一般法務/契約書

出会い系サイト規制法とは?規制の対象は?わかりやすく解説!

「マッチングアプリを運営したいけど、規制があるって本当?」
「開業にあたって、なにをしたら良いの?」

これからマッチングアプリや出会い系サイトを運営しようとしている方で、このようにお悩みの方はいませんか?

これらのサービスを運営する事業者を規制するための法律、通称「出会い系サイト規制法」があることはご存じでしょうか。

今回は、この「出会い系サイト規制法」について、規制内容や罰則の内容など、法律の知識がない方でもわかりやすいように基礎から詳しく解説します。

この記事を読めば、規制法に関する基礎知識がすべて身に付きますよ!

1.出会い系サイト規制法とは?

「出会い系サイト規制法」は通称であり、正式には「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」といいます。

もっとも、警視庁や消費者庁のサイトでも「出会い系サイト規制法」の語が用いられており、一般に通用する名称となっています。

他の呼び方として、「出会い系サイト被害防止法」や、略称としての「インターネット異性紹介事業利用児童誘引行為規制法」、「インターネット異性紹介事業規制法」などが用いられることもあります。

インターネットの普及に伴い、加速度的に市場規模が拡大してきた出会い系サイトサービスは、今まで知り合うことのなかった人と出会える素敵な機会を提供する一方、サービスを通じた性犯罪が発生するケースなども多発しました。

そこで、悪質な業者を排除し、適切なサービスの運営を促すことにより、出会い系サイトによる性犯罪被害(特に、児童買春)を減らすべく、2003年に立法されたのが出会い系サイト規制法です

出会い系サイト規制法の1条には、この立法目的が明確に示されています。

第1条 目的

この法律は、インターネット異性紹介事業を利用して児童を性交等の相手方となるように誘引する行為等を禁止するとともに、インターネット異性紹介事業について必要な規制を行うこと等により、インターネット異性紹介事業の利用に起因する児童買春その他の犯罪から児童を保護し、もって児童の健全な育成に資することを目的とする。

残念ながら、出会い系サイト規制法が施行されたのちも性犯罪被害が減少することはなく、今日に至るまで2回の改正が加えられています。

また、ここ数年間でマッチングアプリ市場は急成長しており、ユーザー数の増加に伴って性犯罪等の被害が拡大していることが懸念されるため、今後もさらなる法改正が行われる可能性があります。

そのため、既にマッチングアプリや出会い系サイトを運営している事業者はもちろんのこと、これから運営しようとしている人にとっても、法の内容や今後の改正についてはしっかりと注意する必要があります。

2.規制の対象となる事業者

出会い系サイト規制法の対象となる事業者は、以下の4つの要件をすべて充たす事業者のことをいいます。

インターネット異性事業者の4要件
  1. 面識のない異性との交際を希望する者(異性交際希望者)の求めに応じて、その者の異性交際に関する情報をインターネット上の電子掲示板に掲載するサービスを提供していること。
  2. 異性交際希望者の異性交際に関する情報を公衆が閲覧できるサービスであること。
  3. インターネット上の電子掲示板に掲載された情報を閲覧した異性交際希望者が、その情報を掲載した異性交際希望者と電子メール等を利用して相互に連絡することができるようにするサービスであること。
  4. 有償、無償を問わず、これらのサービスを反復継続して提供していること。

参照:警視庁『「インターネット異性紹介事業」の定義に関するガイドライン』(2020年12月18日閲覧)

上の定義およびガイドラインに従うと、「インターネット上の掲示板」機能を持たない形態のマッチングアプリは、出会い系サイト規制法の規制対象外であるようにも読めます。

しかし、インターネット上のサービスは刻々と変化するのが常であって厳密な定義をすることが困難であり、また先ほどみたように、立法趣旨は出会い系サイトによる性犯罪被害を減らすことにある点にあります。

そのため、インターネット異性事業者に該当するかどうかは、サービスの実態をみて柔軟に解釈し、実質的に出会い系サイトと同質であると認められるのならば、形式的には上定義に当てはまらない場合であっても、出会い系サイト規制法の対象となる場合もあります。

実際、過去には、「インターネット上の電子掲示板」機能を有さず、異性交際を目的とした出会いを禁止する旨を利用規約で明記していたチャットアプリの運営者が、公安委員会への届け出をすることなくインターネット異性紹介事業を営んでいたとして、出会い系サイト規制法違反の容疑で逮捕されています。

現在のところ、同性同士のマッチングを行うサービスが出会い系サイト規制法違反で逮捕されたケースはありませんが、今後の運用次第では規制対象となることも考えらえます。

もっとも、罰則規定を有する出会い系サイト規制法では、明文で規制対象が掲げられているにもかからわず、その要件を解釈で拡大することは罪刑法定主義に反するとの批判もあるため、今後の法改正によって事業者の定義が明文的に拡充される可能性もあります。

