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敵か!?味方か!?機関投資家「VC(ベンチャーキャピタル)」の秘密を徹底解説!!

皆さん、こんにちは。
スタートアップドライブ編集部です。

このメディアは、毎日多くの方々にご覧頂いていますが、特にスタートアップ企業の方々に多くご覧いただいています。

スタートアップ企業の方々は、それぞれの意図を持って起業されたり、日々の業務に取り組んでおられると思いますが、中長期的な目標として、事業を大きくして「上場」か「売却」という選択を検討されている方が多いのではないでしょうか?

会社の事業を大きくするためには、自社内でお金を工面して次の事業に投資するという方法もありますが、自社が持つ資本だけでは投下資本が不十分なケースも多く、競合と差をつけるためにはある程度まとまったお金を投資する必要があります。
そのような場合はどうすればよいでしょうか?

今回は、これから事業投資を重点的に行い、会社の成長へのアクセルを踏むことを検討されているユーザーの方に向けて、必要なパートナーとなるVC(ベンチャーキャピタル)について解説します。

この記事が、皆さんの将来的な資本政策の一助になると幸いです。

VCとは?

VCの概要

VC(ベンチャーキャピタル)とは、主にスタートアップ企業を中心とした高い成長可能性が見込める企業に対して出資を行う投資会社です。
VCは、基本的に成長可能性の高い企業に対して投資を行い、上場やM&Aの売却の際にキャピタルゲイン(出資したタイミングと売却したタイミングで発生する差額)を得ることで収益を計上することを目的としており、特に、シリーズAやシリーズBなどこれから飛躍的な成長が期待される企業のバックアップとして登場します。

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「企業に出資する」という点において、VCと似たような存在としてエンジェル投資家が挙げられます。
エンジェル投資家もVCと同様、主要な投資先は、スタートアップ企業です。
また、両者とも銀行とは異なり、利息の支払いを義務付けたり、担保の提供を要求することはありません。

このように、類似点の多いVCとエンジェル投資家ですが、大きく2つの点が異なります。

1つ目は出資金の規模です。
エンジェル投資家は個人投資家として、出資先となる企業に資金を提供しますが一般的には数百万〜数千万程度が相場であるとされています。
一方、VCの出資する金額は数十億単位に及ぶことも少なくありません。

2つ目は投資判断です。
両者とも企業の成長可能性やキャピタルゲインとして見込まれる金額のレートにはもちろん着目しますが、エンジェル投資家は「経営者の魅力」「共感できるビジョン」などを重視する傾向がある一方、VCはより「数字」を重視する傾向があります。
なぜなら、VCはあくまで「キャピタルゲインを収益として回収するビジネスモデルの企業」であるからです。
そのため、エンジェル投資家と比較すると、出資先を判断する場合の判断に関しては非常にシビアであるといえるでしょう。

VCの種類

次に説明するのは、VCの種類です。
国内のVCを見ると、銀行、保険会社、証券会社などの関連会社である「金融系ベンチャーキャピタル」が多く設立されていますが、最近では、大手商社や大手IT企業、大手通信会社など投資が本業でない企業の傘下であるVCも増加しているといわれています。このようなVCは、「コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)」と呼ばれ、本業領域の強み(IT、通信、不動産など)や本業とのシナジー効果を想定した出資をおこなっていることが特徴です。

また、民間の投資先とは異なる領域への出資を行う「政府系ベンチャー」や、新技術・先端テクノロジーなどの領域に特化した投資を行う「大学系ベンチャーキャピタル」も存在します。

資金の調達先

ところでスタートアップ企業に対して、億単位の資金を投下するVCですが、一体どこから投下資本を調達しているのでしょうか?

多くのVCは、投資事業組合(投資ファンド)と呼ばれる投資家などを組合員とする団体を形成しファンドへの出資を募ることで資金を調達しているとされています。

なお、ファンドの組合員である出資者ですが、機関投資家や個人投資家の他、自社の事業と出資先にシナジーを見込んだ事業会社やファミリーオフィスなどが挙げられます。

ファミリーオフィスとは、富裕層の一族が資産管理・運用のために設けたプライベートな組織です。日本ではあまり馴染みがありませんが、ファンドの主要な資金供給源の一つとなります。

ベンチャーキャピタルから出資を受ける方法

ここからはVCから出資を受ける際の必要な手続きや書類について説明します。
すぐに必要ではなくても、知識として頭に入れておき、いざというときに慌てることの無いようにしましょう。

出資審査

VCが出資する際、出資先の成長性や業績、リスクなど様々な観点から投資先企業の出資審査を行います。審査期間は、一般的に、ファーストコンタクトから入金まで半年から1年程であり、その間に複数回に渡るステップを経て出資の可否や具体的な出資額について検討が重ねられます。

大まかな審査のフローは以下の通りです。

  1. ファーストコンタクト
  2. 書類チェック
  3. デューデリジェンス(Due Diligence)
  4. 交渉
  5. 出資決定

担当者によるヒアリングであるファーストコンタクトから始まり、書類審査、交渉と内容を徐々に煮詰めていくスタイルで審査が行われますが、「デューデリジェンス(Due Diligence)」と呼ばれる聞き慣れないプロセスを挟むことが特徴です。

