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年末調整と確定申告はどう違う?手続きや控除内容を基礎から解説!

毎年、年末や年度末になれば「年末調整」や「確定申告」というワードが頻発しますよね。

会社で働くサラリーマンの方はあまり気にしたことがない方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、サラリーマンであっても副業での収入がある方や、フリーランスの方、または会社の経営者の方であれば、両者の違いはしっかりと明確に理解していなければなりません。

今回は、混同しがちな年末調整と確定申告について、それぞれの制度の内容や申告方法、控除の対象など、基礎から徹底的に解説しています。

この記事を読めば、年末調整と確定申告に関する基礎的な知識がすべて身に付きますよ!

1.年末調整と確定申告の違い

対象となる所得やそれぞれ行う期間や方法などの詳しい部分については後述しますが、まずはじめに、年末調整と確定申告の違いについて概要を説明いたします。

まず、年末調整は勤務先、つまり会社が行うように所得税法で定められています。

したがって、従業員の方であれば、基本的に年末調整について特に作業を行う必要はありません。

一方で、確定申告は会社ではなく、個人が行います。

従業員に給与以外の所得があったとしても、会社は知ることができません。

そこで、年末調整は会社が従業員に対して支払った給与について、確定申告は会社の知るところではない給与について所得税の申告、控除をやることとなるといえます。

勤め先で年末調整を受けていても、別の収入がある場合には、勤め先と別の収入両方を合計して所得税を計算する必要があるため、確定申告が必要となります。

また、確定申告は自分で行うため、年末調整で清算しきれなかった部分について、修正することもできます。

たとえば、自己、または家族のために支払った医療費が一定額を超える場合は医療費控除、ふるさと納税などの特例制度は除きますが寄付金控除、災害や盗難による被害を生じた場合に適用される雑損控除などがあります。

さらに、保険料の控除証明書などが後から見つかることがあった場合などは年末調整として再調整してもらうことも可能ですが、翌年の1月末までがタイムリミットとなります。

このような場合にも、確定申告を行うことによって、所得税を調整することができます。

2.年末調整とは?

年末調整と確定申告の違いについて、年末調整は会社がやるものであり、確定申告は個人が行うものだと、なんとなく理解できましたでしょうか。

以下からは、年末調整の制度について、より詳しくみていきましょう。

(1)年末調整の概要

年末調整では、会社の従業員が給与から徴収される源泉徴収税として納めた金額を、適正金額との間で調整します。

納税額が多ければ、還付されてお金が返ってきますが、不足していれば、追加で支払う必要があります。

たとえば、今まで好景気で給料が高かった方が、景気が落ち着き、給料が低くなった場合などは、当初の給与水準によって納税されているので、年末調整によって還付される金額が多くなります。

反対に、昇格し給与水準が大きく上昇した場合には還付額は減少、あるいは追徴されることになります。

一般に、税金は多く支払っている分には問題ありませんが、不足したまま放置してしまうと脱税との評価を受けてしまいます。

もっとも、通常は年末調整で還付金を受け取る場合がほとんどであり、追徴されるケースはあまり多くないようです。

(2)年末調整の対象となる所得

年末調整の対象となる所得は、会社から従業員に支払われる給料・賃金や賞与(ボーナス)などの給与所得です。

ここにいう給与所得には、会社から支給されるお昼代や有価証券なども含み、これらの給料・賃金や賞与などをまとめて給与収入といいます。

給与収入から給与所得控除額を引き算することによって給与所得が算出されます。

  • 給与所得=給与収入―給与所得控除額

この給与所得をもとに、納税額が算定されます。

給与所得者でも、次のような方が確定申告が必要な方となり注意が必要です。

給与所得者でも確定申告が必要な場合
  1. 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
  2. 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
  3. 2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人(注) 給与の収入金額の合計額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、かつ、給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。
  4. 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
  5. 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
  6. 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
  7. 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人

(国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm                2020年12月13日アクセス)

特に、会社員でも2,000万円を超える人は年末調整を受けられず、確定申告を行う必要があることに注意が必要です。

(3)年末調整を行う期間や方法

年末調整の対象となる期間は1月1日から12月31日までであるため、申請書類を提出する期間は、一般に11月中旬から下旬が多いようです(※会社によって異なるため注意してください)。

年末調整では、「扶養控除等(異動)申告書」「基礎控除申告書」「配偶者控除等申告書」「所得金額調整控除申告書」「住宅借入金等特別控除申告書」等に情報を記入し、生命保険料控除証明書なども併せて会社に提出します。

(4)年末調整と控除

年末調整の対象となる給与所得については、先述した通り、「給与所得=給与収入―給与所得控除額」によって算出されます。

この「給与所得控除額」は、家族にかかわるものと保険料にかかわるものとに大別されます。

控除の種類としては扶養控除、基礎控除、障害者控除、配偶者控除/配偶者特別控除、生命保険料控除、寡婦控除/寡夫控除、勤労学生控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、地震保険料控除、住宅借入金等特別控除などがあります。

馴染みがある控除額は、被扶養者が103万円以上稼ぐと扶養控除の対象から外れてしまい、103万円に課税もされ、控除額からも除外されるというものです。

なお、「住宅借入金等特別控除申告書」における控除される金額に関しては、給与所得からの控除ではなく、直接税額が控除されます。

3.確定申告とは?