3.規制の内容

ここまでは、出会い系サイト規制法の概要や、規制法の対象となる事業者について説明してきました。

以下からは、規制法によって規制されている行為や、事業者に対して義務付けられている内容について、詳しく説明していきます。

なお、下記の具体的な規制内容については、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律施行規則」(出会い系サイト規制法施行規則)に記載されているものも含まれます。

(1)事業者に対する規制

出会い系サイト規制法において、事業者に対しては以下のような義務が課されています。

これらの義務に違反した場合には、後述するような罰則が加えられるおそれがあるため、事業者は十分に注意するようにしてください。

#1:事業に関する届け出

出会い系サイト等を運営しようをする事業者は、事業を開始しようとする日の前日までに、事業の本拠となる事務所の所在地を所轄する都道府県公安委員会に、所轄警察署長を経由して、届け出をしなければなりません。

また、出会い系サイト等の事業を廃止したとき、又は届出事項に変更があったときは、これらの日から14日以内に、その旨を届け出なければなりません。

なお、これらの届け出は、事業者ごとに行います。

すなわち、ひとつの事業者が複数の出会い系サイト等を運営する場合であれば、届け出はひとつにまとめて行うことができます。

#2:欠格事由

次に掲げる各号のいずれかに該当する者は、出会い系サイト等を運営することは許されません。

欠格事由
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ないもの
  • 禁錮以上の刑に処せられ、又は出会い系サイト規制法、児童福祉法第六十条第一項若しくは児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しないもの
  • 最近五年間に事業停止命令又は事業廃止命令に違反したもの
  • 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しないもの
  • 心身の故障によりインターネット異性紹介事業を適正に行うことができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
  • 未成年者(児童でない未成年者にあっては、営業に関し成年者と同一の行為能力を有する者並びにインターネット異性紹介事業者の相続人でその法定代理人が前各号及び次号のいずれにも該当しないものを除く。)
  • 法人で、その役員のうちに上各号又は児童に該当する者のあるもの

#3:名義貸しの禁止

出会い系サイト等の届け出をした者は、自己の名義をもって、他人に出会い系サイト等の事業を行わせてはなりません。

#4:児童による利用の禁止の明示

出会い系サイト等の運営者が広告又は宣伝を行う場合、文字、図形や記号などで、児童が利用してはならない旨をわかりやすく表示しなければなりません。

特に、電子メールにより広告又は宣伝を行う場合には、メール表題部に「18 禁」と表示するなどにより、児童が利用してはならない旨を明らかにしなければなりません。

#5:児童による利用の禁止の伝達

出会い系サイト等の運営者は、ユーザーが児童でないことの確認を受ける際、児童がそのインターネット異性紹介事業を利用してはならない旨をウェブサイト上に表示するなどして、ユーザーに伝達することが義務づけられています。

#6:児童でないことの確認

出会い系サイト等の運営者は、ユーザーが書き込みや閲覧をしたり、ユーザー同士がメール等で連絡を取り合ったりする際に、児童でないことを確認することが義務づけられています。

利用のつど、次の①又は②の方法をとるか、あるいは①または②の確認を受けた者にID、パスワードを付与し、利用の際には当該識別符号の送信を受けることが義務づけられます。

  1. インターネット異性紹介事業を利用する者の運転免許証、国民健康保険被保険者証その他の年齢又は生年月日を証する書面のうち、年齢又は生年月日、書面の名称、書面の発行・発給者の名称に係る部分について提示、写しの送付又は画像の送信を受けること。
  2. クレジットカードでの支払いなど児童が通常利用できない方法によって料金を支払う旨の同意を得ること。

#7:公衆閲覧防止措置

出会い系サイト等の運営者は、事業を行う中で「禁止誘引行為」(児童を異性交際の相手方となるように誘う書き込み、大人に対し児童との異性交際の相手方となるように誘う書き込み)が行われていることを知ったときは、速やかにその禁止誘引行為に関する情報を削除するなど、他の利用者がその情報を閲覧することができないようにするための措置をとらなければなりません。

(2)ユーザーに対する規制

ユーザーに対しては、以下に述べるような書き込みを行うことが禁じられています。

法文上、これらの書き込みは「何人も」行うことが禁じられているため、たとえ書き込んだユーザーが成人であっても児童であっても処罰の対象となります。

この規制は法により定められているものではありますが、すべてのユーザーがきちんと法の内容を確認しているとは考え難いため、事業を展開する事業者としてはこれらの規制をサービス利用規約に盛り込むなどして、改めてユーザーに周知徹底することが求められます。

