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【新規上場企業分析】スタメンのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

スタメンの概要

スタメンの基本情報

はじめに、株式会社スタメンの基本情報を紹介します。 上場予定日は2020年12月15日、市場はマザーズ、想定時価総額は67.4です。

会社名 株式会社スタメン
設立日 2016年1月29日
上場日 2020年12月15日(承認日:2020年11月11日)
市場 マザーズ
証券コード 4019
業種 情報・通信業
決算期 12月
ホームページアドレス https://stmn.co.jp/
発行済株式総数 7,425,000 株(2020 年 11 月 11 日現在)
上場時発行済株式総数 8,425,000 株
※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 1,000,000 株
想定価格 800円
想定時価総額 67.4億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
資本金 202,500 千円(2020 年 11 月 11 日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 有限責任 あずさ監査法人
主幹事証券会社 大和証券
引受幹事証券会社 野村證券
みずほ証券
SMBC日興証券
SBI証券
マネックス証券
東洋証券

スタメンの沿革

スタメンは、2016年に名古屋市で設立された企業です。
エンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」の提供を創業初期から展開し、サービス領域を拡大し続けてきました。

2016年1月 名古屋市東区泉に株式会社スタメン設立
2016年8月 創業事業「TUNAG」の開発を開始
2017年1月 東京支社を品川区西五反田に設立
「TUNAG」ベータ版をリリースし提供開始
2017年3月 第三者割当増資により、総額285,000千円を資金調達(2017年2月及び同年3月の総額)
2017年4月 エンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」を正式リリース
2017年11月 本社を名古屋市中村区井深町に拡大移転
2018年5月 大阪支社を大阪市北区梅田に設立
2018年9月 東京支社を品川区西五反田に拡大移転
2019年11月 「TUNAG」グローバル版の提供開始
2020年5月 サブスクファンサロンアプリ「FANTS」の提供開始

スタメンの事業内容

スタメンは「一人でも多くの人に、感動を届け、幸せを広める。」という経営理念を掲げ、ITとリアルの融合を 事業領域としており、エンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」というSaaS型モデルのサービスを提供する事業運営しています。

このサービスの主な目的は、「会社と従業員」というタテの相互信頼関係や、「従業員同士」のヨコの相互信頼関係を構築することで、コミュニケーションの活性化や、企業理念への共感を促進することです。

以下は、エンゲージメントの概念とスタミナの事業系統を表した図です。

エンゲージメントの概念スタミナの事業系統

 

① サービス内容 

スタメンが、主要なサービスとして運営するエンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」は、従来は導入してそのままになりがちだったエンゲージメント施策を、WEB上で一元管理することで、”ただ制度があるだけで使われていない”状況から脱し、「会社と従業員」というタテの相互信頼関係や、「従業員同士」のヨコの相互信頼関係を構築することを目的としたサービスです。

またサービスの特徴として、単にツールを提供するだけでなく、

  1. 現状の課題を明らかにした上で、
  2. それに対し て適切な施策を設計し、
  3. さらに設計した施策を継続的に実施していく

という3つのステップを採用しています。

このことから、「TUNAG」では、それぞれのステップに対して「エンゲージメントサーベイ」「組織改善コンサルティング」「社内制度運用クラウド」というソリューションを提供できるエンゲージメント向上へのワンストップサービスとして設計されており、各ステップの詳細は以下の通りです。

(1) エンゲージメントサーベイ

エンゲージメントサーベイは、組織の現状を可視化するためのアンケート機能です。
スマートフォンやパソコンから短時間で回答することが可能なアンケートを実施することで、診断レポートが自動生成され、その結果から課題を数値化し、その後の施策における優先度や狙いを明確化することができます。
また、アンケートによって取得された回答結果は、役職別の分類や、回答結果の推移の比較なども可能となります。

(2) 組織改善コンサルタント

社内の現状をエンゲージメントサーベイで可視化した後は、専任コンサルタントが「TUNAG」上で運用が自走化するまで支援する「組織改善コンサルタント」へ移行します。
このサービスでは、エンゲージメントを向上させるために「会社理解・共感」「上司や仲間との関係」「承認欲求」 など様々な要素に対してアプローチを行い、専任コンサルタントが有する制度設計・運用に関するノウハウを元に、組織課題に合わせた社内制度の企画・設計・提案を行う作業となります。

(3) 社内制度運用クラウド 

社内改善施策の課題として、設計された社内制度が現場に浸透せず、運用施策の自走フェーズに至 る前に形骸化してしまうことが挙げられます。
「TUNAG」では、そのような事態を防止する仕組みを組み込んだクラウドツールを社内制度運用クラウドとして提供しています。

 

tunagのステップ

 

