一般法務・契約書

シェアリングエコノミーに関連する法律と規制まとめ

①シェアリングエコノミーサービスとは

シェアリングエコノミーという用語に関して、法律上の定義はありませんが、

「シェアリングエコノミーサービス」とは、利用されていないスペース、モノ、スキルなどを短期的に提供したい不特定多数の一般個人と、これらの利用を希望する不特定多数の一般個人との間を仲介し、個人の遊休資産等の共用を実現するサービスである。

と定義されています(注1)。

CtoCサービスを前提していると考えられますが、スタートアップ業界においては、BtoCやBtoBであってもシェアリングエコノミーとしてサービス展開することもあるのであえて限定する必要はないと思います。

そこで、「スペース、モノ、スキルなどの遊休資産等を、インターネットを介して共用し合う」といった意味で使用したいと思います。

また、シェアリングエコノミーと聞くとそれだけでイノベーティブな気もしますが、シェアリングエコノミーサービスで使われているモノやサービスは、それ自体が新しい訳ではありません。これまで、アナログでしか提供されてこなかったモノやサービスがインターネットを介して共用されることで有効に利活用される、ということがイノベーティブで新しいのです。

②シェアリングエコノミーサービスそれ自体への規制

 シェアリングエコノミーサービスをもってしても、世の中において新しいモノやサービスが出てくるわけではないので、既存のスペース、モノ、スキルといった遊休資産をインターネットを介して有効に利活用されるにすぎません。そのため、分野ごと、業種ごとに業法など、既存の規制が存在する場合があり、多くの場合はそれら規制の枠組みで判断検討していくことになります。

これまで共用されてこなかったか、共用することが難しかった遊休資産をシェアリングエコノミーサービスとして、インターネットを介してプラットフォーム上で取り扱うことを容易にした事業者をプラットフォーム事業者ともいわれます。

このプラットフォーム事業者については、いまだ特定の業法が存在する訳ではなく、つまり、シェアリングエコノミーサービス一般に適用されうる規制やルールが存在している状況ではありません。

したがって、取り扱う商品や役務によって個別具体的に判断せざるをえない状況にあります。

例えば、マッチングする機会を提供するプラットフォーム事業者として当該遊休資産等を取り扱うことそれ自体が何らかの業法や規制に服する場合もあれば、遊休資産の取引を仲介することが規制される場合もあります。「仲介」というと、典型的には、旅行の予約サービスや、クラウドファンディング、ローン(金銭の貸借)の紹介勧誘サービスのような、媒介行為(法律行為の成立に尽力する事実行為)に対する規制をしている場合が想定されますが、プラットフォーム事業者の提供するサービスやスタンスによっては、法的な意味で「媒介」をする場合もあれば、「媒介」に至らない程度の関与にとどまる場合もあり得ます(注2)。

 その意味では、プラットフォーム事業者によって取り扱われる遊休資産等が何であるのか、また、当該遊休資産等に関する取引に関与する度合いがどの程度あるのかによって個別具体的に検討する必要があります。

③シェアリングエコノミーサービスで取り扱われる商品・役務の取引に着目した規制

広く一般に規制する業法が存在しないシェアリングエコノミーサービスですが、そこで取り扱われる商品・役務に関しては、既存の規制が適用される場合があり、その枠組みで考えることができます。シェアリングエコノミーサービスにしたからといって、そういった規制がかからなくなるということにはならないと通常は考えられます。

そのため、プラットフォーム事業者としては、自己が提供することを考えているプラットフォームにおいて、いかなる商品・サービスを取り扱うのかを決めた時点でそれらに合わせて検討が必要になります。

例えば、ウーバーのようなライドシェアサービスは、サービス提供者に道路運送法による規制がありますし、弁護士など専門家を紹介するサービスは弁護士法による規制がありますが、他方で、会議室をシェア(貸し借り)するサービスは特段の規制がないなど、個々の取引、出品される商品や提供されるサービスに着目して検討することが必要になります。

このように個々の取引に合わせて商品の出品者やサービス提供者が合法かつ円滑に取引をすることができるように、必要・有益な機能を提供するということも検討する必要があります。

また、特にCtoCサービスの場合は、出品者やサービス提供者側に特商法の表示義務があるのか否か、当事者が源泉徴収義務を負う取引なのかどうか、といった点からも検討が必要になるため、サービス設計は慎重に進めていくべきでしょう。

④プラットフォームの健全化

上記のような個別の規制の有無による検討とどまらず、マッチングする機会(プラットフォーム)の提供という点に関し、詐欺的行為や違法・悪質な取引が行われないよう、監視することも必要になると考えられます。

監視の仕組みも、プラットフォーム事業者がパトロールするのか、当事者同士で評価させる仕組みを導入するのかによって対応方法は異なってきます。シェアリングエコノミーは、相互レビューといって、サービス提供者もサービス受領者も評価される仕組みを導入することで、安心で安全なサービスを提供する意図もあるようです。

⑤まとめ

以上から、このような特性のあるシェアリングエコノミーサービスを提供する事業者(プラットフォーム事業者)として検討しなければならない項目としては、

  • 自身がサービス提供することについて、仲介事業者・媒介事業者として業法の規制がかかるのか、かかるとしても「媒介」といった定義に該当するのか
  • シェアリングエコノミーサービスの取引の性質上、どこまで個々の取引に監視する必要があるのか否か

という点にあると考えています。これらの点に着目して考えることで、自社が提供しようとするシェアリングエコノミーサービスの本質・核となる部分が把握できるようになるのではないかと思います。

プラットフォーム事業者に適用される規制がない、という一事をもって何をしてもよい、ということではなく、規制がないからこそ、適正かつ安全な取引を生み出すようなプラットフォームにするためにはどのような仕組みが必要であるのか、取り扱う遊休資産等の特性に応じたサービス設計をすることが肝要であると考えます。


(1)http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/pubcom/chuukanseiri.pdf

(2)例えば情報を集約して掲載しているだけの情報提供サイトの場合、関与の度合いが低く、媒介に該当しない可能性が高いと考えられます。

(監修:Seven Rich法律事務所)

この記事の監修専門家
石原一樹
石原一樹
Seven Rich法律事務所 代表弁護士弁理士