また、規制に反する書き込みを発見した事業者は、公衆閲覧防止措置をとらなけらばなりません。

#1:児童を性交等の相手方となるように誘引する書き込み

例として、「都内でエッチできるJKいない?」など。

#2:人を児童との性交等の相手方となるように誘引する書き込み

例として、「私とエッチしたい人いない?」(児童による書き込み)、「JCとやりたい人いませんか?紹介します。」(成人による書き込み)など。

#3:対償を供与することを示して、児童を異性交際の相手方となるように誘引する書き込み

例として、「JC、JK援助します。ホ別イチゴ」(※ホテル代とは別に1万5千円での援助交際の意)など。

#4:対償を受けることを示して、人を児童との異性交際の相手方となるように誘引する書き込み

例として、「LJK(※高校3年生の意)ですが援助してくれませんか?」など。

#5:「性交等」や「対償の供与」が含まれていない児童にかかわる異性交際を誘引する書き込み

例として、「JCの彼女募集」、「彼氏募集中の女子高生です」など。

4.罰則の内容

ここまでは、出会い系サイト等を運営する事業者等、および、ユーザーに対する規制について紹介しました。

以下に、これらの規制に反する行為を行った場合の罰則を表にしてまとめました。

(1)事業者に対する罰則

対象となる行為 罰則の内容
届出をしないでインターネット異性紹介事業を行った者 6 月以下の懲役又は 100 万円以下の罰金
届出書・添付書類に虚偽の記載をして提出した者 30 万円以下の罰金
変更・廃止の届出をしなかった者 30 万円以下の罰金
変更・廃止の届出書・添付書類に虚偽の記載をして提出した者 30 万円以下の罰金
名義貸しをした者 6 月以下の懲役又は 100 万円以下の罰金
都道府県公安委員会による指示に違反した者 6月以下の懲役又は 100 万円以下の罰金
都道府県公安委員会による事業停止命令に違反した者 1年以下の懲役若しくは 100 万円以下の罰金、又はこれらを併科
都道府県公安委員会による事業廃止命令に違反した者 1年以下の懲役若しくは 100 万円以下の罰金、又はこれらを併科
都道府県公安委員会による報告・資料提出の求めに応じなかった者 30 万円以下の罰金
報告・資料提出の求めに対し、虚偽の報告をし、又は虚偽の資
料を提出した者
30 万円以下の罰金

(2)ユーザーに対する罰則

対象となる行為 罰則の内容
インターネット異性紹介事業を利用して禁止誘引行為(性交等又は対償を伴わないものを除く。)をした者 100 万円以下の罰金

5.年齢確認と本人確認

さきほど、事業者に対する規制の内容として紹介したように、法が事業者に対して義務付けているのは、あくまでユーザーが児童でないことの確認、すなわち年齢制限だけです。

これは、そもそも出会い系サイト規制法の立法目的が、主に児童買春等の被害から児童を守ることにあることからの要請です。

しかし、出会い系サイト等で性犯罪等の被害に遭うおそれがあるのは児童に限定されているわけではなく、成人であっても、なりすましやストーカーなどの被害者となるおそれがあります。

そこで、近年では、年齢確認のために提示された本人確認書類とユーザープロフィールの年齢等が合致するかどうかや、クレジットカードの名義が氏名と一致しているか等の確認を通じて、本人確認を行う事業者も増えています。

コンプライアンス意識が高まっている今日において、本人確認を実施することにより、出来る限りトラブルを未然に防ぐ体制を整えることは、出会い系サイト等を運営する事業者として社会的に求められているニーズであるといえるでしょう。

したがって、法律の要請ではありませんが、出会い系サイト等を運営するにあたっては年齢確認とともに本人確認を行うことをおすすめします。

6.まとめ

今回は出会い系サイト規制法に関する基礎知識を総まとめしました。

マッチングアプリ市場が爆発的に成長している今日、新たに参入しようとお考えの事業者の方も多いのではないでしょうか?

出会い系サイト規制法は、既に数回の改正を重ねながらも未だ発展途中の法律であり、今後も改正や法運用の変化によってその内容が変わってゆくことが考えられます。

特に、どのような事業者やサービスが本法の対象となるのかについては、いまだ判例の蓄積も少なく、ギリギリの解釈をしなければならないケースも多いと考えられます。

しかし、本法に違反した場合には罰金や懲役といった重い刑罰が科されるおそれもあるため、これから事業を行おうとする方は十分に注意しなければなりません。

そのため、法律の内容等について不安のある方は、一度弁護士などの専門家に相談することをおすすめします!

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