要なものは?

「特許要件」としては、主には次の3つが挙げられます。

  • 産業上の利用可能性
  • 新規性
  • 進歩性

(1)産業上の利用可能性

産業上の利用可能性」とは、産業上利用することができるかどうかであり、これに該当しないものは特許にできません。例えば病気の治療法や、純粋に数学的な定理などはこれに当たるため、特許となりません。

(2)新規性

新規性」とは、「新しい」ということを意味し、出願時点ですでに公然と知られている発明や書籍・インターネットなどに掲載された発明は、世間に知れ渡っているため「新規性」がありません。

(3)進歩性

進歩性」とは、発明が容易にはできないという意味です。技術分野が属する知識を持っている人が、既存の発明をもとにして簡単に発明することができるようなものに「進歩性」はありません。

以上のように、「発明」と「特許要件」の条件をいずれもみたしている場合、特許庁に特許の出願をし、それが認められれば特許で保護されることになります。

4 特許は国ごとの取得が必要

さて、特許においては実は、各国で登録されれば良いというものではなく、効力を持ちた国それぞれごとに出願して登録を受ける必要があります。

フィンテック技術のように国境をまたいで利用されるものの場合、この点はより顕著な問題となり、可能な限り多くの国で権利を確保しないと、法的な抜け穴ができてしまうリスクがあります。

5 Airbnbのアメリカにおける特許出願は?

Airbnbは、2019年6月時点で26件の特許がアメリカにおいて登録されています。例えば日本においても出願され登録されている初期の特許ですと、JP6437999B2のこちらの特許。

通常Airbnbで部屋を提供するホストが片手間で運営を行っている場合などにおいては、必ずしも部屋の空き状況を最新の状態にしているとは限らないという問題が生じます。

そこで、この特許ではこのホストの過去の予約の承認率や過去のある日付において実際に予約ができたかなどといったデータを自動学習して、ホストのランク付けを行い、ランクが高いホストの物件を上位表示させるといったアルゴリズムによって解決するというものです。

6 Uberのアメリカにおける特許出願は?

Uberは、Uber Technologies, Incで出願をしており、2019年6月時点で公開されているアメリカの特許出願は、279件になっています。最も初期の特許は2012年11月に出願されており、2009年設立であることを鑑みると、かなり初期のころから特許出願をしていっているのがわかります。

代表的な特許として話題になったのが、AIによって酔っ払いを検知するシステムのUSの出願番号20190171755のもの。

位置情報や、アプリへの入力の精度やスピード、操作状況、端末を持つ角度、そして歩くスピードといったUberのユーザー側のデータを用い、正常な行動と比較することでユーザーが酔っ払っているかどうかを判定する、という内容のものです。この特許では、乗客であるユーザーの状態をドライバーに対しても知らせるようになっているため、ドライバーは乗車のリクエストを出しているユーザーが酔っ払いの可能性があることを事前に知ることができるようになっています。酔っ払った乗客はトラブルになりやすいため、ドライバー保護のためにこうした特許の活用は確かにあり得そうな感じがします。UIUX的には、ドライバーのアプリ上の乗車リクエストがMAP上で表示されますが、その際に乗客のところに、酔っ払い注意のアイコンが表示されるようなイメージでしょう。

まとめ

シェアリングエコノミー関連特許は、どれも実際のサービスに利用される可能性が高そうなものが多いですね。特徴としては、ユーザーの利便性を上げるための仕組みなどが多く出願されており、こうした分野ではサービスの特性ごとに様々な課題があるため、まだまだ出願の余地がありそうです。シェアリングエコノミー分野の出願を検討されているのでしたら、ぜひお気軽にご相談くださいませ。

ABOUT ME
知財編集部
知財編集部
知財に関する専門家です。 わかりやすい記事の監修を心がけています。