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FinTech(フィンテック)ビジネスにおける特許の重要性を解説!

ブロックチェーンなど注目を集めるFinTech(フィンテック)
日々新たなブロックチェーン技術が公表されて、世界を賑やかしていますが、そんなブロックチェーンをはじめとしたフィンテックの特許の現状について本記事ではご紹介させていただきます。

1. FinTech(フィンテック)とは?

FinTech(フィンテック)とは、金融(Finance)と技術(Technology)とを組み合わせた造語です。

米国では、FinTechという言葉は、2000年代前半から使われて始めており、リーマンショックや金融危機を経て、インターネットやスマートフォンなどの新しい技術を用いた金融サービスが数多く登場してきました。

技術ジャンルとして例えば、以下のように分類されています。

  1. スマートペイメント
  2. 仮想通貨
  3. 投資・資産運用・ロボアドバイザー
  4. クラウドファンディング
  5. ソーシャルレンディング
  6. 融資(レンディング)/トランザクションレンディング
  7. 法人向けサポート
  8. PFM(個人財務管理)
  9. 送金・割り勘
  10. 保険(InsureTech)
  11. 金融情報

2. 特許とは?

特許とは、ある技術を発明をした個人や法人に対して、その発明の独占権を与えてその経済的な利益を保護する制度です。
したがって、特許となるためには、以下の4つの「発明」の要件を満たす必要があります

  1. 自然法則を利用
  2. 技術的な思想
  3. 創作性
  4. 高度なもの

それでは、以上4つについて解説させていただきます。

①自然法則を利用

自然法則」とは、自然界における現象の間に成り立っている必然的・一般的な関係を示した法則のことで、科学的な法則などがこれにあたります。
一方、ゲームのルールなどは該当しません。

②技術的な思想

技術」とは、ある結果を得るための具体的な手段であり、誰が行っても同じ結果が得られるもののことです。
思想」とは、アイディアであり、単なる情報の提示は「技術的な思想」とはなりません。

③創作性

創作」とは、新しいものを作り出したり、考え出したりすることであり、すでに存在しているものを見つけ出すことは、「創作」ではなく発見です。
したがって、自然界にある物質などを発見しても特許にはなりません。

④高度なもの

高度なもの」は、実用新案法に定められている「考案」と区別するために設けられたものですが、実務的にはこの条件は審査の際には考慮されないようになっています。

以上の4つの条件に加え、特許で保護されるためには次の特許要件を満たす必要があります。

3. 特許要件として必要なものは?

「特許要件」としては、主には次の3つが挙げられます。

  1. 産業上の利用可能性
  2. 新規性
  3. 進歩性

それでは、以上3つについて解説させていただきます。

①産業上の利用可能性

産業上の利用可能性」とは、産業上利用することができるかどうかであり、これに該当しないものは特許にできません。例えば病気の治療法や、純粋に数学的な定理などはこれに当たるため、特許となりません。

②新規性

新規性」とは、「新しい」ということを意味し、出願時点ですでに公然と知られている発明や書籍・インターネットなどに掲載された発明は、世間に知れ渡っているため「新規性」がありません。

③進歩性

進歩性」とは、発明が容易にはできないという意味です。技術分野が属する知識を持っている人が、既存の発明をもとにして簡単に発明することができるようなものに「進歩性」はありません。

以上のように、「発明」と「特許要件」の条件をいずれもみたしている場合、特許庁に特許の出願をし、それが認められれば特許で保護されることになります。

4. 特許は国ごとの取得が必要

さて、特許においては実は、各国で登録されれば良いというものではなく、効力を持った国それぞれごとに出願して登録を受ける必要があります
フィンテック技術のように国境をまたいで利用されるものの場合、この点はより顕著な問題となり、可能な限り多くの国で権利を確保しないと、法的な抜け穴ができてしまうリスクがあります。

5. FinTech(フィンテック)の特許の出願傾向は?

それでは、FinTech(フィンテック)の特許の出願傾向について見ていきましょう。ここでは、代表的なFinTech技術であるブロックチェーンに関する特許について見ていきます。

世界全体で見ると、2017年1月以降のブロックチェーン関連特許の出願は3552件であり、このうち米国が1264件(36%)を占めてトップに。2位は中国で1061件(29%)であり、ブロックチェーン技術の研究者は、アメリカと中国に集中している可能性が高いと思われます。

一方、いずれの企業がそれぞれの国で出願をしているかという点ですと、中国ではアリババ集団と中国人民銀行デジタル通貨研究所が突出しており、この2社がブロックチェーン特許出願の20%をそれぞれ占めています。3位は、中国聯合網絡通信集団(チャイナユニコム)であり、17%の出願をしています。

一方、アメリカにおいては、1位がIBMで78件と6.2%を占めており、2位はバンク・オブ・アメリカで36件を出願しています。

これらの傾向を見ると、まず中国政府は本土での仮想通貨取引を全面禁止している一方で、中央銀行である中国人民銀行は、ブロックチェーン技術の開発に力をいれています。これは、中国政府が仮想通貨については懸念している一方で、ブロックチェーン技術の可能性を認識しているという点です。

第2に、特許を出願しているのは金融業界と、新興のテック企業のみというところです。特に、既存の業界を金融業界がブロックチェーンに対する投資を促進させているのは興味深い点です。仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンに対する金融業界の姿勢は、金融機関の今後の方向性を示唆する材料にもなるでしょう。

6. 代表的なFinTech(フィンテック)特許とは?

それでは、いくつか代表的なFintec(フィンテック)の特許について紹介させていただきます。

ヤフー株式会社の特許事例

こちらは、ヤフー株式会社の特許(特許第5997685号、出願日2013.12.3)であり、「実際の信用情報」と「WEB上での履歴」に基づく信用情報の双方に基づいてローンの審査をするといったものです。
「WEBの履歴」とは、具体的には検索サービス利用履歴 、カードサービス利用履歴 、ファイナンスサービス利用履歴 、求人サービス利用履歴 、オークションサービス利用履歴 、公共料金支払サービス利用履歴 、メールサービス利用履歴などを用いて審査をするようです。

ヤフー株式会社の特許事例

Appleの特許事例

Apple Inc.:米国特許第9483763号、優先日2014.5.29
こちらの特許は、ApplePayの基幹技術となっているものです。指紋や暗証番号で認証をして、スマートフォンに登録したクレジットカード等の決済手段によって非接触の決済を行う技術です。

これらは、Fintech特許として非常に広い権利範囲を有しており、権利として非常に強いものとなっています。
こうした特許を持っていれば様々な点でビジネスを優位に進めることができるようになるでしょう。

Appleの特許事例

7. まとめ

以上のように、フィンテックの特許は今後も様々な領域で出願がされていくものと予想されています。
こうしたフィンテックにおいては、一見当たり前のような技術でも、権利化されているものもあり、最適なタイミングで出願と権利化を行えれば、非常に強力なビジネスの武器にもなります。