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【新規上場企業分析】ギフティのIPO・時価総額・業績・事業内容・有価証券報告書を徹底分析

ギフティの概要

ギフティの基本情報

はじめに株式会社ギフティの基本情報を紹介します。上場日は2019年10月1日、市場はマザーズ、想定時価総額は310.4億円、上場時の時価総額は466.8でした。

会社名 株式会社ギフティ
設立日 2010年8月10日
上場日 2019年9月20日(承認日:2019年8月16日)
市場 マザーズ
証券コード 4449
業種 情報・通信業
決算期 12月
ホームページアドレス https://giftee.co.jp/
発行済株式総数 24,031,000 株(2019 年 8 月 16 日現在)
上場時発行済株式総数 24,831,000 株
※公募分を含む。
※新株予約権の権利行使により増加する可能性がある。
公募株数 800,000 株
想定価格 1,250円
想定時価総額 310.4億円 (※上場時発行済株式総数×想定価格で計算)
初値 1,880円
上場時時価総額 466.8億円(※上場時発行済株式総数×初値で計算)
時価総額 982.3億(2020年10月8日現在)
資本金 511,835 千円(2019 年 8 月 16 日現在)
1単元の株式数 100 株
監査人 EY 新日本有限責任監査法人
主幹事証券会社 野村證券
引受幹事証券会社
みずほ証券
SMBC日興証券
SBI証券
大和証券
岩井コスモ証券
マネックス証券
松井証券
水戸
証券
岡三証券

ギフティの沿革

株式会社ギフティは、2010年に神奈川県で創業したWebを利用したプレゼントのやりとりを行うeギフトサービスを展開する企業です。 その後、事業を拡大し、2019年9月に東証マザーズへ上場しました。

2010年8月 eギフトサービスの提供を目的として、神奈川県川崎市高津区に株式会社ギフティを設立
2011年3月 カジュアルギフトサービス『giftee』の提供を開始
2012年4月 東京都渋谷区(恵比寿)に本社移転
2013年5月 東京都品川区(目黒)に本社移転
2014年1月 eギフト発行システム『eGift System』の提供を開始
2016年4月 法人向けeギフト販売サービス『giftee for Business』の提供を開始
2016年10月 電子地域通貨サービス『Welcome! STAMP』の提供を開始
2017年5月 東京都品川区(五反田)に本社移転
2018年3月 株式会社ジェーシービーと資本業務提携
2018年3月 株式会社丸井グループと資本業務提携
2018年9月 連結子会社 GIFTEE MALAYSIA SDN. BHD.(マレーシア)を設立
2019年9月 東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場

ギフティの事業内容

株式会社ギフティは、「ギフトで、『人と人』『人と企業』『人とまち』をつないでいく。」というミッションを掲げ、飲食・小売店舗などで、商品やサービスと交換することができる電子チケットである「eギフト」のプラットフォームサービスである「giftee」の運営を行う企業です。 サービス区分は主に4つに分割されており、主なサービスと事業系統を表した図は、以下の通りです。

  1. 『giftee』サービス
  2. 『giftee for Business』サービス
  3. 『eGift System』サービス
  4. 『Welcome! STAMP』

ギフティの事業系統図

① 『giftee』   

『giftee』は、直接対面していない人に対して何かギフトをプレゼントしたいニーズのある個人ユーザーが『giftee』webやアプリを利用してeギフトを電子決済で購入、メールやSNSでプレゼントしたい相手に送付するサービスです。 プレゼントを受け取る相手は受け取ったギフト画面を店頭で提示すると商品がもらえるサービスフローとなっており、送り手は「誕生日おめでとう」や「ありがとう」といった内容のメッセージカードとテキストのメッセージをeギフトに添えて送付することもできる仕様となっています 『giftee』が取り扱っている商品は、コーヒーやドーナッツといった数百円程度の価格帯の商品が中心であり、送る側も受け取る側も負担にならないカジュアルな商品ラインナップが多いことが特徴です。 また、メールやSNSで送付することから、送料をかけずに送ることができます。 さらに、店頭で商品を受け取るのではなく、受け取る方が入力した住所に商品を配送するといった配送型のギフトも取り扱っており、比較的単価の高いドリンクや食品などを、受け取る方の住所を知らなくてもプレゼントできるといったメリットがあります。 ギフティは、『giftee』を利用してeギフトを個人に販売したeギフトの発行企業から、販売手数料を獲得する形で収益を獲得しており、2017年12月時点で138万人の会員を持つサービスとなっています。   個人向けギフティのビジネスモデル  