「デューデリジェンス」とは、専門家によるチェックのことであり、財務や法務、事業内容などの詳細について検証を重ねるプロセスであり、会社の事業やビジネスモデルに応じて専門家にチェックを依頼するため、IT、税務、法務など様々な分野のプロからの審査がこの段階で行われます。

必要書類

ここでは、VCからの出資を検討する場合の必要書類をご紹介します。
審査のフローを参照すると、書類チェックはファーストコンタクトの後ですが、書類を急に作成することは時間や労力を考えた場合難しいため、半年以上かかる審査をスピーディーに進めるためには、VCとコンタクトを取る前から、予め書類の準備をする必要があります。
また、ファーストコンタクトの段階で必要書類をすぐ提示できることがVC側の好感度に繋がることはいうまでもありません。
出資や融資を検討している場合は、以下の書類は常備しておきましょう。

  • 事業計画書
  • 財務諸表・決算書
  • 資金繰り表
  • クライアントリスト

これらの書類は全て重要ですが、VCに提出する場合は、特に「事業計画書」に記載する出口戦略(イグジット)を明確に整理しておきましょう。
なぜなら、冒頭で述べたようにVCとは「投資先企業の上場や売却によって発生するキャピタルゲインを回収することを目的とした企業」だからです。
そのことから、VCから出資を受けることを検討する場合は、事業計画書にはIPOやM&AなどVCにとってプラスになる事項を予め明確に記載する必要があります。

VC投資のメリット・デメリット

ここからは、VCによる出資を受けた際のメリットとデメリットについて検証します。
VCによる資金調達は、単に資金を調達できるだけでなく、社会的知名度や信頼性の向上にも繋がるため、企業にとって大きな利点です。
一方、莫大な資金提供は実質的な経営のコントロールに繋がる恐れもあるため、注意しなければならない点もあります。

メリット

事業提携に関してシナジー効果がある

1つ目のメリットは、事業連携に関するシナジー効果を得られる点です。
これは、多くのVCが複数の企業に投資している特性に起因するメリットであるといえるでしょう。
VCは、将来的なキャピタルゲイン回収のために、投資先企業の成長や利益が最大化されるように様々な角度からアドバイスを行います。
また、そのようなアドバイスの一部として投資先企業同士の連携を提案するVCは少なくありません。
相手方企業もVCからの投資を受けている以上、一定の成長可能性が見込まれているはずです。こうした成長企業同士の連携は両社にとって良い影響をもたらす可能性が高いといえるでしょう。

経営のサポートをしてもらえる

数多くの企業に投資するVCは、当然のことながら社内に企業運営に関するデータやスキル、ノウハウを数多く保有しています。
また、投資先企業の成長を最大化させるため、そのようなスキルやノウハウをフルに活用してくるでしょう。
スタートアップ企業は、このようなVCによるサポートに支えられ、経営の軌道修正や一社のみでは得られない知見やノウハウを吸収することで、より高度な経営戦略を実行することができるのです。

出資金に関しては返済義務がない

VCからの出資金は、銀行からの融資とは異なり、利息や元金の返済が義務ではありません。これは、エンジェル投資家からの出資にも当てはまります。
このように、元金・利息の返済義務、担保の提供などが不要である点は、VCから出資を受ける際の大きなメリットです。

ただし、原則として、企業は出資者に見返りが払えるように全力を尽くすべきであることを忘れてはいけません。

デメリット

経営の自由度が阻害される場合がある

会社とは、原則、多く出資をした個人や企業が力を持つ組織です。
これをVCの出資に当てはめると、特に大口の出資を行った場合、VCは経営に対して強い権力を行使できるということになります。
また、VCの目的はあくまで「投資先企業から将来的にキャピタルゲインを回収すること」であるため、出資先の経営方針がVC側の意向と異なる場合は、経営方針の転換を強く求める場合もあります。
その結果、会社側の社風やオリジナリティ、経営者のビジョンが崩れてしまう可能性があるのです。

資本回収を迫られる場合がある

出資先企業がVCから株式の回収を迫られる場合もあります。
これは、VCが思い描いた通り企業がIPOやM&Aに向けて順調に進んでいればよいのですが、実際には、企業が予想通り成長しない場合もあります。
出資を受けたタイミングよりも経営状態が悪化している場合もあるかもしれません。

そのような時、VCに資本回収を迫られる場合があります。
つまり、損失が広がる前に「出資した金額を返せ」という交渉です。
このようなケースで資本回収に応じた場合、企業は一度獲得した資金を失うことで経営にとっては大きなダメージとなってしまうでしょう。

まとめ

この記事では、VCについての概要や審査の流れ、VCから出資を受けた場合のメリットや注意点を解説しました。
VCは、事業を成長させるために心強いパートナーとなる一方、スタートアップ企業の経営の自由度を奪う可能性も持つ存在です。

そのため、VCからの出資を見据えている方は、融資に向けた資料を準備しておくだけでなく、VCから声がかかった際に相談するための信頼できる第三者とタッグを組み、対応にあたりましょう!

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