次に、確定申告について詳細に確認していきましょう。

確定申告は、副業を有するサラリーマンやフリーランスなどのほか、給与所得のみを受け取る人であっても必要となる場合があるため、対象者などについてしっかりと確認しておきましょう。

(1)確定申告の概要

確定申告とは、個人で税務署に納税額の申告する手続きのことをいいます。

所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額と、それに対する所得税等の額を計算して確定させる手続です。

年末調整で徴収された税金や予定納税額などがある場合には、この確定申告によってその過不足を精算します。

確定申告は一般に、会社員ではない人や、勤め先とは別に収入がある人が対象となります。

細かくは前述しましたが、

  1. 給与収入が2,000万円を超える方
  2. 会社員ではない方(退職した人やフリーランスのみで生計を立てている方)
  3. 給与収入をメインとサブなど複数から得ている方

に大別されます。

会社員では給与所得が2,000万円を超える方や、複数からの収入を得ている場合やなんらかの理由で年末調整を受けられない人に確定申告が必要です。

また、年末調整を受けているが、修正がある場合にも確定申告を行う必要がある場合もあります。

(2)確定申告の対象となる所得

確定申告では申告するのは「給与所得」やアパートなどの「不動産所得」、自営業による「事業所得」、不動産・株などによる「譲渡所得」、生命保険などの「一時所得」、公的年金や原稿料などの「雑所得」、退職金などの「退職所得」、株式などの「配当所得」があります。

年末調整との比較は下記のようになります。

年末調整 確定申告
給与所得 給与所得
事業所得
一時所得
退職所得
雑所得
譲渡所得など

譲渡所得とは一般的に、土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得をいいます。

譲渡所得の金額は、「収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額= 課税譲渡所得金額」となります。

特別控除額とは、マイホームを譲渡した場合一定の条件が認められれば3,000万円までが認められたり、収容(国・地方政府によって公共事業のために買い上げられること)によって土地や建物を譲渡した場合には5,000万円までが認められたりします。

(3)確定申告を行う期間や方法

確定申告を行う期間は申告する対象にもよりますが、2月から3月前後が一般的です。

そして、確定申告を行うには申請書を所轄の税務署に提出しなくてはなりません。

具体的には申請する内容によって「申告書A」と「申告書B」に分かれています。

「申告書A」は申告する所得が給与所得や年金などの雑所得、総合課税の配当所得、一時所得のみで、予定納税額のない方が対象となります。

また、「申告書B」は臨時所得又は変動所得の平均課税の適用がある場合と申告書Aで対象とされるすべてがこちらになります。

ただし、土地や建物の譲渡所得や株式の譲渡所得がある場合などには申告書第三表(分離課税用)を、その年の所得金額の計算上生じた損失の金額をその年の翌年以後に繰り越す場合などには申告書第四表(損失申告用)を申告書Bと併せて提出する必要があります。

(4)確定申告と控除

確定申告は年末調整の修正ができるという点から所得から控除される対象は上述の扶養控除、基礎控除、障害者控除、配偶者控除/配偶者特別控除、生命保険料控除、寡婦控除/寡夫控除なども同様に対象となります。

そして、確定申告のみの控除としては雑損控除、医療費控除、寄附金控除、特定支出控除があります。

雑損控除とは災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等による所得控除が受けられるものです。

原因としては自然現象 の異変による災害、火薬類による人為的な災害、盗難などがあげられます。

ただし、詐欺や恐喝の場合には雑損控除の原因とは認められません。

医療費控除とは、一定以上の医療費を支払った場合に所得控除を受けられるというものです。

「一定の以上の医療費」の算式は「年内に支払った医療費-(保険金などで補填される金額+10万円または所得金額の5%のどちらか少ない額)=医療費控除額(最高200万円)」となります。

寄付金控除とは、納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合には所得控除を受けることができることです。

特定支出控除とは①通勤費、②勤務する場所を離れて職務を遂行するための直接必要な旅行のために通常必要な支出、③転勤に伴う転居費、④職務に直接必要な研修を受けるための研修費、⑤職務に直接必要な資格を取得するための資格取得費(弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費含む)のいずれかの金額のことです。

4.まとめ

最後に、年末調整と確定申告の違いを改めて表にまとめました。

年末調整 確定申告
行う主体 会社 個人
申告期間 11月中旬から下旬ぐらい 2月から3月前後
対象となる所得 給与所得のみ 給与所得

事業所得

給与所得

一時所得

退職所得

雑所得

譲渡所得などすべての所得

控除対象(共通) 扶養控除

基礎控除

障害者控除

配偶者控除/配偶者特別控除

生命保険料控除

寡婦控除/寡夫控除

勤労学生控除

社会保険料控除

小規模企業共済等掛金控除

地震保険料控除

住宅借入金等特別控除

控除対象(差異) 雑損控除

医療費控除

寄附金控除

特定支出控除

必要書類 扶養控除等(異動)申告書

基礎控除申告書

配偶者控除等申告書

所得金額調整控除申告書

住宅借入金等特別控除申告書

生命保険料控除証明書など

申告書A

申告書Bなど

年末調整 確定申告

以上のようにまとめましたが、両者の違い、特に控除の内容について正しく理解するのは容易ではありません。

基本的には年末調整で漏れているものを確定申告するのですが、譲渡所得がある場合はどちらも必要な場合もあります。

もし、「損をしているかも?」とお心当たりのある方がいましたら、是非専門家へご相談してみてくださいね!

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