② 『giftee for Business』  

『giftee for Business』は、企業が自社のユーザーに対してギフトを付与するシーンで利用するための法人向けサービスです。 『giftee for Business』の具体的な活用シーンは、保険会社や金融機関、モデルルームや住宅展示場などへの来店のお礼、保険・引っ越しの一括見積、レンタカー会社や宿泊施設等のギフト券付きプランなどのシーンでサービス利用のお礼として利用されます。 従来、企業はユーザーへのプレゼント商品として、プラスチックや紙の金券が利用することが多く、在庫管理や梱包、包装、郵送代金、また、それに伴う事務作業等、プレゼント商品の代金以外に様々なコストが発生していました。 企業はこのようなコストを『giftee for Business』の活用することで、一連の作業がメールやSNSなどでeギフトのURLをユーザーに送信するのみで完了するため、配送費、在庫管理費、梱包費や人件費などのコストカットを図ることができます。 『giftee for Business』では、サービスを利用する法人からとeギフトの発行企業から発行手数料、販売手数料をそれぞれ収益として計上しており、2019年12月時点で『giftee for Business』の利用企業数は643社、eギフト流通額は29億円となりました。   法人向けギフティ のビジネスモデル  

③ 『eGift System』  

『eGift System』は、飲食店・小売店などのeギフトを発行する企業がeギフトの生成・流通・販売・決済・実績管理を行うことができるSaaS型のシステムです。 SaaSとは、Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)の略称であり、利用者がソフトウェアを直接インストールして利用するのではなく、 インターネット上のクラウド経由で利用するサービスを意味します。 『eGift System』を導入することで、システムを利用する企業は、自社のeギフトを自社のホームページやスマートフォンアプリで販売すること可能となるだけでなく、eギフトの原資を自社で負担して自社ユーザーに配布することで、電子クーポンとして活用することもできます。 このように、『eGift System』は、ギフティの持つサービスの特性を最大限活用することを目的としたツールです。 ギフティは、『eGift System』の導入先企業からシステム利用料を獲得するモデルで収益を計上しており、2019年12月末現在で89社の企業にシステムが利用されています。 『eGift System』の概念図

④ 『Welcome! STAMP』   

『Welcome! STAMP』は、従来の紙やカードで発行されていた、特定の地域でのみ使える通貨や商品券(地域通貨)をスマートフォンを利用して流通させるシステムです。 従来の紙やカードで地域通貨を発行する場合、当該紙やカードの紛失や盗難を防ぐために利用者や加盟店それぞれで管理することが必要であり、また、加盟店は紙やカードを交換所に持参して換金する必要がありました。 『Welcome! STAMP』では、これらの紙やカードを電子化することで、紛失や盗難のリスクを防止し、加盟店のオペレーションの軽減につなげるサービスです。 さらに、電子通貨の販売・利用の実績は全てリアルタイムでシステム内で一元管理されるため実績や履歴などのデータを即時・自動で集計することが可能となります。 『Welcome! STAMP』は、長崎県の五島列島や、新潟県新潟市など複数の自治体で利用されており、ギフティは、『Welcome! STAMP』の利用先からシステム利用料を獲得するモデルで収益を計上しています。

有価証券報告書情報

連結の経営指標(過去3期分)