「TUNAG」のクラウドツール上は、社内制度が一元的に見える化されており、従業員が利用しやすいツールとして設計されています。

具体的には、社内制度が利用された際、利用した場所、一緒に参加した従業員、写真などの内容がタイムラインに投稿として自動で共有される点です。
このような投稿には、社内制度の利用を促す効果があり、投稿が蓄積されていくことで、次第に、社内文化の構築、浸透が進んでいきます。

また、組織単位の運用状況に関しては、人事担当者が直感的に把握することのできる分析ダッシュボードが提供されており、分析ダッシュボードでは施策の活用度合いや各種ランキング、部署役職ごとの分析などが可能です。

② ビジネスモデル 

エンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」は、SaaS型サービスとして利用期間に応じて収益が発生するモデルを採用しており、アカウント数に応じた料金体系が採用されています。

SaaSとは、Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)の略称であり、利用者がソフトウェアを直接インストールして利用するのではなく、 インターネット上のクラウド経由で利用するサービスを示します。
また、SaaS型のシステムは、月や年などの期間をベースとした定額課金によって一定の収益を計上するストック型と呼ばれる仕組みによって運営されるため、安定的な収益を獲得する上で有効な手法とされています。


「TUNAG」は サービス提供開始以降、契約企業数を拡大しており、2020年9月時点で310社に利用されるサービスとなっています。

有価証券報告書情報

経営指標(過去2期分)

第4期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:4.0億円(前年比+250.8%)
  • 経常利益:△0.4億円
  • 当期純利益:△0.4億円
第3期 第4期
決算年月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 113,019 396,451
経常利益(千円) △143,508 △36,664
当期純利益(千円) △144,662 △36,855
純資産額(千円) 108,537 71,682
総資産額(千円) 253,346 354,557
自己資本比率 42.8% 20.2%
営業キャッシュフロー(千円) △60,327 95,062
投資キャッシュフロー(千円) △23,619 △3,641
財務キャッシュフロー(千円)
現金・現金同等物の期末残高(千円) 201,441 292,862
従業員数 36人 47人

 

経営指標(過去4期分)

過去4期の業績を見ると、売上は伸長している一方、第4期時点でも収益は赤字で計上されていることがわかります。

この原因の一つとして考えられるのは、スタメンが展開しているサービスがSaaS型であるという点です。
同様のSaaS型のサービスを展開する代表的な企業として、クラウド会計ソフトの「freee」、名刺管理ツールの「Sansan」が挙げられますが、SaaS型サービスは、セールス・マーケティングに多額のコストを費やす傾向があり、この2社も収益化まで比較的長い期間を要しています。

一方、SaaS型のサービスを展開するビジネスモデルは、一度収益化すると、その後、安定的に収益を伸ばすことが見込めるビジネスモデルです。

第1期 第2期 第3期 第4期
決算年月 2016年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 6,592 113,019 396,451
経常利益(千円) △8,620 △82,477 △143,508 △36,664
当期純利益(千円) △8,781 △83,018 △144,662 △36,855
資本金(千円) 60,000 202,500 202,500 202,500
発行済株式総数 6,000 7,425 7,425 7,425
純資産額(千円) 51,218 253,199 108,537 71,682
総資産額(千円) 94,751 317,782 253,346 354,557
自己資本比率 54.1% 79.7% 42.8% 20.2%
従業員数 1人 10人 36人 47人



スタメンは、2017年3月、事業拡大とサービスの品質向上を目的として、中京テレビ放送株式会社、株式会社DGインキュベーション、複数のエンジェル投資家を引受先とする総額約2.8億円の第三者割当増資を実施しました。

【株式会社スタメン】第三者割当増資で総額2.8億円を資金調達

株主構成

上位10位までの主要な株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
加藤 厚史 4,265,000 54.39% 180日間
ジャフコSV5共有投資事業有限責任組合 960,000 12.24% 90日間
株式会社スターフロンツ 600,000 7.65% 180日間
大西 泰平 455,000 5.80% 180日間
株式会社エイチーム 400,000 5.10% 90日間
ジャフコSV5スター投資事業有限責任組合 240,000 3.06% 90日間
株式会社ライフワーク 200,000 2.55% 180日間
中京テレビ放送株式会社 100,000 1.28%
小林 一樹 100,000 1.28% 180日間
満沢 将孝 100,000 1.28% 180日間

新規上場(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

想定価格は800円、吸収金額(調達額)は14.7億円と予想されています。

仮条件 未発表
公募・売出価格 未発表
想定価格 800円
初値
公募株数 1,000,000 株
売出株数 600,000 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 240,000 株
吸収金額(調達額) 14.7 億円 (※オーバーアロットメントを含む株数×想定価格で計算)

この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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