ファイナンス

税制適格ストックオプションの適用対象拡大の概要

2019年8月に、経産省が税制適格ストックオプションの適用対象を、現行の社内の取締役及び従業員等から、高度な知識又は技能を有する社外の人材にまで拡大する制度をはじめました。

スタートアップの資本政策を考える上でストックオプション(新株予約権)は外せないと思います。特に創業期の資金に余裕がない状況ではスタープレーヤーを採用することが難しいため、ストックオプションを活用して将来性を買ってもらいつつジョインしてもらうケースも多いと思います。

税制適格ストックオプションとは

新株予約権は、株式を購入する権利であって、株式そのものではありません。潜在株ともいわれます。

一般的な新株予約権だと、有償で購入することになり、かつ行使時=株式転換時に課税されるというデメリットがあります。そこで、無償かつ株式売却時まで課税タイミングを繰り延べできる税制適格ストックオプションがうまく活用されてきました。それでもこの税制適格ストックオプションは、従業員または役員に限るという社内の人間にしか適用できないものであったため、外部の人材や専門家には適用されませんでした。

新しい制度について

この欠点を補うための制度が今回の制度であるといえます。

本制度は、ストックオプションを活用した柔軟なインセンティブ付与を実現することで、スタートアップが社外の高度人材を機動的に獲得し、成長することを後押しするもの

https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/stockoption.html

適用の要件としては、以下の3要件が必要なようです。

  1. 設⽴10年未満等の要件を満たしファンドからの出資を受ける企業が、
  2. ⾼度な知識及び技能を有する社外の⼈材を活⽤し、
  3. 新事業活動を⾏い、新たな事業分野の開拓を⾏うこと

申請の手引きはこちら

計画書の作成など一定の負担もあるのですが、

ベンチャーのストックオプション実務に詳しいAZX法律事務所の菅原稔弁護士も、全体としてポジティブな感想を述べていました。

例えば、監査役や、継続して顧問として支援してくれている大学教授や元上場企業役員といった方々に税制適格と同じ効果をもつSOを付与するには、これまで有償SOしか手段がなかったのに対して、この制度によって税制適格SOを付与することができるようになったという意味は大きいと思います。

税制適格ストックオプション、適用対象者拡大の理想と現実