第10期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:17.7億円(前年比+57.6%)
  • 経常利益:5.2億円(前年比+84.6%)
  • 当期純利益:3.8億円(前年比+93.8%)
第9期 第10期
決算年月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 1,121,392 1,767,428
経常利益(千円) 283,338 523,058
当期純利益(千円) 198,487 384,609
純資産額(千円) 1,099,107 3,532,227
総資産額(千円) 1,772,957 4,352,200
自己資本比率 62.0% 81.2%
営業キャッシュフロー(千円) 386,914 74,280
投資キャッシュフロー(千円) △53,700 △143,955
財務キャッシュフロー(千円) 639,540 2,024,990
現金・現金同等物の期末残高(千円) 1,227,422 3,182,404
従業員数 52人 95人

 

単体の経営指標(過去5期分)

過去5期の業績を見ると、売上は4年間で約6.6倍の成長しています。 また、利益に関しては第6期には赤字を計上していた一方、その後黒字に転換し増益を続けています。 ギフティは、第7期に決算期変更を行ったため、第7期の経営指標は、2016年8月1日から2016年12月31日までの5ヶ月間となります。 なお、ギフティは、2019年1月3日付で普通株式1株につき1,000株の株式分割を実施しました。

第6期 第7期 第8期 第9期 第10期
決算年月 2016年7月 2017年12月 2017年12月 2018年12月 2019年12月
売上高(千円) 266,096 170,539 556,529 1,120,559 1,766,695
経常利益(千円) △15,219 △5,407 33,832 285,336 540,799
当期純利益(千円) △16,588 864 20,205 200,485 402,350
資本金(千円) 194,805 194,805 194,805 511,835 1,536,199
発行済株式総数 19,773 19,773 19,773 24,031 26,163,600
純資産額(千円) 247,737 248,602 268,808 1,103,353 3,554,431
総資産額(千円) 325,163 342,626 510,354 1,776,465 4,371,491
自己資本比率 76.2% 72.6% 52.7% 62.1% 81.3%
従業員数 20人 23人 37人 51人 92人

ギフティは、2018年4月に複数の企業から海外展開を見据えた資金調達を実施しました。
調達額は、総額5.84億円でありASEANを中心としたeギフト事業を強化するために充当される予定であるとされています。

2018年4月に行われたgifteeの資金調達について

上場時の株主構成

上位10位までの株主は、以下の通りです。

株主 所有株式数 比率 ロックアップ
太田 睦 5,417,000 19.79% 90日間
KDDI新規事業育成2号投資事業有限責任組合 3,716,000 13.58% 90日間
ジャフコSV4共有投資事業有限責任組合 3,617,000 13.22% 90日間
鈴木 達哉 1,983,000 7.25% 90日間
梅田 裕真 1,750,000 6.39% 90日間
柳瀬 文孝 1,655,000 6.05% 90日間
株式会社インスパイア 1,000,000 3.65% 90日間
KDDI新規事業育成投資事業有限責任組合 1,000,000 3.65% 90日間
株式会社ジェーシービー 950,000 3.47% 継続保有
株式会社SMBC信託銀行 信託口 12100440 950,000 3.47% 継続保有

上場時(IPO)の募集・売出し情報

公募・売出し・調達額情報

公募価格は1,500円、吸収金額(調達額)は63.1億円とされています。 また初値は、1,880となりました。

仮条件 1,300円 ~ 1,500円
公募・売出価格 1,500円
想定価格 1,250円
初値 1,880円 (公募価格比+25.3%)
公募株数 800,000 株
売出株数 3,590,700 株
オーバーアロットメントによる売出し株数 658,600 株
吸収金額(調達額) 63.1億円(※オーバーアロットメントを含む株数×公募価格で計算)

 


この記事の監修者

赤堀弁護士
赤堀 太紀 FAST法律事務所 代表弁護士

企業法務をはじめ、債務整理関連の案件、離婚・男女トラブルの案件、芸能関係の案件などを多数手がける。

この記事の筆者
浜北 和真株式会社PALS Marketing コンテンツディレクター

2017年から法律メディアに携わりはじめる。離婚や債務整理など、消費者向けのコンテンツ制作が得意。
監修したコラムはゆうに3000を超える。
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